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Everest Doesn’t Always Feel Like the Tallest Mountain(全1記事)
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ローズ・ベアドントウォーク:標高約8,850メートルのエベレスト山が世界最高峰であることには、疑う余地はありません。しかし登山家からすれば、常にそうとは限らないようです。なんと、大気の物理的な作用により、世界で2番目に高い山であるK2よりも低いと体感することがあるのです。
エベレストとK2の標高は、共に8,500メートル以上です。この高さでは酸素が薄く呼吸が困難となり、登山家は酸素補給器を持ち込みます。酸素が薄くなるのは、高度が上がるにつれ気圧が下がるために起こる現象です。理由は2つあります。
まず第一に、山頂は地球の中心部から遠いため、高い標高の大気中の分子に働く重力が小さくなるためです。また、低い標高の大気には上層の大気が圧を加えるため、高い標高よりも物理的な圧力が大きくなります。
気体は、物理的に気圧が低下すれば比例して密度も下がります。つまり、高く登るにつれ気圧が低下すれば、同量の大気中に含まれる酸素分子が減少します。
残念なことに、私たち人間の肺の機能は、この変化に適応するには少し時間がかかります。そのため、高く登れば登るほど、一呼吸あたりで取り入れる酸素分子が減少してしまうのです。
標高は空気の密度と大きく関係しますが、関係してくるのは高さだけではありません。つまりエベレスト山頂の大気圧に関係するのは、山の高さだけではないのです。
エベレスト山頂の大気圧は、なんと天候によって最大で34ヘクトパスカルも変動します。これは、高度で言えば737メートル差に該当します。エベレストの標高は、K2よりもわずか250メートルしか高くありません。そのため、K2の体感標高がエベレストよりも高く感じることがあるのです。
エベレストの大気圧は、大気循環により変動します。ちなみに「大気循環」とは、地球上で大気が移動することをかっこよく言い換えた言葉です。大気循環は、私たちの身近な気象や気候にも作用しています。海抜ゼロ地点でも、高気圧・低気圧の前線は体感できますよね。
しかし、みなさんが登山家で、酸素補給器を持ち込まずに登山を行うのであれば、山頂で実感する体感標高は、その日その日で異なることになります。
事実、研究によると、酸素補給器無しで登頂に成功した登山者は、すべて比較的気圧差が少ない状況下であったことがわかっています。
これは至極当然のことで、天気が良ければ気圧は高い上に、登山家は年間でも天候の良い、5月から10月の間を狙うからです。つまり、登山家はエベレストの体感標高が低い時に登頂するのです。別の見方をすれば、本来のエベレストの標高を体感したわけではないとも言えますね。
今後は体感標高が上がることはないかもしれません。気温が上昇すれば、気圧も上がるからです。これは、温まった空気では分子が激しく動きまわって衝突するためです。
研究によると、エベレスト山頂の気圧は、温暖化に伴い過去10年間で上昇しています。さらに重大だと言えるのは、気温がパリ協定で定められた摂氏2度上昇すれば、エベレスト山頂での体感標高は120メートルも下がることです。
エベレストは最終的には、空気に限定して言えばですが、登頂しやすい山となるのかもしれませんね。
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