2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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佐々木紀彦氏(以下、佐々木):Webで言うと、そもそもパソコンの広告が儲からないという構造の中で、スマホになってさらに儲からなくなっていると。パソコンのさらに1/3とか1/4くらいの広告費しか出ないので。パソコンと同じことをやっていたら、スマホでも全然稼げなくなってきた。そんな中で出てきているトレンドがひとつ、動画広告ですよね。
今はまだ、テレビCMで使ったものを動画でそのまま流用することが多いわけですけど、やっぱりテレビでCM見る時のスタンスと、動画広告見る時は全然違う。テレビはリラックスして見る。受け身で見るのがテレビ広告で、どちらかと言うと動画はもうちょっと没入感がある。短くないといけないとかがすごくあるので。
動画広告を、どううまく作れるか。ここには相当マーケットのポテンシャルがあるなと皆言っているし、今年は本当に動画元年になったんじゃないかなって気がするんですよね。
中村洋基氏(以下、中村):広告全体で言うと、よく話に出るのはコンテンツ化というか、番組化。テレビ番組で言うと、面白い番組があってその脇に「ちょっとこれも見て」といった感じで、CMは入ってくる存在じゃないですか。それだと、もともと100万人とか1000万人とかが日本中のお茶の間で見ている中で、目に入って来ちゃうから結構面白いって見てくれるんだけど。
WebとかYouTubeにあげて、見てっていう場合、それ自体が、車だったら車売らんかなみたいな感じではなくて、それ自体がエンターテイメントみたいな。見たくなったりとか、これ面白いから見ろよってシェアしたくなったりとかっていうものの、すごい向こうに商品がちょこんとあるくらいじゃないと。もう皆見てくれないことに、ようやく企業が気づきはじめたみたいな話はよく出ますけどね。
俺、俺! というより、もっと皆が見たいものを作らなきゃダメだよっていう。とは言っても、売れなきゃ嫌じゃないですか。そこのバランスがすごく難しくって。でもそれこそ、レッドブルの海外のホームページとかに行くと、レッドブルは単価はこうで、エナジー成分はこうで、みたいなことは全く書いていなくて。
「次はこんな面白いモトクロスやります!」みたいな、単純にエンタメチャンネルになっているんですよね。そっちのほうが見てくれる人のパイも全然違うから、そういう風にならなきゃいけないんじゃないかなって皆思い始めている動きは感じますけどね。
中村:日本のほうがそもそもおかしくって。世界的に言うと、地上波の日テレも含めた7チャンネルしか皆見ないっていうのは、限られた国だけじゃないですか。そこがあるから、お茶の間でテレビを見るというのがあって。海外のほうは、視聴率も衛星放送とかとでもうちょっと分散していて。そうすると、各々の視聴率があまり上がらないから、テレビにあまり投下できない。
そうするとどうなるかというと、皆、携帯とかのほうが見てるんじゃない? ってなって、そっちにどんどん予算をかけてくようになってくわけですよね。対して日本は、まだまだ皆テレビを見てる。それでも全体的にテレビ離れが進んでいるみたいな話もありますけど。まだまだ個人的には最後のチャンスかなと思って。
朴正義氏(以下、朴):思いきって言えば、やりたいことを広告でやらせてもらっている、みたいなスタンスでずっとやって来ちゃったので。あんまりコンテンツがどうとか……そういう意味ではすごく広くなって、僕らはずっとコンテンツしか作ってないというか。
15年前からずっとコンテンツなんて当たり前で、今更こんなんでって言いたい。どちらかというと動画は敵だったので、「動画この野郎」みたいな感じだったんですけど(笑)。
中村:インタラクティブは全然面白いじゃないですか?
