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The Virtually-Unkillable Virus That Makes Itself a Nucleus (全1記事)
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マイケル・アランダ氏:2017年、不死身のウイルスが発見されました。安心してください。人間には感染しません。バクテリオファージといって、細菌に感染するものです。そしてその特性は、驚くほどの不死身ぶりです。
細菌は何億年もの長い期間、ウイルスに感染されないよう戦ってきました。細菌の細胞には人の細胞ほど複雑な区画はありませんが、さまざまな高い防衛能力を持つようになったのです。
しかしこのウイルス、別名「phiKZジャンボファージ」は、科学者たちがテストとして差し向けた、細菌によるあらゆる強力な攻撃を、みごとに阻止してしまったのです。それは、なんともウイルスらしからぬ振る舞いが原因でした。
このウイルスは、宿主の細菌の内部に核を作ります。正確には核と呼ぶべきではないのかもしれません。通常であれば核というべきなのは、植物や菌類、動物などの細胞にある、二重の膜で覆われた、ゲノムを内包する区画だからです。念を押しますが、細菌は核を持っていません。しかしそれは、通常であればの話です。
phiKZジャンボファージは、宿主の細菌の細胞内に核を、もしくは核によく似た物を作ります。実際にあるのは核膜ではなくたんぱく質ですが、核のような外見と振る舞いをします。
さて人間同様、このウイルスのDNA解読と複製は、この構造体の中で行なわれます。一方で、RNAの翻訳とたんぱく質の合成は、構造体の外で行なわれます。このウィルスが核内に挿入するのは、自分の遺伝物質とたんぱく質だけではありません。自分のDNA複製に必要なたんぱく質も、細胞から失敬するのです。つまりこのウィルスは、本来なら核を持たない細菌の内部に、核に良く似た構造物を作ってしまうのです。
このウイルスは、まるで進化の過程のいくつかの段階を飛ばしてしまったか、急速な大進化を遂げたかのようです。例えるなら、赤ちゃんが最初の言葉をしゃべるのをそわそわと待っていたところ「ママ」ではなくて、ミュージカル『ハミルトン』のラファイエットのラップを突然始めるようなものです。
この「核」により、ウイルスは事実上不死身になります。細菌が、侵入者のウイルスに対抗する最善手は、自分の細胞内にウイルスが侵入した後に、ウィルスの遺伝物質を叩くことです。
この一例として「制限修飾系」、別名RMシステムが挙げられます。制限修飾系とは、2つの微小な酵素によるタッグチームです。1つの酵素が、遺伝情報が自分の細胞に属するものかどうかを調べ、もう1つの酵素が、自分の細胞のものでない遺伝情報を切断し破壊するのです。
もう一例、ウイルスキラーとして最も効果的なものがCRISPRシステムです。この巨躯のCRISPRは、遺伝子の切断を行ないます。CRISPRは科学者たちによるゲノム編集にも取り入れられています。CRISPRは、どのDNA配列でもターゲットとすることが可能であるため、さまざまなウイルスを検出し破壊できます。
しかしこのシステムは2例とも、まずは細胞がウイルスの遺伝情報を検出できなくては、稼働できません。先に挙げた「核に似て非なるもの」は、検出をうまく阻んでしまうのです。
さて、研究者たちがいくら高性能で細菌の侵入対策に有効なCRISPRシステムやRMを投与しても、phiKジャンボファージの侵入は続いていました。そこで科学者たちは、この「核」がウイルスのゲノムを保護しているのではないかと考えましたが、確固とした証拠が必要でした。
そこで科学者たちは「核」に対して『オーシャンズ11』のような巧妙な潜入作戦を仕掛けました。CRISPRシステムをすべて投入することは叶いませんでしたが、RMチームを忍ばせたのです。するとようやく、phiKジャンボファージの複製の速度を落とすことがでました。このことから、このウイルスを殺すことができない最大の原因は、この「核」に似た細胞内区画が原因だと判明したのです。
これほどまでに強力な戦略は、他のウイルスも持っていそうですね。事実、他のジャンボバクテリオファージも、類似の構造体を生成することがわかっています。しかし、これほどまでの不死身ぶりを発揮することはありません。
他のバクテリオファージは、次世代のたんぱく質を生成するブループリントとして働かせるために、RNAをこの難攻不落なエンベロープから出さなくてはなりません。そうなると、攻撃に対し脆弱になってしまうようです。そのため、これらは不死身というほどではなく、単に不死身に近い存在といえるでしょう。
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