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漫画をSNSでプロモーションする方法 根田啓史×工藤雄大(全5記事)

ツイートの終わりに「つづく」と書くだけで、効果が3倍に みんなが気づき始めた、Twitterで漫画連載することの利点

紙本売上の落ち込みによる出版不況から始まり、スマートデバイスの普及やSNSの発達を通して、ここ数年で急伸してきた電子書籍市場。漫画業界でも各社によるデジタルシフトがニュースで取り上げられる一方で、漫画家たちに起こる変化について語られる機会は多くありません。そこで、ナンバーナインが主催で「いまの漫画家たちが何を考え、どんなキャリアを歩むのか」を考えるオンライントークフェス「漫画家ミライ会議」が開催されました。本記事では、漫画家で『異世界行ったら、すでに妹が魔王として君臨していた話。』の著者 根田啓史氏と、株式会社ナンバーナイン 執行役員 工藤雄大氏によるトークセッション「漫画をSNSでプロモーションする方法」の模様を公開します。

「作品5本作って、年間回す」計画

工藤雄大氏(以下、工藤):今、根田先生が画策している「作品5本作って、年間回す」計画も、ちょっと教えていただいていいですか。

根田啓史氏(以下、根田):そうですね。1年って50週あるから、週1更新で年10話。で、5本の漫画の企画作れたら、アカウントが新鮮になるかなと思って。ずーっと1個のコンテンツでやってると、フォロワーが特化していっちゃうんですよね。

それを望んでる人もいると思うんですけど、自分はやっぱりいろんなフットワークを、こうやって新しいことに挑戦するのが好きなので。そういう土壌を作りたいっていうので、いろんなフォロワー層に届くような漫画を作りたいっていうのが、前提としてあったんですけど。だから10話ぐらいで完結っていうので、フォロワー増を願いながら、毎週新鮮さを保ちながらみたいな。

工藤:同じものが再度再掲されるのが1年後っていうことで、1年間できるってことですよね。1年間、毎週載せられるように全50話。5本の作品で10話ずつを作って、それを毎週上げていれば、毎週漫画が上がるアカウントにもなるし、それが1年後だったら見てない人が逆に多くなったりもしてるから、新鮮さを保てると。

小林琢磨氏(以下、小林):再掲して。

根田:さっきの在庫の話じゃないですけど、ナンバーナインから電書出してれば「再掲載したエピソードの続き、全部ここで読めますよ」みたいな。

工藤:そうそう、先読みができますよね。「一人先読み」。

根田:その時にまた売れるんで。

小林:それはすごくいいですよね。

根田:Twitter使うなら、そういうやり方するのはいいかなって。

小林:でもまずそもそも、1年間で10話×5の50話を作るっていう。これがやっぱり数というか、継続ですよね。

根田:確かにそうです(笑)。

小林:やっぱり、継続が大事です(笑)。

工藤:そこは大変ですよね、しかもたぶん、そこそこおもしろいものじゃないと意味がなくなってしまうので。

根田:そうですね、意味ないです。

みんなが気づいた、Twitterで連載することのアドバンテージ

小林:すいません、けっこう質問が届いていて。

工藤:もう1個聞きたいのがあるんですけどいいですか? もう1個だけ!

根田:はい。

工藤:「プロフィールのクリック数が、連載物だと変わってくる」っていう話を、事前の打ち合わせで聞いてて。これはちょっと聞いておきたいなと思って。

根田:Twitterを見ると、ツイートにアンテナみたいなマークがついてると思うんですけど、そこを開くと「インプレッション」とか「エンゲージ」っていうのが出てきて。それで「プロフィールクリック数」っていうのは、一応、フォローする強いきっかけになる。その中でも共感しやすいやつがプロフィールクリックされやすい、っていうのがあるんですけど。

最近『100日後に死ぬワニ』が出てからだと思ってるんですけど「連載すること」のアドバンテージに、みんなが気づいたというか。「このアカウントをフォローしていると、同じ体験を何回もできるんだ」っていうのが、一般化したきっかけがあったなと思って。

