2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
8 of the Worst Stinging Insects(全1記事)
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ステファン・チン氏:私は痛いことはあまり好きではありませんが、生物学的には痛みというものは非常に重要なものです。熱いストーブに手を置いてしまった、足を骨折してしまった、などの肉体に受けたダメージを脳に伝達する手段だからです。
痛みは非常に強力なシグナルであるがゆえに、これを利用すべく進化した動物はたくさんいますが、とくに悪名高いグループはアリ、ハチ、スズメバチなどといったハチ目の昆虫です。その多くは強烈な痛みを誘発する毒液で武装しています。
毒液の成分を分析すると、痛みのメカニズムについて多くのことを教えてくれます。しかし、毒液を研究するには、こういった虫に立ち向かっていく必要があります。ここに、ジャスティン・O・シュミットのような昆虫学者が登場します。
1984年以降、シュミットは、80以上の異なる種の虫に刺された痛みを、シュミット指数という痛みの指標に分類しました。指数は1から4にわたり、1はやや不快で、4は耐え難い激痛です。
当然のことながら、この数値は個人の経験則に過ぎません。しかしこの指数は、私たちが研究で得た成果が、昆虫毒についてきちんと合っていますし、他人が感じた刺痛に対しても対応できるものです。おそらくは、痛みの比較について、一番科学的なものと言えるでしょう。
では、シュミットが遭遇した、刺されたらもっとも痛い虫と、激痛の生化学についてお話ししていきましょう。SciShowリストの激痛バージョンです。どうぞ。
「ヒアリ」という名は「トフシアリ属」の一部を指す場合がありますが、アメリカ人であれば「アカヒアリ」を思い浮かべるはずです。
アカヒアリは中央・南アメリカ原産で、外来種として世界中を侵略しています。非常に攻撃的な性格の種で、在来種のアリと闘っても相手を圧倒する強力な針を持っています。ウサギの赤ん坊やふ化したてのウミガメなど、かわいらしい小動物も殺してしまうことも知られています。
痛みに関しては、個々のヒアリが刺したのであればたいしたことはありません。シュミットはこれを「1」と分類し「突然ちくっとする。少し驚く程度。ふかふかの絨毯の上を歩いてから電気のスイッチを入れた時のような感じ」としています。
しかし、ヒアリに関しては、たった1匹にしか刺されないことなどは、ほとんどありません。うっかりアリ塚に腰かけてしまったり、浮かんでいるヒアリの「筏」に触れてしまった経験者に聞いてみてください。ええ、そうですよ。ヒアリの筏です!
ヒアリは、女王アリを囲み、お互いのつるつるの体を組み合わせて、洪水を生き延びます。筏は、生きてもぞもぞと動く10万匹ものアリから成り、最初に触れる固いものを探します。「最初に触れる固い物」が、みなさんの足ないし尻であれば、何百匹ものアリにあっという間に刺されてしまいます。
ヒアリの毒の90パーセントは有機体もしくは炭素含有化合物のアルカロイドから成り、これには窒素も含有されています。ヒアリ毒に特有の毒素は、胡椒の辛味成分であるピぺリジンに構造が良く似ています。人間が胡椒の成分を体に注入する気が起きないのは、この成分が免疫シグナル分子の放出を促すので焼けるような痛がゆさを生じ、水疱ができるからです。
また、個々の刺し傷の痛みは「1」かもしれませんが、何百もが一緒になったそれは「少し驚く程度」では済みません。
さて次は、愛らしいハチである「セイヨウミツバチ」です。みなさんも大好きな「送粉者」ですね。どこにでもいる虫なので、ほとんどの人に実際に刺された経験があるはずです。
セイヨウミツバチの刺し傷は、地球上でもっとも痛いわけではありませんが、時に人の命を奪うことがあります。事実、ミツバチは、ヨーロッパ、北米、そしてオーストラリアで、他のどんな悪名高い動物よりも多くの人を殺しています。これらの場所でヘビ、サソリ、クモなどを合わせたよりも多くの人命を奪っているのは、ハチに刺されて起こるアレルギー反応です。
災難を被るのは、人を刺したハチも同じです。ハチの刺し針には小さな「返し」がついているため、ハチが飛び去ろうとしても、毒針と、これに付随する毒腺組織が取り残されてしまうのです。こうなると、ハチは死んでしまいます。
ミツバチに刺された痛みは、シュミットによるとわずか「2」で、「焼けるように痛み、痛烈だが、我慢できないほどではない」としています。これはおそらくアレルギーが無い場合のことでしょう。
焼けるような感覚は、小型のたんぱく質であるペプチドである「メリチン」からきており、これは毒素の総重量のうち40パーセントから60パーセントを占めています。メリチンは、温点と同じ受容器を刺激するため、神経はこれを焼けるように感じるのです。
メリチンはトウガラシの辛味を感じさせるカプサイシンとよく似た働きをします。どちらも、皮下に注入されると激しい痛みと炎症を起こします。こういったことは、皮下注射ボランティアによる人体実験により解明されました。科学への貢献ですね。
