2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
Raccoons Don’t Really Wash Their Food(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
オリビア・ゴードン氏:アライグマは、食べる前にエサを水に漬けたり、揺さぶったりする習性がよく知られていますよね。この習性はダウシング(dousing「水に浸す」の意)と呼ばれ、まるでエサを洗っているかのように見えます。長い間、学者たちも、これは見た目通りの行動だと考えてきました。しかし、実はそうではないことを示す根拠がたくさんあるのです。
まず、アライグマは、エサを洗う行動は飼育下でしか見せません。野生のアライグマが水に手を浸していることはありますが、これはエサを洗っているのではなく、探しているのです。
アライグマの前足は非常に器用で、繊細であり、主にこの前足を使ってエサを探します。陸上であれ水中であれ、パタパタと周囲を叩いてエサを探して回り、見つけて手にした物は、口に運ぶ前に検分します。
ところが、飼育下のアライグマは、エサは水辺に持って行き、水に浸して振り回してから、ようやく拾い上げて食べるのです。
この習性についてよく引用される研究は、1963年から実施された一連の実験で、飼育下のアライグマに、さまざまなシナリオでエサを与えたものです。注目すべきなのは、アライグマたちはきれいなエサよりも泥で汚れたエサを水に浸すことが多いわけではなかったことです。これは、アライグマが「潔癖症」では無いことの根拠になりました。
また、アライグマはエサを湿らせて、飲み下しやすくしているのではないかという仮説もありました。しかし、アライグマが濡れたエサよりも乾いたエサを水に浸す方を、特に好むこともありませんでした。
今日でも認められている仮説の1つは、水に浸すことにより、もともと繊細なアライグマの前足が、さらに鋭敏になるというものです。
1963年の実験でも、この仮説が部分的に試されました。水温が暖かい方が、アライグマの足の感覚を鋭敏にするという証言を基に、エサを浸すのに好む水温があるか否かを、1匹のアライグマで実験したのです。しかし、そのような結論は得られませんでした。
もっと最近に行われた研究によりますと、アライグマの手を湿らせた場合、皮膚の感覚がより鋭敏になることがわかりました。つまり、手を水に浸す行動により、アライグマは、より鋭敏にエサを掴む感覚を得られるのかもしれません。
ところが、1963年の実験結果は、水に浸す行動について異なる解釈を提示しています。これは、アライグマの本能だというのです。実験では、アライグマがより頻繁に水に浸す行動を見せるのは、水の入った容器が傍にあり、その容器の底に砂が敷いてあって、エサがエビや貝など水棲の物である場合だということがわかりました。
このパターンを分析した学者たちは、アライグマの習性は、本能的衝動のような、元から備わった行動パターンである可能性があると考えました。飼育下のアライグマは、エサは与えられるのみで、わざわざ水中のエサを探す必要はありません。
しかし、水棲のエサを手にした時に、川の状態によく似ている、砂が敷かれた水の入った容器が傍にあった場合は、アライグマの脳は、その必要がなくとも、野生でエサを取る際の一定の行動を取るようにできている可能性があります。これは、飼い猫がエサをもて遊び、狩りを再現することとよく似ているのかもしれません。
つまり、アライグマは、かわいらしくエサを洗っているのではなく、なぜかエサをいじくらずにはいられないだけの、有能で特殊なハンターなのかもしれませんね。
関連タグ:
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略