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髭男爵・山田ルイ53世の「世界一受けたくない人生相談〜“一発屋”芸人のセカンドキャリア論〜」(全6記事)

山田ルイ53世「不安は人生のペースメーカー」 思い通りにならない日々を過ごす人へエール

2019年1月22日、渋谷ヒカリエにて、withnews(朝日新聞社)×KDDI共催による『一発屋芸人の不本意な日常』出版記念イベントが開催されました。自ら「負け人生」と呼ぶ日々を送る髭男爵・山田ルイ53世さんに、超進学校入学後の引きこもり生活、芸人デビューから“一発屋”に至るまでの経験をもとに、ユニークな「セカンドキャリア論」を語ってもらうトークイベントです。本パートでは、withnews編集部に寄せられた切実な人生相談の中から、YouTuberになりたがる彼氏を説得する方法や、前向きな意見が通らない会社の行く末などについて答えました。

YouTuberになりたがる彼氏をどう説得する?

奥山晶二郎氏(以下、奥山):次の質問もちょっと深刻ですね。

山田ルイ53世氏(以下、山田):「『YouTuberになりたい』とほざく……」、ほざく(笑)。「彼氏を説得してください」。これはどういうことなんですか! なんで説得しないとだめなの?

奥山:いや、悩んでるんですよ。

山田:彼女さんの悩みですよね。でも、今YouTuberなんてすごく人気の職業でしょ?

奥山:だって(人気があるのは)ピラミッドのほんの一部ですもん。

山田:ピラミッド?

奥山:ピラミッド構造です。

山田:YouTuberの方々がですか?

奥山:そうです。売れない人はたくさんいますから。

山田:それはどの業界でも一緒ですよ。要は「ヒカキンさんしか食えてない」みたいなこと? そんなはずはないでしょ。

奥山:まあ、食えてるのは100人くらいじゃないですか。

山田:ご飯食べられてる人が? えー。

「YouTuberになりたいとほざく彼氏を説得してください」。じゃあ、彼氏が「YouTuberになりたい」っておっしゃっている。そのおっしゃっている彼氏を説得するところを、1回目の配信にしましょう。

(会場笑)

そうしましょう。

奥山:なるほど(笑)。

山田:今のは、とんちが効いてたんじゃないですか?

奥山:そうですね。

(会場拍手)

山田:主に、おじさんたちから拍手がきましたけど(笑)。ありがたいです。でも、(彼女は)不安なのかな?

奥山:会社員をやめて一攫千金みたいな感じで始める人もいますよね。

山田:僕はYouTuberとして活動してるわけではないですけど、単純に自分のブログにビデオをパコッとはめたくて、そのためのチャンネルを作ったので、一応YouTubeのチャンネルは持ってるんですよ。

でも、作ってから1年ぐらい経つはずなんですけど、登録者数が四百数十人だということを、彼氏に教えてあげてください。

奥山:なるほど。

山田:「ルネッサンス」の髭男爵でもこんなもんだよって。他にもっと立派な方もいらっしゃいますけど、そういうところも見せてみるのもいいんじゃないでしょうか。

奥山:わかりました。

山田:このテンポ感でいくんですね……。しんどい(笑)。

「3分だけ」と言って、30分かかる仕事を押しつける上司

奥山:(笑)。次は、けっこうベタな質問です。

山田:「『3分だけ』と言いながら、30分かかる仕事を押しつける、そんな部長をなんとかしてください」。そんな人いないですよ。

(会場笑)

奥山:いや、けっこういますよ。

山田:ご自分の会社じゃないんですか?

奥山:いや(笑)。これはあるあるですよ。

山田:「『3分だけ』と言いながら、30分かかる仕事」というのは、具体的にはどういうことなんですか。「大丈夫、大丈夫。これ3分で終わるから」と言われたのに、やってみたら30分かかるということ?

じゃあ、あなたの能力が低いんじゃないですか?

(会場笑)

奥山:(笑)。

山田:本当に3分で終わる仕事の可能性もありますよね。

奥山:僕の相談じゃないですよ(笑)。

山田:(笑)。完全に奥山さんから出てきた相談だと思ってました。

お笑い芸人の世界で、こういうのはあんまりないです。よく営業の仕事に行って、15分と言われてるのに30分やったことはあります。その場合、すごくイベンターの人に怒られるんですよ(笑)。

ありがたがられるパターンと、怒られるパターンがあって、怒られた人からは一切仕事は来なくなります。10年ぐらい前の話ですけど、「男爵はいっつも時間がのびるからなあ!」と怒られたりしてました。

こっちも「いや、盛り上がってるから、のびただけなんですけどね」と思ってるんですけど、一切仕事は来なくなるんです。

「3分だけ」……。まあ、そんな人はいないということですかね。じゃあ、この質問はウソだったってことで。

(会場笑)

奥山:次の質問です。

会議で向けられる「それやってなんの意味があるの」という目線

山田:「会議のたびに周囲から、『それやってなんの意味があるの?』という目線で死にたくなります」。これ、どういう状況か説明してもらっていいですか(笑)。

奥山:これは私も見たことがある光景なんですけども……。

山田:えっ、奥山さんも目にしたことがある光景……?

奥山:そうですね。

山田:やっぱ、自分のじゃん!

