2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
The Blinding White Remains of a Dying Sea | Weird Places: White Sands(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:ニューメキシコ州のトゥラロサ盆地には、真っ白にまぶしく輝く砂の砂漠があります。そのものずばりの名称を持つこの「ホワイトサンズ国定公園(正確には「ホワイトサンズ国定記念物)」は、400平方キロメートルも広がる純度の高い石膏から成る砂漠です。石膏の砂漠としては、世界最大の規模を誇ります。
この地が形成され、そのままの姿で存続しているのは、奇跡のような確率です。高純度の石膏結晶が、これほどまでに大量に一か所に堆積しているのは、地質学パズルのピースの一つひとつが、絶妙なタイミングで適切な場所にうまくハマった驚くべき物語の結末なのです。すべてがうまくハマった結果、純白の砂漠は、不気味な青白い姿をしたユニークな数々の生命を生み出しました。
2億5000万年前、白い砂で覆われた現在の地域は超大陸パンゲアの一部であり、ペルム紀の海に覆われていました。ここは遠浅の海で大洋と繋がっており、現在のテキサス、アリゾナ、ニューメキシコ州に該当する部分は海岸線でした。
石膏層は、海水面の上下動によって少しずつ堆積していきました。海水面が低い時には、海水が複数の巨大な塩湖として内陸に閉じ込められます。石膏は、硫酸カルシウムを主成分とする鉱物です。塩湖が干上がると、水中に溶解していた硫酸カルシウムが残り、石膏層となります。最終的には、石膏層は500メートル近くまで堆積しました。
7000万年ほど前になると、北アメリカ大陸にかかった地殻変動の圧力により、石膏層は押し上げられ山になりました。
3000万年ほど前には、地殻変動の力が反対方向にかかり、大地が裂けて石膏層の山に囲まれた広大な谷が形成されました。
この石膏層の山に囲まれた谷が、今日のトゥラロサ盆地なのです。
2万4000年前、最後の氷河期が終わると、雨に溶解して山から流れ出た石膏が、谷へと運ばれました。
水は、数万年前のペルム紀の海と同様に干上がり、後に石膏の層が残されました。
過去1万年の間に、これが徐々に風化され、98パーセントの純度の石膏の砂が誕生したのです。
石膏が砂状で見つかるのはたいへん珍しく、特異です。水溶性であるため、雨や波で簡単に流されてしまうためです。また、純白の砂がこれほど長期間残ったのは、極度の乾燥のおかげです。
今日、私たちが目にしているのは、2億5000万年もの間の、石膏の分級淘汰作用、運搬作用、純化作用の結果に生まれた、この世に二つとない光景なのです。
これらの作用はすべてごくありふれたものですが、これほどのスケールでタイミングが合致した例は、地球上には他にありません。ただし火星には、大量の石膏を豊富に含むエリアがあり、地質学者たちがこの赤い惑星の特色を調査するにあたって、大いに役に立っています。
さて地球では、ユニークな場所には大抵ユニークな生命が生息しています。ホワイトサンズも例外ではありません。しかし、水もエサもほとんどないこの地で生きるのは、なかなかに困難です。
植物は深く根を張って地下水を求め、風に飛ばされるのを防ぎます。さらに、砂に埋もれないように成長速度は早く、背は高くなります。こうした過酷な環境にも関わらず、ユッカエラタ(soaptree yucca)やフレモントコットンウッド(Rio Grande cottonwood)などの植物が、ホワイトサンズで生育しています。
過剰なカルシウムは有害であり、ここで生育する植物は独自の方法で、石膏に含有されるカルシウムを処理しています。塩類腺から余分なカルシウムを排出する植物もあります。これは、植物が発汗するような特異な例です。
余剰カルシウムを、葉の中で結晶化する植物もあります。カルシウムを、細胞に溶解や吸収がされづらい形状に変化させ、植物全体を保護する目的で隔離貯留するのです。
砂漠で生きるのが難しいのは動物も同じです。水がない所で生きなけばならず、背景がモノクロであるため捕食者にも見つかりやすいからです。
ホワイトサンズには、45の固有種が生息しています。固有種とは、この地域にしか生息していない生き物を言います。カマドウマ、ポケットネズミ、bleached earless lizard(「白色耳無しとかげ」の意)、そして多様な蛾が生息していますが、いずれも幽霊のように青白い色をしています。もうおわかりかとは思いますが、これはすべて、白い背景に溶け込むためのカムフラージュです。
カラフルな動物は敵にすぐ見つかってしまうため、自然淘汰が非常に強力に作用します。種の異なる、ある2種のトカゲを例に挙げますと、暗い色素を生成する遺伝子が変異したために、この2種のトカゲの体色は白くなりました。この変異は、強力な淘汰の作用によって1万年ほどの期間でトカゲの個体群全体に広まりました。これは、進化のスピードとしては異例の速さです。
同様の適応進化が、複数の異なる動物間で起こりました。これは、生物学用語でいうところの「収斂進化」にあたります。こうしたプロセスによって固有種が形成されます。なぜなら、いったん真っ白になってしまった生物が、石膏の砂漠以外での場所で生き抜くことは難しいからです。
これは、さまざまな地質学的な作用が合致して、極めてユニークな環境が生まれ、進化によってそこでしか生きられない、唯一無二の生命が誕生した一例なのです。
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