2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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海老原嗣生氏(以下、海老原):ねえ、佐渡島さん。
佐渡島庸平氏(以下、佐渡島):はい。
海老原:これはどう思いますか? 私の話を聞いてくださったと思うんですけど、最初になくなるのは知的熟練業務、熟練(が必要)だけど単純な業務、難しいだけの単純な業務。あとは、みんなが憧れている業務や、今、給与が高い業務。これらがなくなっていくというのは、社会として嬉しくない? その感想はどうですか?
佐渡島:いや、そうだと思います。だから弁護士、税理士、医者とかですかね。
海老原:じゃあ、長距離ドライバーもそこに入るわけでしょ? マーケッターも。
佐渡島:そうですね。そこで今、うちの会社で開発しているのは編集者の仕事をする機械でして……作品を読ませて感情曲線とかを出して、それで作家にどこを直せばいいかというアドバイスをやってもらおうと思っています。
海老原:そんなものが今、もうできているの?
佐渡島:英語だとほぼできています。日本語だとまだちょっと精度が悪いんですけど。それで今、作っています。
海老原:ひょっとして今日の喋りもそれ見て……。
(会場笑)
海老原:「こう喋ったらおもしろいだろ」とか。
佐渡島:それはもう、今日の……僕の喋りは基本的に全部、アドリブですけどね(笑)。でもまあそれで……。
海老原:それもね、今のも、ちゃんとシナリオだったんだよ。
佐渡島:(笑)。
(会場笑)
編集者がやるべきことは「作家がいつそれを言われるとスッと聞こうと思うか」を見抜くことだと思うんですよ。人って、基本的に(他)人の言うこと聞けないんで「どのタイミングで言われると聞くかな」っていうのを見たりとか。体調にも寄ったりするじゃないですか。情報の組み合わせは、その場にいる人間の方が得意かな、と思っています。
海老原:そうすると今は確かに編集者って必要ですけど、すき間労働の2050年ぐらいになると「今、喋んない方がいい。喋りかけない方がいいよ」ってこいつが言ってくるから……。
佐渡島:それもあり得ますよね。
海老原:そうなってくるでしょ?
佐渡島:そうなってきた時に、人間が何をしようと思うのかってことなんですが、白物家電がすごく発達してできた時間で何をしようと思うかって、結局、白物家電を作った人たちが予想したことは当たってないだろうなって思っていて。
僕、最近、カフェ マメヒコのオーナーの井川さんって人がすごく好きなんですけど、井川さんはカフェで劇をやっているんですね。それで、そこの劇は稽古でセリフを覚えるのをやめたんですよ。劇の下で全部カンペが出るんです。
なんでそうなったかというと、役者の人たちが練習の時にずーっとセリフ覚えているんです。それで(井川さんが)「俺らはセリフを覚えるマシンか」と。
海老原:天才だね。
佐渡島:「俺らは演技するためにやっているんだ」「セリフを覚えるために練習時間使うんだったら、お前らもうセリフなんか覚えんな」「俺が全部カンペを出す!」って。
海老原:まさに天才だね。
佐渡島:それで「まずはカンペがある中で、カンペを見てないように喋る練習をしろよ」と。
(会場笑)
佐渡島:それで「どういうふうにして感情表現をするのかって方に時間を使えよ」って言って今、劇をやっているんですよ。ある役者と会った時に「役者としてどういう点で成長したいんですか?」みたいなことを聞いたら、「セリフを自動的に記憶したい」と返ってきました。
結局、労力のほとんどをセリフを間違えないようにということに使っていて、どんな表情をするかについて考えている時間をつくるのが大変だと。
海老原:そういうことね。
佐渡島:だから、セリフなんかは役者の脳に自動的に入っているようになったら、役者の考えることが変わってきて、演技のあり方が変わる可能性だってあるわけですよ。
そんな形で編集者も、どうやったら作品がおもしろくなるか、みたいに物語の型を毎回思い出したりしていて、そういうところはそんなにフレームワーク化されてないから、それに対して一生懸命1日か2日かけて読み直したりして考えたりしているわけです。
基本的におもしろいかどうかなんて、ストーリーの流れは7パターンくらいしかないって言われていて、それに乗っかっているかどうかを考えるのは機械にやってもらっていますが、(機械が)それ以外のこと、ストーリーについて考えられるようになったら、何を考えるんだろうなと思いますね。
海老原:一般人はいつもね、こういう考えを聞いていて引っ張られるんですよ。それで、僕はここに胡散臭さを感じるんですよ。
佐渡島:(笑)。
(会場笑)
海老原:いや、佐渡島さんとか勝間さん(注: 著述家・評論家の勝間和代氏)とか、もしくはホリエモンとかのパターンはみんな一緒なんですよ。優秀な人を相手に話しているんですよ。
佐渡島:はい。
海老原:例えば、いわゆる私用じゃなくて雑務があるから95パーセントぐらいの人間は仕事があるのであって、それがなくなったからといって「はい! もっと高度なことを考えて」って言われても、95パーセントの人間は(仕事が)成り立たないんじゃないですか?
