2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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山田ルイ53世氏(以下、山田):「仕事ができない相棒と、仲良くするコツはありますか?」。
コツはいろいろありますよ。「友達だと思う」とかね。ビジネスパートナーだと思うから腹が立つんです。友達だと思ってたら、腹も立たない。僕はそうしてます。
奥山晶二郎氏(以下、奥山):そうしてる?
山田:僕の相方のひぐち君。世間の方はどう思ってらっしゃるかわかりませんけど、僕は別に仕事できないとは思ってませんが、やっぱり、あんまり向いてない。
僕も向いてないですけどね。僕は芸能界に向いてない。ひぐち君はお笑いに向いてない。うちはコンビ揃って(この仕事に)向いてないですけど、仕事の相手だと思うから腹が立つってことはあるでしょうね。
髭男爵はもう本当に平和ですよ。この間もえらいことがあって……僕ら、髭男爵以外に「髭島三郎」というキャラクターを持ってることはご存じですか?
去年の年末に「一発屋紅白歌合戦」ってイベントがあったんですよ。新宿ルミネで、レイザーラモンHGさんの音頭の元、いろんな一発屋が集まって歌を歌うという。そのときに「歌ネタやから、髭島三郎やろう」ということになったんです。
僕が大御所演歌歌手の髭島三郎で、ひぐち君は緑のジャージを着て「ひぐっちゃん」という付き人っていう設定のネタ。
フリの会話があって、最後に僕が「なんとかやないかー!」ってツッコんで歌って「よっ、先生!」と(ひぐち君が)言う。それで、紙吹雪をバーッてまいて「どうもありがとうございます」って言って、そのあと、ノリツッコミのくだりがあるんです。
「ひぐっちゃん、お前としゃべってると涙が出てくるね。ハンカチもってこい、ハンカチー!」っていうたら、ひぐっちゃんがバーッて袖にはけて、トンカチをもってきて僕に渡す。「おいおいおい、お前がもってきたの、トンカチやないかーい!」ってセリフがキッカケで曲が流れて、それに乗せてノリツッコミの歌を歌うというネタ。
山田:めっちゃ簡単でしょ。今ぱっと聞いただけのお客さんでも仕組みがわかると思います。誰でもできる。正直、今ここで2回くらい説明すれば、一緒に舞台に上がってすぐできると思うんですよ。というか、そういうふうに作ったんです。
「ハンカチもってこい、ハンカチ」っていうたら、はけていってトンカチをもってきて、渡して「お前、これトンカチやないかーい!」ダダダ……と、音楽が流れる。それだけなんですよ。でも(ひぐち君は)それがわからないんですよね。
「ハンカチもってこいハンカチ」って僕が言わないとはけられないのに、「本当にもうひぐっちゃん、なにしてるんだ」って言ったとたん、ひぐっちゃんがダダダって走り出して「あぁ、違う違う」と(戻ってくる)。ダダダっと。
ノリツッコミのくだりで、なにも言ってないのに走り出す、その心理がわからない(笑)。そういうことがあっても、僕は(仕事相手というより)友達やと思ってますから「コイツ、すげーなー」って思うだけで、腹とかは立ちません。
だからこれは、やっぱり人にハードルを課す前に自分に課せということです。結局、自分なんです。ひぐち君がそうなったときに、うまくフォローして笑いにできない自分を責めるべきだと、そういうことなんです。
奥山:なるほど。次もけっこう深いですね。
山田:「後輩がどんどん出世して死にたくなります」。この質問、なんなんですか、僕をいじるんですか?(笑) 一般の方でそんなことあります?
奥山:最近は年功序列が崩れ始めていて、昨日の部下が上司になっちゃうという話はよく聞きます。
山田:さっきも言いましたけど、(我々の業界は)実力主義なんで、後輩であろうが、売れてはったら僕は……そもそも売れてはるということは、実力があったり魅力があったり、芸がすごいってことですから。リスペクトという意味で。
もうちょっと若いときは煮えたぎってましたけどもね。前になにかで言うたか書いたかしましたけれど、40歳を過ぎると人を妬むのも、贅沢になってくるんですよ。人を妬んだり嫉んだりすることに使う時間自体、贅沢な余暇の時間やと思ってますから。
だから結局は自分に集中したほうが、コストパフォーマンスといいましょうか、効率が非常にいい。そういう割り切り方をしたほうがいいんじゃないですか。先輩であろうが後輩であろうが、能力のある人はどんどん出世していくわけですから。
しゃべり疲れてきたら、ちゃんと相談って感じがしてきましたね。ナチュラルに相談に乗れてきました。
(会場笑)
奥山:次はなかなかあれなんですけど、こちら。
山田:「相手の出身大学で一喜一憂する性格を直したいです」。いや、直したほうがいいよね。シチュエーションとしては、お付き合いしてる相手とか? 合コンみたいなことですか?
奥山:いろんなシチュエーションがあるでしょうね。仕事先であっても、プライベートであっても、自分でランクを作っちゃう。ダサいと思ってるけどやっちゃう、だから直したい、という内容ですかね。
山田:まず、それに関してはやめるしかないよね。「直したい」ということは、直したほうがいいことですもんね。
奥山:どうやったら直るか。
山田:俺、精神医学の人じゃないです。
奥山:一応、人生相談のイベントなんで。
山田:(出身大学で)一喜一憂するのを直したいなんて人生相談ないですよ。相手の出身大学で、ということは、例えば東大出身って言われたら「あざます」ってことですか?
相談者さん、どこ大から「おおっ」とか「あざます」ってなるの? 慶應、あざます、早稲田、あざますってことですか? この話を突き詰めていくと、結局『SPA』とおんなじことになりますからね。大学の名前出してランキングをつけるのは。
山田:ちなみに奥山さんはどこ大なんですか?
