2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
This Worm's Gut Has No Way In or Out(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:世界中には実にさまざまな生き物が存在します。この中には食物の摂取と排出を同時に行う生き物も存在します。例えば、クラゲは口と肛門は同じ器官です。
消化管が閉じてしまっている生き物も、少なくとも一種は存在します。チューブワームである「ガラパゴスハオリムシ」は、海中深くに常に熱水が何キロメートルに放出されるところに生息しています。ここは化学物質を含んだ熱水が、冷たく凍った深海へと噴出する海嶺周辺にあります。
放出される化学物質には、ほとんどの動物が嫌う硫化水素も含まれています。そして、この奇妙な見た目のワームは、口を失くしてしまいました。生きやすい形態に進化して、厳しい生息地に適応しているのです。
ガラパゴスハオリムシは鮮やかな赤色の羽を持ち、口紅のようなチューブ状のルックスをしています。
身体は消化管のような構造の栄養体部で成り立っていますが、口や肛門はありません。
ガラパゴスハオリムシが最初に発見されたのは1977年のことでした。ガラパゴス諸島近くで潜水艇「アルビン号」が硫化水素の噴出口を調査をしていて、偶然ガラパゴスハオリムシの群れの上に船をつけてしまいました。この時、真っ赤な血が潜水艇の周りに噴き出したのです。
のちのち、潜水艇に乗船していた研究者は、チューブワームの羽にはヘモグロビンを持つ血管があることを突き止めています。人間などのほ乳類にとって、ヘモグロビンは酸素を運ぶことが主な役割です。しかし、ガラパゴスハオリムシの羽の中では一転して、エラのような役割なのです。ヘモグロビンは噴水から硫化水素を取り出し、栄養体部へと運ぶ助けとなっているのです。
栄養体部の中には、ワームの身体の半分以上もの重さとなる何万ものバクテリアが共生しています。そのバクテリアたちが毒性のある噴水の化学物質を化学合成して、ワームにとっての食料源へと交換しているのです。
植物が太陽の光によって光合成で食物をつくり出すように、バクテリアは硫化水素を動力とする化学合成を行うことによって食物を得ているのです。バクテリアにとっては毒性の強い噴出口よりもワームの内部の方が居心地の良い住処なのです。
もしくはこんな仮説が立てられます。このとんでもない環境を有益な環境へと導いているのはバクテリアだけではない、ということです。ワームがバクテリアとともに上手く共生しているからこそ、バクテリアが有益な環境へと導いているんじゃないでしょうか。
お互いの利害のために十分な食物を作り出すことができる理想的な関係です。パートナーのバクテリアに栄養をもらっているワームは口も肛門も必要としません。つまり、あなたの身体の中にキッチンがあるようなものですね。
ワームの食物摂取に関する謎はとけましたね。では、その排出はどうするのでしょうか? 消化の過程で不必要とされた食物はワームの血流に乗って運ばれるので、やはり口も肛門も必要ないのです。
しかし、そこに疑問が生じます。入り口も出口もない状態で、バクテリアはどうやってワームの身体の内部に入ったのか?
2006年にこの問いに対する答えを研究者が発表しましたが、すごく妙な結果となりました。ワームが幼いころに、バクテリアは皮膚に潜り込むそうなんです。この研究からわかったのは、基本的には細菌感染の類であるということでした。
熱水噴出口がワームにとって我が家と呼ぶには、予測不能です。海嶺で地殻変動が定期的に起こっていますが、いつまでそれが続くかわかりません。噴出が止んでしまったら、バクテリアの食料源が断たれるので、チューブワームは死んでしまいます。
噴出口から別の噴出口までの距離は何マイルと遠いです。小さなワームが泳ぐには、とてつもない距離です。こういったことから、研究者はチューブワームの幼虫が食料源なしにどうやって移動しているのかを把握していないのです。
バクテリアが生き抜くのに十分な化学物質を供給できるのは、沈没船やサメのおかげという仮説もありますが、確証を得ていません。
奇妙なワームの発見。奇妙な食物摂取。広い海や自然公園などの世界に存在する生態系の中には、化学合成を生業とするワームの群衆が存在しています。口やお尻のない大きなワームが、地球上の「当たり前」を根底から覆すなんて、誰が思ったのでしょうか?
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