2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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ナレーター:次の質問です。福岡県の男性30歳の方。「鳥飼先生に質問です。戸田奈津子さんの翻訳をどう思いますか? かなりおかしな日本語もあると思うのですが、教えてください」。
鳥飼玖美子氏(以下、鳥飼):戸田奈津子さんは、字幕翻訳の第一人者というか、私はお話を伺ったことがあるんですけど、とにかく英語が好きで好きで好きで、字幕翻訳がやりたくて、そのために英語を学んだ人なんですよね。
西村博之氏(以下、ひろゆき):へー!
鳥飼:最初はOLかなんかで、(当時の洋画字幕界には)高瀬さんと清水さんの2人くらいしかいなくて、どちらかの門を叩いたんだけど、けんもほろろで。弟子にしてくださいって言ったんだけど、ダメだって言われて、会社勤めをしながら英語を一生懸命勉強して、それでようやく字幕の仕事がもらえるようになった、って仰ってましたけど。
ひろゆき:戸田奈津子さん、外国在住歴ないんですよね、確かね。
鳥飼:だからあの人は映画の字幕翻訳をしたいがために、そのために英語を学んだ人なんですよ。私、尊敬してます。
ひろゆき:すごいですよね。見る映画、見る映画、全部戸田奈津子じゃないですか。絶対何人かいると思うんですよ、戸田奈津子。プロダクション的な。
鳥飼:あんなに全部できるわけがない。でもあれすごく限られた時間で……一本を何度も観るんだと思ってたの。でも一回くらいしか見ないで、時間図りながらバーッと訳してるんですよね。だから字幕って大変だと思いますよ。完璧な訳は難しいと思います。だいたい1行に何字まで、で2行まででしょ。思いっきり訳してたら、画面が字幕だらけになっちゃうじゃないですか。
ひろゆき:喋るタイミングに合わせて、その秒数で出さないといけないしって。
鳥飼:それをすごく凝縮して、ある時には意訳もやらなきゃいけないし。その辺の苦労をよっぽど時間かけてやってるのかと思ったら、非常に短い時間でやってるという事を聞いてね、完璧じゃない字幕があるのはやむを得ないな、と思います。それより私は彼女の努力がすごいと思う。自分のやりたい事のために英語を学んだっていう、その努力を評価しますよね。
ひろゆき:その映画の原作まで読んでます! みたいな人と比べたら、敵わないですよね。
鳥飼:原作まで読んで、映画をじっくり観て、詳しい人っていますよね。そういう人から見れば、こりゃ違うじゃないかってそれは出てきますけれども、それはちょっと大目に見てくださいって、私は思います。
ひろゆき:そういう人は英語を勉強した方がいいと思いますけどね。本当に原作好きだったら、英語で覚えちゃった方が素直に原作の世界観に入り込めるんだから。
鳥飼:そうですよね。字幕翻訳の研究っていうのは、今はずいぶん盛んになってるんですけど、やっぱりあの制約の大きさっていうのは大変ですよ。やっぱり文化が違うから。これをそのまま訳すと日本の人にはわかってもらえない、だから思い切ってこれにしちゃうとかね。
例えば果物の名前だって、外国のをそのままやったら日本人にはわからないから、「リンゴ」ってやっちゃうとか。例えばの話ね。その原作をよく知ってる人からみれば、不満な所は多々あると思います。それはもう制約がある中を頑張ってやってるんだ、と思うしかないと思いますよね。
ひろゆき:ちなみに吹き替え映画ってどうなんですか。
鳥飼:私は吹き替えは良くないと思いますよ。最近吹き替え多いですよね。でも吹き替えちゃったら、聞こえないじゃないですか、元の音が。あれはぜひ残してほしい。だからぜひ字幕にして欲しいですよね。私『HACHI』って映画を観に行って、間違えて吹き替えの劇場に行っちゃったんですよ。時間がちょうどいいと思ってふっと入ったら、全部吹き替えですごく嫌でした。
ひろゆき:僕も吹き替えだとちょっと凹むんですよね。
鳥飼:やっぱり、そのままで聞きたかったなと思いますけどね。
ひろゆき:インド映画でも中国映画でも何でもいいんですけど、外国のものは外国語で見たい。
鳥飼:その言語がわからなくても、響きが聞きたいっていうのはありますよね。ぜひね、吹き替えはやめてほしい。
ひろゆき:コメントだと、吹き替えは楽だからいいとかありますけど。
鳥飼:吹き替えの方が人気なんですよ。
ひろゆき:そうなんですか。
鳥飼:そうみたいですよ。製作費も吹き替えの方が、日本の場合は安く済むって聞きました。外国では違うんですよね。
ひろゆき:そうなんですか?
