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Why Gooey Creatures Might Outlast Us All(全1記事)

生物の99パーセントが死んでも、クラゲだけは生き残る理由

地球上で過去5回にわたって起きた「生物の絶滅イベント」。これらによって、全生物種の99パーセントが死滅したと考えられています。しかし、クラゲを始めとする「ゲル状生物」は、その全てを無事に乗り切ったのでした。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、彼らの驚くべき生命力について解説します。

地球上で過去5回起きた「絶滅イベント」

人類は「ある集団」の1パーセントの、さらにその一部を占めます。「ある集団」とは「絶滅していない生命種」です。少なくとも、今はまだ絶滅はしてはいません。

地球上では、特に規模の大きな5回の「絶滅イベント」が起きました。このイベントに関連して、全生物種のうち、実に99パーセントが死に絶えたと考えられています。幸いにも、人類はこれらのイベントのいずれの時期にも、まだ存在していませんでした。仮に人類が誕生していたら、まず生き延びられなかったことでしょう。

絶滅を乗り越えるカギは「ゲル状の体」

いずれにせよ、絶滅を免れた生物も、確かに存在しました。クラゲやクシクラゲの仲間は、5つのイベントをすべて乗り越えました。これは、ある共通の不思議な特性のおかげでした。その特性とは、ゲル状の体です。ゲル状の生物とその他の生物との主な違いは、水分の含有率です。人類を含むほとんどの生物の体は、60パーセントから70パーセントが水でできています。しかし「ゲル状」の生物であれば、95パーセント以上が水でできているのです。こうしたゲル状の体には、間違いなく利点があります。

原生生物界における門から脊索動物門に至るまで、すべての主な生物門において、ゲル状の身体を持つ生物は、それぞれ独自の進化を遂げてきました。こうしたゲル状の身体のおかげで、クラゲなどの生命種は、他の生命種が滅んでしまった大量絶滅を生き延びることができたのです。

ゲル状の動物は、呼吸をしない

例えば、3億6000万年前のデボン紀には、地球上のほぼ4分の3もの生命種が消滅しました。酸素濃度の低下、特に海中の酸素濃度の低下を引き起こしたイベントが要因だと、専門家は考えています。酸素は、動物にとって特に大切な成分であり、これは大いに納得できます。動物は過去8億年もの間、酸素に頼って生きてきたのですから。しかしゲル状の動物は、人間のようにしっかりとした肉体がある動物に比べ、酸素レベルの低下にも耐性があります。文字通り、呼吸をしないためです。ゲル状の動物は、単純に周囲から酸素を取り入れるだけです。体がほぼ水でできているため、周囲の水から直接O2を取り込んで体内に拡散させるだけで済み、ヒレや肺、鼻など、呼吸に特化した呼吸器官は不要です。体内に酸素を循環させるための循環器さえ必要ありません。複雑な細胞組織は、正常に機能するには大量の酸素を必要としますが、単純なゲル状の生物は、使う酸素がそもそも少量で済むのです。またクラゲは「間充ゲル」という体内のゲルに、酸素を蓄えることができます。つまり一時的に酸素が不足したとしても、体内に貯蔵庫を持っており、生き延びることができるのです。

火山活動&巨大隕石が促した、海水の急激な酸性化

生物が生き延びる必要があった大量絶滅イベントは、酸素の低下だけではありません。海水の急激な酸性化もまた、大量死を引き起こしました。これは、火山活動の活性化によるものと考えられています。火山が噴火すると、二酸化炭素を放出しこれが大量に海水に取り込まれます。二酸化炭素は溶解して海水と反応し、海水の酸性度が上がります。

海水の酸性度が上昇する原因は、火山活動だけではありません。6千6百万年前に、水棲ではない恐竜も絶滅させた巨大隕石もまた然りです。研究者によれば、巨大隕石により硫黄を豊富に含有した岩石が大量に気化しました。そのため酸性雨が降り注ぎ、海洋のpHが急激に下がったのです。

どんな理由であれ、酸性化は海洋生物にとって大きな問題となります。酸性化を促進する化学反応は、海水の炭酸イオンを減少させる要因となります。これらの炭酸イオンは、外殻や骨格を形成するために多くの生物が必要とするものです。つまり、酸性化した海中では、炭酸カルシウムで形成された外殻や骨格は溶け出したり、形成しづらくなります。そのため、サンゴ類や貝類などは、ごくわずかなpHの変化でも死滅してしまいます。身体に炭酸カルシウムで形成された部位を持たない、魚類のような生物であっても、pHの低下した海中では生存が難しくなります。海水の酸性化で、血中成分に異常をきたすからです。

しかし、血液も炭酸カルシウムでできた身体部位も無い生物であれば、酸性化は大きな問題にはなりえません。例えば、何種かのクラゲは、酸性度の高い海中でも成長や生殖が可能です。pH値が低くても、何の問題もありません。

ゲル状生物にとっては、食料の欠乏すら苦にならない

酸性化や酸素の低下だけでも生き延びるには充分すぎるほど過酷な環境ですが、大量絶滅イベントにおいては、食料も乏しくなります。まず、多くの生命が死に絶えます。大量絶滅の定義ともいえる事象ですね。これは、生き残った生物にとっても、エサがなくなってしまうことを意味します。ところが、ゲル状の体を持つ生き物には、食料の欠乏すら苦にはなりません。生物が食料を摂取する主な理由は、炭素を取り込むためです。炭素は、体を形成する上で不可欠な成分だからです。ところが、ゲル状の身体には、そもそも炭素はほとんどありません。そのため、食料摂取の必要性はあまり高くないのです。その上、ゲル状の体であれば、捕食も容易です。なぜなら、水中の小さな食料が、勝手に口に付着してくれるからです。さらに、ゲル状の生物は体のほとんどが水分であるため、ほぼ中性浮力を保っており、沈みも浮きもしません。つまり、泳ぐためにエネルギーを使う必要もないのです。

要するに、ゲル状の生物は無敵なのです。ゲル状の生き物が、三葉虫やティラノサウルスよりも長く生き残ったわけが、これで説明がつきますね。

人類が引き起こしつつある「地球で6度目の大量絶滅」

ゲル状の生き物は、次に来る大量絶滅の危機も乗り越えてしまうかもしれません。つまり、今まさに人類が引き起こしている危機です。生物種の多様性は失われつつあり、特に海洋においてそれは顕著です。生命にとっての食料は乏しくなりつつあります。生活排水や農業用水に含まれる豊富な養分により、海中の藻類が過剰に繁殖し、海中の酸素を枯渇させます。そのため、広範囲にわたって酸素が低下し、生命の死滅が生じます。人間による化石燃料の燃焼により、大量の二酸化炭素が大気圏に放出され、少なくともその4分の1が海洋に吸収されています。事実、過去200年間において、海洋の酸性度は30パーセント以上も上昇しているのです。つまりは、食料減少、酸素低下、酸性化が現在の海洋のニューノーマルとなりつつあります。

僕などは、クラゲは大好きなので、大量発生するのはまったく構いませんがね。とにかく、ゲル状の生き物が、より生存に適した形態となりつつあるのです。

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