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6 Weird Units of Measurement We're Still Using for Some Reason(全1記事)

バナナで放射線の被ばく量を測れる? 世界中にある珍しい測定単位6つ

長さを測るのは、メートルやインチ。面積を測るのは平方メートルやエーカー。あらゆる対象を測る単位は世界で統一されているかに見えますが、これ以外の単位が存在していることはご存知でしょうか? 今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」は、世界のさまざまな単位について。単位の背景にあるエピソードも交えて紹介します。

長さを測る単位「スムート」

オリビア・ゴードン氏:1958年、マサチューセッツ工科大学の新入生のオリバー・スムートが、ある橋の長さを測ることになりました。しかし、物差しや巻き尺を使うことを禁止されたので、自分自身を使って測ることにしました。

彼が橋の始まる部分に寝転がると、何人かの学生が彼の頭と足の位置に印をいれます。そして、彼は移動して寝転がります。

1時間半かけた結果、橋の長さは364.4スムート。プラスマイナスの誤差は彼の耳の長さでした。

測定は、エラーバー(注:データの変動性の図形描写)なしには意味をなさないからです。

ちなみに、これは約620メートルです。いまだにスムート単位に切り替えていない、少々遅れた国のみなさんのためにお伝えします。

もちろん、スムートは正式な単位ではありません。後日、スムートは米国国家規格協会の会長になり、アメリカ合衆国の国内における単位の標準化が彼の仕事となりました。

いまだに、一見風変りに見えるたくさんの単位が日常的に使われています。

仮に、みなさんが耳にしたことがないとしても、靴を履くたび、または、ダークマターに関する記事を読むたびに、この不可解な単位に関する恩恵を受けています。

農業から生まれた「ファーロング」

人々は、フランス革命のはるか前から、物事を測定してきており、メートル法はヨーロッパ全体に衝撃を与えました。

共通したなじみ深いものを使うのは、もっとも簡単な方法でしたので、当然ながら、多くの古い単位は、農業から生まれました。

その1つが、「ファーロング」です。1頭の牛が休むことなく耕すことができる土地の長さから始まりました。これはどうやら約200メートルほどだったようです。

しかし、世界共通の基準は存在しませんでした。すべての牛は同じではありません。つまり、異なる場所では、異なる長さのファーロングができてしまうのです。

現在では、ファーロングを耳にする機会はほとんどありません。唯一の例外が、競馬です。

ちなみに、馬の背の高さはいまだに、センチメートルやインチではなく、手を使った単位で表されます。疑問に思うみなさんにお応えすると、1ハンド(手)は、1フィート(足)の3分の1で、約10センチメートルです。

フィートを使う測定は、うまくいくと思うかもしれませんね。すくなくともアメリカ合衆国では。しかし、乗馬をする人々は、ハンド単位が便利だと思ったようです。

しかしながら、注意深くみると、ファーロング単位があらゆるところに隠れていることがわかります。ユタ州ソルトレイクシティの街区は1ファーロングで引かれています。

アメリカでは、土地をエーカーで測るのが一般的です。これは、ファーロングが変化した姿です。エーカーは、数頭の牛が一日で耕すことができる土地の面積として作られました。つまり、もともとエーカーは、長細い長方形でした。縦が1ファーロング、横幅が10分の1ファーロングです。

土地それぞれのファーロングの違いによって、大西洋のどちらかでエーカーの面積もわずかながら異なってきます。どちらも、4,000平方メートルと少しです。

エーカーはもともと長細い長方形でしたが、現在では、どのような形かに関わらず表現されます。そして、みなさんがエーカーを使うたびに、古代のファーロングの残り香を感じるのです。

靴のサイズ、実は「バーリーコーン」

みなさんは、靴のサイズについて不思議に思ったことはありますか?

サイズ9は、9センチメートルでも、9インチでも、9メートルでもありません。そして、サイズ9は、サイズ8より1インチ、または、1センチメートル長いというわけでもありません。

アメリカ合衆国やオーストラリアのような英語圏なら、「バーリーコーン」がその答えとなります。

生き物を使った測定がやや大きすぎたとき、人々は小さいもので測定を試みました。そして、イギリスでは、それをバーリーコーンに定めました。つまり、大麦の1粒です。

バーリーコーンは、約8.5ミリメートルです。おおよそ3分の1インチにあたります。

しかし、もともとは、正確に3分の1インチでした。なぜなら、1インチは、定義上は3バーリーコーンだったからです。

しかしながら、現在のインチは、最終的には光の速度を使って定義されており、バーリーコーンを使った測定は過去のものとなっています。

例外は、メッセージを受け取らなかった靴職人たちです。たとえ、実際はバーリーコーンを使わないとしても、靴のサイズは、いまだにこの古来の単位に基づいて作られています。

足をむずむず動かす余裕がどれほどあるか、サイズの始まる番号はいくつか、など細かく見ると、国によってさまざまなばらつきがあります。しかし、イギリス式システムでは、いずれにせよバーリーコーンを使います。