鳥飼:テレビは完全にそう。
ひろゆき:でもセリフ作って、それを読むコストがあるじゃないですか。
鳥飼:と思いますよね。思いますけど、少なくともテレビは吹き替えの方が安い場合があるって聞きましたね。それって外国と逆なんですよ。外国の場合は、吹き替えの方がはるかにコストかかるし、だいたい声優ってそんなにいないので、字幕なんですけどね。
ひろゆき:職業声優って、日本ぐらいしかいないですからね。外国だと俳優さんが声優やってますからね。
鳥飼:そうですね。ボイスアクターって人いますけど、そんな日本ほどいないかなって思いますね。
ひろゆき:日本は職業声優で食えてる人いっぱいいますからね。
鳥飼:そうなんですか?
ひろゆき:アニメとかだと声優専業の人ばっかりで。そっか、じゃあ吹き替え映画は増えちゃってるんだ。
鳥飼:増えてる感じしますよ。
ひろゆき:知り合いが3D映画観た時に、吹き替えがいいって言ってたのは、理由わかったんですよ。
鳥飼:なぜ?
ひろゆき:3D映画って、色んな所に奥行きがあるから視線が忙しいんですよ。それで文字まで読まないといけなくなると、映画の綺麗な所が見えなくなっちゃうんですよ。
鳥飼:それはそうかもしれないですね。
ひろゆき:それでしょうがないから吹き替えで観たってやつと、しょうがないから2回観たってやつがいて。そうか、そりゃしょうがないなって。
鳥飼:そういうことですか。うーん。
ひろゆき:僕は基本的には字幕の方がいいと思うんですけどね。
鳥飼:私もそう思います。
ナレーター:メールもどんどん来てるんですけど、時間もないのであと2、3問なんですが。千葉県の男性、25歳の方。
「日本が観光産業に力を入れるのであれば、政府主導で第二公用語にすればいいと思います。今のような実用性のない、受験のための英語教育をさっさと廃止して、コミュニケーションツールとしての英語教育を政策として進めるべきではないんでしょうか。意見を聞かせてください」
鳥飼:それは何歳の方ですか? 25歳の方だったら、コミュニケーション志向の英語教育を受けているはずなんですけども。その方の学校は、学習指導要領にのっとったやり方をしてなかったんですかね。実はもう「英語教育はコミュニケーションのためである」と、1989年に学習指導要領に明記されているんですね。で、施行されたのが1992年くらいでしたか。
ひろゆき:僕が中学生か高校生くらいの時は、もうなっていたと。
鳥飼:英語が使える日本人にするための戦略構想、その次に行動計画として概算要求をとって、コミュニケーションのための英語教育を5か年計画でやって、5か年でもう5年目が去年だかおととしだかで終わりましたから、2003年でやってるんです。(※この動画は2011年に公開されたものです)
だからもう日本は、文部科学省は、この20年来コミュニケーションのための英語教育っていうのをやってますから。今からやるべきですって言われても、すでにやっちゃってるんです!
だけど実効が上がってないっていうのが一つと、観光立国なんです、確かに。今、日本は1,000万人にとりあえずして、あともう何年かで3,000万人の観光客を誘致しようと必死に頑張ってるんですけど、Discover JAPANキャンペーンとか必死にやってるんですけど、お客さんはどこだと思ってます?