佐渡島:だから僕は、高度なことを考えるようになるとは思ってないんですよ。今は僕の編集という作業でいうと、そうだと思うんです。人間って感情でやり取りする動物なので。
海老原:はい。
佐渡島:今ってみんな、作業して忙しくなっているじゃないですか。猿の毛づくろいのように「好きだよ」「好きだよ」みたいなことだけを言い合っているような(笑)。仕事で(そういう)時間が増えてくるんじゃないかなと思いますね。
いろんなことを機械がやってくれていて、ただただ感情の交換をしているっていうので、その感情の交換が上手い人がビジネスも上手くいく。より感情のところにいろんなビジネスの可能性があるんじゃないかな。
海老原:でもなんとなくね、俺はちょっとうがった見方をしていて、その感情のやり取りをいつもGoogle homeが見ていて、Google homeがもっと上手く感情表現するようになってくるんじゃないの?(笑)。
佐渡島:それもあり得ると思いますね。『データの見えざる手』の(著者の)矢野(和男)さんの作っている機械って、今はカードみたいなのを首にぶら下げないといけないんですけど、例えば今、みなさんにそれをぶら下げといてもらったとするじゃないですか。
そうしたらみなさんは貧乏ゆすりしているわけでもないから、今、誰も自分が「揺れている」と思ってないでしょうけども、実際は全員が今、意識でないくらい小さく揺れているんですよ。
その揺れで、「僕の話を理解したつもりになっているか」だけじゃなくて、「どれぐらいわかっているか」が、現状の矢野さんのところの技術を使えばもう、ほぼ判定できるらしいんですよ。
海老原:はい。
佐渡島:だから、それを学校とかに導入しちゃえばあんまりわかってない人間だけあとで違うテキストを渡したりとか、そういうこともできたりするんです。
海老原:例えばそれ、私が喋ったのも、みんなが「あ、この人俺の(しゃべり)面白いと思ってくれていたんだ」とかそういうのもわかるわけでしょ?
佐渡島:わかります。
海老原:そうすると、みんながすごい良いと思った俺の喋りに関しては、Google Homeが「エビちゃんあれ良かったよ!」(って言ってくれて)。俺がGoogle Homeに褒めてもらうみたいな。
佐渡島:そうです。
海老原:「もっと褒めてもらいたいな、OK,Google」こんな感じのモチベーションになるの?
佐渡島:とかも起こり得ると思いますよ。そこらへんがどうなるのかな、っていうのは全体像を僕はあんまりイメージしてないですけどね。
海老原:本当に単に寝ているだけの……ちょっと待ってくださいね、僕はすごく差別的なことを言いますよ。いやそんなんではね、毛づくろいもしないでパチンコをやっているだけの人が増えるんじゃないですか?
佐渡島:それもあり得ると思います。VRを見ているだけというか。
海老原:そういう人?
