2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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安藤哲也氏(以下、安藤):みなさん、こんにちは。ライフシフト・ジャパン代表の安藤といいます。今回、WASEDA NEOさんにこのようなセミナーの機会をいただきましたことに感謝しております。本当にありがとうございました。
新聞をめくると、毎日「人生100年時代」というフレーズを見つけます。それを見るたびに、僕もそうですが、なんかモヤモヤしちゃうというか。100年と言われても想像つかないよな、というような。
今は働いていて毎月お金が入ってきますが、そのお金のことや健康のことなど、いろいろと考えたりもしました。
でも、その一方でやっぱり、どうせ100年もあるのなら楽しみたいと思ったりもします。だから、みなさんも一人ひとりが、今モヤモヤしていたり、とはいえ、なにをすればいいのかわからない、といったところなのでしょう。
今日の僕がお伝えしたいのは正解ではなく、一つの心の持ちようといいますか、これからステップアップしていくための、なにかしらのヒントになれればと思っています。
今日は、人生100年時代がどういうものなのか、どういった時代なのかについて、まずはお伝えしていきたいと思います。レジュメにもありますが、今、世の中でいろいろな変化が起きています。
パラダイムシフトが起きているといわれていますが、これはどのようなことかというと、やはり人口減少と少子高齢化です。私は子育て支援もやっていますが、この世界にも稀に見る超少子高齢化社会の日本に、世界中が注目しているという状況になっています。
あと、介護の問題も入ってきます。そして一方で、社会システム的には、年金や医療制度が崩壊しかけています。その背景にあるのは、やっぱり健康寿命が延びているということです。また最近は地震も多いですが、気候の変動といったことも、おそらく人間の健康に関わってくる問題ではないかと思っています。
職場に目を転ずると、終身雇用や定年制の見直しモードに入ってきていますし、やはり生産年齢人口が減って労働力が不足してきたことから、必然的に、働き方改革ということが起きている。人材の再開発という部分でも、副業を解禁する企業が2割を超えている状況です。
そしてご存知のとおり、AIですね。人工知能やロボット。ファクトリーの中ではもうほとんど(ロボット)が動いているという状況の中、ややもするとこれまで人間がやっていた仕事はAIやロボットに奪われていくのではないかと。しかし、これはある種、合理的な働き方改革になっていくはずなので、その点について僕自身はあまり懸念はありません。
つまり、今までやっていたことで、AIで済むものはAIにやってもらえればいいわけです。そして人間は、AIにできないことをやっていく。そうしたある種の感情的な労働といった部分でも、人間としての特徴は出てくるのではないかと思います。
僕は、AIという言葉がいつも「アイ」に見えちゃうんですね。AIには愛があるんだから、決して敵対する関係ではないのではないかと(笑)。そう単純に解釈をしております。
しかし、子どもたちの世代に目を向けると、今後2020年から教育改革がはじまっていきます。我々がまったく受けたことのない教育を、これからの子どもたちは受けていく。その国の方針として、こうした人材を育てていこう、ということから教育改革が進んでいくそうです。僕らはね、「1192 (いい国)つくろう鎌倉幕府」という、それだけを覚えていたような気がしますが(笑)。
これからはもう、そんなことは別に人間が覚える必要はなく、課題や困難に向き合ったときにどのように克服していくのか。そうした人間力のようなものをどうつくっていくかという教育に変わっていくと思います。
僕にも小学生の子どもがいるので、1人の保護者としても関心が高い分野ですね。それも子どもたちだけの課題ではなく、我々社会に出ている大人たちも学びなおしといいいますか、リカレント教育といったものが必要になってくる。それ(学び直し)をした人が、ライフシフトというか、100年時代を楽しく生きられるのではないかと思ったりもします。
最後に、世の中では多様性の尊重と言われています。ダイバーシティはすでに起きていますので、これからはインクルージョン。そちらのほうに、もっとどんどん進んでいかざるを得ない。とくに企業で働く人たちも、このD&I(diversity and inclusion)を避けて通れないと思っています。
こうした状況と世の中の変化のうえに、この「人生100年時代」というキーワードが出てきているのです。すでにこれをテーマにしたいろんな書物がたくさん発売されています。みなさんはなにか読まれていますでしょうか?
