2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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山口揚平氏(以下、山口):よろしくお願いします。
松原嘉哉氏(以下、松原):はい。よろしくお願いします。僕、この本(『ジーニアスファインダー 自分だけの才能の見つけ方』)を読んで、あとがきで「山口さんですら、天才性に忠実に生ききれていない」ということを書かれていたのが、ちょっと驚いたところでして(笑)。
僕自身“強み”みたいなものは色々な自己分析、診断で見たりして「まぁこんなもんだろうな」って自分のことを思ってたんですけど。改めて自分を見直すきっかけになったなというところが、この本にありました。
今日はそういう方に対して特に「天才性を深く考える意味」みたいなものをお話いただければありがたいと思っています。よろしくお願いします。
山口:よろしくお願いします。では簡単にお話をして、それからみなさんからの質問に答えるかたちで深掘ってもいいでしょうか?
松原:はい、そうですね。
山口:わかりました。山口揚平です。よろしくお願いします。
松原:よろしくお願いします。
山口:ありがとうございます。そうですね。この本に関しては、まず「ジーニアス・ファインダー」という言葉が先に生まれてきて、タイトルを最初から決めていました。
私の専門は貨幣や哲学といった「お金とはなにか?」というところからはじまり、社会のシステムや環境科学を変えてゆくことです。あとは事業投資やビジネスキャリアについても、いくつか本を書いています。ですから、この分野の専門ではありません。
もともとこの「ジーニアス・ファインダー」は、私の兄が中心となって進めてきたプロジェクトを、難病で亡くなった兄に代わって弟の自分がとりまとめるかたちで進めました。兄が約10年間で3800人の若者と対話をしてきたものを形にしようというものです。
今の若者は、悩んでいるというよりも「知識・体験・経験・お金がない」とか、そういう(悩む)以前の状況にあるなと。
知識を与える以前に「自分とはなにか?」とかアイデンティティが確立していないぞ、と。これは、毒親が多いことが背景にあります。
僕は戦後第3代目、そして今の20歳ぐらいが第4代目です。第3代目の親って、第2代目の親と違って、上り調子じゃないので。そもそも、その家庭が安定していなかったりするんです。で、その家庭環境の中で、半分ぐらいの若者が「HSP」になっていきます。
HSPというのは「ハイリー・センシティブ・パーソン」です。親の影響で感覚過敏になっていて、なんらかのトラウマがあります。
それは意外に社会で一般化されていません。人の心の中にあるものなので、犯罪とかそういうかたちで表出しないと出てこないんだな、と思うんですけど。第3世代は親がシングルになったり、いざこざがあったりとか。不倫経験がある親が、全体の3分の1に日本でもなっていた時期です。親子関係に何らかの課題があり、その影響で半分が感覚過敏なっている状況なんです。
北欧などとは違って、社会でなかなか認められないという状況になっていますね。
山口:一方で読者のみなさんは、ちょっと違う世界がたぶん広がっています。今の20歳ぐらいの「Z世代」というやつは、7階層ぐらいに分かれちゃってるんですね。今の話は皆さんが出会っていない層の話だと思います。
30~40歳だと5階層ぐらいで、当時でも一番上と一番下は絶対につながらなかった。階層がさらに多くなり、階層ごとの壁が分厚くなっている。こんな背景から、逃げ場がない若者たちにトラウマという“トゲ”が刺さっていったわけです。
兄が10年間コミットしてきたのは、まさにこの“トゲ抜き”というところなんです。自分が持っている固定観念とか、自分に対する誤った・偏った評価みたいなものがあって。そこからまず解放されなければ、知識も何も入って来ません。
「(自分は)なんでそういう考え方になったのか?」ということを、記憶を整理して……これを「知覚が自由になる」と言います。知覚というのはパーセプションです。知覚が自由だと、天才性も発揮できるようになります。
「知覚が自由じゃない」状態とは、常識とか社会常識とか固定観念というものが、がっつり固まってしまっている状況なんです。それはもう、すべての人に言える……特に日本だと、相当強いんじゃないかと思うんですけれど。
「自由に発想できなくなってる」とか「イノベーションが起こらなくなってる」といったことは「じゃあ、イノベーションを起こそう」という話じゃなくて、個人個人がかなり“目詰まり”を起こしているんだなと思っています。
つまり「なにを知覚する」「どう知覚する」「どう認知する」ということが、意外と詰まってるんじゃないか? ということなんですね。それは、全世代に言えます。まず自由にならなきゃいけないだろうなというところが、この本のテーマではありますね。
