2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Will There Ever be a Cure for the Common Cold(全1記事)
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Hank Green(ハンク・グリーン)氏:医薬品は、過去一世紀のうちに大きな躍進を遂げました。しかし、どんな名医でもいまだ打ち勝つことができない感染症が存在します。その感染症とは、実はごく普通の風邪なのです。
その原因の一つとして、風邪の病原体が一種類ではなく、複数あることが挙げられます。さらに病原体はウイルスです。ウイルスは変異が早く、宿主の細胞に入り込んでしまいます。
とはいえ風邪菌の退治法は、予想よりも早く実現できそうです。さらには、他の多くのウイルス性の伝染病にも、同時に対処できるかもしれません。
さて、ごく普通の風邪への対処が難しい理由の一つに、ターゲットを一つに絞れないことがあげられます。「ごく普通の風邪」の主な黒幕は、ライノウイルスというウイルスですが、数百種が存在します。さらに、風邪を引き起こすウイルスは、他にも多くあります。
こうした種類の多さが、風邪に特化したワクチンや、特効薬の開発を阻んできました。そのため、一度に多くのウイルスを一掃できる広範囲に使われるタイプの抗ウイルス剤の開発が、普通の風邪を殲滅する最善の手なのです。
細菌に対してはすでに抗生物質が使われているのだから、ウイルスに対抗するものを開発するのも簡単だと思うでしょう。しかし、ここには大きな罠があります。
広範囲に使われるタイプの抗生物質は、その多くが、細菌の増殖の鍵となるたんぱく質や細胞壁の増産を阻害することにより効力を発揮します。多種多様な細胞から成る人間のような生物とは異なり、これは細菌特有の構造であるため、抗生物質は、人間の細胞にはほとんど害はありません。
反面ウイルスは、宿主の細胞をハイジャックし、その機能を自らのために利用して増殖します。そのため、人間の細胞を無傷に保ちつつ、侵略者のウイルスと戦うのは、はるかに難しいのです。とはいえ、その試みは行われています。
最初に試みられた抗ウイルス剤は、人体に元から備わっている免疫システムを活性化するものでした。人体の細胞は、ウイルスを検知すると、インターフェロンを生成します。インターフェロンとは、ウイルスの存在を、体全体に警告するメッセンジャー物質です。初期の抗ウイルス剤は、インターフェロンそのものや、その働きを増強するものでした。
このような医薬品は、ウイルスが暴れ始める以前であれば、非常に効果があるものでした。例えば、インターフェロンの一種である「インターフェロンA」は、現在でもB型およびC型肝炎の治療に用いられます。しかし、こうした医薬品は、免疫システムを無差別に強化してしまう副作用を伴います。
抗ウイルス剤の研究者たちが追い求めているのは、HIV抗ウイルス剤のように、ウイルスをダイレクトに叩くものです。こういった医薬品は、HIVウイルスがヒトの細胞に遺伝子を注入する手段をうまく利用して、その際に用いられるウイルスのたんぱく質を狙いとします。しかしHIVに特有のものを阻害する医薬品であるため、他のウイルスには効力を発揮しません。
不特定多数のウイルスにおける共通の弱点を見つけることは、たいへん難しいことが立証されています。とはいえ、2011年にはMITの研究チームが、その一つを発見しました。一般的なウイルスが増殖する際に生成する、RNAの二重らせんを検知してくれるたんぱく質を開発したのです。こうしたRNAはウイルス特有の物ではありませんが、人間のそれと比べ、はるかに長さがあります。事実、こういったRNAは、人間の免疫システムが、ウイルスの侵入を察知する目安としています。
研究チームは、複数の医薬品の分子が、一つのRNAの二重らせんに取りつくと、細胞が自滅するトリガーとなるたんぱく質に、このRNA分子を検知できるたんぱく質を結合させたのです。
研究者たちは、2011年の『PLOS ONE』誌上で、この結合構造物質は、人体の数種のタイプの細胞を損なうことなく、何十もの異なるウイルスを阻害することを発表したのです。
感染した細胞を殺すとは、なんだか物騒ですが、大量に増殖したウイルスはどのみち人間の細胞を死に至らしめることを考えると、この医薬品は、事態の進行を早めることにより、増殖されるウイルスの数を抑えてくれるといえるでしょう。残念なことに、このプロジェクトは恒常的に資金不足のため、人間を使った臨床試験の実施には至っていません。
とはいえ、現時点で有望視されている抗ウイルス剤は他にもたくさんあります。サンフランシスコの研究チームは、ウイルスが宿主間を移動する際に必要とするタンパク質の殻、カプシドの生成を阻む医薬品を開発中です。
従来の研究では、カプシドは自律的に生成されるものとされてきました。しかし、開発チームは、宿主の細胞がウイルスによって強制的にカプシドを生成させられているという仮説をテストしてみました。すると、これまでまったく注目されてなかった、あるたんぱく質が、「裏切り者」としてウイルスを助けているらしいことがわかりました。つまり、それらのたんぱく質を、抗ウイルス剤のターゲットにできそうなのです。
開発チームは、この手段を用いて、狂犬病やインフルエンザ、エボラウイルスを阻害する働きをする物質を発見しました。とはいえ、人間の臨床試験に持ち込むまでには、まだまだ多くの試験を重ねる必要があります。
さらに、開発を競っている抗ウイルス剤は、他にもあります。こちらは、ウイルス増殖の際の「しゃっくり」を利用します。人間同様、ウイルスにも弱点があるのです。
ウイルスは、遺伝子を複製するプロセスにおいて、自らの遺伝子の大きな部分を削除してしまうことがあります。このような欠陥のあるウイルスは、中枢となるたんぱく質を生成できません。これらのウイルスは、人間の細胞には感染できない反面、自らの複製を作ることは可能です。
つまりこれらの複製は、人間の細胞には無害ですが、他のウイルスを妨害する働きをしてくれるのです。これらのウイルスは「欠陥干渉粒子」と呼ばれ、研究者たちは、これらの役に立つ欠陥ウイルスを、クローンを作ったり人工的に合成したりして活用することを目論んでいます。
現時点では、このアプローチにより、複数の系統のマウスのインフルエンザの治療が成功しています。とはいえ、これはマウスの話であって人間ではありませんので、現在開発中の他の抗ウイルス剤と同様、まだまだその開発は途上であるといえます。とはいえ、将来有望な抗ウイルス剤が、これほどたくさん開発途上にあるのは、良い兆候ですよね。
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