1番売れている本は、このリンダ・グラットンさんの『LIFE SHIFT』です。この本では、やはり誰しも高齢化社会において100年時代を意識しなくてはならなくなってきたということ(が書かれています)。
一人ひとりにマルチステージな人生の再設計とライフデザインの再構築を求められているのではないだろうか? ということを投げかけています。
この真ん中のグラフは、国立社会保障人口問題研究所のコンピュータがはじき出している、日本の未来の姿です。今から42年後の2060年。どうですかみなさん、今のご自身の年齢にプラス42歳をオンしてみてください。いったい何歳になっているのか。
ほとんどの方が、いわゆるこのジェネレーションのグラフの75歳以上のレッドゾーンにいらっしゃるのではないかと思います。僕も今55歳なので、97歳ですね。でも、このグラフで1番注目すべきなのは、100歳以上も実は20万人も生きている設定になっているのですよね。
女性が7割、8割くらいかな。でもやっぱり、社会保障の問題がこれで深刻になるといわれています。(グラフの)1番下にいくと、子どもの数が3分の1にもなってしまう。今でもすでに、戦後生まれの団塊の世代から3分の1になっちゃっているのですが、またそこから3分の1に減っていくということですね。減れば減ったで、電車がすく、渋滞がなくなる、あと受験がなくなりますよね、たぶん。
そういうメリットが実はあるのですが、逆に我々が働かないで社会保障にあずかる部分としては、非常に困難な時代になっていく。つまり、今年日本で生まれた赤ちゃんが42歳(になる)という、1番働き盛りのときに、消費税率も今より高くなっているだろうとよくいわれています。また社会保険料も今より多く払わないと、こんなにたくさんいる我々をとても支えきれない。
今は我々が(高齢者を)支えているのですが、今は3人で1人の高齢者を支えている、騎馬戦型と言われていますよね。かつて人口が増えていた時代は胴上げ型と言いました。野球で優勝すると監督を25人が胴上げするもので、25人で1人を支えていたから、そんなに負担はなかった。
でも、今はもうすでに3人に1人の騎馬戦。そして40年後のこの時代は肩車型と言われていて、1人の若者が1人の高齢者を支える。僕らはその上に乗っかっているというわけです。そうした立場になってくるということですね。
僕は40代前半までは、楽天という会社で、あるEC事業の責任者をやっていました。六本木ヒルズ時代ですね。毎日売り上げのグラフを見ながら「お、今日は2,000万円売れたぜ!」「3,000万円売ったよ!」などと言って(笑)。マネーゲームをやっていたのですね。でも、このグラフやいろんな情報に接することで、「これはやばいな」と。「ここでマネーゲームをやっている場合じゃないな」と思いました。
当時の僕は子どもが生まれてパパになり、共働きの家族として夫婦2人でやってきたのですが、今日みたいに暑いと、子どもが夏風邪をひいたりします。そうしたときにママばっかり会社を休んでいる。こういう役割分担はよくないんじゃないかと。
自分も「育児をやりたい」と思っても、当時はやっぱり、職場ではまだそれが容認されていなかった。休まないで長時間働く男性だけが重宝される文化。でも、それはおかしいと思っていました。
また、今はけっこう付いていますが、こうした商業施設にも、男性のトイレにおむつ交換台がなかった。だから僕は、娘と2人でデパートに出かけると、当時は便器のふたの上に娘を置いておむつを替えていました。今から19年ぐらい前のことです。
それで1回、(娘を床に)落っことしてしまったことがあって(笑)。それがすごくショックで(笑)。どうして日本のこうした施設は父親の育児に不寛容なのだと。職場も同様です。「これはおかしいよ」と思い、いろいろなヨーロッパの子育ての本などを読むと、男性が当たり前に育児休業を取っている国がいっぱいある。社会もそれを容認している。絶対に日本もそうなるべきだと。
そうすることで、子どもが生まれ育てやすい社会になると、このグラフの裾野も広がっていくのではないかという期待を込めて、44歳で楽天を辞めて、ファザーリング・ジャパンという日本初の父親支援のNPO団体をつくりました。
どうですか、みなさんこのグラフ。不気味でしょ? これをずっと見ていて、なにかに似ているなと思ったら、『ムンクの叫び』にそっくりだったのです(笑)。
(会場笑)
安藤:「ムンク型社会の到来」と名付けて今、本を1冊書いていますが(笑)。つまり、子育て支援や少子化対策、働き方改革などがこのままうまくいかずにコケるとこうなっちゃうんですよ。ここは……あ、どうぞ。
参加者:質問してもいいですか? その外国からの労働者流入などがあっても、そのかたち(ムンク型)が……。
