2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
The Virus Eaters(全1記事)
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ローズ・ベアドントウォーク氏:ウィルスは、極々小さい生き物です。ですから、ウィルスを食べて生きている生物がいるなんて、考えられませんよね。ところが研究が進むにつれ、ウィルスを食べる生物がいることがわかってきています。ウィルスは病気や死の原因ともなりますが、地球における生態系の中でもっとも小さなキープレイヤーなのかもしれません。
目には見えませんが、この世界には膨大なウィルスが生息しています。研究者たちは、地球上のウィルス由来の全炭素量は実に2億トンと推定しています。ちなみに、世界中の人間の全炭素量は約6千万トンです。
小さいとはいえ、ウィルスは微生物の大事な栄養源となりうる窒素、炭素、リンを豊富に含んでいます。ですから、ウィルスを食べる生き物そのものが小さければ、ウィルスをエサに生きているものがいたとしても納得できます。
ここで、原生生物という小さな生き物の話題に移ります。原生生物は、私たち人間と同様に複雑な細胞組織を持っていますが、菌界・植物界・動物界のいずれにも属しておらず、独自の界を持っています。多くは海や海底の堆積物の中に、たくさんのウィルスと一緒に生息しています。
中でもピコゾアと呼ばれるものは極小で、約3ミクロンほどの大きさしかありません。別々の研究をしている少なからぬ研究者らが、この小さな原生生物がウィルスを食べている可能性を指摘しています。ウィルスでお腹がいっぱいになるほど小さいからです。しかし、それを立証することができていませんでした。3ミクロンとあまりにも小さいため、ピコゾアの食事を観測するすべがなかったからです。
そこで2020年『Frontiers in Microbiology』誌の関係者らは、原生生物がウィルスを食べるかどうかを調べるため、次善の手と思われる研究を行いました。多くの海の原生生物を解剖して、内部の遺伝物質を調べたのです。これは、単細胞生物のお腹を切開して、内容物を調べるようなものです。
サンプルの原生生物の中には、驚くほど大量のウィルス由来の遺伝物質が入っていました。内容物は多種多様でしたが、特筆すべきことにごく小さなものであっても、すべての原生生物には内部にウィルス由来の遺伝物質があったのです。そこで研究者たちは、原生生物は頻繁にウィルスを食べている、もしくはウィルスを主食にしているのではないかと考えました。
さて、ここでは原生生物の内容物を調べただけなので、原生生物がウィルスを食べているとは断定できません。原生生物にウィルスが感染していたか、ウィルスをエサにした他の生き物を、原生生物が食べたのかもしれません。
しかし、検出されたウィルスは、原生生物ではなく細菌に感染するものでした。しかも、感染されるはずの細菌に関連するものは見つかりませんでした。つまりこの場合は「ターダッキン(注:Turducken/ターキー(七面鳥)にダック(鴨)を詰め、さらにチキン(鶏)とフィリングを詰めて焼く、アメリカ合衆国ルイジアナ州南部の料理)」状態でもなかったのです。そのため、原生生物はウィルスを意図して捕食したのだろうと結論づけられました。
こうした研究が注目されるのは、ウィルスが食物連鎖上に占める位置がまだわかっていないためです。どんな生き物が何を食べるかを解析することは、栄養素の移動を解明し、気候変動などの環境の変化に、生態系がどのような反応をするかを予測する上で、重要です。
もしかしたら、ウィルスを捕食する生物を利用して、水質管理などに利用できるかもしれません。人間がウィルスを大好きになることはないでしょうから、少なくともウィルスを食べてくれる生き物の存在が判明するだけでも、うれしいですよね。
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