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There Are Millions of Blood Types(全1記事)

世界にたった50人しかいない幻の血液型「黄金の血」 実は数百万もの種類がある、血液型の決まる仕組み

「血液型はなに?」「A型だけど」「やっぱり! 几帳面そうだもんねー」……こんなありきたりな会話を、これまで死ぬほどしてきたと思います。あながち間違っていなかったりもして、少し悔しい気持ちを抱きつつ、「そういえば血液型ってどうやって決まるんだろう?」と思いを馳せたことはありませんか? 漠然と4種類しかないような気がしている血液型ですが、実際にはなんと何百万もの種類があるそう。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、摩訶不思議な血液型の謎について解説します。

血液型はどうやって決まる?

例えば献血をした時などに、自分の血液型が何かを聞かれることがあるかも知れません。もし自分の血液型を知らなかったとしても、「血液型にはA、B、AB、またはO型があって、ブラスとマイナスがある」ことは知っているかもしれませんね。

しかし、実は血液型には、何百もの種類があるかもしれないのです。血液型を定義する方法のおかげで、他にももっと多くの血液型が存在しているのです。

血液型は、血中にある「抗原」により決まります。抗原は体の自己防衛システムから反応を誘発することができます。免疫システムは通常、自分の体にある物質には反応しません。

抗原は身体中の細胞に見つけることができ、様々な細胞に、異なる組み合わせの抗原が存在します。血液型を分類するのに使われる抗原は赤血球の表面にあります。簡単にいうと、あなたの血液型は「どの抗原があるか、またはないか」によって決まるのです。

例えばあなたがAB型だとすれば、ABO血液グループにおいてAとBの両方の抗原を持っているということです。Aだけ、Bだけの場合もありますし、またOであれば「AもBもない」ということです。

しかしこれらのABO抗原は、国際輸血学会が認めた600を超える血液抗原のうち、たった二種類にすぎません。しかもこのリストはさらに増え続けているのです。

血液型には何百万もの種類がある理由

これらの抗原の多くは血液グループのシステムに適合します。例えばABOの場合、そのそれぞれが密接に関係する、単一か複数の遺伝子により見分けられます。そして私たちみんながそれらの遺伝子を持っていて、あなたの遺伝子が血液細胞の外側にある抗原となったときに、どのグループに所属するのかによりタイプが決まるのです。

現在確認されている血液グループのシステムは36種類あります。ですから、あなたの血液型を全て書き出すとすれば、これらの36個グループを全て含んでいます。それに加え、これら600を超える種類の抗原全ての中に変異体が入っているか否かもわかるでしょう。そのため、血液型には何百万もの種類があると言えるのです。

もちろん共通のタイプは8種類です。なぜなら、これら抗原の多くはほとんど全ての人が持っていて、その他のタイプは非常に少数の人しか持っていないからです。

例えば、SARA抗原はたった二つの家族の中でしか見られたことがありません。99.96%の人はVel抗原を持っています。血液のグループは非常に複雑に分かれていると言えるでしょう。

Rh血液グループを見てみましょう。このグループにより、血液型がプラスかマイナスかが決まります。もしあなたの血液型がABプラスであるとしたら、このプラスの部分はRh(D)と呼ばれるRh抗原を持っているということになります。

ほとんどの人の血液を拒絶してしまう「黄金の血」の持ち主

ですが、ここでもっと複雑にしているのが、あなたの血液型がプラスかマイナスかを決定づけるのは、体内システムにどれほどの抗原を持っているかによるのです。なぜならそれにより体内の免疫システムが体を保護するために、どの種類の抗原を作るのかが決まるからです。

Rh(D)の「D」は、Rhグループの60以上の抗原の中の一つに過ぎません。ですからプラスかマイナスかであなたのRh血液型の全てがわかるというわけでもありません。実際、Rhグループの抗原を持っていないということで、世界でも珍しい血液型が報告されているのです。

この血液型は「黄金の血」と呼ばれていますが、もしあなたがこの血液型を持つ50人ほどのうちの人の一人であるとしたら、あなたの体はほとんどの人の血液を拒絶してしまうのです。

それにRhグループだけが、その抗原を持っていないからということで生死を分けてしまう血液グループなのではありません。もう一つのグループにDiegoグループがあります。この抗原は生命維持に必要な肺や肝臓を助けるタンパク質です。ABOグループと同様、これにも二つの基本的な抗原であるAとBがあり、それによりその人のDiego血液型が決まります。

しかし、ABOグループにおいてはO型の人や抗原が欠如しているケースが多いのですが、Diego血液型においてその鍵となるDiego抗原の両方が欠如している人は、今までで一件しか報告されていません。

時には抗原がないことが有利になることがあります。例えば、あるマラリア原虫はDuffy血液グループの抗原を利用して細胞をターゲットにして浸透するので、その種類の抗原を持っていないことは、その病気への抗体があるということになるのです。

しかしそれと同時に、他の人から輸血をされた時、その細胞にDuffy抗原が含まれていれば、体がそれを異物とみなし、その血液を攻撃してしまう可能性があるということです。

4,000マイルを超えて、血液は世界を飛び回る

幸いなことに、あなたがどのような血液型を有しているとしても、ほとんどの場合はABO-Rh血液型を使うことで、適合する血液を見つけることが可能です。このシステムを使えば、あなたと同じABO-Rhタイプのドナーからの血液を貰えば、99.8%の確率で適合させることができるのです。

なぜかというと、私たちの体内の免疫システムは全ての抗原とイコールで繋がるわけではないので、自分の抗原の全てがどのバージョンなのかを知る必要はないからです。もし詳しく知りたいと思った場合は、医師たちはあなたの血液型が珍しいものかどうかを調べてくれます。

例えば輸血される赤血球を攻撃してしまうかもしれない予期せぬ抗原があるかを調べてくれたり、ドナーの血液とあなたの血液を混ぜてその反応を見ることにより、適性検査をしてくれます。この二つの段階を踏むことにより、その輸血の適合性を99.95%にまで上げることができるのです。

それに、もしあなたが「黄金の血」のような珍しい血液型をしているとしても、恐れることはありません。「インターナショナル・レア・ドナー・パネル」の働きのおかげで、あなたが世界のどこに住んでいるとしても、あなたの必要とする血液を手に入れることができるのです。

ある人は珍しい血液型をしていましたが、カメルーンで輸血が必要となった時、イギリスから適合する血液を手に入れることができたのです。その距離はまさに4,000マイルです! ですから、あなたの血液型が何百万人に一人の珍しいものであったとしても、あなたの血液型に適合する人の血液は入手できると考えて問題ないでしょう。それに、それでこそ人間らしく、他人と共通する部分を持ちながらも自分らしくあることができる、と言えるのではないでしょうか。

血液型は、究極のところ赤血球の極小の違いによるものです。もしその違いについて注目し、自分の血管に流れるものを観察すると、にぎやかで奇妙な世界を見ることができるでしょう。実際、性能の良い顕微鏡で観察すると、様々な種類の素晴らしい生命体を見つけることができます。

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