安藤:それは入っていませんね。だから、移民の政策が進めば多少は変わってくるとは思います。でも、まだ日本ではなかなかその議論にすら入っていないので、時間がかかると思いますね。そうなんです、だからこのまま我々がなにもしないでいると、子どもたちに『ムンクの叫び』のような社会を残してしまうことになると。
あの作品のテーマは、怒りと抑圧、漠たる不安など、ムンクの少年時代のモヤモヤが全部出ていると言われています。これ(ムンク型社会の到来)は、今生きているすべての大人の責任なのではないかと思っています。
子どもたち(について)も、このように書いてあります。日本人で今の小学5年生より下の子たちは、半分が107歳まで生きると書いてあるのですね。これはやっぱり、医療やいろんなテクノロジーが増えているからだと思います。
「人生100年を再構築、リデザインしようよ」ということなのです。これまでは3ステージ制というライフのかたちがありました。22年間教育を受けて、そのあと就職して、60〜65歳まで1社で働いて定年になって、その後、80歳ぐらいで亡くなるというコースでした。
これからはマルチステージ。(スライドを指して)この辺りはあまり変わりませんが、働いている間にいろんなスタイルというか、やり方が出てきたと言われています。
僕自身も9回も転職していますから、ここに入っちゃうのですが。今はフリーランスや副業といった、いろんなかたちも出てきています。それぞれの生き方と働き方の中で1番ベストなものを、自分で選択していかなければいけない時代になってきたのです。
老後もどこまでいくかわかりませんが、ファーストキャリアだけではなく、セカンドキャリア。サードキャリアといいますか、第3のキャリアパスのようなものが、おそらくこれから必要になってくるのではないかと言われています。
さっきのこれに戻ると、やっぱり社会保障の問題がありますから、年金はあまり当てにならないという前提です。現役時代にどれだけ貯めているかということもあるのですが、80歳を越えても少しは稼げるような力が、とても重要になってくるのだろうと(思います)。
とくに老後の3大危険因子というものがあります。1つはやっぱり金ですね。2つ目が健康。そして3つ目は、これは案外みなさん気付いていませんが、孤独。とくに男性です。日本人の男性は、現役時代にまったく地域に関わってない人がほとんどです。
そう(定年退職することに)なったときに、最近『終わった人』という映画もやっていましたが、ああした状態になっていく危険性がある。僕の父親も国家公務員でしたが、やっぱり地方から出てきてまったく友達もいない。ふるさとが自分の今の居場所であればいいのですが。
みなさんはどうですか? 今ご自分の生まれた町に住んでいますか? かなり違いますよね。住んでいる方ならいいと思いますが。そうなると、なにかそこでネットワークや無形資産のようなものをどうつくっていくかというのが、今は大事だと思っています。ですから、働くだけではなく、仕事以外にいろいろなステージを経験するといいのではないでしょうか。
まとめると、有形資産と無形資産のバランスを取っていくということです。有形資産のマイホームや現金といった資産は、ないよりあったほうがいいですが、今後はわかりませんよね。相続税が100パーセントになるかもしれない(笑)。持っていてもしょうがないというか、あの世まで持って行けませんからね。
こうしたものもいいのですが、その一方で無形資産。まず一つ目は、生産性資産。仕事のためのスキルや知識、人間関係など。あとは活力資産が二つ目。これはまさに健康。仲間、家族、愛情。それぞれの人の幸福感。デンマークでいうところのヒュッゲ(Hygee)のようなもので、前向きな気持ちにさせてくれる資産ということですね。
さらに、これはライフシフト・ジャパンが注目しているものですが、変身資産ですね。自分にいろんな能力や強みがあっても、それを活かしきれないと意味がありません。途中で新しいステージに移行できるような意志や能力が必要になってくると思います。
では、日本はライフシフトしやすい環境になっているかというと、これは実は社会制度の問題などもありまして。やっぱり日本は遅れているわけですよね。どうでしょう、あと20年ぐらい経っても高齢者などといわれたくないですよね、みなさんもたぶん(笑)。
それはなぜかというと、メディアから流れてくるネガティブな情報を真に受けてしまうからでもありますよね。「下流老人」など(という言葉)があるじゃないですか。ああいった番組(や書籍)を見ちゃうと、高齢者になったらもうあまりいいことはないんだ、というようなイメージを持ってしまうのです。