奥山:僕ではないですけど(笑)。

山田:自分ではないけど、目にしたんですね。

奥山:会議とかでやる気を持って、「こういうの、やったらいいよね!」と言ったら、「本当にやるの?」みたいな感じで、シーンと……。

山田:その人は会議でやる気を持って意見を言ったんだ。

奥山:そうですね。

山田:「はーい!」と言って、「ここはこうした方がいいと思います!」と言ったら、周りの全員から「それ言ってなんの意味があるの?」みたいな視線を浴びた。それで、死にたくなったってことですね。

奥山:そうですね(笑)。

山田:じゃあ、よほど悪い意見だったんでしょうね。アイデアがよくなかったってことですか?

(会場笑)

奥山:今日のイベントは、悩んでる人を助けるイベント……(笑)。

山田:ちょっと待ってください。今日のイベントをやろうって言った時に、「それやってなんの意味があるの」と思われたってことはないですよね? 

(会場笑)

(奥山氏の方を見て)「てへへ」じゃないんですよ(笑)。でも、そうでしょ。ろくでもない意見を言わなきゃいいじゃないですか。

奥山:そうですね、気をつけます(笑)。

(会場笑)

山田:そうでしょ?

奥山:僕の相談じゃない(笑)。

まともな意見が通らない組織は待てば滅びる

山田:「それやってなんの意味があるの」という感じで見てくるって、よほどのことですよ。正直、俺はそんな体験したことないもの。たいがい「まあまあいいこと言ってるな」みたいな感じに思われるタイプなので。

ちなみに「この悩みに共感できる」という人はどれくらいいらっしゃいますか? (挙手した参加者を指して)こういうことあります?

参加者1:ありますね。

山田:本当にちゃんと考えてから発表した方がいいと思うよ。

(会場笑)

山田:(笑)。それは自分が後から考えても、「いや、俺の言ってること、すごくいいアイデアだったのに。あいつら……!」とか、「意見の良し悪しとは関係なしに、俺をそんな目で見やがって!」という感じなの?

参加者1:そういうときもあります。

山田:そういうときもあるんだ。なんでそんなに嫌われちゃったの?

参加者1:嫌われてはないんですけど……(笑)。

山田:嫌われてはないけど……?

参加者1:やっぱり「(仕事が)大変なんだから言うなよ」みたいなときはあります。

山田:あー。「面倒くさいこと言いだしたわー」という感じですか。彼みたいに話してくれたらわかりますね。まあ、それ(タイミング)がわからない人たちってことでしょ?

奥山:そうとも言えますね。

山田:そういうことですよね? しばらく待ってればいいですよ。僕の経験上、そういう組織は必ず滅びるんで。

(会場笑)

奥山:励ましになってない(笑)。

山田:しばらく待てば、組織が滅びますから(笑)。

奥山:会社員ですから。

山田:でも、本当にそうですよね。「こんなにいいこと言ってるのに、意見が通らない」「理由は面倒くさいから」みたいなことが、あまりにも続くと、やっぱり(組織として)弱くなりますよ。

だから、待ってみてください。ここは、待ちです(笑)。

人生をマラソンに例えるなら、不安はペースメーカー

奥山:じゃあ次にいきます。

山田:え、ちょっと待って。(スライドを指して)ハッシュタグ「不本意な日常」って書いてあるんですね。

奥山:はい。

山田:これは「みんなで拡散しましょう」というようなこと?

奥山:そうです。今日はそのイベントです。

山田:そのイベントなんですか?

奥山:重版を達成したい。

山田:あ、そうなんですか。ありがとうございます。あまりハッシュタグを使い慣れてない感じの人が集まっておられますけど(笑)。

次の質問ですね。「お風呂で今日の出来事を思い出し、恥ずかしくなって叫ぶのを、もうやめたいです」って。やめればいいじゃんっていうね(笑)。

(会場笑)

僕はマネージャーにも言ったんですけど、本当に人生相談とか上手くないんですよ。あんまり寄り添ったことがないから。これも誰かが送ってきてくれたやつですよね?

奥山:そうです。

山田:お風呂で……。「こういう経験あるよ」という人いますか? あ、いますね。例えば、どういうことでお風呂で「ああああっ!」ってなりますか?

参加者2:言い間違えをしてしまったりとか……。

山田:どこで、何を?

参加者2:会社で……。

山田:会社で……?

参加者2:例えば、「もちろん」を「もろちん」って言っちゃったりとか。

(会場笑)

山田:それはもう、叫ばざるをえないよね。

(会場笑)

山田:だって、そんなのすごく恥ずかしいもん(笑)。「もちろん」を「もろちん」って言っちゃって、家に帰ってからお風呂で「俺はそんなことを言って……、ああああっ!」ってなるってことですよね。

それは叫んだほうがいいと思います。やっぱり溜め込んじゃだめ。解放してあげないと。(相談者は)「もうやめたいです」って言うぐらいだから、けっこうあるんでしょうね(笑)。

奥山:でも、叫んだほうがいいということですか。

山田:これは叫んだほうがいいですよ。僕もよくありますし、やめる必要はまったくないです。年間二晩、三晩ありますね。急に不安になって叫ぶときが(笑)。

「やばーい! やばーい! やばーい!」「このままじゃ、やばーい!」って。

(会場笑)

とくに3年ぐらい前はよくありましたね。でも、そういうことと並走していくことが必要で、むしろ不安というのは人生のペースメーカーですからね。

(会場笑)

人生をマラソンとすればですよ。そう考えると不安、不本意なことというのは、ペースメーカーなんだということです。こういう心掛けでお願いします。

奥山:わかりました。

山田:初めて人生相談らしい感じがね(笑)。

(会場笑)

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