2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
ダライ・ラマ法王14世:最近の問題は、現在の教育システムにあると私は考えています。それはなぜかといいますと、近代教育は物質思考の教育をしており、物質的により豊かになることだけを教えてきたような気がするのです。
私たちはそうではなく、私たちの内なる心に目を向けて、自分自身の心のかき乱された心を鎮めていくことによって、自らの心のなかに内なる平和を構築していくことができるわけです。そこで教育的な分野のなかで、普通教育のなかで、人に対する思いやりや優しさを、宗教などに触れることなく成し遂げていくことができます。
世俗的なものの考え方、これを「セキュラ」といいますけれども、これはインドの文化のなかで、お互いの宗教の違いを強調することではなく、お互いの宗教、すべての宗教に尊敬を持って進んでいく、調和を取って進んでいくことがすでに行われているわけです。
私たちが今なすべきことは、単に常識に基づいて、そして科学者たちが発見してくださっている事実に基づいて、進んでいくことをしていかなければなりません。怒りのような悪い、悪しき感情ですが、そのようなものを維持していくと、私たちの免疫機能も低下してしまうことを、科学者たちが発表しておられます。
そこで私たちは、他の人たちを教育することが必要です。私たちの心のなかに、他者に対する優しさと思いやりをますます高めていくということを、この世の中に広めていかなければならないと思います。
それによって私たちは健康になることもできますし、より幸せな個人、幸せな家庭、そして幸せな社会を築いていくことができるわけです。私たちは社会生活を営んで生きていくタイプの動物なので、そのような意味においても、私たちの感情のなかにあるよき感情、例えば愛や慈悲の心というものは、他者に対してもより大きな利益を与えることができますし、自分の心を鎮めるご利益もあるわけです。
しかし怒りの心というのは、お互いの人たちを引き離してしまう機能を果たします。怒りというような、悪しき感情を私たちはできる限りなくしていく努力をすることが必要です。
この教育というものにおいて、私たちは今までずっと、健康な体を維持するために、身体の衛生観念を教えられてきましたが、今の私たちがするべきことは、感情的な面における衛生観念を教えることではないかと思います。
そのような、煩悩と呼ばれるような悪しき感情をなくし、そして他者に対する利他の思い、優しい感情を高めることで、よき結果をもたらすことができると考えています。
ここには今、非常に若い世代の方々、本当にフレッシュで生き生きとした方々が集まってくださっています。この方々が、今このときからそういったことをし始めようとしてくれるということ。ぜひ手に手を取って、利他の思いを持つことを始めていただきたいと思っています。
私自身は83歳の老人ということになりますので、より幸せな世界を構築しようというその結果を、おそらく見ることはないと思います。しかし、みなさま方のような若い世代の方々は、必ずやみなさま方の世代のうちに、より幸せな世界、より平和な世界を構築することができると考えています。
私自身は20世紀に属している人間ですので、この世の中にさよならを言うときが近付いてきているわけですが、今の若い人たちは今の生き方というものに満足していてはいけません。もっと長い目で見て、次の世代の人たちも平和に過ごすことができるような世の中を、みなさま方、若者たちにぜひ構築していっていただきたいと、私は心から考えております。
この70億人の人間たちが、1つの家族であるという概念を持つということ。これが本当に大きな利益となります。そのように広い心を持つとき、私たちの心は自然に開かれているわけです。
そうではなく、利己主義なものの考え方をしている場合には、自分の心を閉ざしてしまい、その結果、ストレスを溜めてしまって、怒りの心などを起こしてしまうことにもなりかねません。
そこで、70億人の人間たちがまったく同じであると考えることによって、より容易にほかの人たちとのコミュニケーションが取れるようになります。そして、お互いが笑顔で交流することもできるようになるわけです。
日本人の方々はどちらかというと、とても真面目な方々です。紹介をされない限り、隣の人とも笑顔をかわすということがなく、しかめ面をしていることも多いかもしれません。しかし私たちは、同じように2つの目を持ち、1つの鼻を持ち、1つの口を持っています。
同じ顔をしているわけですから、紹介を待たずに隣の人と握手をして、そういう笑顔の交流をぜひみなさまにもやっていただきたいと思っています。私はそれをずっとやってまいりました。それがすごく私にとって役に立っています。人間であるならば、たとえ偉い指導者の方であっても乞食であっても、同じ人間であることになんの違いもありません。
