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Can a Burger Really Give You Nightmares SciShow News(全1記事)

ハンバーガーを食べると悪夢を見る? ある実験からわかった「夢と食べ物」の関係性

数年前、「ナイトメアキング」という緑のハンバーガーがバーガーキングから発売されました。なんでも食べた人に悪夢を見せるのがウリだったとか。実は食べたものが夢に影響を与えるという話は、あながち嘘ではないようなのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、ある実験からわかった食べ物と夢の関係性について解説します(動画公開日:2018年10月26日)。

ハンバーガーが夢に影響を与える?

来週はハロウィーンですね。バーガーキングが、新作の恐怖のハンバーガーで、怪奇の祭りをお祝いしようとしています。こういった奇天烈なハンバーガーは大歓迎です。とはいえ、一目見れば、少なくとも皆さんのはらわたが縮み上がることは請け合いです。チーズバーガーに乗せたフライドチキンの上に、肉厚のベーコンが盛られ、蛍光グリーンのバンズに挟まれているんですから。これはいったい、何なのでしょうか。

気を取り直して、話を進めましょう。バーガーキングで数年前に発売された、期間限定の黒いバンズのワッパーバーガーは記憶に新しいところですが、今回の新作は「ナイトメアキング」という商品です。しかも、このネーミングは誇張ではないそうです。なんとこのハンバーガーは、食べた人に悪夢を見せるのが売りだそうで、科学的にも実証済みだというのです。

しかし、我々SciShowスタッフの間では、悪夢を見せるというのはどうも胡散臭い、単なる変な色の、メガ盛り夜食ではないかというのがもっぱらの評判です。プレスリリースによりますと、バーガーキングは、睡眠科学の研究者に委託して、ハンバーガーが夢に与える影響を、100人の被験者を用いて分析してもらったそうです。

10日間、緑のハンバーガーを食べてもらって体調の変化を調査

10日の間毎晩、被験者の何人かに、寝る前に不気味な緑のハンバーガーを食べてもらい、眠っている間の心拍数や呼吸、脳の活動をモニターしたところ、ハンバーガーを食べた被験者は、3.5倍多い回数の悪夢を見たと報告されたというのです。こんなことを宣伝してどうしようというのでしょうか。

ハンバーガーを食べて悪夢を見たとしても、睡眠科学研究者がプレスリリースで主張しているように、ハンバーガーのユニークな成分が、悪夢の原因であるとは言い切れません。要するに、いかにもな胡散臭いキャンペーンを、狙って打ち出したのでしょう。科学者に悪夢をもたらすサイエンスであるわけですね。

しかし一方で、特定の食品が夢に影響を与えうるのかという問題提起になる点では、注目に値します。その意味では、我々科学者が新たに解き明かすべき課題なのかもしれません。あくまでひょっとしたら、の話ですが。

心理学者は悪夢を、思わず飛び起きてしまうような、明瞭な悪い夢だとしています。そのほとんどは、夢を見ることが多く眠りが浅いREM睡眠の間に見られ、思わず目が覚めてしまうため、はっきり覚えていることが多いのです。ストレスや不安、不規則な睡眠や薬、PTSDやうつなどの症状により引き起こされると考えられています。

17.8パーセントの被験者が夢に影響があったと回答

ところで、特定の食品や就寝前の食事が、睡眠を阻害して夢に悪影響を与えることについての研究が、実は存在するのです。その多くはごく小規模であったり、単なるケーススタディであったりするのですが、2015年に、非常に大がかりな実験が行われたことがありました。

『Frontiers in Psychology』誌上で発表されたこの実験では、睡眠パターンや食生活、直近の2~4週間の夢について、382人の大学生にアンケートを取りました。すると、17.8パーセントの学生が、特定の食品を摂取したり、夜遅く食事を摂ったりすることにより、夢に影響があったと答えたのです。これは、実験に基づくものというより、個人の回顧によるデータであるため、被験者の食事が、実際に悪夢と因果関係があったかどうかは立証できません。しかし、被験者たちが「影響がある」と思い込んでいたことは明白です。

さて、いくつかの原因が考えられます。まず、実際に食事に原因があったケースです。例えば、就寝前に刺激の強い食品を摂取すれば、体温が上昇することが考えられます。

体温が経掛ければ、睡眠の質が低下し、夢見が悪くなることが、いくつかの研究で関連付けられています。

食品に起因する体の不快感、たとえば胃酸の逆流などが起こると、夢見が悪くなりますが、これもまた、睡眠の質の低下がもたらすものです。

さらに、刺激物や乳製品など、一般的に夢見が悪くなるとされる食品は、胃腸の調子を乱す物が多いです。とはいえ、このようなものは「特定の食品」とは言えません。

また、食事をすると、体内の細胞が活性化されます。そのため、就寝前に食事を摂ってしまうと、一般論として、脳細胞を含む体内の細胞が活性化され、鮮やかな夢を見ますし、場合によっては怖い夢を見てしまうのではないかと考えられます。

悪夢は食品のせいだと思いこむノセボ効果

ところで、ここで面白いのは、昔から、食べると夢見が悪くなると言われている食品があることです。つまりノセボ効果で、ネガティブな期待により、まったく無害な物がネガティブな結果を出してしまうのかもしれません。言い換えれば、これを食べれば悪夢を見る、と思い込むだけで、実際に悪夢を見てしまう可能性があります。

もしくは、単に原因を取り違えている可能性もあります。これを食べれば悪夢を見る、と思い込んでいる食品を食べてから悪夢を見た場合、まったく因果関係がなくとも、悪夢はその食品のせいだと関連付けてしまうのです。

つまり、バーガーキングの睡眠実験の被験者たちが本当に悪夢を見たとして、上記の要因のどれかが当てはまる可能性は十分にあります。また、バーガーのチキン、ビーフ、チーズ、ベーコンの全部乗せが、消化不良を起こした可能性も否定できません。

もしくは、被験者たちが、普段とは異なるベッドで、測定装置に繋がれ、録画されていたために、奇妙な夢を見たとしたら、無理やり食べさせられたおかしなハンバーガーのせいだと誤って関連付けてしまっても不思議はありません。つまり、この緑のバンズのハンバーガーを、寝る前に完食したことで悪夢を見たのだと考えたとしても、見当違いではないのです。

皆さんがぜひ試してみたいと思っても、私は皆さんをばかにはしませんよ。でも、私が真に受けて食べてみるとしたら、我ながらばかだなあと考えるとは思います。食べてみたいと、実際に思っていますしね。

いずれにせよ、件のハンバーガーを食べた後で悪夢を見たとしても、皆さんがそう期待したせいか、あるいは珍妙な肉の恐怖のコンピネーションによる、お腹の不調のせいである可能性が高いのです。

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