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40歳の起業家と、戦国時代の「戦」の話をしよう。(全8記事)

ペリー来航時から変わらない、伝統的大企業の先送り癖 新技術を“いい感じに”取り入れる日本での「DX=黒船」の行方

著書『ハック思考』がヒットした起業家・須藤憲司氏と、新刊『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう。』が出たばかりの歴史好きお笑い芸人&作家・房野史典氏は、同い年の40歳。房野氏が新刊の中で「終わりの見えない戦国の世」と「先の見えない現代」を重ねて人間の面白さ、歴史の面白さを描きだす一方で、須藤氏は『ハック思考』の中で「歴史上の偉人たちのマンガが繰り返し僕に教えてくれたことこそが、世界をハックする方法です」と語っています。そんな中、須藤氏の「戦国武将を起業家と見立てて、話してみたいですね、房野さん」という一言から、今回の対談「40歳の起業家と、戦国時代の『戦』の話をしよう。」の開催が決まりました。3記事目となる本パートでは「『DX』と『黒船』は同じ?」「日本はテクノロジーを“いい感じに”取り入れる国」などについて、話しています。

1つ前のパートはこちら

「DX」のすごいところは、みんな何だかわかっていないところ

房野史典氏(以下、房野):さっきもしゃべっていたやつ、教えて下さい、DX。みなさん「DX」知っています? 『♯DX白書2021』といって、須藤さんが最近、無料で160ページくらいのPDFを(配布している)。「何で無料でこんなにくれるの?」という。

(会場笑)

須藤憲司氏(以下、須藤):出したんですよ。

房野:無料で配布。めちゃくちゃおもしろいんですよ。DX、ちょっとご説明いただけますか。

須藤:今、デジタルで世の中変わりますっていうのを、デジタルトランスフォーメーション「DX」とみんなでいっているんですけど。これのすごいところは、みんな、これが何だかわからない。

房野:(笑)。

(会場笑)

房野:これのすごいところは、わかんない。みんなが。

須藤:わかんない。わかってないんです。ただ「ヤベェ」と。

房野:確かに、言葉は聞いたことあるけど「それが何なん?」という感じのナンバーワンかもしれないです。

「DX」と「黒船」は同じ?

須藤:そうです。要は、僕の中では“黒船”と一緒なんです。

房野:黒船?

須藤:日本に黒船が来たと。たぶん、その時の「浦賀ヤベェ」みたいな。なんだかよくわかんないけど、黒くてデカイ船来てる。

房野:あの時、黒船が浦賀に来た時は、みんな確かに最初はちょっと「ウエッ!」ってなっているんですけど、実際よくよく調べてみたら「ウエッ!」となった後、民衆はむちゃくちゃ「何、あれ?」と超好奇心満々で、めちゃくちゃ見に行っているんですって。

須藤:めちゃくちゃ見に行っている。

房野:茶屋が満杯みたいになってたって。で、今、どうなんでしょう。日本って。その“黒船”来て。

須藤:いやだから、みんな見に行っている。

(会場笑)

房野:DX見に行っているんだ。見に行ってるけど、それでもわかってないんだ。

日本はテクノロジーを“いい感じに”取り入れる国

須藤:新しい技術が入ってきたときに「なんだろう?」って。僕、歴史がすごい好きなのはなんでかというと、日本ってずっと変わっていないと思っているからなんですよ。

房野:と、言いますと?

須藤:だから、例えば仏教が入ってきた時に。

房野:6世紀ですよ。538年とか。

須藤:入ってきた時に「これはいい感じに取り入れるぞ」といって、禅とか始まっているじゃないですか。

(会場笑)

房野:禅とか。

須藤:なんかブームになっていくじゃないですか。

房野:めちゃくちゃ、あとで流行しますからね。

須藤:そう。(当時の)最新のトレンドでしょ? 

房野:トレンド。

須藤:みんなハマっていく、みたいな。

房野:そこはそうですよね。仏教を入れて、日本には(元々は)神道があったけど、潰さず競合していますからね。

須藤:融合をさせつつ。

房野:融合させる。

須藤:そうなんですよ。ありましたよね。

房野:取り入れて。

須藤:そして、漢字というテクノロジーが。

房野:漢字、来ました。

須藤:中国から入ってきた時に、ひらがなというのを作ったんですね。

(会場笑)

房野:変化させやがりましたもんね。

須藤:そう。いい感じに、ちょっとマッシュアップして取り込んじゃう。

房野:マッシュアップ、確かに。日本人、そこの才能すごいですよね。

須藤:すごい、本当に。それで、パスタが入ってきた時に……めんたいパスタって。

房野:いや、いや、いや、いや!(笑)。

(会場笑)

須藤:すごくないですか?

房野:一気に(話のスケールが)小さくなったな。めちゃくちゃ美味ぇけど。なるほど。

須藤:……アンパンって……すごくないですか?

