2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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大澤孝氏:はい。次。「人生銀行」です。
これはどんな商品か? というと、貯金箱です。唐突なんですが、貯金箱の商品を作りました。貯金箱って、みなさんご存知ですよね。お金を貯めるための入れ物が貯金箱だったんですが「人生銀行」というのは、こういうものじゃないです。
この前にちょっと売れた「おもしろ貯金箱」というジャンルがありました。(スライドを指して)この「ドラキュラバンク」というのは、お金を乗せるとギーッとお金を持っていくというようなもので。
「パックマン」は、お金を入れるとポーンと投げて食べる。そういった「貯金して、ちょっと楽しい」という商品があったんですが「人生銀行」は「貯金箱を再発明する」ということで、貯金したくなる貯金箱を作りました。
当時は僕、液晶ゲームをいっぱい作っていたので。その流れで液晶ゲームをくっつけたような商品なんですが、一応、こういう「貯金をしたくなる銀行」というコンセプトで商品を作りました。
ここは白黒の液晶で、昔の「たまごっち」みたいな感じの、チカチカしたアニメーションになってて。それでなぜ貯金がしたくなるか? というと、中に男の子が住んでいまして。彼は最初、4畳半に住んでいます。
貧しいんです。でも貯金をすればするほど、この子がどんどんリッチになっていく。貯金をしていくと、彼が最初は貧しいんですけども、就職して彼女ができて、お金持ちになって、最後は結婚するみたいなことで。お金を入れていくほど、どんどん彼がリッチになっていくので。先が見たくて、貯金をする。
つまり、貯金をすること自体が目的じゃなくて、彼を幸せにするために貯金する。そして気が付いたら(リアルの世界でも)お金が貯まっているみたいな。そんな「貯金がしたくなる貯金箱」というテーマで作りました。
これもよくできていまして、最初に貯金したい金額を入れます。例えば「1万円貯金したいです」と。次は「何日でやりたいですか?」という期間を入力できますので、例えば「100日間で10万円貯めます」みたいな感じで、目標を先に決めます。
そのあとに、シナリオが5個あります。自分の好きなシナリオを選びまして、例えば「ハッピーライフ編」だと、幸せを夢見る平凡な青年が幸せを手に入れるまでのストーリーが、貯金をするほど進んでいくかたちになります。
画面は(スライドを指して)こんな感じです。「残り何日」とかね。「今いくら入っている」みたいなことが表示されるんですが、当然、その100日間で10万円貯めるとすると、一定期間でいくらか入れなきゃいけないですよね。なので、入れなきゃいけないタイミングになると、ピピピピという感じで通知が来て、男の子が「これからデートに行くんだけど、お金がないから入れてよ」と言います。
そこでちゃんとお金を入れていくと「デートがうまくいって、彼女ができたぜ!」みたいな感じでシナリオが進んでいます。お金を入れるペースは貯金額によって変わってくるんですけれども、ちゃんと一定のペースで入れていくように、常にイベントが来ます。
そしてどんどん入れていくと、100日後には10万円貯まっている。気が付いたらちゃんと貯金ができている、という商品になっています。
貯金を達成すると、ちゃんと最後に貯まったお金を出すことができる。あと、途中で500円玉を取り出してしまうと、また最初に戻っちゃうみたいな。ちゃんとズル防止の機能。開けると「開けてしまったな」みたいな感じで出てくると。
(スライドを指して)これは当時の僕で、若いですね。隣にいる女の子がエンドウさんという、一緒に作った子なんですけど。この子はすごくて。この商品が売れたので、日経のウーマンオブザイヤーを獲ったという。そのぐらいこれは、めちゃめちゃ話題になった商品です。
結論としては、売れました。
売れた理由としては「これを買えば、貯金できるんじゃないか?」みたいなことを(ユーザーに)すごく思われて。5千円の商品だったんですけどね。売る前は「高いから売れないよ。5千円あったら貯金するよ」みたいになったんだけど、結局、5千円以上の価値があると思って買われました。あとこれは、ギフトにも使えました。
そしてじつは、これが売れたので、このあといろんな会社が貯金箱を出しました。店に貯金箱売り場というのができたので、相乗効果になってこういう商品が立て続けに出たために流行った、みたいなところもありまして。これは当時のヒットになりました。
7番目が「バンククエスト」という商品です。
「貯金伝説バンククエスト」という商品で「人生銀行」の2年後に出した商品です。「ドラゴンクエスト」とかがすごく好きなんですけども、そのドラゴンクエストのクエストです。またこれ、時代背景の話をしますが、当時流行っていた「モバゲー」というのがありまして。懐かしい。