子ども用のサイズは、通常、サイズ0から始まります。11バーリーコーンにあたるかわいらしい小さな足です。そして、1サイズごとに1バーリーコーン長くなり、長さ24バーリーコーンまであります。これはサイズ13にあたります。この辺りから大人用のサイズが始まります。そして、1サイズごとに1バーリーコーン大きくなります。

世界には他のシステムも存在します。例えば、ヨーロッパサイズです。1サイズごとに、3分の2センチメートル大きくなります。イギリス式システムを使っているならば、靴がぴったり合うことをバーリーコーンに感謝するべきでしょう。

ある行動に伴うリスクを測る「マイクロモート」

「マイクロモート」は、1989年にロン・ハワードの論文によって提案されました。よく知られているロン・ハワード(注:『ダ・ヴィンチ・コード』などを手がけた映画監督)ではありません。

スタンフォード大学の教授である、ロナルド・エイ・ハワードです。彼は、ある行動に伴うリスクを正確に評価する方法を探していました。ハワードは、100万分の1の確率で死亡する場合を、1マイクロモートの危険性がある、と提案しました。

この番組で紹介する他の単位は、慣例や普遍定数を元に定義されています。しかし、マイクロモートは、これらと異なり、統計学によって定義されます。

これが意味するところは、マイクロモートで計算される数字は、時と共に変化するということです。

2000年に遡ると、アメリカ合衆国でのスカイダイビングは、1日の死亡率を11.9マイクロモート増加させました。なぜならこの年には、270万件のジャンプのうち、32件のスカイダイビングによる死亡事故が発生したからです。

しかし、2016年には、この数字は6.5マイクロモートまで減少します。なぜなら、この年には、2000年よりもスカイダイビングジャンプが多く、死亡事故が少なかったからです。

マイクロモートは場所によって変化する

この計算は、場所によっても変化します。一般的にいうと、マラソンを走ると、7マイクロモートの危険にさらさせます。しかし、大気汚染で息苦しい都市で走ると、この数字が上昇します。つまり、現在では、スカイダイビングよりもマラソンを走る方が、危険性が高いということです。

もし、みなさんがマイクロモートに興味があるならば、さまざまな行動のマイクロモートを計算したリストや表をオンライン上に見つけることができます。

マイクロモートは、死亡のリスクだけを評価するもので、怪我のリスクなどは評価することができません。しかし、それでも、みなさんの行動を決定するための情報を提供することができます。

例えば、多くの人が、サメが怖いからといって、海で泳ぐことを嫌がります。オーストラリアは、サメに襲われた件数がもっとも多い国の1つです。海で泳ぐことは、12.125マイクロモートのリスクとなります。

しかし、12.125マイクロモート中の12は、サメとはまったく関係がありません。この数字は溺れるリスクからきています。人々は溺れるかも、と心配することはあまりありません。しかし、サメに襲われるリスクよりも100倍も高いのです。サメから来る数字は、0.125で、これはカンガルーに襲われるリスクとほぼ同じです。

そして、オーストラリアでは、この2つを合わせた数字の方が、椅子に座っているリスクよりも少ないのです。つまり、椅子から落ちて死亡する可能性があるということです。

これは、ものごとを見る視点を変えてくれる出来事です。

短い時間を示す「ジフィ」

「ジフィ」は、実際の時間の単位として使用されていたということを、耳にしたことがあるかもしれません。「まさに秒のように」です。しかし、実際に起こったことはもっと複雑でした。

ジフィは、不特定の非常に短い期間として使われていました。「be back in a jiffy!(すぐに戻ってきます!)」のような使い方です。しかし、科学や工学では、たくさんの高速なものが存在します。異なる分野の人々が、この奇妙な響きの言葉を使って、高速なものを表現することに行きつきました。

物理学では、光の速度を好みます。そこで、1つの共通の定義としてよく耳にするのは、真空中で光が1センチメートル進むのにかかる時間を、ジフィとするものです。これは、約33ピコ秒、または33兆分の1秒にあたります。これは、間違いなく高速だと言えます。

しかし、33ピコ秒というのは、物理学のなかの唯一のジフィではありません。他の物理学者は、ジフィは100分の1秒だといいました。測定するのに使いやすい時間だからです。

他の人は、1兆分の1秒の3兆分の1だと定義しました。光が、およそ原子核の大きさを移動するのにかかる時間です。誰も標準化しようとしなかったため、それぞれの人が何について話しているかによります。

電気工学にも応用

そして、問題は物理学のみに留まりませんでした。電気工学では、光の速度よりも、電源の周期を重要視します。そこで、彼らはジフィを、電源の1周期の時間としました。

国によって電源の周期は異なります。アメリカ合衆国では、ジフィは1/60秒。ヨーロッパでは、1/50秒です。

さらに、コンピューターサイエンスでは、処理周期が重要となります。そこで、ジフィは、コンピューターが1つの計算を完了する時間とされます。

ジフィは、公式に使用される単位ではありません。そのため、このような混乱した状態でも大きな問題とはなりません。

しかし、もし、誰かが「be back in a jiffy!」と言ったなら、念のために物理学か、電気工学か、コンピューターサイエンスか、どのジフィを意味するのか聞いてみてください。

バナナで放射線の被ばく量を測る?

