2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
3 Unexpected Effects of Plastic Pollution(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:みなさんもご存じのとおり、プラスチックが広く使われるようになったのはごく最近で、1940年にタッパーウェアが開発されて以降のことです。今ではもはや、プラスチックなしでは1日も過ごせないほど広く使われるようになりました。
これほど利便性の高いプラスチックではありますが、深刻な問題の原因でもあります。ビールのシックスパックのリングに絡まったウミガメ、テキサス州ほどの広さのゴミの山、砂よりもプラスチックゴミの方が多いビーチなど、聞いたことがあることでしょう。
年に何百万トンものプラスチックが、最終的に海に行きつきます。それだけでも困りますが、プラスチックゴミの他の末路を聞けば、驚くことはうけ合いです。
まず1つ目に、プラスチックは温室効果ガスを永遠に放出します。これは、製造や廃棄の過程に限った話ではありません。
プラスチックの基本構造は、長く連なった分子の連鎖です。これが日光に暴露(覆いもなく露天にさらされる)されると、紫外線により鎖構造がメタンやエチレンなどの分子へと分解され始めます。
この過程を、オフガスといいます。メタンとエチレンは双方とも温室効果ガスで、特にメタンの害は大きく、大気圏での温室効果は二酸化炭素の25倍にも上ります。
プラスチックの分解行程において、事態は悪化の一途をたどります。研究によりますと、プラスチックは、外気に晒される表面積が大きくなると、ガスの放出が飛躍的に増加します。例えば、よく使われているLDPEつまり低密度ポリエチレンというプラスチックは、パウダー状になると、ペレット状の時よりもメタンの放出速度が488倍に増加するのです。
さらに恐ろしいことに、オフガスのプロセスは、ひとたび始まれば太陽光なしでも継続します。最初に鎖の連結が分解され、その後はプラスチックは全体が一気に脆くなるからです。後は勝手に分解が進みます。時を経て細かく分解され続けたプラスチックは、最終的には肉眼で確認できない粒になります。その過程でも温室ガスは放出され続けるのです。
残念なことに、話はこれで終わりではありません。この破壊できないプラスチック片は、さらなる現代の問題に繋がるのです。抗生物質耐性菌です。
2020年の北アイルランドの研究では、アイルランド海岸線に散らばるプラスチックから細菌を収集してきて、一般的に使われている抗生剤10種を使っての殺菌が試みられました。すると、それが驚くほど難しかったのです。
細菌の98パーセントが、耳鼻の感染症に一番多く処方される抗生剤、アンピシリンに耐性がありました。16パーセントの細菌には、別のタイプの抗生剤であるミノサイクリンに耐性がありました。
困ったことに、プラスチックは細菌の培養地としてはうってつけなのです。細菌は、海中で取りついた物が何であろうとそこで生きられます。耐性菌はすでに多数存在しており、プラスチックは、耐性菌が繁殖するにはうってつけの場所なのです。
プラスチックの分解は、ここでも事態の悪化を招きます。バクテリアがコロニーをつくるのに適した場所の表面積が増えるからです。
耐性菌は、いつまでも海中にとどまっているわけではありません。同研究ではさらに、細菌が繁殖したプラスチックが、海流に乗って沿岸部の水域に運ばれ、他の生物により摂取されることが示されました。
2020年の別の研究によれば、海洋プラスチックに繁殖した細菌は、不運にもウミガメのエサに似た匂いを放つというのです。つまり、見た目がどうであれ、おいしそうな匂いのするプラスチックを、生き物が食べてしまう可能性があるのです。これはよいことではありませんね。
耐性菌が繁殖したプラスチックを食べてしまえば、海洋生物の健康に害を与えます。これは、食物連鎖の上位にある人間などの生物にも同様です。
プラスチックが分解され続け、きわめて小さくなると、この極小のプラスチックが非常に大きな害になります。数ミクロメートル以下にまで小さくなったプラスチックを、ナノ粒子といいます。研究によれば、こうした顕微鏡レベルの粒子は、細胞膜などの生体膜も透過します。そうなると、生き物の血流にも侵入し、腸壁を通り、細胞組織にも浸透する可能性があります。さらには、肝臓や腎臓、腸内に蓄積します。
プラスチックナノ粒子は、有害な物質を血中から漉し取って脳を守る細胞層、血液脳関門すら透過することがわかっています。食物連鎖上のどの生き物にとっても、これは危険です。
2017年のスウェーデンの研究では、動物性プランクトンのオオミジンコに、大量のプラスチックナノ粒子が与えられました。すると、ミジンコはナノ粒子を食べました。大きな粒子では影響が見られませんでしたが、50ナノメートルほどの極小の粒子を与えられたミジンコは、死んでしまいました。
次に、ナノ粒子が食物連鎖の上位の生物へ与える影響が調べられました。ここでも、ミジンコはプラスチックナノ粒子を与えられましたが、今度はそのミジンコを、魚のフナにエサとして食べさせたのです。すると2ヶ月にわたって、フナは変化していきました。泳ぎは遅くなり、あまり動き回らなくなり、管理下の他のフナのグループよりも体重が減少したのです。
フナの脳を調べたところ、ミジンコに与えた53ナノメートルのナノ粒子が、魚の脳から見つかりました。この目に見えないほど小さな粒子が、フナの行動を変えてしまったと考えられています。
この発見は、プラスチックナノ粒子が食物連鎖の上位へと移動し、生態系の機能に干渉する可能性を示唆しています。私たち人間が、ナノ粒子を摂取した魚を食べれば、より直接的な影響があるとされています。
プラスチックは、地球上のあらゆる環境に存在し、いつまでも残ります。プラスチックは、ある意味では非常に便利ですばらしい物です。しかし悲しいことに、タッパーウェアが発明された当時からは、考えられないような悪影響ももたらします。
プラスチックの使用を減らし、プラスチックのもたらす結果を理解すれば、人類と地球自然の生態系の双方を守ることができるでしょう。
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