工藤:「ツイートで連載物を読めるんだ」っていう。

根田:これ、当たり前のことにも思えるんですけど、(今まで)あんまりなかったんですよ。

工藤:今までそうですよね、Twitterで連載してるって、一般の人たちからしたら意味わかんないですよね、(笑)。

根田:そうなんですよ。それが今、ちょっと浸透してきてるなと思って。

工藤:『100日後に死ぬワニ』のおかげで。

根田:って俺は思ってるんですけど。だから4ページ漫画作った時に「つづく」とか「次回、〇〇」とか。あとタイトルが「〇〇後に〇〇する話」とかの、カウントダウン。

工藤:もう「これは続き物だよ」っていうのを。

根田:そう。『モブサイコ』みたいに「爆発まであと〇回」みたいなのとか。そういう続き物だよってアピールがあると。

小林:『モブサイコ』のやり方、確かにうまいなぁ。

根田:同じプロフィールクリック数でも、3倍ぐらい伸び率が違うんで。

工藤:フォロワー数の伸びが。

根田:そうです。だから連載される方は……。

工藤:「これは続きなんだよ」っていうのを。

根田:やったほうがいいと思います。

ツイートの終わりに「つづく」と書くだけで、効果が3倍に

小林:まさにその話にも付随してるんですけど、Q&Aで届いてた質問として。「Twitterのフォロワーを増やすために、意識していることはありますか?」。

根田:あぁ、だから最近は「つづく」って付けるように(笑)。

小林:まさにそこですよね。

根田:いや、本当に(効果が)違うんですよ。びっくりするぐらい。

小林:なんと。

根田:増え方、3倍ぐらい違うんですよ。

小林:3倍!

根田:1,000人のやつが3,000人になるし、100人だと300人。びっくりするぐらい違うんですよ。だって普通に考えたら「異世界行ったら、すでに妹が魔王として君臨してた話。16」とかなってたら「次、17があるな」ってわかるじゃないですか。

小林:わかります。

根田:でも、ただ16とか17とかナンバリングしてあるよりも、終わりのところに「つづく」って書いてるだけで違うんですよ。

工藤:煽りみたいな。

小林:へぇー!

工藤:「来週更新」とか。

根田:全員やるようになったら、また変わってくるのかもしれないですけど。

工藤:いや、でもむしろやればやるほど。

根田:確かに、習慣化してきたら。

小林:あと言われるのは、プロフィールに「毎週水曜日の何時に公開するよ」みたいな。

根田:あぁ、そうそう。たぶんそういうことだと思います。

小林:『ワニ』もそうでしたよね。「いついつの何時に公開される」みたいな。

工藤:じゃあ、それもやりつつ「つづく」つければ。

根田:あぁ、やったらより良いかもしれないですね。

工藤:プロフィール行って「毎週何曜日なんだ」みたいになって、フォローしようって。

根田:Twitterって母数がデカいんで、ちょっとした違いでけっこう(変わる)。

工藤:インプレッションというか、効果が。

根田:明暗がすごいんですよ(笑)。そこは意識したほうがいいのかなっていうのは。

工藤:あぁ、おもしろいですね。

「50話分の漫画」は、まだ未完成

小林:おもしろいです。時間もきたんですけど、もう1つぐらい質問はいきたいなと思ってるんですが……。さっきの継続の話にも付随するんですけど「1年で50回分の漫画を作られるってすごいなと思いました。制作のスケジュールを教えていただきたいです」。

根田:まだできてない……(笑)。

(一同笑)

小雨さんを見習ってください(笑)。

小林:そうですね、小雨さんを見習いましょう!

工藤:これに関しては、小雨さんは週間20ページぐらいで描いてるんで。

小林:週間20ページ描いてんの? バケモノだね。

工藤:2ヶ月に1回、200ページの単行本が出てます、今。

小林:バケモノ……!

根田:継続性の鬼。

工藤:継続の鬼です、本当(笑)。

小林:小雨さんに言って! それ200ページで出すんじゃなくて、100ページで(単行本)出そうって。で、2倍(の巻数)出そうって(笑)。

工藤:でも、それでスケジュールに立ってるんで。

小林:継続、マジで力ですからね。でも一応、根田さんの50回って、4ページ漫画を50回ですよね?

根田:そうです、そうです。

小林:1話12ページとか16ページとかじゃなくて、4ページを50本作るってことですよね。

工藤:今だったら「壺の精」のやつとかですよね。

根田:はい。

小林:その前が男の子の……。

工藤:壺のほう、男の子の壺。

小林:あぁそっかそっか。

工藤:あとサキュバス。いや、すごいですね。

小林:なるほど、というかたちで。

工藤:時間が足りないですね、もっと多くやってみたいですね。

小林:時間が足りないですね。今日だけじゃなくて、過去のセッションでも届いた質問とかを答える「アフター・ミライ会議」とかあっても……あっ、「おもしろいんじゃない?」って言おうとしたら今、責任者から「マジそういうのやめて」みたいな顔されたんで(笑)。

(一同笑)

見てる方々の熱い要望があれば。

工藤:毎月「漫画家ミライ会議」をやるかもしれません。

根田:(笑)。

小林:毎月できるようにね、がんばっていきたいなと思っております。では、ありがとうございました!

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