みなさんも知っているかもしれませんけど「モバゲータウン」というのがあって。当時は、モバゲーになる前の、もともとはガラケーのサービス。2006年なんで、当時はまだスマホのiPhoneが出た年。みんな、まだガラケーなんです。
ただ、当時1千万人ぐらい会員がいるんですけど、アイテム課金制のゲームがちょうど始まった頃で。若者がここにお金をどんどんつぎ込んじゃって、社会問題化していました。「ゲームで課金が大問題」みたいになっていた。
なので、そこを逆手に取りまして。この商品は「リアル課金ゲー」みたいなテーマで、本当に課金する貯金箱みたいな感じで作りました。どんなゲームかというと、ドラクエみたいに、中で勇者が100階建ての塔を冒険します。
モンスターが出てくるんですが、モンスターを倒してもアイテムとかお金を落としません。ドラクエだと、何ゴールドとか落ちるじゃないですか。それで武器とかを買うんですけど、このゲームは敵がお金を落とさないから、武器を買う時には(リアルの)お金を払わなきゃいけない。
例えば「どうのつるぎは50ゴールドだから、50円入れなきゃいけない」とかね。「すざくのつるぎが500ゴールドだから、500円入れなきゃいけない」みたいに、リアルマネーでアイテムを買います。
死んでしまうと教会に行ってお金払うんですが、そのお金もちゃんと現ナマで払わなきゃいけなかったりして。本当に貯金をしてプレイをするような「リアル課金ゲーム」ということで。(社会問題だった)課金に合わせてやったものです。
「せいてつのつるぎ、50ゴールドだから50円入れなきゃいけない」という感じで、リアルにやっていくので。すごいよくできていて、お金をめちゃめちゃかけて遊ぶこともできるんですよ。“金満プレイ”ができるので、お金をガンガン入れていってクリアすることもできます。超お金かけて、すごい装備でやればクリアできる。
逆に敢えて貯金をしないでテクニックで勝っていくみたいな感じの、いかに少ないお金でクリアするか? みたいなプレイもできたりと、ゲーム性が非常に高いものです。
100階建ての塔をクリアすると財宝が手に入るんですが、財宝はおわかりのように(自分で)貯金したお金が財宝という感じで、最後はリアルなお金がパッと出てくるというふうに。楽しくプレイして貯金ができるようなものです。
これ、本当にすんごい。僕は今までいろんなのを作ったけど、一番よくできたなと思って。自画自賛したくらいおもしろくて。商品、安全管理の担当みたいな人がいて、デバッグするんですね。その人が仕事でデバッグするんだけど。これ、ハマって家に持って帰って遊んでいる(笑)。
(会場笑)
すごくおもしろかったんです。『ファミ通』から攻略本が出るという。おもちゃの攻略本出たのって、初めてじゃないかと思うんですけど。
それぐらいおもしろかったんですけど、売れなかったですね。これは、なんで売れなかったのかわからないんです。本当に。
さっきまでのは売れなかった理由があるんですけど、これは本当にわかんないですね。わかんないものもあるということで。こういう時もありました。
次はぜんぜん別の話です。「大車輪てつぼうくん」というおもちゃの説明です。
わりと最近ですね。2014年。3,980円のおもちゃですが、これがなにか? というと「人形が大回転するだけ」のおもちゃなんですよね。不思議ですよね。変なもの作りますけど、なんで作ったか? というと、当時、マイクロモーターというのがすごく安かったんですよ。スマホとかガラケーとかに小さなモーターがたくさん使われたので、たくさん使われるものって値が下がるんですよね。
昔、すごい高かったマイクロモーターが安くなって「おもちゃに使えるぞ!」と思ったので「これ使ってなにかやろうよ」というふうになって。マイクロモーターを使っていろんな動きのするものを作ったら、たまたまこれをぶら下げたらプランプランしたんですよ。
「これ、もしかしたら回旋になるんじゃないか?」みたいな感じで、やったらけっこうこれがおもしろくて。なんで回るかというと、ここ(人形の腰部分)にモーターが入っています。なので、動きとしては腹筋が動くだけなんですど、本当の鉄棒の原理と同じで、腹筋の揺れで回転するんですよね。
なので、タイミングよくやると、これが腹筋運動の力でグルグル回るという。けっこうテクニックがいります。コマーシャルあるんですけど。
(動画が流れる)
おもちゃ大賞獲ったりとか、けっこう話題になりました。YouTubeでもけっこう取り上げられたんですが、日本ではあまり売れなかったんですけどね。それで「またこれ、失敗したかな」と思ったんですが、北米でなぜかバカ売れしました(笑)。不思議な現象が起きて、「なんでなんですかね。これ」とよく聞かれたんですけど、僕もわかんないですよね、本当に。
特に北米で体操が流行っているわけでもなんでもないんですけど(笑)。なぜか日本ではダメだったけど、アメリカで売れて。結果としてヒット商品になったんですが、なんで売れたかわかんないです。不思議ですねということで、わかんないものもありますという感じです。
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