奥山:立命館大学です。
山田:……おぉっす。
(会場笑)
山田:不快でした、今?(笑) 結局、こういうことでしょ。こんなことやっちゃダメよ。しかも今日び、もはや大卒であることが別に(ステータスじゃない)。「俺大卒だ」なんて言ってるやつがいたら、ちょっと恥ずかしいもんね。俺、むしろ「中卒なのに」って言いたいもん。
学歴みたいなもの、あまり関係ないから。直し方は知りませんけど、直したほうがいいです。こんなのはダメですよ、バカです。愚かなことです。
山田:次、(スライドを見て)……僕への皮肉じゃないか、確認したいんですけど(笑)。「過去の成功体験だけでどこまで生きていけますか?」。どこまでもっていうね。これは永久機関、錬金術に近いです。冗談ですが。
(会場笑)
学生時代の部活とかで、ずーっと生きている人っていますよね。「あのときレギュラーで、国体で何位やった」みたいな過去でずっと生きていく。だから、逆に効率がいいなと思います。
そういう人はなんていうか、すごくエコだなって思いますよね。同じことでずっとテンション高めてるんですから、すごく優しいじゃないですか。ここをしがんでる(※京都弁でかみしめる)以上、ほかのことにそんなにガツガツ成功体験を求めないわけでしょ。
だからむしろ、周りからしたら都合がいい人ですよ。そういう人は半笑いで眺めましょうということです。なんでも、にこにこ見ているだけというのが平和の秘訣ですからね。ちなみに僕は、過去の成功体験でまだまだいけます。まだ味があります……いやそんなことはない。
奥山:いつの間にか次の相談が最後になっちゃいました。私からしゃべらせていただきます。「その厳しい目、自分自身の人生に向ける勇気ありますか?」
山田:これは、本(『一発屋芸人の不本意な日常』)にも書かせていただいたやつですね。「その厳しい目、自分自身の人生に向ける勇気ありますか?」。あればいいんですけど、というやつ。この質問は、どういうことですか?
奥山:これは、男爵さんの言葉についてじゃないですか。たぶん、いろいろ解釈はあると思うんですけど。
山田:これはちょっと、まじめな話になるかも。まじめの入り方、下手なんです(笑)。今、まじめ(な雰囲気)に入るな、まじめなこと言うな、って思っちゃいました。
奥山:まじめなことを言いますよ(笑)。文章のことですが、僕も職業として文章を書いていますけれども、(男爵さんの文章は)最後のオチの部分で、必ず自分のことを振り返るような着地をするのが美しいなと思って、いつも読ませてもらっています。
山田:あ、褒められてる。具体的に褒めてもらってもいいですか?
(会場笑)
奥山:ざっくり言うと、最後、自分にツッコんで終わるわけですよ。落として終わるみたいな。ちょいちょいいじりつつも、最後は「自分もそうなんだけどね」という感じで、だいたいの章が終わっているところが、読後感としては、ある意味爽やかな感じになるような気がしています。
山田:ありがたいですね。
奥山:(男爵さんに)長いとご批判をいただいた冒頭のご紹介の中で、Yahooですごく読まれた記事のコメントとかも、そこでの読後感が……ネットってどうしても攻撃的な感じになるのに、男爵さんの記事はみんな「読んでよかった」とか「感動した」とか「もっと読みたい」って。
山田:褒めていただいてあれなんですけど、僕的には、そうなるだろうなって、すごく予想しながら書いていたところがあって。
この『一発屋芸人の不本意な日常』自体が、エッセイ集なんてカッコつけていってますけど、この本を書くモチベーションの一番の根っこは、基本的に私の恨み、私怨ですよね。
それはもちろん、今SNSなどでいろいろ言われていますけれど、なにか失言やスキャンダルがあったら、誰もがそれを叩く権利を得たかのように石つぶてを投げる、そういうような風潮がある。
そういう人たちとかそういう風潮に対して、なにか物を言えないかなと。一発屋芸人というものを、カッコよく言うと触媒にして、なにか言えないかなという思いが、どの章にも根底にあるわけです。
「囲み取材で『新キャラないですか』って言われるの腹立つ」という章にも、それは入ってるんです。常にその目線を入れてる。
「これ言ったら、まんまと男爵がいうてた『その厳しい目を自分の人生に向ける勇気があるか』にひっかかる」となれば良いですけどね。
奥山:そういうテクニックかもしれないですけど、もはやマナーみたいになっている気がしますよね。
山田:それは僕はマナーやと思ってますけどね。
奥山:ネット上ではみんなが発信できて、みんながコメントできるという環境が、ちょっともったいない方向に行っているとしたら、せっかくなにか発信するんだから、いいフィードバックを受けよう、っていう。そういう教科書みたいな。
山田:見返すと、われながら嫌な書き方してるなと思う部分もありますけどね(笑)。
そういう、「髭男爵はどう」とかいうてくる人に対して「こんだけいうてくるんだから、芸人というカテゴリーではないにしても、なにかしらのジャンルで僕以上のことを成し遂げた方なんでしょうけどもね」みたいに書いているところとか、自分で自分のことちょっと嫌なやつだなと。
奥山:そこも落ち着いて受け止められるくらい、わりと自分を卑下して書いてなくて、そこは上手だなと思ってます。まだ読んでいない方はぜひ読んでみていただければ。
山田:ちなみに、(『一発屋芸人の不本意な日常』を)もう読んだ方はいらっしゃいますか? 読んでいただいたっていう方は?
(会場挙手)
ありがとうございます。決して半分以上ではなかったという、これがリアルです。手を挙げた人間の半数以上が、以前なにかしらのイベントで会った顔見知りというね。
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