佐渡島:はい。それもあり得ると思います。
海老原:だって簡単に仕事やって、儲かって、仕事も楽で、給与は倍もらえて、それで、早く帰ってこられたらなんかすごいことやろうとか、気持ちいいことを相手にしてあげようということをするより、単にVR見ているだけになっちゃうの?
佐渡島:どうなんですかね? 人間ってけっこう、暇すぎると「キャンプ行ってみよう」とか、「ゴルフ行ってみよう」とか思う人もいるじゃないですか。その時に人が何を思うかはわからないですね。
パチンコをやっている人って暇なんですけど、使えるお金とか、いろんな選択肢の情報がないから繰り返しちゃっているだけで、上手くサジェストされると、行動が変わる可能性もあるなって思いますけどね。
海老原:でも例えば、東日本大震災で仮設住宅に住んでいる人って、1人あたり月に28万円ぐらいのすごいお手当をもらえたりしているじゃないですか。家族だったら、すごい金額じゃないですか。
そして暇で、定年後の人って無限のような時間があるわけじゃないですか。それでもやるのは毎日同じルーティンだけ、儲かるのはパチンコ屋だけ、みたいな話をよく聞くじゃないですか。
佐渡島:それってなんか、先ほどの海老原さんが言った「OK,Google」みたいなものが……。
海老原:ないからだと思います。
佐渡島:そうです。むちゃくちゃ人間のことがわかっていたら、気持ちいいレベルアップができるような声がけをする可能性ってあると思うんですよ。
海老原:コーチングの話ですね。
佐渡島:そうです。今って、ハードルがすごく高いタイミングでしか声がかかってこないコーチングだから……。
海老原:そうだよね。
佐渡島:そうなんです。だから、みんな自分の習慣を変えられないんですけど、(AIが)こっちの状況をむちゃくちゃ把握しているともっと、こっちが「やらされてる」感じがしない、滑らかなサゼッションみたいなことが起きるんじゃないかなと思っていて。そう、RIZAPの何がすごいって……。
海老原:やる気にさせるのね?
佐渡島:そうです。痩せるRIZAP。結局「どうすると痩せるか」の知識って、そんなに難しい知識なわけじゃないんですよ。食べ物と筋トレの組み合わせ。
海老原:カロリーとか、うん。
佐渡島:どのコーチでも言えるんですけど、それを他人がやる気になるように言うっていうのが難しい。それで、RIZAPのトップコーチはそれがむちゃくちゃ上手いわけですよ。堀江(貴文)さんと話した時に言っていたのが、「RIZAPのやつと話していると、俺が『わかった。食うよ』って言っちゃうんだよ」だって。
海老原:ホリエモンさえも。
佐渡島:そう。「そんな言い方をされたら俺も食うかっていう感じになって、食って写真あげちゃうんだよな」って言って。機械がもっとそういうコーチングを上手くやっていくと、人の行動が変わるんじゃないかなと思いますね。
海老原:「ひょっとしたら佐渡島さんって、ずっと同じこと言っているのかな」って、一瞬思ったわけ。ドラゴン桜の中の教師たちっていうのはその役割が上手い人で、体操やりながらとか、リズムとりながらとか、全部そういう話だったんだよね?
佐渡島:そうですね。
海老原:だからみんな東大は入れるぐらいに育てていっちゃうわけなんですよね? 親と子どもの関係も、それを本当に上手いタイミングでコーチングして、やる気にさせればいいと。
佐渡島:そうですね。
海老原:こういう話ですか?
