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The 7 Coolest Active Space Probes(全1記事)

宇宙を孤独に旅する7つの探査機の物語 彼らは“人類の夢”に応えることができるか?

まだ見ぬ地球外生命体にあてた地球からのメッセージが、今も宇宙のどこかを旅していることをご存知でしょうか。もしも宇宙人がそのメッセージを発見したら……とてもロマンのある話ですが、その可能性はすべて宇宙探査機「ボイジャー」に託されています。1977年に打ち上げられたボイジャーは、地球のメッセージを載せたまま、“未知との遭遇”を夢見て銀河をさまよい続けているのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、科学者たちの期待を載せて宇宙を旅し続ける7つの探査機をピックアップ。その役割と功績について解説します。

火星で14年動き続ける探査機「オポチュニティ」

マイケル・アランダ氏:1957年のスプートニク1号(世界初の人工衛星)を皮切りに、通信衛星、国際宇宙ステーション、ハッブル宇宙望遠鏡などたくさんのものが宇宙に飛び立ちました。これらは生涯、地球の軌道を回り続けているわけですが、もっと遠くへ旅立ったものもあります。

今日では、数えられないほどの宇宙探査機が存在し、1つのビデオにはまとめきれないほどのデータを送り続けています。どれがいいとは言えませんが、現在もっともクールだと言える7つの宇宙探査機を紹介しましょう。

オポチュニティ号は2004年に火星に到着しました。地球時間で92時間の活動予定でした。

古代の水の痕跡や、地球と火星はどちらも何十億年前は暖かく湿っていたのに現在の環境がこれほど違うのはなぜか、といったことを調査するものでした。

(オポチュニティが火星到着後)科学者は火星の土がオポチュニティのソーラーパネルに積もったことに気づき、バッテリーが切れると考えたのですが、そうはなりませんでした。オポチュニティ号は動き続けたのです。

当初のミッションの後も動き続けたので、宇宙機構はミッション延長を許可することができ、科学者はオポチュニティを使い続けることができました。エンジニアが有能だったということですね。

実は、現在行われているNASAのミッションの4分の3は延長されたものなのですが、オポチュニティは他のミッションと比べても際立っています。一度や二度の延長ではなく、10回も延長をしたからです。

その結果オポチュニティは、火星到着から14年経った今も、火星で継続的に運転を続けているのです。

これらの成功はまだ序の口です。オポチュニティはクレーターの中に着陸したのですが、その周囲の石を調べてみると、そこが古代の海だったことがわかりました。

火星の石を調べていくにつれ、オポチュニティとそのパートナーのスピリット(オポチュニティと共に火星に送られた無人探査機)は、実は火星の水はダイナミックな変遷を遂げていたことを発見したのです。ちなみに、スピリットは2010年に運転停止しています。

調査の結果、非常に塩分が濃い水もあれば、真水もあったことがわかりました。また、深い部分や浅い部分があることもわかったのです。

2005年には、火星の表面に隕石があることも判明しました。その隕石が火星にやってきた時は、火星はかなり湿っていて大気圏も厚かったことがわかっています。

このような発見はまだ続くことでしょう。コンピュータなどの部品が不調になっても、適宜調整しながらまだまだやっていける見込みです。

美しく恐ろしい木星の画像を撮影した「ジュノー」

2016年にジュノーが木星に到着した時は、とても盛り上がっていました。なぜならみんな、木星が好きだからです。

ジュノーの繊細な機器はあらゆることを可能にします。木星の磁場の大きさの計測、温度測定、カラフルに見える分子の調査、渦巻くガスの下にどれだけ石があるか、といったことです。これらにより、木星がどうやってできたかを知ることを目指しています。

今のところ、調子はまずまずといったところでしょう。例えば、木星の北半球と南半球に大きな違いを見つけました。引力や極のオーロラなどです。また、ジュノーの計測のおかげで、星の中心に熱やガスの流れを生み出すものがあるということもわかりました。