房野:……アンパン……。

須藤:すごくないですか?

房野:……アンパンって……いま考えたら、エグいですね。

須藤:パンにあんこ入れるって発想。天才としか思えない!

(会場笑)

須藤:僕、大好きなんですよ。アンパン。

房野:え? あ、ああ……知らんけど!

(会場笑)

須藤:すごい。

房野:よく考えたら、とんでもなく乱暴な食い物ですよね。めっちゃ美味いけど。

須藤:めっちゃ美味い。

房野:本当に「洋」に「和」を入れたということですもんね。

須藤:焼きそばパンとかすごくないですか?

房野:いや、あれ、化け物ですよ。

(会場笑)

須藤:だから、日本ってテクノロジーを“いい感じに”取り入れる国なんですよね。

房野:つまり、外国から来たものに乗っ取られたとか、すり替わったことがない! ということですよね。ずっと取り込んで、取り込んで……。

須藤:いい感じにチャチャッと取り入れて。

房野:取り入れて……。

黒船来航時の日本の対応は、伝統的な大企業の反応と同じ

須藤:そうそう。トランスフォーメーションというと、みんな「変わるんじゃないか?」と思うんですよね。

房野:めちゃめちゃ、そのイメージです。

須藤:たぶん変わんないです。

房野:え?

須藤:たぶん、いい感じに取り入れる国なんじゃないかなと、(日本を)ずっと見てて思ってます。歴史を学んでいくと、例えば江戸時代も、それこそペリーが来た時に「1回帰ってくれ」と言ってるじゃないですか。

房野:(笑)。

須藤:先送りですよ。

房野:あれはマジで、日本っぽいですね。「よし! 手紙受け取ったんだから、1回帰ってください」と言って(笑)。

須藤:「来年に来て」って。

(会場笑)

須藤:本当に来年に来て「え、来たの……?」って(笑)。

房野:(笑)。

須藤:あれ、伝統的な大企業の反応ですよね。

(会場笑)

房野:あれ、そういうことなんですか。

須藤:伝統的な大企業、まず「1回帰って」と(笑)。

房野:なるほど。「先延ばしにする」だ。でも上の人たちって、黒船でペリーが来ることは知っていたわけですよ。知ってても、本当の対策、ガチの対策はやらずにビビっているんですよね。それで実際に来て「来た! 言っていたとおりだ!」って。

(会場笑)

房野:言ってたとおりなんかい! という話なんですけど。今、須藤さんが言ったように「帰って」と言った。

須藤:やってることが、完全な中間管理職じゃないですか、もはや。

房野:なるほど。

ニュートンはペストで大学が閉鎖された際、万有引力を発見

須藤:と思ったら、すごいおもしろいなと思って。そういう背景を知っていると、今の自分たちは何をしなきゃいけないのかとか考えられる。今、「不透明な時代」とか言っているじゃないですか。

房野:言っていますよ。

須藤:いや待て待て、と。今、コロナ大変ですが、昔、ペストとかあったりしたじゃないですか。

房野:はい、はい。ありました。

須藤:すごい死んだじゃないですか。

房野:めちゃくちゃ亡くなっています。 

須藤:その時って何やっていたのかなとか勉強してみると、それこそ大学が封鎖されて、ニュートンは実家に帰って万有引力を見つけてくるわけですよね。

房野:そのタイミングだ。

須藤:大学が封鎖されているときに、偉大な研究ができている。

房野:おおー! はい。

須藤:もしかしたら、今も、何かすごい発明がされているかもしれないですよね。

房野:そうですよね。

須藤:ということを1回、歴史に学んでみたらいいんじゃないかなと思いますよね。

「DXの取り入れ方の説明」は『東方見聞録』みたいなもの

房野:ああ、なるほど。おもしろい。そのDX、デジタルトランスフォーメーションに乗って、デジタルとかAIを生活に取り込んで、変革していきましょう、と。

須藤:結果として社会が変わるということです。

房野:社会が変わるということですよね。しかし「こんなかたちになるんだよ」というのが、なかなか具体的にはわかりづらいということですよね。

須藤:わかりづらい。

房野:だから企業とかに須藤さんのような会社が「DXってこういうことですよ」といって提供している、みたいなことでいいんですか?

須藤:そうですね。『東方見聞録』みたいなものですね。

房野:ああ、なるほど。

須藤:「東洋のこんな国があって」という、マルコ・ポーロ。

房野:マルコ・ポーロですか?

須藤:であり、ジョン万次郎。

(会場笑)

房野:いろいろ込めているな。

須藤:そう、そう。

房野:そういうことですね。例えば「あなたの会社はデジタルがうまく使えていないから、こういう使い方をしていったら変革していきまっせ」みたいな。

須藤:そう、そう。

房野:なるほど。

須藤:いい感じで取り入れたらいいんじゃないですか。

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