佐渡島:それが難しいんですよ。結局、人の状態ってわからない。それに、教える側も楽をしたくて、コントロールするようなことを言ってしまう。こっち側の事情での声がけをたくさんしてしまう。生徒側の事情じゃないことがほとんど。そこを我慢するのが、やっぱりすごく難しいですよね。
海老原:でも俺、佐渡島性善説にちょっとまた引き込まれそうだけど……。
佐渡島:はい(笑)。
(会場笑)
海老原:そこはもうちょっと引いて言いますよ。でもそれで、人間は何をやるんですか。小説を書くのもAIが上手い、音楽を作るのもAIが上手い、発明はAIがしちゃう、製造工程もAIが上手い。それで暇があって金もあったら、人間はコーチングされて何をやればいいんですか? 毛づくろいですか?
佐渡島:そう、ダラダラしてりゃいいんです。じゃあ、焚き火して、飯食って……。
(海老原氏、突然椅子ごと後ろに転倒)
佐渡島:うおおおお、大丈夫? 大丈夫ですか!?(笑)。
(騒然となりながらも会場笑)
海老原:痛かった。ちょっと怖いね。
(会場笑)
佐渡島:スローモーションに見えた(笑)。
海老原:やっぱり、コーチングしてほしいよね(笑)。手首がちょっと痺れちゃったもん。
海老原:それで、どうなんでしたっけ? そこからの話。焚き火しているだけでいい、寝ているだけでいい。
佐渡島:ゆっくり食事を作るとか。ギリシャ人(みたいな生活)じゃないですか。
海老原:でも、あれは本物かどうか……。
佐渡島:わかんないですけどね。
海老原:よく言われますけどね。共和政ローマとかね。
佐渡島:そうです。
海老原:でも、そうすると「先輩! その焚き火最高っすね!」とかGoogle Homeが言ってくるわけ? 「もっとこうしたら楽しいんじゃない? もっと燃え方きれいだよ!」とか言ってくるの?
佐渡島:どうなんですかね。それ(Google Home)を切っている楽しさみたいなのもあるでしょうしね。
海老原:例えば?
佐渡島:そのGoogle Homeがいないというか、スマホなしというか、AIなしで過ごすみたいな時間を楽しんでみて「うわあ、不便だね」って言って「そうだね~」みたいな。
海老原:やってみようか! 今日から2日間、携帯抜きとかで。
佐渡島:そうです。でも僕も今、パソコンのサイトで開いてあるやつに、3日間森の中に入って、携帯も預けないといけなくて、食糧も全部、獲りながら暮らさないといけないっていう旅行プランがあって。「これ、行ってみようかな」とか思ったりしているんです(笑)。
海老原:そうかあ。
佐渡島:(笑)。
海老原:恋愛はどうかって聞きます。そのAIロボットでアンドロイドがいて、自由に恋愛できるようになってくると、どう変わってくるんですかね?
佐渡島:どうなんですかね。お互いのコミュニケーションが、本当にスムーズになるかどうかですね。
海老原:スムーズになるように彼らはAIで進化していってるわけでしょ?
佐渡島:そういう気もするんですけど、そこはわからないです。コミュニケーション能力がどこまで上がりきるかですよね。機械とAIと自分の関係だったらいいんですけど、対人だと、別に常にそれを聞きながらやるわけではないじゃないですか。
海老原:はい。
佐渡島:だからやっぱり、摩擦は絶対に起きる。その摩擦にどれくらい強いのか、弱いのか、っていうのは正直ちょっと想像がつかないですね。
海老原:はい。
海老原:ねえ、師匠、ここはどう思います? 「熟練や技能や勘が必要な業務がどんどんAI化されて、人は熟練とか苦行とか苦役から解放されるけど、楽しみがなくなる」ってことに関してはどう思います?
佐渡島:別の苦労を買いに行くんじゃないんですか?
海老原:さっきの話ですな?
佐渡島:そうです。キャンプをしたりだとか。なんか変なルールを作ったりだとか。瓶の中で船を作るとか、訳がわからないじゃないですか。
海老原:わざとやっているね! ああいうやつは!
