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You're Losing Bones Right Now(全1記事)

人間の骨の数は、年齢に関わらず減り続けている

人間の骨の総数は、「206本」だと聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。実はこの本数は誤った数値で、正確には、人間の骨は結合を繰り返しているため、歳を重ねるごとに骨の総数が減っていくのです。そこで今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、人体の骨の謎に迫ります。

人間の骨は、年々結合し続けている

ローズ・ベアドントウォーク氏:人体は謎に満ちています。しかし、中には「明らかになっている」と誤信されている事柄もあります。例えば、「人体の骨の数」です。(人間の)骨の数が何本か、知っている人もいることでしょう。「206本」ですよね。

ところが、実はこの数は誤りなのです。機械で人体をスキャンでもしない限り、正確な骨の数はわかりません。なぜなら、年齢に関わらず骨の数は、減少し続けているためです。さて、この場合減少するのは、総体的な人体の骨の数です。

余談ですが、正確には成人の場合は骨密度も減少します。骨の総重量は20代で最高値に達しますが、以降の骨密度は下降の一途をたどります。

本題に戻りましょう。改めてここでお話しするのは、骨の「数」についてです。個々で独立していた骨が成長して1本に結合することにより、骨の数は減少します。

このような骨の結合は幼児期に起こるものと思われますが、研究の結果、実は骨の結合は全年齢で続いているらしいとわかったのです。

骨の発育は、胎生期(受精した瞬間から10ヶ月)から始まります。まず、大まかな骨格のテンプレートが発現します。次に、骨の元となる細胞(骨芽細胞)が「骨化中心」と呼ばれるクラスターとして集まり、ここから骨の形成が始まります。

妊娠後期である第3期の初め頃には、胎児にはこのようなクラスター、つまり「骨化中心」が、発達を始めた骨の1本1本の中心部に800か所近く発生しています。

つまり胎児の頃には、「人間にはちっちゃな骨が800本ある」と言うことができますね。誕生する頃にはこれらの骨は結合し、300本ほどになっています。出生後の20年ほどで、骨は次々と結合していきます。

骨格には「単純明快な本数」が存在するという誤解

例えば、上腕骨という、この長い骨を見てください。

発生時は何本かに分かれた軟骨組織でしたが、生後数年のうちに成長し、骨となったのです。

別々だった骨は、思春期を終えるころには1本に結合し、現在に至ります。

新生児の頭頂部には、柔らかな部分があることはご存じでしょう。これは、新生児の頭骨の頭頂部にある主な6つの骨が、誕生時にはかろうじて硬い膜性骨だけで繋がっているからです。通常、幼稚園に入るころには結合します。

一方で鎖骨は、20代になるまで1本の骨にはなりません。鎖骨は、「最後に結合する骨」とよく言及されますが、実際はそうではありません。

付属肢骨格(肩帯、腰帯、四肢の総称)は、20歳になるまでには結合して安定します。ただし、骨の病気がある場合には癒着しすぎることがあります。

一方で中軸骨格は、頭骨や胸骨、肋骨、脊椎骨や骨盤から成り、これらは成人期を通して結合を続けます。

例えば、胸骨や舌の骨である舌骨は、30代を超えるまで結合しません。

尾てい骨もしくは尾骨は、そのすぐ上にある大きな骨「仙骨」に結合しますが、年齢を重ねても結合は進み、80歳を超えてもなお続きます。

このような「高年齢でも結合し続ける骨」が、近年の研究で次々と明らかになってきています。これは、「骨格には“単純明快な本数”が存在する」という誤認が長らくあったためです。

「骨の数」は何世紀もの間、論争の的となってきました。その数は、197本から307本まで多岐に渡りました。このような数のブレは、いくつかの骨の数え方が、首尾一貫しないことが原因でした。例えば、耳骨の細かな数え方や、歯を勘定に含めた数え方をするかなどです。

「歌を歌う」ことでも骨の数は変わる

19世紀半ば、高名な解剖学者のヘンリー・グレイが、「骨の数は206本である」と定めました。この数は、有名な解剖学の教科書である『グレイの解剖学 (Gray's Anatomy)』(注:正式名称は『人体の解剖学』(Anatomy of the Human Body))に記されています。これは後続の教科書に次々と引用され、やがては絶対的な教義となりました。

ここで問題となるのが、この「206」という数は、グレイが解剖で得た非常に限られたデータが元であることです。確かにグレイは、当時彼に与えられた環境の中で最高の仕事をしました。

当時、身寄りのない死体の研究解剖は合法でしたが、死体サンプルの数量には限りがありました。研究用として、充分な数量の同条件のサンプルや幅広い年齢のサンプルを得られなかったのです。

そのため、彼の数え方にはしばしばおかしな点がありました。ある研究者ペアが指摘するように、グレイは老年期の死体の頭骨を10代のものとして数えています。

今世紀に入ってから、より詳細な研究により、骨の結合について多くの事実が判明しました。結合するタイミングは、個人差や生活習慣の差が大きいこともわかったのです。骨結合のスピードやタイミングには遺伝による差もありますが、特定の運動やコンディションによっても、ある年齢時点での骨の総数に差が出ます。歌を歌ったり、歯を食いしばったり、妊娠などがその例です。

総体的な平均値としては、10代では独立した骨は215本程度であることがわかっています。年齢を重ねると、190本ほどになります。つまり、25本も減るのですね。

要するに、成人の骨の数は固定できないのです。もちろんこれは、ギプスの話ではありませんよ。

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