2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Finally, a Drug That Helps With the Worst COVID-19 Infections(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:世界中のほとんどのCOVID-19患者は回復しているとは言え、このパンデミックによる死者数は、実に43万5千人以上にも上ります(7月4日時点では52万5千人超)。医師たちは、この感染症の死亡率を下げるために、あらゆる試みを続けて来ました。残念なことに、非常に期待値の高かった候補薬が無効とされましたが、今、ある一つの薬が有望視されています。
“RECOVERY”試験という名称の臨床実験を実施中のイギリスの研究者チームが、6月16日に行なった発表によりますと、重症患者を救う医薬品があるというのです。パンデミック関連では聞いたことのない名前ですが、これは「デキサメタゾン」という医薬品です。
ヒドロキシクロロキンやレムデシビルについての議論が盛んに行われている中で、この研究チームは、一般的に使われてきた医薬品の試験を続けており、デキサメタゾンもその一つでした。デキサメタゾンは、天然ホルモンであるコルチゾールによく似たステロイドで、医療で言うところの「コルチコステロイド」です。
コルチゾールは、ストレスに関連して、その名を聞いたことがあるはずです。なぜなら、体が危機に反応し、備えるのを助けるホルモンだからです。その働きの一つが免疫システムの活動低下です。言い換えれば、コルチゾールや、コルチゾールの働きを模倣したデキサメタゾンなどの医薬品は炎症を抑えてくれる働きをします。
そこで、“RECOVERY”試験を企画した研究チームは、COVID-19の重症患者にデキサメタゾンが効くのではないかと考えました。COVID-19で入院する患者の多くは、免疫過剰反応を起こしていて、体内でひどい炎症が起きています。つまり、患者体内の免疫システムが、ウィルスを殺そうと強く反応するあまり、自らの健康な細胞組織をも破壊してしまうため、死に至ることがあるのです。
免疫システムを適度に抑制できる医薬品であれば、このような破壊を抑え、患者の命を救うことができるかもしれません。そして、これがまさに、デキサメタゾンの働きなのです。
臨床試験では、研究チームは2,100人超の患者に10日間デキサメタゾンを投与し、別の4,300人の患者には、通常の治療を施しました。これらの患者に現れた結果を比較したところ、デキサメタゾンの投与を受けた患者の生存率が上がっていたのです。
しかし、これは酸素吸入や人工呼吸器の装着が必要になった患者に限られました。このような処置が行われなかった13パーセントの患者には効果が見られませんでした。恐らくは、これらの患者の免疫システムが過剰反応を起こしていなかったためと思われます。
事実、感染初期の患者や重症化していない患者には、ウィルスを攻撃するための元から備わった能力を抑えてしまうデキサメタゾンは、むしろ有害でした。でも、最も重症の患者に関しては、デキサメタゾンは死亡数を低減することができました。人工呼吸器をつけた、最も重症の患者群の死亡数が3分の1低減し、酸素吸入器をつけた患者の死亡数は5分の1低減したのです。
重症患者の治療薬として効果のある初めての医薬品として、医学界はこの試験結果に騒然としています。とはいえ、これはごく初期の結果だという点で注意が必要です。“RECOVERY” 試験チームは、まだ実測データを公開すらしていないのですから。専門家たちがこの研究結果を精査するまでは、あまり期待しすぎないようにしましょう。
とはいえ、こうした研究結果により、デキサメタゾンが治験薬の一つに加えられるのは確実です。率直に言って、こういった希望のある知らせは、うれしいですよね。
さて、ロックダウンが実施され学校も休校になってから、長い数ヶ月が経過しましたね。私たちもステイホームなどの自分たちの勤めを果たしています。しかし、果たしてこのような取り組みに効果があるかどうかという点では、漠然としていますね。ここでもう一つ、良いお知らせがあります。
こういった取り組みが具体的にどれほどの命を救うことになったのかが、このたび刊行された2本の論文により明らかになりました。そして、その数は、みなさんが考えているよりも多いはずです。
先週、『Nature』誌上で発表された2本の論文では、ステイホーム令や休校などの隔離政策全般による成果が調べられました。1本の論文では、ヨーロッパ11ヶ国のデータを用いて、ロックダウン政策が実施されなかった場合を想定した、COVID-19による死亡数を試算しました。数理モデルは、報告された死亡数が元とされました。完全に信頼できる基準とは言えませんが、多くの国でウィルスに感染した人すべてが感染の検査を受けているわけではないことを考えると、感染者数を採用するよりはましだと考えられます。
この研究ではとくに接触により、時系列で感染が拡大する際の非常に重要な要因を調べることが目的とされました。実効再生産数、Rです。 これは一人の感染者が感染期間中に、他に感染させる人数の平均値を指します。似た言葉でR0という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、R0は基本再生産数であり、全員がその感染症に感染しやすくて感染を制限する要因のない集団を対象とした、一人の感染者から感染する人数の平均値を指します。
現実には、人との距離を保つソーシャルディスタンシングの推進などのおかげで、Rは時間の経過と共に変化します。初期のデータを基にした、パンデミック早期のヨーロッパにおけるCOVID-19の最初の再生産数は約4でした。しかし5月初頭になると、ステイホーム政策やマスク装着など、さまざまな非医薬品介入を数週間継続した後での実効再生産数は、国家により異なりますが、0.44から0.88にまで低下したのです。
これは非常に大きな違いです。なぜなら、実効再生産数が1より小さいということは、感染症が広がる人数がどんどん減っていくことを意味するからです。アウトブレイクは、まさにこのようにして食い止められるのです。
何の政策も取られなかった場合のおおまかなCOVID-19の死者数もまた、モデル上で試算されました。すると、5月初頭に前述の11ヶ国で報告された死者数は約13万人でしたが、何の政策もない場合を想定した研究チームによる試算は、実に320万人以上にも上ったのです。
『Nature』誌のもう1本の論文では、中国、韓国、イタリア、イラン、フランス、アメリカの6ヶ国におけるロックダウン政策が、全体の感染率に与える影響を調べました。この論文におけるモデルは感染者数を基にしており、論文の研究チームが指摘するように、前述の感染検査率の違いにより、やや複雑な物となっています。
しかし、研究チームはさらに、さまざまなタイプのデータを使用してパンデミックをモデル化する価値も指摘しています。モデルを比較することにより、より詳細な全体像シミュレーションを得られるからです。
研究チームによると、前述の6ヶ国で取られた制限政策により、5億3千万人の感染が抑えられたという試算が出ました。しかも、これは4月の第1週のみの数値です。
つまり、ロックダウンはさまざまな理由で楽しいものとは決して言えませんが、データは何百万人もの命を救い、何億もの人の感染を防いだことを示しています。
私たちは現在でも家に閉じ込められており、従来通りの未来は訪れないのかもしれませんが、こうした知識の備えは役に立つはずです。
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