佐渡島:そうです。なんかそういう蟻塚みたいなのを作るっていうか、訳がわからない行為をする人が増えるんじゃないですかね。
海老原:そういうの好きな人って少なくないですか? でも、コレクターとかも「あんな苦労してあんなことやってお金かけて、馬鹿じゃないの?」と思うけど、そんなの世の中の2パーセントぐらいじゃないですか。
佐渡島:そうですよね。みんな、それを見つけられないですよね。
海老原:うん。
佐渡島:みんな、どうするんですかね? そういうふうなので、ある種、USJとかディズニーランドとかが遊び方を教えてくれているわけですからね。その「遊び方を教える」っていう職業が増えるだろうなとは思っているんですよ。
海老原:つまり、ただやっぱり何かしら、その時代のソリューションが必要になって、そのソリューションは職業になっていくと。
佐渡島:なっていくと思います。だからけっこう「遊び方の案内人」っていうのは、相当見込みのあるの職業になってくるだろうと。
海老原:これから10年でまず知的業務がなくなって、それと同時並行で職人業務がすき間労働化していくじゃないですか。その流れに間に合います? 僕は、けっこうな速さでなっていくと思うんですよ。コア業務だけなら簡単に置き換えられるから。
佐渡島:間に合うっていうのは何が?
海老原:いや、そういうなんていうんだろう、その……。
佐渡島:そういうのが生まれるのが、ですか?
海老原:そう、そういう余暇の過ごし方指導のような職業が生まれるのが。さっき言ったコーチングの職業とか。
佐渡島:そうですよね。何をもって善しとするか。その社会の大きい変化の中で、断絶期間が1、2年あってもいいんじゃないかなって僕は思っていますけどね。
海老原:わかりました! 少し時間がギリギリになってきたんですけど、ちょっと質問を受けませんか?
佐渡島:はい、そうしましょうか。
海老原:はい、質問したい人、どなたかいませんか? すごいんだよ、佐渡島さんは……。
スタッフ:はい、マイクあります。
海老原:はい、あそこの人。
質問者1:すみません、佐渡島さん、今の「新世代的な考え」をきちんと定義して教えてもらえますか? 「旧世代」と「新世代」って言葉について。
佐渡島:それは、インターネット的な思考かどうかってことです。「リンク」「フラット」「シェア」がわかっているかどうかっていうふうに。
質問者1:リンク……?
佐渡島:「リンク」「フラット」「シェア」です。
質問者1:「リンク」「フラット」「シェア」、はい。
佐渡島:世の中のいろんなことは繋がり合うようになっています。例えば今回の日大の件って、はじめは誰もどういうことが起きたか気づいてなかったけど、誰かが撮っていたビデオが(世に)出て1日後ぐらいに「これって大問題じゃないの?」という形で情報が拡散していったわけじゃないですか。
それでやっぱり、データが消えてなくなっていく世代の生き方の価値観と、全部が残っている世代の価値観ってずいぶん変わってきていて。上手く誤魔化す人たちが得する時代から、基本的に正直じゃない限りリスクでしかない、誠実じゃないのがリスクになってしまう時代へと変わってきているわけですね。
それで、上の人たちはやっぱり、権力を振りかざすといろんなことが誤魔化せて、通せるっていう気持ちがすごく残っている。「現代の情報処理の仕方をぜんぜん知らないな」って思いますよね。
「フラット」については、ネットの中では情報に対して全員が善悪(のさまざまな立場)で話して、いろんな価値観の人がフラットに意見を言えてしまうんだっていうことがわかっていなくて、「『自分たちの村』でのヒエラルキーで行動しちゃっているなあ」と思っていて。「フラット」の概念がないですよね。
質問者1:ありがとうございました。
佐渡島:はい。
海老原:他に誰か、質問あります? はい、どうぞ。
質問者2:ありがとうございました。佐渡島さんとしては、このAIが発達してどんどん仕事がなくなっちゃった場合に、生きていたとしたら編集の仕事を続けたいか、辞めて遊び回りたいかどっちだと思います?
