2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Why River Otters Have Bones… In Their Hearts(全1記事)
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ステファン・チン氏:カワウソの心臓は、一見ヒトのそれとあまり変わらないように見えます。しかし、特に加齢した個体の心臓をよく見ると、内壁や主要な弁の周辺に、まだら模様が見られることがあります。
これは「心軟骨」と呼ばれる構造体です。“os”は骨、“cortis”は心臓を意味し、つまりは文字通り心臓の骨なのです。
ところで、心臓の内部に骨組織が形成されるのは、カワウソに限った話ではありません。とはいえ、カワウソの心臓内部に骨が形成される理由は、カワウソが水中で生きることが絡んできます。これはどうやら、健康的なストレス反応のようなのです。ではなぜそもそも、心臓に骨が必要なのでしょうか?
人間の心臓にも、実は「心臓骨格」という構造体が存在します。しかしその名とは裏腹に、軟骨組織などから成る硬い結合組織であり、実際には骨ではありません。
心臓上部の心房や下部の心室をつなぐ、心臓弁などの柔らかな組織を支えることが、心臓骨格の役割です。さらに、心臓の電気信号が正常な方向に流れる手助けをしています。心臓骨格は、若干の柔軟性と弾力性を求められるため、軟骨でできているのは好都合なのです。
心臓骨格に、骨の前身であるカルシウムの沈着が見られるようになると、他の柔軟な構造体も硬化し始めます。そのため人間の心臓に見られる軟骨化は、心臓疾患の前兆だとされます。これは、他の霊長類の場合にも当てはまります。
2020年に発表されたある論文によりますと、特定の心臓疾患を発症したチンパンジーには、疾患と並行して心軟骨が形成されました。このことから研究者たちは、軟骨の形成は慢性的な心臓へのストレスのしるしではないかと考えました。
ところが、人間の心臓にとっては危険な兆候であっても、他の動物にとっては単なる「特徴」である場合があります。特にヒツジやヤギのような反芻動物に、心臓骨格の全体に骨組織が見られることが、20世紀を通してわかっていました。
2000年『Journal of Anatomy』誌上で論文を発表した研究者らによりますと、心軟骨は、特に高齢の個体のカワウソにおいてもよく見られることがわかりました。研究者らは、カワウソは生涯「軟骨内骨化」というプロセスによって、心臓の軟骨部に骨組織が形成されていくのではないかと考えました。
軟骨内骨化とは、軟骨から骨組織が形成されることです。人間においては、子宮内で骨格が形成される際や、骨折から回復する際に起こります。
結合組織において、軟骨はとても頑丈な材質です。しかし、体が恒常的にストレスや緊張に晒されると、さらに硬質化が進みます。もし問題となっている箇所にすでに軟骨組織があれば、その上にさらに軟骨組織が形成されます。
これが異常を起こすと、骨化するのです。
これは、ウシからハムスターに至るまで、名前を思いつく限りの骨格を持つ動物には、どれにでも起こるプロセスです。
ところで、このプロセスが起こる理由については、身体的ストレスの増加が常に挙げられています。では、カワウソのストレスが増加すると、何が起こるのでしょうか。科学者らには明確にはわかってはいないのですが、いくつかの仮説はあります。
まず、カワウソは、体の大きさに比して巨大な心臓を持っています。
私たち人間の心臓は、体重の0.6パーセント程度です。一方で、ほとんどの水棲哺乳類の心臓は、体重の0.9パーセント近くもあります。特にカワウソの心臓は大きい方で、体重の1パーセント近くもあります。
カワウソが大きな心臓を必要とするわけは、カワウソは常に泳いでおり、しかも敏捷であるためです。このちっちゃな生き物がいる動物園に行ったことがある人であれば、カワウソがいかに優秀なアスリートであるかを目の当たりにしたことでしょう。カワウソは活発に動きますが、驚くべきなのは、これが塩分を含む海水に比べて浮力が弱く、支える力の少ない真水の中であることです。川で生息するカワウソが、海で生息する仲間よりも大きな心臓を持っているのは、決して偶然ではありません。
さて、科学者らの中には、高いパフォーマンスを誇る心臓からの大きなストレスが、心臓骨格の筋繊維全般に及んでいるのではないかと考える者もいます。心筋細胞は、心臓骨格の構造に食い込んでいるため、強固である骨のほうが、よりしっかりと支えられるのかもしれません。
さらに、カワウソの心臓は、人間のそれに比べて、より円錐型に近い形をしています。そのため、まさに心軟骨がある部位にストレスが加わっているのです。
しかし、ここで一つの疑問が発生します。心軟骨は、カワウソにとっては老化現象なのでしょうか、それとも泳ぎに有利な適応なのでしょうか。心軟骨へのカルシウムの沈着は、生きた健康な心細胞と並行して生じます。これは、健康が損なわれる兆ではなく、心組織を補強するための、健康的な骨化のように見えます。
しかし骨化する箇所は、なぜかランダムです。例えば、いつも同じ箇所で見られるわけでもありません。つまり、すべてのカワウソが老化してから共通に見られる、新しく形成される骨などは存在しないのです。とはいえ、加齢したカワウソにおしなべてよく見られることから、心軟骨は時間をかけて加わったストレスへ反応して形成されるのではないかとされています。
カワウソの心臓の骨がなぜできるのかは、はっきりとはわかっていませんが、肉体とは不変の物ではないことを私たちに教えてくれます。肉体はまったく新しい解剖学的構造体ができるほどまでに、常にストレスの負荷に適応し続けているのです。
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