山口:ジーニアスってなんだろう? といった時に、個人の性格でいえば「パーソナリティ」、才能というと「タレント」とか「ギフト」などがありますよねも。「バレエが上手だ」とか、そういった1つの才能というカテゴリーがあって。そのカテゴリーに当てはまる人が「才能がある」といったようにいいました、と。
しかし「強み」というのは、あくまでも他者との相対的な比較の中で「こっち側に寄ったほうがいいんじゃないの? こっち側にいったほうがいいんじゃないの?」という“パズルの位置”です。
パズルの中における“自分というピースの位置づけ”を最適化しようというのが(強みを明確にする際の)、目標になってくるのではないでしょうか。
(一方で)「天才性」は、アイデンティティそのものなんですね。「絶対的」というと、ちょっと語弊があるんですけど。私というものが知覚するもの、パーセプション、あるいは認知するもの。「純粋に知覚したり認知するもの」というのがあって、認知するから、導かれていくというのがジーニアス・ファインダーの考え方です。
ジーニアス・ファインダーは、書籍の後半で「新産業に移っていったほうがいいよ」みたいな話が書いてあるんですね。そのジーニアス・ファインダーの8つの類型を出してあるんですけれど。
その類型の中で、ロボティクスという産業の中で「7番の人は全体のプランを企画したほうがいい」とか「1番の人はオペレーションというか、人と会話するような営業的な立ち位置がいいんじゃないか」というふうになっている。
ジーニアス・ファインダーには「どういう産業の中でも(それぞれのタイプごとの)立ち位置があるよね」という話が書いてあります。
山口:相対的な立ち位置での適合性というのはあるんですが、ジーニアス・ファインダーが言っているのは、選択さえも導かれていくというか。自分のもっとも知覚する部分、知覚が得意な部分って、やっぱりあるんです。私自身もいろんなことを試してきています。
例えば難しい資格の試験とか、東大に受かるか? とか。あとは世界1周できるか? とか、いろんなことを。もちろんいろんな産業に対して、事業を作ったり、宇宙開発、劇団経営まで。本を書いたり、いろいろやりますと。
そうすると見えてくるのは、なにをやるか? なにが通るか? などではなく「自分との距離感」なんです。相手やマーケットとの距離感。例えばマンツーマンが得意、講演で話すのが得意、とか。お客さんとの営業は得意じゃないんだけど、企画提案までは得意とかね。そういうふうに、わかってくると思うんです。
自分がどういう位置関係でいると心地よくて、他人には到達しづらい部分というのが見えてくる。それはいろんなこと試したり、いろんなフィードバックの中で明確になっていくのかなと思っています。
そういうところを見つけるのが、ジーニアス・ファインダーのポイントです。
山口:1つめのポイントは“トゲ抜き”という言葉で言っている、知覚とか認知にバイアスがかかっているというところでした。
「その考え方を受け入れられないな」とか「私はそれが嫌いだ」とか「私はそれが好きだ」というのは、天才性には該当しません。というよりは「なんでそれを嫌いになったんだっけ?」とか「こういうタイプがあまり好きじゃないけど、それはなんでだっけ?」と振り返って、記憶と固定観念の“目詰まり”をとることにあるんです。
そのためには「知覚過敏になってないか?」ということを知るために、認知したものを比較して「その時にどう知覚・認知したのか?」「他の認知の方法もあったんじゃないか?」というふうに考えるんです。
僕も非常に荒れた小・中学校とか通っていましたから「授業を壊すやつはどうなんだろう?」と思っていましたが、今思うと、相手の文脈ってあるわけです。「両親が離婚されていて、生活が大変だったんだなぁ」とか、グレるならグレるなりの理由があって。それはやっぱり小学校とか中学校では、知覚しえないところがあったりするわけです。
大人になると、その背景がわかったりするわけですね。「そうだよな、しょうがないよな」と思ったりもします。
そんなわけで、過去の認知をひっくり返していくことで、かなり自由になりますよということ、そして目詰まりがなくなると、純粋に自分の知覚がフラフラと寄っていくところというのが見えてくるよ、というのがジーニアス・ファインダーの主題です。
天才性に基づくと、生活と仕事が定まってきます。僕の場合は動きながらじゃないと仕事ができない。散歩しながらとか、歩きながら移動しながらでないとできません。天才性が発揮できる環境や、生活を考察して、そして最後にお金ってどうやって稼ぐんだろう? みたいに変わっていけばいいのかなと。そんなことを思ってこの本を書きました。
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