
2025.02.12
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It's Not Just for Babies(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:アメリカでは、5千万人から7千万人が、なんらかの睡眠障害を抱えていると考えられています。もしみなさんがその一人であれば、うまく寝付けるように、日々努力していることでしょう。
良質の睡眠を摂りたい場合には、科学がうまい方法を提供してくれるかもしれません。その手段は、マザーグースと同じくらい古いものです。
だっこひもやインスタ映えする揺り椅子の登場のはるか以前から、人間は赤ん坊をゆらゆら揺らして寝かしつけていました。2019年の2つの実験が、この寝かし付けが成人にも有効であることを示しています。
まず最初の実験では、健康な若い成人18人に、4秒につき10センチメートル幅で優しく揺れるベッドと、静止したベッドで、それぞれ一晩を過ごしてもらいました。被験者たちの脳の活動を測定したところ、若者たちは、揺られた場合にはノンレム睡眠の第二段階、つまり一番深く脳が休息できる睡眠の直前の状態に、10分で達することがわかりました。
一方で、静止したベッドで寝た場合は16分かかりました。つまり、揺られた方が早く眠れることがわかったのです。
被験者たちの睡眠時間は、揺れるベッドの方が短くはありましたが、最も深く脳が休まる睡眠ステージであるノンレム睡眠の第三段階が長く、目が覚める回数も少数でした。
観測できた利点は、速やかに深い眠りにつける点だけではありません。被験者たちは、前の晩に覚えた単語の組み合わせを、より正確に思い出すことができました。つまり、揺れながら眠ることにより、記憶力が向上する可能性が示唆されたのです。
こういった記憶能力の向上は、睡眠紡錘波として知られている脳波の増加と関連があると考えられています。睡眠紡錘波は、ノンレム睡眠中の脳波のパターンの一種です。
2011年に行われた実験で、揺れながら短い午睡を摂った場合、睡眠紡錘波が長く表れることはわかっていました。しかし、夜通し揺らし続けても同様の結果が現れることを示したのは、若者を対象として新たに行われた、この実験が初めてでした。
次の実験で対象となったのは、人間ではなくマウスです。夜間にゆっくりと揺れるケージに入れらると、マウスはより速やかに、より長く眠ることがわかりました。しかし、マウスの眠りは、人間の被験者ほど深まりませんでした。
このマウスの実験で重要なのは、揺らすことにより、睡眠の質が向上する理由が明らかになったことです。つまり、こういったことはすべて、平衡感覚や空間定位を司る前庭器官(内耳にある、平衡をつかさどる器官)に関連があると考えられるのです。
研究者たちが、脊椎動物が動きを知覚する際に用いる内耳の器官を切除したマウスで、同様の実験を行ったところ、揺らしても特に利点は見られませんでした。つまり、この知覚器官が、揺らすことにより睡眠が向上するために、重要な役割を果たしていることが示されたのです。
睡眠障害の有効な解決策として、揺れるベッドの購入が有効な手段のようですが、とはいえ、みなさんには、大枚をはたくつもりはないかもしれませんね。
実際、最初にご紹介した実験の若い成人18人は、実験のサンプル数としては非常に少ないものです。しかも、揺れるベッドで眠ったのは、わずか一晩です。つまり、この実験結果が、どれほど一般に適用できるかは、決して定かではありません。
しかし、こういった研究が、新たな研究的疑問を提供することは明らかです。さらに、不眠症や気分障害、さらにはひょっとして記憶障害の未来にも、驚くべき治療の可能性の道を開くことは間違いありません。
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