英語の母語話者じゃないんですよ。中国、韓国なんですよ! だから気が付いた方いると思いますけど、駅なんかでも中国語・韓国語が増えてますよね。だから日本の観光立国が成功するために来てもらわなきゃいけない人は中国、韓国。
だからビザも緩和して、大いに入っていただこうと。それでも政治的な問題が起きると観光客が減ってしまって、1千万人いかないとか、そういう問題になってますけど。だから英語を公用語にしても、中国あるいは韓国からの観光客は増えません。
ひろゆき:じゃあ、観光立国やりたいなら北京語覚えよう、みたいな。
鳥飼:そうそう、中国語を第二公用語にした方がいいくらいだし。実は今、商社なんかは、全職員に中国語の研修始めてますよね、もう。
ひろゆき:近いし、人口も多いし。
鳥飼:人口も多いし、大きなマーケットなんですよね。そのうちみんな英語英語って言わないで、中国語やらなきゃって言うようになるかもしれないですね。
ひろゆき:人件費も安いですしね。金持ちもいるし、安い人件費もあるし。そういう意味では中国に行くのも割と正解だと思いますけどね。
鳥飼:人口も多いし、とにかく今、力をつけてきていますからね。
ひろゆき:ちょうど日本がGDP抜かれましたしね。中国おめでとうございます。
鳥飼:抜かれましたよ。私この間上海行った時に、ちょうどオリンピックの年だったんですけど、東京オリンピック、万博をやった頃のあの日本みたいな、これから伸びるぞー! みたいな、すさまじいエネルギーを感じましたね。日本はそこからもうかなり疲れてきちゃったんですけども。中国はあの頃の日本、高度成長期の日本。
ひろゆき:そういう意味では、日本語と中国語って近いし、漢字書けば何とか伝わるんで、有利っちゃ有利ですよね。他にここまで中国語に親和性ある言語ってないですからね。韓国の人は漢字書けなくなっちゃってるし。
鳥飼:そうですね。
ひろゆき:ということで、観光立国的には割と有利なんじゃないかと。
ナレーター:次の質問です。兵庫県の男性、37歳の方。「鳥飼さんへ。本日、出演者のひろゆきが遅刻した事を視聴者を代表してお詫びいたします。あと、鳥飼さんの著書『「英語公用語」は何が問題か』がamazonで在庫切れです。(※現在は在庫有)私にとってはこれが問題です。出版社角川さんに催促願います」。
鳥飼:(笑)。はい、編集担当者も今ここにいますので、私からも厳しく角川書店にお願いしたいと思います。私も在庫切れだって色々クレームを受けてますので、ぜひ早く手に入れていただけるようにしていただきたいと思います。
ひろゆきさんの遅刻に関しましてはですね、そうですね、会うと憎めない方ですね。どんなに厳しいこと言ってあげようと思って待ち構えてたんですけど、会うと言えなくなっちゃいました。そういう人っているんですよね。
ひろゆき:本当にね、ありがとうございます。いやはやいやはや。で、最後の質問いきますか。
スタッフ:これで最後。
ひろゆき:あ、そうなの? じゃあこれで質問最後ということで。
スタッフ:あと今日ちょっとプレゼント。バレンタインということで。
ひろゆき:誰から?
スタッフ:ドワンゴから。
ひろゆき:ドワンゴから? じゃあなんで僕にここで渡すの? あ、これで「アメリカにはバレンタインデーはあるんですか?」って流れにしたかったのね。
鳥飼:日本の騒ぎみたいなことはやらないですよね。
ひろゆき:別に、男から女にやるような話でもないですしね。
鳥飼:ないんですよね。だから仲良しとか家族でちょっとカードあげたり、今日アメリカの大学院の時の先生から来てましたけど、メールを送ったりとか。チョコレート持って男性にーって、ないんですよね。
ひろゆき:韓国には、なんかその日本の文化がいったらしいですけどね。韓国ではチョコをあげるって文化は根付いたらしいですよ。
鳥飼:ホワイトデーとかやってるわけ?
ひろゆき:ホワイトデーまでは知らないですけど。それと、中国ではホテルの予約が満室になった、なんてニュースでやってましたけどね。恋人同士が何かをする日っていうのは、文化として伝わったみたいです。
鳥飼:日本も発信してるわけですね。
ひろゆき:といったところで、1時間半にわたってお送りしてきました。『「英語公用語」は何が問題か』角川書店さんの定価、本体725円。ちなみにこれ、どれくらい売れたんですか?
鳥飼:どのくらい売れたんでしょうね? ちょっと聞いてみないとわかんないですね。
ひろゆき:何万部くらいとか。
鳥飼:そんなにいかないんじゃないですか? これからもっと買ってください。
ひろゆき:じゃあ楽天、ユニクロ社員の方で、本部に対して反論したい方は、読んでみて理論武装していただけるといいんじゃないでしょうか。
鳥飼:あ、理論武装にはいいかもしれません。ぜひお読みになってください。本当に楽しく英語を学ぶにはどうしたらいいか、っていう事を汲み取っていただけると嬉しいです。
ひろゆき:今日はどうもありがとうございました。どうですか、このコメントが出る不思議な番組に出るっていうのは。
鳥飼:なんかね、面白いですね。コメント読んでるとクラっとしてきますけれどもね。
ひろゆき:というわけで、今日はありがとうございました。
鳥飼:ありがとうございました。
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