佐渡島:何をもって「遊び回る」というかなんですけど。今、僕はずっと遊んでいるだけです。
(会場笑)
佐渡島:だから、海老さんに呼ばれたら来るし。
海老原:すみません。
佐渡島:いえいえ。僕はAIについてこういう会話って誰かとすることがないから、海老原さんと話すとそこが言語化される。僕は、いろんな自分の思考が言語化されることを面白いって思う。
海老原:だから?
佐渡島:基本的に僕は、ほぼ遊んでいるだけです。会社に勤めていた時はね、少しは会社の指示にも従っていましたが、基本、遊ぶように仕事してました。
海老原:俺なんてこれも必死に商売でやっているんですよ。
(会場笑)
佐渡島:本を売る、とか(笑)。
海老原:本を売る。他に誰かございます?
質問者3:すみません。質問なんですけど、子育てに関してです。
海老原:言うことが小さいなあ(笑)。
質問者3:小さいですか!? ご自身にお子さんいらっしゃれば、どのような子育てをしたいのかということと、やっぱり受験勉強はさせますか? というところをお聞きしたいです。
海老原:小さいな(笑)。
質問者3:小さくてすみません(笑)。
佐渡島:子どもは3人いるんですけど、7歳5歳2歳です。今、公文式をやらせています。ただ、受験はさせないですね。基本的に公立に行かせて、勝手にすりゃいいと思うし、別に高校も大学も行っても行かなくてもどっちでもいいと思っています。
ただ、子どもって強烈に「他人だな」って思いますね。まったく言うことを聞かないんで(笑)。なんか、社員とかが言うことを聞かなくても、なんか「まあそりゃそうだよな」って思うんですけど、子どもだと「もうちょっと言うことを聞いてくれよ」って思いながら育てていますね(笑)。
海老原:人に言うことは聞かせられないし、人はけっこう愛してくれるということは、子どもに教えてもらったんじゃないですか?
佐渡島:そうですね。
海老原:それだけで十分ですよね。
佐渡島:そうですね。子どもは本当に好き勝手に生きているなって思いますよね。
質問者3:ありがとうございます。
海老原:彼、真剣に聞いていますよね。
佐渡島:知り合いなんですか?
海老原:でも、僕の(話の)時、寝ていましたよ。
(会場笑)
海老原:でも、今日のことはかなり僕も勉強になったんですけど、佐渡島さんの話って、みなさん、どうでした? 「世代」ってもののことを「年代」って捉えちゃいけないじゃないですか。いわゆる「過去のやり方」を踏襲する人が古い人なんであって……ってことですよね?
佐渡島:そうですね。
海老原:過去の「上から怒鳴りつけりゃいいんだ」じゃなくて、「フラット」「リンク」「シェア」。
佐渡島:そうですね。例えば、僕の会社ってかなりフラットな仕組みにしているんですけど、入ってくる社員の方がヒエラルキーの考え方に馴染んでいるんですね。学校自体がヒエラルキーなので。なんか僕が「それ、違うんじゃないの?」って言ったら……。
海老原:「はい!」って。
佐渡島:「僕はこう思います」って言えばいいんだけど、すぐ「否定された」みたいな話になっちゃって。若いからといって、ぜんぜん「インターネット的な生き方」ができているわけではないですね。
海老原:世代じゃなくて……。
佐渡島:世代じゃないです。
海老原:旧弊に浸かっているかどうかね。
佐渡島:そうです。だから、うちのインターンが、いろんな仕事をするのに全部パソコンでやっているんですよ。それで「俺がパソコンでやるのはいいけど、お前はスマホ以外使うなよ」っていう話をしていて。
「今の時代、情報処理は全部スマホなんだから、全部スマホで動画撮って、それが編集できるアプリを探してきて、情報も全部、例えば口で言うとか、スマホ以外使わない生き方をして、教えてくれよ」って言っても、「いや僕もう、パソコンじゃないと何もできないです」とか言ったりするんです。
海老原:え? それはメモだったら「手書きで写メを撮る」でもいいんですよね?
