2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
The Problem with Bee Venom Therapy(全1記事)
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ところが近年、関節痛などの慢性的な痛みから解放されるべく、自ら進んで昆虫毒を注入したり、ハチに刺されたりする人が増えているというのです。
これは物議を醸すリスクの高い治療法ではありますが、いくつかの臨床研究が、ハチ毒療法、つまりハチ毒の医療的活用の有効性についての根拠を示しています。さらに、こういった有効性についての研究では、不治の病の治療法発見のブレークスルーに繋がる可能性が出てきているのです。
ハチ毒による療法、つまり「アピセラピー」は、古来存在していました。古代ギリシアの医師ヒポクラテスは、紀元前460年の昔から、ハチ針を治療に用いてきました。
ところでヒポクラテスは、女性が男性と性交渉を行わず、長く出産をしない期間が続けば、子宮が体内をさまよい、健康を損ねると考えていました。つまり、彼の説はあまり当てにはできないようですね。
今日ではアピセラピーは、代替医療を探す人々に支持を受けていますが、臨床試験で効果が裏付けられつつあることから、根拠に基づく医療からも注目を受けつつあります。
通常の場合、毒液はハチから採取され、鍼を用いて注入されます。ハチの一刺しを数千倍に希釈した毒の混合液が、一本一本の針から直接、皮膚に注入されます。より自然の状態に近い方法を選択する人もいます。つまり、実際にハチに刺されるのです。
いずれの手段にせよ、注入される毒液はミツバチ由来のものであり、強力な成分を含有しています。最も多く含まれるのがメリチンというたんぱく質です。
メリチンが他の化学成分と結合すると、刺し傷は焼けるような痛みと痒みを生じ、何時間もズキズキと痛み、ヒリヒリと赤く腫れ上がります。
痛みや腫れをもたらすハチの一刺しで注入される毒液が、痛みや腫れを軽減させるのは、通常であればなかなか信じられることではありません。しかし、実際に研究結果は出ています。
ハチ毒がもっとも有効とされるのは、自己炎症性疾患の治療です。自己炎症性疾患の条件下では、過剰反応としての炎症が、もっとも問題視されます。
炎症は、身体の免疫反応の一種です。感染を起こしたり、傷を負ったりすると、赤くて熱を持つ腫れが発生します。しかし反応が過剰だったり、誤った対象に反応したりする場合、慢性的な問題が発生することがあります。
不思議なことに、さまざまな研究結果によると、ハチ毒やメリチンそのものが、メリチン以外に起因する炎症を軽減することを示しています。例えば、メリチンは、炎症を起こす遺伝子を活性化させる主要な分子と直接結合して、これらの分子がDNAと結合することを防ぎます。
いくつかの研究でも、ハチ毒が人間に良い成果をもたらす可能性があることがわかってきました。例えば、複数の論文が、関節炎の特徴である、激痛を伴う腫れあがった関節が、ハチ毒療法により良転することを示しています。
韓国で実施された、ランダム化比較試験によれば、ハチ毒の鍼治療を受けた37人の患者について、サリン鍼治療を受けた32人の患者よりも、患部の関節の硬直や痛みが軽減したことが報告されています。これは、同様の条件による動物実験を裏付けています。
他にも少なからぬ研究が、ハチ毒療法で炎症を起因とする慢性痛が多数軽減されることを示しています。ハチの一刺しは、文字通り痛むので、試験に参加しているのは、大抵が長期間苦しんでいる患者です。
2017年に刊行された論文によりますと、背中の慢性痛を訴える患者54人にハチ毒治療を施したところ、サリン治療を受けた患者よりも、より症状が軽減されたことが報告されています。同様の成果が、2016年に実施された30人を対象とする、肩の慢性痛患者にも見られています。
いくつかの研究が、パーキンソン病のように、脳に炎症を起こしてニューロンを死滅させてしまう疾患である神経変性疾患に対し、ハチ毒による治療の可能性を示しています。2018年初の臨床試験は、ハチ毒の鍼治療により、73人の患者の症状が軽減したことを示しています。
これらの患者は、サリン治療を受けた患者よりも、歩行能力の向上、姿勢の安定、QOLの向上が見られました。動物実験で見られたように、ハチ毒により、有害な炎症が軽減され患者のニューロンが保護された可能性があります。
こういった例が将来有望とされる一方で、多くの医師が、ハチ毒療法を認めることができないとしています。個々の小規模な臨床医試験では、治療の有効性は立証できないからです。研究全般を総合的に見る必要があるのです。
2008年と2014年に刊行された論文では、過去に実施された、痛みと関節痛についてのハチ毒療法の個々の研究結果が分析されました。その結果、どちらのレビュー論文も、ハチ毒療法には研究全般として有効であると断言できるだけの証拠はないと結論づけました。これらの臨床試験は、実施期間があまりにも短すぎるなど、さまざまな欠点を有していたからです。
さらに、ハチ毒をその他の症例に用いる試みには、よい成果が出ていません。例えば、2005年に実施された、慢性炎症が神経にダメージを引き起こす症例である、多発性硬化症患者26人を対象とする臨床試験においては、患者に全く改善が見られませんでした。
さて、ハチ毒療法の有効性があまり確証を得られないのに対し、ハチ毒の毒性は非常によく研究されています。毒液を注入することにより生じる副作用は、痛み、疝痛、致死性のアレルギー反応など多数あります。
2015年のレビュー論文、及びに複数の研究に対するメタ分析によりますと、ハチ毒治療を施すことにより、患者に対し、痒みから死に至るまで、ハチ毒に対する幅広い有害な反応を引き起こすリスクを上昇させることがわかりました。
事実、20種の臨床試験に臨んだ397人のハチ毒療法を受けた患者のうち、148人に副作用が現れました。この患者たちは、事前のハチ毒アレルギーテストでは、陰性であったのにもかかわらずです。
つまり、ハチ毒療法は有効であるとはいえ、リスクを上回る利益をもたらすとは限らないのです。この治療を実用的なものにするには、リスクを軽減し、ハチ毒の治療的有効性をうまくコントロールする手段を見つけることが必須です。
このような問題が発生する原因の一つは、望まれる結果を出すのに必要とされるのが、ハチの毒液の一部分ないしほんの一種類の成分であったとしても、ほとんどの研究で利用されるのが、アレルゲンを含むハチの毒液を丸ごとだということです。
さらに、ほんの一握りの研究だけでは、ハチ毒の鍼を人体に注入する有効性を立証するのには不十分です。
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