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Why Are Plants Green Instead of Black?(全1記事)

植物の葉が緑色なのは「日光を拒絶するため」だった?

心地よい緑の森や、緑の草原の丘以上に「自然」を雄弁に物語るものはありません。我々は広大な緑の集まりを見て、心を癒されるのです。でもなぜ植物の葉は、揃いも揃って緑色をしているのでしょうか? それはもちろん「植物が緑色の葉緑素を使って光合成を行っているから」なのは言うまでもありませんが、なぜ葉緑素は緑色をしているのでしょう。そこで今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、この謎に迫ります。

なぜ植物は緑色なのか?

ステファン・チン氏:心地よい緑の森や、緑の草原の丘以上に「自然」を雄弁に物語るものはありません。でも、なぜ「緑」なのでしょう? つまり、どうしてほぼすべての植物は、緑色をしているのでしょうか?植物が緑色の葉緑素を使って光合成を行っているからであるのは言うまでもありませんが、ではなぜ、葉緑素は緑色をしているのでしょう。

実は、科学者たちにもはっきりとしたことはわかってはいません。しかし一説によりますと、これは植物が変動する日光から身を守るすべのようなのです。

何も緑色でなくとも、他の色でも同じではないかと考えてしまいますが、植物が緑を選択したことには、驚くべき理由があります。

みなさんもご存じのとおり、植物は日光を吸収してエネルギーを生成します。だとすれば、一見、できる限り大量の日光を吸収すればよいように思われますよね。しかし、照射される日光をすべて吸収できると仮定した場合、なんと植物は黒くなるはずなのです。ところが実際の植物は、まったく黒くはありませんね。

植物の姿が緑色をしているのは、植物が一番多く反射する色が緑だからです。ところが不思議なことに、日光がもっとも多く照射するのは、緑の光です。つまり植物はなんらかの理由で、日光の大部分を拒絶しているのです。

植物はどうして日光を拒絶する?

2020年に発表された論文によりますと、どうやらその謎は明かされたようです。この研究を実施した、カリフォルニア大学リバーサイド校のグループが牽引する、ある研究チームによりますと、植物は可能な限りの日光を吸収するわけではなく、別途に、変動の少ない光を吸収しようとしているらしいのです。

例えばジャングルの林冠の葉であれば、上層にある葉は常に動いているはずです。つまり、その下に落ちる日光は、その都度で常に変動しています。植物は一つの電力系統のようなもので、突然の変動には脆弱です。例えば、急に電圧が上昇すれば発電セルは破損しますし、急に下降すれば機能する力を失います。

このように、自然界において植物が受ける日光は大きく変動します。そのため、取り込む日光を制御して、エネルギーの急増減による害を防ぐ必要があるのです。科学者たちは、植物が吸収する光の色により、この制御が可能になると考えています。

植物は緑の光を拒絶しますが、スペクトルの他の複数の色は吸収します。青い波長の光は緑よりも高いエネルギーを持ち、赤い波長の光は低いエネルギーを持ちます。科学者たちは、植物は異なる波長の光を吸収してそのエネルギーを均等化し、突然の変動に対するショックに備えているのではないかという仮説を立てました。

ここでカギとなるのは、異なる波長の光量が、その刹那でそれぞれ異なる点です。例えば、赤い波長の日光のエネルギーが急増したとしても、植物が吸収する他の波長との間で均等化されてしまえば、被る害は抑えられます。研究チームの仮説によりますと、植物はもっとも効率良くバランスを取れる複数の波長を吸収できるように、絶妙な進化を遂げているようなのです。もし植物が、日光のすべてを吸収するのであれば、変動に対してもっと脆弱であったはずです。

研究チームは自説を精査するため、植物が光合成を行う際に使う葉緑体の簡易シミュレーションを作成し、2色のみに絞った光からエネルギー吸収を行わせてみました。自然界の葉緑体が受けるのと同じように変化する光を受けた葉緑体が、シミュレーション上でどのように反応するかを確かめようとしたのです。研究者らはシミュレーション化した日光を使用し、時の経過と共に明るさを変えてみました。その結果、いくつかのことがわかりました。

まず一つに、この網状組織の末に得られるエネルギー量は、植物が吸収する波長が「どの2色か」によって変わることがわかりました。日光は波長が異なれば強さも異なるので、これは理に適います。これらの波長から吸収する日光が増えれば増えるほど、植物が生成するエネルギーは増加しました。

さらに、取り込まれる2種の波長の間の差異が大きく関係してくることもわかりました。2種の波長の差異が大きすぎる場合は、分子レベルのネットワークがうまく機能せず、ノイズを均等化できません。

逆に、差異が小さすぎる場合でも、シグナルが鈍化してしまうため、生産性は低下します。

そもそも論ですが、適度な日光を吸収できるだけの最適な波長と、変化を制御できるだけの最適な波長間の差異という、折衷タイプが最良のコンビネーションだったのでした。

これ以外にもわかったことはありました。科学者たちはこのモデルを使って、光合成を行う生き物の色は何色が最適なのかを、なんと生息環境の日光のみを基に、予測することができました。すると科学者らの予想通り、植物の理想の色は、標準的な日光の下であれば、緑であることがわかったのです。

ところが、密集した林冠の下であれば、紫色が最適とされました。果たして、密林地帯で生息する光合成を行うある細菌が、まさに紫色をしています。

生命の進化は、複雑な物理学上の課題を、人間がそれと気づかないうちにここでも解決していたようです。つまり、植物の成長にとって最適な色彩を絞り込んでいたのです。光合成に一番容易なのは、やはり緑色だったようです。

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