
2025.02.12
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This Sturgeon-Paddlefish Hybrid Shouldn't Exist SciShow News(全1記事)
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ステファン・チン氏:「ライガー(父がライオンで母がトラの雑種動物)」などの交雑種の動物は、めったに見られません。生息地が地理的に離れていることもありますが、異種交配した遺伝子はほとんどの場合、正常に働かないからです。
しかし、このたびハンガリーの研究者グループが、まったく別種の魚の異種交配に偶然成功しました。その異種とは、ロシアチョウザメとヘラチョウザメです。
これまでに知られている限り、これらの魚の異種交配は不可能だとされてきましたが、研究グループの異種交配の記録が『Gene』誌上で発表されたのです。
研究グループは、もともとは交雑種を作ろうとは思っていませんでした。「雌核発生」というプロセスを経て、母方のDNAのみを継承したチョウザメの子孫を作ろうとしていたのです。このプロセスでは、通常は異種の生物の不活性化した精子を使い、受精卵を作って母方の遺伝情報のみを継承させます。
研究グループは、ロシアチョウザメの卵とヘラチョウザメの精子を掛け合わせました。2種は非常に遠い系列であるため、この掛け合わせで交雑種の子ができるとは考えられていませんでした。これまで何度か試みられてはきましたが、この2種の交雑種は作ることはできなかったのです。
ここで、新発見です。なんと交雑種ができたのです。研究者たちは、この交雑種の体の構造と遺伝情報を調べました。まず、交雑種の外見は、継承された染色体の種類によって決まることがわかりました。より正確には、継承された染色体の数が決め手でした。
実験に使用されたロシアチョウザメのグループは、進化の過程のなんらかの理由で染色体を2セット多く獲得していました。つまり、本来ヘラチョウザメが2セットしか持っていない染色体を、このロシアチョウザメは4セット持っていたのです。
異種交配では、染色体のセット数が等しくない個体が交雑する場合、その子孫が受け継ぐセット数にはばらつきが出ます。今回のような異種交配の場合、子は2つのグループに分かれます。
1つは、母方のロシアチョウザメから2セット、父方のヘラチョウザメから1セットを受け継ぎ、合計で3セットの染色体をもつ「3倍体」のグループです。もう1つは、母方から4セット、父方から1セットを受け継いだ「5倍体」のグループです。
ここで不思議なのは、鳥類、哺乳類、爬虫類などの2セット以上の染色体を持つ生物であれば、細胞分化で異常が起こり、通常であれば死に至るはずです。しかし魚類では、この問題はあまり起こりません。進化においてはむしろ利点であった可能性もあります。
しかし、これ(交雑種)は2、4、6、8など偶数のセットの場合のみ可能です。3、5、7など奇数のセットの染色体を持つ生き物は、通常であれば繁殖できません。
今回の実験では、交雑種の子が受け継ぐ染色体セットの数は、「親から何を受け継いだか」によって異なりました。3セットの染色体を受け継いだ子の外見は、ロシアチョウザメとヘラチョウザメとの真ん中で、ちょうど半々くらいでした。
ロシアチョウザメの染色体を多く受け継いだ子は、ややロシアチョウザメに似た外見になりました。
では、本来交雑できないこの2種が、なぜ今回はできたのでしょうか。2種の系列が分化したのは大昔ですが、進化が比較的ゆっくりであったため、遺伝子や体の構造が大きく変わってはいないと考えられています。
また、ロシアチョウザメが4セットの染色体を獲得したことで、ロシアチョウザメとヘラチョウザメが正常な子を作るチャンスが増えたと考えることもできます。なぜなら、過去の実験結果から見ると、母方の染色体のセットの数が父方よりも多い場合には、子が生き延びる確率が高いからです。
研究グループは、今後は偶然ではなく積極的にチョウザメの交雑種の養殖に取り組んでいくようです。
そして、SciShowが注目したもう1つの生き物は、キジリオオミミマウス(Yellow-rumped leaf-eared mouse)です。
とてもかわいらしいネズミで、素敵な名前の持ち主ですが、魅力はそれだけではありません。『米国科学アカデミー紀要』で発表された論文で、これまで発見されたどんな哺乳類よりも高い標高で生息する個体が報告されたのです。
標高が極めて高い場所で生息する脊椎動物は稀です。薄い酸素、氷点下の気温などの厳しい環境に耐える必要があるからです。
2013年に一人の登山者が、チリの標高6,200メートルの火山で小さなネズミの動画を撮影しました。当時、野生の哺乳類が目撃された最高地点でした。
この動画を見た研究チームが、同じ山岳地帯でネズミの調査を行ったところ、「記録破り」のネズミがたくさん見つかったのです。なんと、4種のネズミの標本を80体も集めることができました。これらはすべて、海抜4,000メートル以上で生息していたものです。
しかし、海抜6,700メートルで目撃されたキジリオオミミマウスは、最も高い標高で生息する生き物の記録を塗り替えました。
キジリオオミミマウスがなぜこれほどの高所で生息できるのかは、まだわかっていません。何をエサとしているかも不明です。これほどの標高の場所には、ネズミがエサにできる植物や昆虫はほとんど生息していません。
山頂で生息できるネズミの身体の生理機能はどうなっているのでしょうか。研究者たちは、同じ種の「高所のネズミ」と「海抜ゼロメートル地帯で育てたネズミ」の遺伝子と生理機能をいずれは比較研究したいと考えています。このネズミが、酸素の少ない標高の高い地点で生息できるわけを解明するヒントとなるかもしれません。
キジリオオミミマウスは文字通り火山のてっぺんに生息していましたが、仮に火山の標高がもっと高かったとしても、この小さなネズミは生息できるのでしょうか。
論文の著者たちは、小型哺乳類が生息できる標高について、これまでまったく誤った認識がなされてきたことがこのたびの発見で判明したとしています。
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