2024.10.01
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How Antarctica Froze Over(全1記事)
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オリビア・ゴードン氏:南極大陸が極寒であることは、よく知られています。浮氷で覆われた北極とは異なり、南極は「大陸」です。
その大きさは、実にオーストラリア大陸の2倍を誇り、山脈や渓谷などで起伏に富んでいますが、平均2キロメートルに及ぶ厚い氷に、完全に覆われています。
しかし、昔からこのような姿であったわけではありません。南極大陸の氷漬けの現状は、必ずしも運命づけられたものではなく、たまたまこのような姿になっただけなのです。長年の間、科学者たちは、南極大陸がなぜ、どのような過程を経て氷漬けになったのかを研究してきました。
驚くべきことに、南極大陸の歴史はその大半が緑で覆われていました。そして、寒冷化が始まるまでは、豊かな生命が生息してきたのです。例えば、1億年ほど遡れば、南極大陸には恐竜などの多種多様な動物が生息し、広大な針葉樹林で覆われていました。当時の南極大陸は現在よりも北方に位置し、当時の地球の気候も現在より温暖だったためでした。地球は「気候最温暖期」にあり、永続的な極冠も見られませんでした。
地球が、現在のように南極と北極が永続的に凍り付く冷涼なコンディションに変貌したのは、それからかなり後のことでした。地質学者は、「南極氷床」が形成され始めたのは、始新世から漸新世の間で、おおむね3,400万年くらい前だと考えています。
では、なぜ南極大陸は寒冷化したのでしょうか。その過程は、少々複雑です。当時の南極大陸の環境は、目まぐるしく変化していました。他の地域は、温暖湿潤なジュラ紀初期を迎えていましたが、南極大陸は他の大陸と比較すると冷涼な気候で、現在のような暗く冷い冬期が、たびたび到来しました。さらに、現在より遥か北に位置していた南極大陸は、地殻変動により徐々に南方へと押しやられて行きました。
一番大きな変動は、南極大陸が「一人ぼっち」になってしまったことでした。文字通りの話です。南極大陸は、ずっと陸続きだった南アメリカ大陸やオーストラリア大陸と、離れ離れになったのでした。これにより、南極地の大きな特性の一つ、「南極環流」が誕生しました。南極環流とは、南極大陸の周りを周回する海流です。メキシコ湾流などの他の海流は進路を変え、温暖な海水や寒冷な海水を別の場所へと運んで行くようになりました。
南極環流は、冷たい海水を南極大陸の周りに閉じ込めて周回させ、暖かな海水を締め出しているため、極寒の気候が続いているのだと、研究者の多くが考えています。とはいえ、この分野はいまだ研究の途上にあり、この説に異議を唱える研究者は多数います。
いずれにせよ、当時は南極大陸だけではなく、地球全体が寒冷化していました。この時期を、「The Big Cill(大氷河期)」と呼ぶ研究者もいます。
研究者たちは、この大規模な気候変動が、二酸化炭素量の変化が原因であることを突き止めました。当時の地球の大気や海水から二酸化炭素が減りつつあったらしい証拠が、太古の化石や堆積物に、化学物質として封じ込められていたのです。
地殻変動で大陸が隆起し、山脈がたくさん生まれました。南極大陸の周辺では、寒冷化が始まりました。インド亜大陸はユーラシア大陸と衝突し、ヒマラヤ山脈が隆起し始めました。膨大な岩盤が露出し、「化学的風化」を起こしました。
化学的風化においては、大気中の二酸化炭素が取り込まれ、封じ込められてしまいます。その過程は、次の通りです。二酸化炭素は、雨水と化学反応を起こして炭酸を生成し、岩盤を溶かします。溶け出した岩石は、河川へと流れ込み海へと運ばれます。プランクトンをはじめとする海洋生物が、自らの外殻を生成するために、二酸化炭素を含む融解成分を取り込みます。ここでも、二酸化炭素が封じ込められてしまいます。
実はプランクトンは、気候変動において、さまざまな点で大きな役割を果たします。この小さな遊泳する生命体は、現在も化石が大量に残っています。地質学者たちは、南極大陸が他の大陸から分裂したのと同時代のプランクトンの化石が、急増していることを観測しました。
このことから、南極環流の潮流が強くなるにつれ、深海の栄養豊富な冷たい海水が表層に昇流する量が増えて来たのではないか、と推測する科学者たちがいます。このような「湧昇」は、浅瀬の生き物に豊富な栄養分を運んで来ます。
こうして豊かな栄養分を得た海洋プランクトンは、大繁栄を遂げました。増えた海洋プランクトンは、その外殻に二酸化炭素をどんどん取り込みます。プランクトンが死滅して海底に沈むと、その外殻は石灰化して、大量の二酸化炭素が封じ込められていきます。
このような海洋相の変化は、南方だけではなかったとする専門家がいます。地殻変動により、地球の海流は大きく変容しました。
2015年、現代の気候や海洋を研究するコンピュータモデルに、当時の海流の状態を入力し、当時の海流の変化を調べる研究が行われました。すると、南アメリカ大陸と南極大陸の間にドレーク海峡が誕生することにより、南極環流の道筋が変わると、地球全体の海流に大きな変化が起こりました。
深海の炭素を表層に運ぶ海流全体の速度が低下し、炭素はますます深海に留まるようになったのです。このような変化やその他の要因が、400万年ほどの時間をかけて地球全体の二酸化炭素量を低減させ、地球の気温が低下したというのです。
同時に、南極も寒冷化しました。まず南極大陸の高山に氷河が形成され、それが徐々に渓谷や低地に広がっていき、氷床となっていきました。
氷床は、一旦形成されると、どんどんエスカレートします。氷は、反射率、つまり光を反射する力が非常に強いのです。日射は氷上で跳ね返され、日光のぬくもりも弾かれてしまいます。氷の表面積が増えるほど、日光は反射され、大気は温められにくくなります。
氷床が厚くなるにつれ、どんどんと標高が高くなります。すると大気が薄く冷たくなり、さらに氷ができて「正の連鎖」となります。つまり、氷床は永続的に存在するのです。氷床はさらなる氷床の成長を呼び、何万年も経過すると、地球の気温は低下し続け、南極大陸の氷床はさらに成長します。我々が知る、現在の美しい「南極氷床」は、こうして1,400万年前にできたものなのです。
南極大陸は、全体が氷に覆われています。とはいえ、みなさんの頭脳もそうであるべきではありません。新しいことを学ぶ機会は常にあるのです。
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