2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
We're One Step Closer to Understanding Aging(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:ここ数十年ほどの間、ストレスが加齢を促進するという仮説が立てられてきました。ピッツバーグ大学が『Molecular Cell』誌上で新たに発表した研究では、この仮説を実践し、初めて直接的に立証しました。
ここ数年、酸化ストレスが老化とある種の病気を加速している可能性があるということがわかってきました。なお、この場合に対象となるのは、心理的ストレスではありません。炎症や肥満などの内的要因や、汚染物質やたばこの煙などの外的要因により発症する、化学作用によるストレスについてです。
このようなストレスからは、最終的にはDNAにダメージを与える化学物質の一つである、フリーラジカルが生成されます。
さて人体の細胞生物学では以前から、染色体の末端を覆うテロメアという部位に、酸化ストレスが影響を及ぼすことがわかっていました。
テロメアは、靴ひもの端のアグレットという覆いによく似ています。さあ、この説明で、みなさんはテロメアとアグレットについて同時に学べましたね。
靴ひもと異なり、テロメアが無いDNAの末端は、細胞同士がくっついてしまい、細胞分裂の際に、染色体の正常な分裂が妨げられてしまいます。つまりテロメアが無いと、ゲノムはスパゲッティ状態にからまってしまうのです。
さて、ここで格言です。「テロメアは細胞分裂のたびに短くなる」。どんなに健康な細胞であっても、テロメアは短くなり続け、しまいには細胞分裂ができなくなります。研究者たちは、これこそが体内の器官を老化させる基本構造だと考えています。
一方、ガン細胞はテロメアを巧みに維持し続けます。これこそが、ガン細胞が無限に成長と増殖を続けられる理由なのです。従来の理論では、健康な細胞であれガン細胞であれ、酸化ストレスを受けた細胞のテロメアの複製過程に干渉すれば、スパゲッティ状態にすることができるとされてきました。つまり、細胞の複製能力に干渉し、寿命を調整することができるとされていたのです。
しかし、染色体の本体を無傷のまま残して、テロメアだけにダメージを与える手法が存在しなかったため、これを検証することができませんでした。このたびの新研究では、まさにこのためのツールが開発されたのです。
研究者たちは、よく見られる酸化損傷である、グアニンの酸化体8- oxoG(8-オキソグアニン)を利用しました。グアニンは、DNAを成す4種の塩基、A、T、C、G(アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)を指す)のうちの一つです。
まず研究者たちは、損傷をテロメアのみに局地化させる必要がありました。そこで、新たに開発したメカニズムを試すために、長いテロメアを持つガン細胞を使用しました。
さらに研究者たちは、速やかに、かつ正確に損傷を加える必要がありました。そこで、テロメアの周囲のたんぱく質に、光活性化分子と蛍光たんぱく質を結合させ、反応を見やすくしました。
これらの因子をただ混在させても、特筆すべき反応は起こりませんでした。しかし、細胞に特定の赤色光を照射して活性化を促すと、テロメア部のみにフリーラジカルが生成されたのです。このバイオのスナイパーショットは見事に成功し、酸化損傷である8-オキソグアニンを、思いのままの箇所に生成させることが可能となりました。
さて、なぜこのようなことができたのでしょうか。これまでには、8-オキソグアニンを塩基除去修復する酵素の存在が知られていました。この酵素は、酸化損傷に対する体の一般的な防御策です。
研究者たちは、この酵素を検知することにより、酸化損傷の存在を確認したのです。この新たな手法で確認を行ったところ、酵素はテロメア部だけで検知され、仮説の正しさが立証されました。同じプロセスを別種のガン細胞で行っても、同様の働きが確認されました。
「酸化スナイパー」は、その有効性が確認できたため、さらにさまざまなものに試されました。
まず、損傷を短時間与えたところ、健康な細胞は、損傷を受けても自己修復しました。防御酵素を除いた細胞では、テロメアが脆くはなりましたが、細胞の修復にはあまり影響が見られませんでした。最初に行われたこれらの実験で、細胞に与えた損傷は、短く一回限りのものでした。
しかし、染色した細胞に赤色光を照射することを24時間続けて、長期間酸化ストレスにさらされた状態を疑似再現したところ、一貫してテロメアの短化が認められました。長時間ストレス下に置かれたこれらのグループでは、テロメアが短化した染色体は癒着を起こし、スパゲティ状態になってしまいました。つまり、染色体の自己複製力に影響を及ぼすことがわかったのです。
テクノロジーの革新的な素晴らしさのみならず、これは病理の研究にとっても、たいへん画期的です。実験では、ガン細胞は酸化ストレスを一回加えられても、修復してしまいました。
しかし、酸化ストレスを長時間加えた場合、自己複製が止まりました。これは、酸化ストレスとガンの進行との関連性の理解を進めることになります。さらに、酸化ストレスが与える影響がわかれば、細胞の老化やアルツハイマー病との関連性の究明につながるかもしれません。
この実験で立証されたのは、酸化ストレスの一理論の正しさに過ぎないのかもしれませんが、さらなる研究への多くの道を開いたのです。
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