社会システムの中での課題の一つは、日本型雇用慣習の壁ですね。こんなに子どもの数、つまり労働者が減っていくのに、「新卒一括採用って有効なの?」「年功序列や終身雇用って意味ないんじゃないの?」「そもそも定年制は人からいわれて決めるものなの?」などなど。そのように今、モヤモヤや議論が出てきていると思います。
そうはいっても、企業社会の慣習はそんなに甘くないのです。長時間働いている人がまだ評価されているということもあります。「副業なんてうちの会社はまだまだ無理です」という会社もいっぱい知っています。あとは非正規の方やフリーランスに不利な制度もあります。
あとは、日本は解雇ができない仕組みになっているからこそ、雇用の流動性が低いともよく言われています。こういったことが、生産性の低さにもつながっていると言われています。キャリア教育の環境においても、日本はなかなか専門的職業教育が成熟しない。ライフシフトのためのリカレント教育、社会教育の時間が不足していると言われています。
そうした現状と課題を、僕はずっと感じていて、昨年、ライフシフト・ジャパンという会社を立ち上げました。我々が目指すものは、ライフシフトという概念と生き方を社会的に定着させていきたい。(人生)100年時代を、もっとマルチステージで自律的に生きて、楽しんで生きられる人たちを増やしていきたい。
やっぱり、ひとり一人がやりたいことができて、それで稼げて、ちゃんと人材もお金も回っていく世の中じゃないと、社会の活力が衰えていくいくことはわかりきっています。
その少なくなっている人たちが、仕事の生産性を120パーセントに上げたり、毎日の生活、仕事の中で達成感や自己肯定感を上げていくことが、僕はすごく大事だと思っています。そのために、それに対応した社会制度や雇用制度、人材教育の創造も図っていきたいと思います。
(スライドを指して)4番目はファザーリングジャパン的なものですが、100年ライフを主体的に肯定的に生きている、笑っている大人が増えることが、子どもたちもそれを見て未来への希望が見えてくるはず。我々(大人)に元気がないと、やっぱり下の世代もあまり明るいビジョンが持てない気がするんです。
大人たちが毎日をそれなりに楽しく暮らしていくということ。その姿を子どもたちが見て、「ああ、自分も早く大人になりたいな」と思う。お父さんみたいなカッコイイ仕事がしたい、お母さんみたいに輝いていたい。たぶんそう思うはずなので。
ただ、親子だけじゃなくて、子どもたちのまわりにいる大人たちもですよね。地域のおじさん、おばさん、学校の先生、塾の先生。あるいは電車に乗ってるときに出会う我々が下を向いて歩いていれば、「やっぱり大人になってもろくなことがないんだ」と思われてしまう。「会社員になってもつまんなそうだな」ということになってしまう。
だから僕は、パパ向けのセミナーでは、毎朝出てくるときに、「なんか会社行きたくないな」という吹き出しは出すなと。それを毎日子どもが見ているぞと(笑)。お父さんたちが仕事も子育てもがんばって人生を楽しんでいる姿を見せてくれ、と言っています。
ライフシフトもいろいろな考え方があっていいと思うのですが、ライフシフト・ジャパンのライフシフトの定義は、「自分の軸やオーナーシップを持って、自分の人生を選択できているかどうか」だと思っています。
自分の人生を自分で決めるなんて、当たり前なのですが、我々はあまりこうした教育を実は受けていなかったりもします。みんなと同じであることが良しとされ、周りばかりを見て流されてしまう生き方しかできない人が日本にはいっぱいいると思います。僕も20代まではそうでした。
(ライフシフト・ジャパンの)事業のコンセプト的には、やっぱりライフシフトをしたあとの楽しさを(つくり)出していきたいと思っています。
一人ひとりそれぞれのライフシフトがあると思いますが、我々は多様なライフシフトが上手くいくための足がかりとなるようなプラットフォームをつくって、いろいろなサポートをしていきたいと考えております。
1番大事な情報は、ロールモデルです。身近にそうした人がいて、その人からなにを学べるかだと思います。我々はこうした先駆者たちを「ライフシフター」と名付けて、1週間に1人、Webサイトにインタビューを掲載しています。
ライフシフターとは、まさに自分の基軸に合わせて人生を選択していく、(選択して)いこうという人たちのことですね。カテゴリーはいろいろあります。ライフシフト=(イコール)転職、独立、起業、副業、定年後などのイメージがすごく強いのですが、我々はそれはどの世代でもいろいろとあっていいと思っています。
主婦が自宅でリモートワークをすることも増えています。実家の家業を継ぐときでも、それをリメイクして新事業化するのもそうかもしれません。またはUターン、Iターン。あとはボランティア、プロボノなんていうのも小さなライフシフトかもしれません。