写真を撮る際には、バナナを目盛りとして含めるといいですね。

しかし、バナナはサイズを測定するためだけにあるのではありません。放射能の被ばく量を比較するのにも使われます。バナナ等価線量、または、 「BED(注:Banana Equivalent Doseの略称)」は、平均的なバナナに含まれる放射性原子から、どれくらいの放射線被曝を受けるのか測る単位です。

この放射線は、地球上にごく少量存在するカリウムで、カリウム40と呼ばれる元素に由来するものです。カリウム40は放射性崩壊を起こします。そのため、バナナを食べるということは、食べないことに比較すると、ごくわずかですが、電離放射線に晒されるということを意味します。

1BEDの電離放射線は、およそ1シーベルトの1,000万分の1に該当します。シーベルトは一般的に使われる放射線量を表す単位です。

1 BEDは、ごくわずかな量です。みなさんは、毎日、自然と約100BEDの放射線に晒されています。これは、石やレンガ、そして単純に外にでるだけで受ける量です。1日100BEDの被ばくはまったく害のない量です。なので、放射能を避けるためにバナナを食べないというのは、まったく意味のないことです。美味しいですからね。

1BEDはごく微量でまったく害がないとしても、さまざまな行為に伴うリスクを理解するのに有用です。

例えば、国際線に搭乗すると、約400BEDの被ばくに晒されます。

放射線治療に有用な単位?

そして、X線やマンモグラフィーなどの医療検査は、100から数万BEDになります。これは検査の内容によって変化します。

これらの数字は、頻繁に行わない限りは、比較的安全です。しかし、検査室の医療従事者たちは、しばしば鉛の防護壁を利用します。彼らはこの検査を常に行っているからです。

一方で、放射線治療は2,000万BEDになります。たしかに多い数値です。

とはいうものの、放射線治療の目的自体が細胞を殺すことです。そのため、放射線治療の多くは、放射能に晒される体の範囲をできる限り少なくしています。

ちなみに、致死量の放射線は、約1億BEDです。

BEDは使いやすく、ある意味面白い単位ですが、BEDは完璧ではありません。カリウム40は、すべての種類の電離放射線を出すわけではありません。異なる種類の放射線は、異なる影響を身体に及ぼします。加えて、放射能は、身体の内側と外側に異なった影響を与えます。

次回、誰かが放射能について話をしていたら、バナナに換算してみると、わかりやすいかもしれません。

ウラン核のサイズ「バーン」

原子爆弾や原子力は、どちらも、ウランなどの中性子による原子核の分裂の連鎖反応を利用しています。これによって、より多くの中性子を放出します。

みなさんが想像するように、最初の原子爆弾を作った科学者たちは、ただ中性子がどのように原子核に分裂するのかということだけに関心がありました。

彼らは、ウラン原子がいかに大きいか、いかに簡単に照射することができるか、ということを常に議論していました。そのため、彼らは、ウラン核のサイズに関する新しい単位を発明しました。

それが、「バーン」です。

この名前は、大きくてかさばるウラン原子を的に、核反応を起こすために粒子を照射することは、納屋の側面を的に当てることに似ている、という事実からきています。

名前が奇妙かどうかは置いておいて、核反応の断面積の単位として定まりました。1バーンは、このビデオの再生ボタンの1兆分の1の、1兆分の10にあたります。みなさんがパソコンでビデオを見ていると仮定するとですが。

原子核物理学者や原子物理学者たちは、いつも粒子が原子に当たるか、外れるか、反応するかということばかり議論しています。そのため、自然とバーンは良く使われています。

バーンは、知識の最先端ですら使われることがあります。

私たちは、いまだにダークマターが何であるか解明できていません。しかし、多くの人々は、ダークマターが時折、通常の物質である原子に変化することがあると考えています。私やみなさんが作られているものです。

そして、ダークマターが原子にぶつかる確率について語る際には、本物の物理学者が、本物の論文で、「ミリバーン」の単位を使用しています。

私たちの世界はとても奇妙です。しかし、これらの単位がいかに奇妙であっても、特定の物事について語るのを容易にしてくれます。これこそが、単位の存在意義なのです。

そして、このSciShowでは、ほぼ常にメートル単位を使うのに加えて、光年のような一般的に使われる変わり種の単位も使用します。なぜなら、世界中のほとんどの人々が理解できる単位だからです。

ひょっとしたら、ファーロングやバーリーコーンで何かを測定する必要がでてくるかもしれません。もしかしたら、スムートという可能性すらあります。

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