佐渡島:でも、基本的に情報処理は全部スマホでやってほしいですね。そうすることによって感覚がどうなるのか教えてほしいんですよ。
海老原: それは高圧的な上からの命令じゃないんですか?
(会場笑)
佐渡島:それは、そうですね(笑)。
海老原:佐渡さんの会社見てると確かにそうなのよ。あのね、佐渡さんが意見してるわけなの。意見交換しようとして「ちょっと違うんじゃないの?」って言ってんのに、「ははーっ」になっちゃうんだよね。
佐渡島:そうですね。
海老原:それはちょっと旧態依然って言うの?
佐渡島:そうですね。なんでも意見言い合えるっていう感覚を持ってる人がいないっすね。
海老原:フラットでも、シェアでも、リンクでもなくなっちゃうんだよね。その瞬間に。
佐渡島:そうです。
海老原:この人は、相手に言いたいことを言えばいいんだよね。
佐渡島:そうです。全員が言えばいいだけなんですよね。だから、今うちの会社ではとにかく「感じちゃいけない感情はない」っていうのをけっこう合言葉っぽくしてます。
海老原:はい。
佐渡島:「なんかイラっとしたらイラっとしたこと言えよ」って言うんだけど、なんか社長にイラっとしちゃいけないとかみんな思ってたりするから。
海老原:まあでも……なんとも言えないわ。
佐渡島:(笑)。
海老原:いや、なぜならば……いや、俺も自由な生き方してきたけど許してくれる会社だったからで、やっぱ世の中それじゃ生きてけないところたくさんあるんだと。日大のアメフト部みたいに。
佐渡島:まあそう……
海老原:あるんだと思うんですよね。
佐渡島:ただ今ネットの中だと、本当に自由になってきてますからね。
海老原:うん、確かにね。
佐渡島:それでも食えますよ。なんかうちの会社で、その最近辞めたやつが、すごい変わってるやつで、佐伯って名前なんですけど、自分大好きなんですよ。
海老原:わかったあいつね!
佐渡島:知ってます?
海老原:わかったわかった、変なやつね、あの。
佐渡島:はい。
海老原:あのなんとかバー、わかったわかった。
佐渡島:エロデューサー、猥談バーっていうやつで。
海老原:エロデューサー、わかったわかった。
佐渡島:そいつ、自分の名前を呼ばれるのが好きで、みんなで飲んでた時に「サエキは、自分の会社作って株式会社サエキにして、社員が『サエキです!』って(電話に)出てたら嬉しいかもしんないね」って、飲み話で喋ってたんですよ。
それでサエキに「そういうふうに言ってたんだけど、お前、株式会社サエキって作ってみたら?」とかって冗談で言ったら「それマジいいっすね!」とか言って。それを月曜に話したんですけど、金曜日に「会社辞めます!」って言ってきたんですよ(笑)。それで「株式会社サエキって作りたいっす」って言ってきて(笑)。
(会場笑)
海老原:それ言わなきゃよかったって思った?
佐渡島:いやいや、別にそれで辞めるんだったら「じゃあいいよ」みたいな感じで。それで辞めることになって、それで「いや佐渡島さん、僕は自分とエロが好きです」と。まあで、ちょっとエロデューサーって名前で生きてみようと思いますって言って。それで今エロデューサーというのをやってて。
海老原:で、株式会社サエキ?
佐渡島:まだね「いやちょっと株式会社サエキはもう少し自信をつけてから。今はフリーランスで個人事業主でやるんですけど」とかって、今、個人事業主でやってるんですよ。
海老原:なんかこの人(司会の編集者)が「お時間だお時間だ」って言うんで、お時間だモード……すみません、こんな時間オーバーしてまで。
佐渡島:いえいえいえ、楽しかったです。
海老原:もうこれで質問は本当にいらないですね。すごいんだよ、何百万部も(のベストセラーを)作ってんだよ、この人は。
佐渡島:(笑)。
海老原:いいですか? じゃあ、今日は最後までご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
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