朴:というか、撮影とかはやっぱ緊張するじゃないですか。タレントさんに指示するとか、どうしたらいいんだろうみたいな。それだったら皆でパソコンの前で好きなものを作って、こうじゃない、ああじゃない、間違いならやり直したほうがいいやみたいな感じで。多分、そういう内向きな集まりだったんですけど。
ただ動画に関しては、本当に普通にマンガも映像も音楽も大好きで、結構コンテンツは好きなんですよね。ネットの時代って、過去の作品と対決しなきゃいけないので、勝てないんですよ。「所詮そんなもの」みたいな。
なので、そこで僕らが勝つにはデジタルのインタラクティブとか、「自分ごと」とか。俺の好きな人は好きな人で、俺の子供はお前にはつまらなくても俺の子供だぜみたいな、そういうアプローチが出来るのがデジタルだったりするので。これに関しては「だから?」みたいな感じで、ブレずにそういうところを追究していこうと思っているんですけど。
朴:ただ時代が、スクリーンが小さくなっちゃったり、いろんなデバイスになっちゃうと、本当に映像って超情報が圧縮されていてリッチなので、一番効率よくすごい体験が出来ちゃうので。映像は強いんだって、どんどん本当になっていると思うんですよね。
正直、スマホで僕らが作ったりしているやつとか。PARTYさんもチームラボさんもそうですけど、あんまりそこまでやりたがらないので……広告だとね。ゲームだったらやりたくなるかもしれないですけど。
だから、そういうのが困ったなって時代には、数年前からデジタルのクリエイティブの現場としては、広告で好きなものを作りたかったけど、好きなものを作らせてくれるチャンスはあんまり増えないかもな、みたいな。
あんまり言い過ぎるとあれかもしれないですけど(笑)。増えないかもなと思ってテレビとか 、テレビの前にはちょっとmixiさんと一緒にやったりとか。ちょっと人通りの多いところでインタラクティブなことをかましてやらないと、個々であまりにこう……CD-ROMとかDVDみたいなのを作ってるつもりはないんですけど。
やっぱり、こじんまりしたところだとそんなに、「ネットじゃなくてもいいじゃん」みたいなインタラクティブになっちゃうんで。
それよりは、超たくさんの人が一度にインタラクティブで超ネットみたいな感じで。今はそういうすごいネットを頑張るみたいなモードにならないと、まさに映像に勝てないなっていうのがあって。
テレビに出力さえできればインタラクティブ。さっき猪子さんが言ったように、基本、圧縮された映像しか映らないので、そこにもうちょっといいものが映る時代になれば、変わるんじゃないかな。テレビは変わると思うんですよね。どんどん、もっとスマートな感じなものに。 そうすれば、次行っちゃうかもしれないなとは思いますけどね。
猪子寿之氏(以下、猪子):いや、広告とか僕ちょっとわかんないですけどね。広告ね、うち、昔から来ないんですよ、広告の仕事(笑)。
朴:そんなことないじゃない。雲にうつしたりとかしたじゃん?
猪子:いや、本当、本当。あれは雲に映したかったんだもん(笑)。広告ってダサいですよね。いや、全部もう。なんか、ダサいよね。まず最近は俺、広告見た事無い。見る?
佐々木:嫌でも見るものもあるじゃないですか。交通広告とか。
猪子:交通広告、見ないでしょ。
中村:ジャンプ読んでたら、巻末広告にリストバンドとか。
猪子:巻末まで行かないもん、俺。いや、たまに見たくなるけど、モテるネックレスとか。でも読んでて、そこまで行かないでしょ。広告ってわかんない。広告、とにかくダサい! 広告って言葉が。
そんなに例を出せないんだけど、お茶の広告があったとして。すごい格好いい人と美女が、江戸っぽいところで、お茶飲んでるとするじゃん。あれって昔で言うとさ、超クオリティの高い良い広告だと思うんだけど、お前そこ住んでないだろみたいな。お前普段そんな格好してないだろみたいな感じで。
佐々木:リアリティが全然無いの?
猪子:リアリティ無いじゃん。だって、そいついないし、そこに。その家無いしとか思って。ダサいよね。
中村:リアリティないから売れるんじゃないですか?