さらに驚くべき画像も送られています。木星の外層に渦巻く地球サイズのサイクロンです。

美しいということだけではなく、科学者にとっては時間とともに木星がどう変わったかを知る手がかりにもなっています。そしてそれは内部がそれらの変化にどう作用しているのかというヒントにもなるのです。

ジュノーの写真の撮影場所を選んでいるのは科学者だけではありません。みなさんのような一般のインターネット利用者も投票できます。そういった大多数による投票結果は、すでに写真として存在しています。

ジュノーの第1ミッションは2018年に終わる予定です。2021には木星に意図的に衝突します。なぜならこの方法だと衛星に衝突したり地球のものを汚染する心配がないからです。しかし過去の歴史を思い起こせば、ジュノーがこのままうまくいくと、数年延長されることもあるかもしれませんね。

太陽風を調べる探査機「ACE」

宇宙探査ミッションのなかには有名なものもありますが、まだ探査機ACE(Advanced Composition Explorer)を聞いたことがない人もいるでしょう。

ACEの最初のミッションは1997年に始まりました。太陽や星間空間からの高エネルギー荷電粒子を調査するために設計されたものでした。

そして15年経った今ももちろん、宇宙からデータを送り続けています。現在の軌道のまま2024年ごろまで活動可能です。

ACE最大のターゲットの1つが“太陽風”と呼ばれる太陽の表面から飛んでくる荷電粒子の一定の流れです。この太陽風が、太陽の表面や磁場からどう影響を受けるかという研究をしています。星の内部に関する私たちの理解を深めるものでもあります。

また、太陽風は太陽嵐が地球に到達する前に、研究者に警告を知らせるものでもあります。これらの粒子は衛生や人々に悪影響なので、国際宇宙ステーションの装備や宇宙飛行士を防御する時間を確保することができます。このおかげで、『ファンタスティック・フォー』みたいなことにならずに済むわけです。

ACEは、高エネルギー荷電粒子が星間空間のブラックホールや超新星爆発からやってきたのではないかという科学者の理解の助けにもなっています。太陽のコロナが表面より熱い理由の研究にも役立っています。

まだ完全に理解はされていないものの、より良い理解にはつながっています。今年の後半に、NASAはパーカー・ソーラー・プローブ(太陽のコロナの観測のための宇宙探査機)を打ち上げることでACEにさらなるデータを築こうとしています。結果としてコロナを網羅し、現在の謎を解き明かすことになるのかもしれません。

準惑星の調査を続ける「ドーン」

数ある探査機のなかでもドーンはよくやっています。史上初の準惑星の軌道を回る探査機であり、地球圏外の2つの対象の軌道を回るものでもあります。

2011年に小惑星ベスタに到着し、火星と木星の間の小惑星帯に1年滞在しました。そしてそのあと、同じ小惑星帯に存在するもう1つの準惑星ケレスに行きました。2016年に、ケレスに1年滞在したドーンは使用不可能になるはずでしたが、2年をかけた2つのミッションの後、まだ同じ場所で活動しており、データを送り続けています。

ベスタとケレスは太陽系が始まった時から存在しています。つまり太陽系の初期の頃に何が起こっていたのかなど、多くのことが学べるのです。この2つの小惑星の環境は非常に異なります。科学者はこれについて知りたがっています。

ドーンが最初に到着したベスタは、この小惑星帯では変わっています。3番目に大きい小惑星で、他のどの小惑星よりも密度が高く、光を反射します。

ドーンがベスタに行く前から、地球で見つかる隕石の16個に1個はベスタに非常に似ていることが知られていました。「この類似ははたして偶然なのか」ということについて科学者は考えていたのです。そしてドーンの到着後、この直感は正しかったことがわかります。

ベスタの表面を調査したところ、ベスタは長い時をかけて他の小惑星にぶつかられており、その破片のいくつかが地球に落ちてきていたのです。

さらにゴツゴツした準惑星のケレスでは、太陽系の天体のように、何十億年も前に海があったことが判明しました。ケレスを図面化し岩の密度を計測することにより、古代の水がまだ岩や表面下に残っていることがわかりました。それに加え、氷の火山や全有機炭素を含む分子がケレスにあることもわかったのです。これにより、有機分子が見つかった初の小惑星帯となりました。