もしも私自身がチベット人であり、私は仏教徒であり、私はダライ・ラマである、というようなことばかり考えているならば、私自身が友人を作ることがなくなってしまい、孤独感に陥ってしまうことすら、起きてしまうわけです。
ですから、70億人の人々が自分の兄弟姉妹であるという考え。これこそが自分の閉ざされた心を開き、たくさんの友人を作る源となるのです。すべての宗教がこのように、愛と慈悲の心を高めていくべきだと説いているわけですが、例えば神を信じる宗教であるならば、神に一心に信心をするわけです。
しかし、私たちのような仏教徒であるならば、自分自身の成した行いの結果として、自分がなんらかの幸せを得たり苦しみを得たりしているわけです。ですから、自分自身が主のようなものであるという考え方をしています。
すべての宗教が愛や慈悲の心、そして(自分が)持つもので満足するということ、そして自己を規制するということ。このように、たとえ哲学的には展開が違っていたとしても、同じメッセージを発信しているわけです。
この地球上にはさまざまな違う性格や関心を持っている人たちがいるわけですから、自分にもっとも似合った宗教を選ぶことができるという意味において、さまざまに異なる宗教が存在し、必要とされています。
私たちはこの、同じメッセージを発信していることを土台として、すべての異なる宗教の間に調和をもたらすことは可能であると私は考えております。これが私の第二の使命だと思っています。
そこで、少し仏教のことについてお話をしたいと思います。仏教の見解というものは非常に現実的なものであり、実用的なものです。これは昔、ナーランダ僧院という、仏教が非常に繁栄した大きな僧院がありました。日本では大乗仏教ですので、その大乗仏教の伝統というものを、みなさま方も引き継いでいることになります。
ナーランダ僧院の伝統の特徴は、たとえ釈尊の教えであっても、それを鵜呑みにすることはしてはならないと。釈尊ご自身がそう述べておられます。つまり、釈尊が説かれた教えであったとしても、その教えを分析し、調べ、それが本当に正しいと確信を持ったときに信心をするべきであると、釈尊ご自身が述べられているわけです。
これ(大乗仏教)は、非常に科学的な考え方をする宗教であるといわれています。ナーガールジュナという、非常に偉大な導師の方がおられます。そのような偉大な導師の方であったとしても、仏陀の教えに基づいて、分析をし、そして正しい根拠に基づいたものであるかどうかを判断して、その上で教えに従ってこられたわけです。
そして、教えのなかになんらかの矛盾が発見されたときは、拒否してよいという権利も、この釈尊ご自身が私たちに与えてくださっているわけです。これは、近代科学の科学者たちとも、私たちが対等に対話をすることができるくらい、私たち仏教の教えというものは非常に論理的なものであり、科学的な方法論に基づいています。
しかしながら、私は仏教が最高の宗教であるというようなことを、申し上げたことは一度もありません。それは、例えば1つの薬を取って、これがすべての病に対する最高の薬であると言うことができないのと、まったく同じです。
つまり患者さんによって、そしてその土地の違いによって、どのような病気かによって、与えられる薬は一人ひとり違ってくるのとまったく同じです。ですから同様に、一人ひとりの気質を見て、そして神を受け入れる宗教が合っている人ならば、それを選ぶことができます。
例えば仏教、ジャイナ教、そして古代インド哲学の一派であるサーンキヤ学派。この3つが、神という存在を受け入れていない宗教となっております。
つまり先ほども申し上げたとおり、私たちは、(神ではなく)自分の成した行いの結果によって、幸せになったり苦しんだりするということが、説かれているからです。さまざまな哲学が説かれているということも、私たちがほかの人間同士の兄弟姉妹に対して、優しさを高めていくことができるための方法、手段となっています。
もしも本物の仏教徒であるならば、単に祈願をする、そして経典を読み上げるだけではなく、みなさま方もぜひ、仏教とはなにかを勉強していただきたいと思います。
チベット人であるならば、20年、30年をかけて仏教博士号という学位を得るために、本当に厳しい勉強をしてくるわけです。ですからみなさま方も、この21世紀の仏教徒となるために、そのような勉強をぜひしていただきたいと思います。
過去の時代において、むやみやたらにただ信心をするということではなく、釈尊の書かれた仏教の教えがどのようなものであるか、それを完璧に理解した上で、信心をしていくという方法論を、ぜひ取っていただきたいと思います。
(会場拍手)
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには