2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
What's at the Bottom of the Deepest Lake in the World?(全1記事)
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オリビア・ゴードン氏:ロシアのバイカル湖は、水深1,600メートル以上を誇り、2,500万年も前にできた、世界最深にして最古の湖です。
みなさんにもご想像がつくと思いますが、その湖底に潜むものは古来、常に好奇の的でした。シベリア先住民のブリヤート族には、湖底には、魚竜のような姿をした、ルスドカーンという主が潜むと伝わっています。ネス湖のネッシーのロシア版ですね。また別の伝説では、湖底にはロシア提督の財宝を積んだ貨車が眠っているとされています。宇宙人の姿や怪しい光を、湖の深みに目撃したと主張する者もいます。
もちろん、こういった話は荒唐無稽なものですが、バイカル湖にまつわる真実の物語は、いずれおとらぬ不可思議なものです。
バイカル湖は「地溝」と呼ばれる地形です。 シベリア台地とアムールプレートという、2つのテクトニック地形が、互いから離れる動きにより形成されました。
その地形は、今もなお変動しつつあります。バイカル湖では、年間2,000回もの微弱な地震が発生し、湖の幅は1年で2センチメートルずつ広がりつつあります。
このようなプロセスが、いつどのように始まったかは未だ論争中ですが、一つ確実に言えるのは、それは太古の昔だということです。一般的な湖は、せいぜい2万年前にできたものがほとんどですが、バイカル湖はそれをはるかに上回り、少なくとも2,500万年前にはできていたとされています。
これまで研究者たちは、バイカル湖を調べることにより、太古をより詳しく知ることができました。例えば、堆積物に含まれた花粉の種類を分析することにより、1万年前にどんな植物が繁茂していたかがわかりました。また、500万年以上昔の中新世に生きた、海綿や古代のオウム、小型の哺乳類などの、さまざまな化石も発見されています。バイカル湖は、古代から変わらぬ姿を保ち続けているのです。
現在のバイカル湖にも、興味深い生き物が数多く生息しています。バイカル湖には、非常に変わった動植物が集まっています。その多くは、地球上のどの場所でも見ることはできません。このような多様性が維持されたのは、湖に熱水噴出孔があるためです。
熱水噴出孔では、湖の冷たい水が、地殻の割れ目から内部へ入り込み、表層からはるかに深くマグマに近づいてその熱に熱せられ、豊かなミネラルを含有した熱水となり噴出しています。バイカル湖は、湖底にこのような地質構造を持つ、世界でも類を見ない湖なのです。熱水噴出孔は、通常であれば海底で多く見られるもので、バイカル湖の生態系がユニークなのは、この熱水噴出孔のおかげなのです。
バイカル湖では、熱水噴出孔周辺の温かな水とミネラルが、日光を見ることなく生きる、数多くの不思議な生物たちの生態を支えています。研究者たちは、巨大な微生物マットや海綿、カサガイ類、魚類、小型のエビに似た端脚類などが、湖底に生息しているのを発見しています。こういった生物は、竜とは似ても似つかない生き物ですが、真暗闇に適応し、何千水柱メートルもの湖水の水圧と、冷たい水温に耐えて生きているのです。
極限の水深でも、酸素の含有率が非常に高いことも、湖の生物群が生きる支えとなっています。湖面から湖底、湖底から湖面へと流れるプロセスの対流が起こるため、酸素は少なくとも湖の一部分では循環しているようです。
このプロセスは、熱水噴出孔や風、湖水の濃度、塩分濃度など、さまざまな要因に影響を受けます。水棲動物もまた、生きていくには酸素が必要であり、酸素濃度が高いことは、生物が繁栄することに大いに役立っているのです。
また、高い酸素濃度は、生物の巨大化にもつながります。例えば、バイカル湖の端脚類は、その350種以上が平均より遥かに大きな体躯を誇り、恐らくそれは、高い酸素濃度に起因すると考えられています。
バイカル湖は、地球上でも最も多様性を誇る地域ですが、それは水中だけの話ではありません。湖面に顔を出して息継ぎをしてみてください。湖岸にバイカルアザラシが寝そべっている様を見ることができます。
バイカルアザラシは、世界でも唯一の淡水に生息するアザラシであり、この愛くるしく、見事に丸々と太った生き物の生息数は、約10万頭ほどと推定されています。
バイカル湖は、海から何百キロメートルも離れているため、バイカルアザラシがどうやってここに住み着くようになったかは謎のままです。いずれにせよ、こうしてバイカル湖で暮らしてくれるようになったのは、うれしいことですよね。
ところが、バイカルアザラシがこのまま生息し続けられるかというと、そうでもないようです。世界の他の場所と同様、バイカル湖やそこで生きる素晴らしい生き物たちも、環境汚染や気候変動の脅威にさらされています。過去70年間で、バイカル湖の気温は1.2℃上昇し、2100年までには、湖面の水温はさらに4.5℃上昇するものと見られています。
このような温暖化と環境汚染は、湖面の大規模な「藻類ブルーム」の発生要因だと考えられています。「藻類ブルーム」とは、魚類や甲殻類にとって有害な、藻類の大発生です。
また、春に氷上で繁殖と出産を迎えるバイカルアザラシにとって、解氷時期が早まることも非常に困った事態です。湖水の水温が上昇すると、水中の酸素は枯渇し、深部で生息する端脚類その他の水棲生物が死滅します。
バイカル湖は、生物多様性と美しい自然の宝庫ですが、人類が今の道を歩む限り、その姿を保つことはできません。うれしいことに、人類がこの物語をハッピーエンドにできる時間的余裕は、まだあります。
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