具体的な時期は不明ですが、今年の後半にエンジンがなくなるまでにはケレスに最も近づくことができるので、新たな発見があるかもしれませんね。

一度は壊れた「ケプラー」

2009年、ケプラー探査機には1つの仕事が託されていました。それは10万ほどの星を対象にしており、そ軌道を公転する惑星が主星の手前を通るのを観察するというミッションです。

そうすることで星の光は遮断されるので、定期的に暗く見えることになります。何度かそれが起こった場合、研究者が星を特定して調べるのです。

過去9年の間に、ケプラーは3,000の太陽系外惑星を発見しています。そして判断待ちの星は2,000もあります。見つかったもののなかには、私たちが知っているものもたくさんあります。巨大な灼熱のガスや地球サイズの岩の星などです。まだまだ新しいものは発見されています。

2012年にミッション延長となったのですが、リアクションホイールによる第二次調査は数ヶ月後に失敗に終わりました。ミッションの初期にリアクションホイールを失ったわけですが、これが2つなければ望遠鏡が持続的に1点を見つめることができないのです。

数ヶ月の作業の末、ミッション中の科学者は太陽の圧力をケプラーを安定させるために利用する方法を見つけました。光の粒子が望遠鏡に当たると同時に、少しの圧力を加えて望遠鏡を固定し、壊れたリアクションホイールの代価としたのです。そして今、ケプラーは太陽の反対側のどこでも数ヶ月見つめることができます。

これは今K2ミッションと呼ばれています。機能しないのはリアクションホイールだけで、望遠鏡の画像やデータはミッション初期と変わらない性能なのです。

地球のメッセージを載せて旅する「ボイジャー」

カール・セーガン(アメリカの天文学者・SF作家)は「ボイジャーは人類の工学の勝利だ」と書きました。それは間違いではないでしょう。

1977年、ボイジャー1号と2号は数週間ごとに発射されました。それぞれが当時最高の機器と、地球のメッセージを込めた金色の銅製のレコードを搭載していました。エイリアンとの遭遇に備えて。

当初のミッションは木星と土星系を調査することで、これらは成功に終わりました。木星では新たな衛生と輪を見つけ、木星の惑星イオの活火山も偶然見つけることができました。

数年後、これらの調査は1990年ガリレオ調査やジュノー探査機の決定的な判断に関わることになったのです。

1980年、1981年と、ボイジャーは土星でも成功しています。輪を回る惑星を見つけたり、去年終わったカッシーニミッションの集合的情報にもなっています。もちろんこれらのミッションも延長されました。

ボイジャー1号は土星と惑星タイタンの重力を使い太陽系のてっぺんへ飛びました。9年後、あの有名なペイル・ブルー・ドットの写真を撮ったのです。これは60億キロメートルから撮影した地球の写真で、未来の宇宙飛行士や宇宙ファンをインスパイアしました。

その頃、ボイジャー2号は天王星と海王星を探索した史上初の探査機となりました。そしてこの2つの星で驚くべき発見をしました。天王星の雲の下に沸騰する水を見つけたり、海王星に大暗斑と呼ばれる巨大な嵐を見つけたのです。

それからというもの、ボイジャーは太陽系のスピードを超え、秒速16キロメートルで移動しています。今も放射能や磁場のデータを送り続けています。

過去数年の間に、太陽圏に関する直接的な調査も決定しました。星間空間の放射能に太陽の放射能が取って代わられる空間です。

しかし、これらは2025年頃に最終的に活動できなくなるため、永続的には続きません。2つのボイジャーは静かに銀河をさまよい、地球のメッセージが込められた10億年動く金のディスクとともに移動し続けます。

多分、本当にもしかしたら、誰かが見つけるかもしれませんね。数十年に及ぶ地球への信号も、地球からのメッセージになるのかもしれません。

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