東京で働いていた人が定年後に地元に帰って、地元のベンチャー企業の役員になっているケースもけっこう出ていますね。あとは町おこし。こうした移住先でキャリアをシフトしていく生き方も、今後は流行ると思います。家族関係の中においても、いろんな節目があると思いますが、こうしたものもその人にとっての変化ですので、ライフシフトだろうと思います。
男性の育休取得もまだ珍しいので、自分にも職場にとってもインパクトのあるシフトだと思います。最近、不妊の方で里親になりたい、養子縁組をしたいという方も増えています。これもライフシフトですね。あと、一度病気をされたり、障がいを抱えた方でも、そこからの再生、自己の確立といったストーリーもあると思います。
みなさんのなかにもいろいろなカテゴリ、テーマがあると思いますが、その変化をうまくとらえて、それを楽しんだり、ある種のシフトのきっかけにしていただきたいということで、ライフシフターを毎週ご紹介しています。
今回は2人ほど(ライフシフターの事例を)持ってきました。現在55歳の手塚貴子さん。僕と同世代ですね。東京で会社員を務めながら起業も経験して、51歳で新潟に移住するんですよね。虫も嫌いだったのに、自分で食べる米をつくってみようと思って移住されたそうです。
編集能力の高い方で、新潟に行ってからつくる人と食べる人をつなぐメディアを自分で発行しています。移住から1年後に創刊したのです。その後、農家さんとのつながりが評価されて、新潟県の産業化プランナーになっています。現在はその仕事を中心に、地域の町おこしをやっていらっしゃる方です。
もう一方は、僕のパパ友なのですが 、坪井博一(つぼいひろかず)さん。今45歳かな?飲むとこの話が強く出てくるのですが、彼の20代はパッとしませんでした(笑)。なんとなく就職して、なんとなく働いて、なんとなく結婚して、離婚して。
その後も職を転々としている中で、今の家庭を築くのですが、職場が非常にブラックで、毎日終電まで残業、休日出勤も当たり前のような感じで健康を害し、モチベーションも低いままに日々を過ごしていました。
その頃に3.11(東日本大震災)がきて、もうこのままではいけないんじゃないかと。もう1回、自分で生き直しをしようと思って会社を辞めます。そのときに、自分が育児、家事を主体的にやるやりかたでやっていこうということをパートナーと話し合った。
現在は育児、家事をやりながら、PTA会長もやっているのですが(笑)、奥さんが外で働くというスタイルです。とくに地域の活動を一生懸命にやっていて、自分の子どもだけではなく、地域の子どもたちと接しています。僕もやっていますが、彼も小学校で読み聞かせの活動をしたり。それはすごく楽しいし、「ライフシフトして健康になった」と言っていますね。
ところでみなさん、人生100年時代といわれていますが、この100年は何時間あるのか知っていますか? お手元にスマホがあれば、計算機を立ち上げていただきたいのですが。どうでしょう、みなさん。24×365×100。はい、正解は、87万6千時間ですよね。
それでは、その87万6千時間から、残された時間を計算。自分の年齢から出してもらえますか? 24×365×ご自身の年齢。出ました? そこから87万6千を引いてみてもらえますか? ご自身の年齢のかけ算の数値から、87万6千時間を引くと、それがみなさんが100歳まで生きるときの残された時間です。
ちなみに僕の場合はすでに55歳なので、約39万時間ぐらいを使っちゃっているんですね。残りの3分の1は寝ているので(笑)。たぶん、実質的には23万時間ぐらいしかありません。
これを23万時間しかないじゃないかと嘆くよりも、「あ、なんだまだ23万時間もあるの?」と思えるかどうかだと思うんですよね。僕はわりと後者のほうなので、この23万時間をどうやって楽しみ尽くしてやろう? 毎朝起きて、そう考えるわけですよね。
でも、そう考えているあいだに、もうどんどん時間は過ぎていってしまう、ということだと思います。みなさんも、モヤモヤッとしたときに、自分の残された時間について考えてみるといいですね。
そうはいっても、人間はわからないですよね。来週死ぬかもしれないし(笑)。人生100年だからどうしたいというよりも、常に今を楽しむことが(大切です)。つまり、「100年どう生きますか?」と「今のあなたは満足していますか?」は同テーマだということです。僕自身は、今をとことん充実させて、いつ死んでも「自分の人生はおもしろかったな」と納得していられるような生き方をしていたいと考えています。
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