猪子:いや多分、リアリティ無いことに対して、今はまったく誰も興味が無いと思う。リアリティしか興味がないと思う。
中村:昔から、皆興味ないですよ、何にも。
猪子:いや、違う違う。
中村:皆何にも興味がないから、江戸っぽい感じで「ござーい」って。
猪子:いや、昔は興味あった。何でかっていうと、リアリティは現実にしかなかったから。メディアを通すものは全部リアリティがなかったから。リアリティ無いものしかなかったから。その中でクオリティが高いものに対してやっぱり興味があった。良く作りこまれたものに対して。
でも今はメディアがリアリティあふれ過ぎているから。例えばLINEで「今日、暇?」とか、すごいリアリティじゃん。暇なんだこいつとか思って。「じゃあ、遊ぼうか」みたいな。すごいリアリティだし、ネット開けるとリアリティにあふれてるじゃないですか。
世代的に、まだ全盛期を知ってるから、比較対象としてダサいって言えると思うんだけど、もっと若い子は目に入っちゃうと思うんですよね。リアリティが無さ過ぎて。自分らはそれしかなかった時代を知ってたから、自分が中学校の時とかクオリティの高い広告とかを、すげぇとか思ってたけど、ふと見ると、これって絶対ないしなとかって思って。
なんでかって言うとメディアがリアリティにあふれ過ぎてるから。
深津貴之氏(以下、深津):全部、学芸会を見ている感じがしますもんね。
猪子:どういうことですか(笑)。何か、すげえ拾ってくれた(笑)。
深津:CMとかあっても、タレントさんとタレントさんが劇をやってるようにしか見えなくて。
猪子:そうそう。
朴:昔はそれを憧れの図にして。テレビの前の人たちがタレントさんを憧れの対象で見るような。
佐々木:矢印が一方向でよかったんですよね。
朴:そうですね。それがもう、確かに、それはないだろうみたいに。
猪子:絶対ないだろうって思って。
朴:確かに無風なのかもしれないですね。うちのことから憧れてる感じがないかもしれないですね。
猪子:多分、嘘に興味が無いんですよね、今ね。
中村:広告を結構作ってるほうからすると、広告そのものがダサいっていうのはちょっと容認しきれなくって(笑)。
深津:僕、広告だったら逆にむしろ、広告の9割くらいが自分の人生と関係ない問題みたいなほうが気になっていて。テレビとかでCMが流れるときに皆に投下出来るのが広告の強さだと思うんですけど、 自分に生理用品を紹介されても意味ないしな、みたいなことあるじゃないですか。
延々と化粧品来てるけど、僕、男なんですけどみたいな。ああいうのって、もっと何とかならないのかなって思いますけどね。
猪子:要はテクノロジーでマッチングってことでしょ? 多分、中村さんが言ってるのは。そうは言っても、宇宙から飛び降りたんだっけ? あれとかは、やっぱりちょっと感動するじゃないですか。
深津:ああいうのは、皆来てくれると嬉しいんだけど。
猪子:僕、それが生理用品でも、ちょっと1回くらい生理用品つけてみようかなって思うよね。あの、宇宙飛び降りるやつ(笑)。生理用品つけて宇宙から飛び降りてくれれば、何か俺も生理用品つけて。今日とかつけてるかもしれないよね。あれが生理用品だったらね。
佐々木:そうすると結局今までの番組作り、番組もスポンサーからもらって、面白いものを作ってたわけじゃないですか。それと広告って同じになっていくんですか? 番組と広告って。もう境目ないんですか?
三枝孝臣氏(以下、三枝):テレビは生き残れますかね。
佐々木:全然生き残っているんじゃないですかね。2020年の後はなんか、結構ガクッとくるんじゃないかって皆言いますよね。
三枝:2020年までは生き残る。
佐々木:いや、まだテレビCMバンバン売れてますし、効果はまだありますよね。
猪子:一番効率がいいですもんね。圧倒的に。おっしゃったように、日本はマスを見ている人の率がすごいですよね。
三枝:そうするとやっぱり、まだまだテレビのメディアパワーは残っていて、それは徐々に何かに変わって行くとすると、何に変わって行くんですか。
佐々木:それはやっぱり動画じゃないですかね。Huluとかそういうのも含めて。さっきのCMのマッチングも動画になれば全部出来るわけですよね。データ取っていって。
三枝:動画広告的なものですか。
佐々木:動画広告ですね。あとは有料でも配信できるようになりますよね。ケーブルテレビ的なモデルとか。なのでビジネスモデル広がるんじゃないですかね。もしくはさっきのe-コマースみたいな、皆さんの通販みたいな番組を売って、eコマースで儲けてもいいわけですし。
テレビほど、今までのモデルほど儲かるかはわからないですけど、いろんなやり方をすれば、テレビの落ちを充分に補うことができるんじゃないかって気はするんですけど。どうですかね、猪子さん。
猪子:いや、そんなことはありません。
佐々木:(笑)。
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