スズメバチにもいろいろありますが、「イエロー・ジャケット」の俗称で知られる、クロスズメバチ属の「ヨーロッパクロスズメバチ」は、社会性のある肉食のスズメバチです。ミツバチと並んで、世界各地でよく人が刺される昆虫であり、このリストが作られた理由でもあります。
シュミットによるランク付けは、ミツバチと同様わずか「2」です。シュミットは「焼けつく煙草を押し付けたような傍若無人な痛み」としています。どのスズメバチに刺されたかまではわかりませんが、イチャつくならよそでやってほしいものですね。
ミツバチとは異なり、スズメバチの毒針は滑らかなので、何度でも繰り返し刺すことができます。毒の総重量のうち90%以上を占めるのは、アンモニアに関連する有機化合物であるアミンです。
さらに、アレルギー反応を引き起こすヒスタミン、気分を調整する神経伝達物質でるセロトニンなども含みます。これらの化合物はどちらも、ヒトの免疫細胞と反応し炎症を引き起こしますし、痛みを感じる中枢システムにより受容されてしまいます。皮下や筋肉に注入されれば、痛みを引き起こすのは当然のことなのです。
ハチ毒のヒスタミンやセロトニンの含有量は、ハチの種により異なります。キイロスズメバチの毒の99.4パーセントはヒスタミンであり、一方でモンスズメバチの毒の98パーセントはセロトニンです。どちらも悪魔に刺されたような激痛を引き起こしますが、このリストの残りに比べればなんということはありません。
シュウカクアリは、穀倉と呼ばれる、地下の複数の大きな巣に、種を運び込む習性からその名がつけられました。アメリカ合衆国の南西部が原産です。
みなさんがシュウカクアリを一度も見たことがないのであれば、それはきっととてもいいことです。なぜなら、シュミットの指数はなんと「3」だからです。その痛みは「苛烈で絶え間なく続き」、「巻き爪に電気ドリルで穴を開けられているよう」であるとしています。
シュウカクアリの毒の作用についてはあまりわかっていませんが、シュミットによると、この毒で痛みを引き起こす原因である可能性が高いのはバルバトリジンという小さなペプチドです。
バルバトリジンは、人体内でメリチンによく似た働きをしますが、細胞を殺す能力がずっと高いのです。刺されるとハチよりもはるかに痛むのは、これが原因かもしれません。
また、シュウカクアリの毒には驚くほど高い殺傷力があります。強力な毒を持つ種の中でも、体重1キログラム重につきわずか0.12ミリグラム重の毒で、注入された動物の50%を死に至らしめるのは相当のものです。ほんの一垂らしで殺せる毒は、コブラのそれの恐ろしさにも匹敵します。理論上では、10ミリグラム以下の毒で標準的なヒトを死に至らしめます。
ヒトにとって幸運なことに、このアリは極めて小さいため、一度に注入できる毒の量は、ごくわずかで、1,000分の1ミリグラムであるミクログラムでいえば、25ミクログラム程度です。そのため、何百回も刺されない限り、死に至る可能性すら出ません。
アシナガバチの一種、red-headed paper waspは、中央・南アメリカが原産です。名前のとおり頭部は赤く、草の素材と唾液とをこねて、張り子のような紙状の巣を作ります。
シュミットによるとこのハチの指数は「3」で、「即時性で理不尽なまでに激しく、容赦がない痛み」とのことです。この種が持つ毒の成分に関する研究は途上ですが、同じ属目の仲間は、痛みを誘発するキニンという分子で武装しています。ですから、red-headed paper waspもまた、この毒を持っている可能性があります。
キニンはペプチドの一種であり、このリストの多くの毒の成分と同様に、炎症を起こす分子の1つです。痛みを感じる神経を刺激し、痛みを喚起します。ニューロンに直接働きかけるため、神経毒と呼ばれています。単体のスズメバチの場合、キニンは獲物を麻痺させるために使います。
しかし社会性スズメバチの場合、エサを捉えるには、通常は針ではなく強靭なアゴを用います。針は、ヒトのような哺乳類との防衛戦のためにとっておくのです。
一滴だけであれば、アシナガバチの毒は非常に弱いものです。ヒトが刺されて死ぬのは、群で襲われた時か、アレルギーがある場合のみです。しかし、アシナガバチには、強力な毒は必要ありません。
ほんの一刺しの痛みが、捕食者を撃退するには十分であり、ある意味、より効果的なのです。殺してしまえば、相手は学習しません。さらにアシナガバチの毒には、凶暴な致死性が無くとも、補ってあまりある痛さがあります。毒の痛みが激しいほど、攻撃を加える可能性のある相手は近づこうとはしませんし、攻撃したとしても後悔するはずです。
こうした戦略は、このリストで次に来る昆虫により、完成されます。ウォリアーワスプ、またの名をドラミングワスプは、やはりアメリカ原産で、大きなコロニーを作ります。名前が示すように、攻撃的なことで有名であり、巣に近づいた者へ奇妙な警告を与えます。
ウォリアーワスプが警戒すると、何百匹もが一斉に巣を引っ掻いて、ドラムを叩くような大きな音を立てます。同時にビートに合わせて羽をはためかせ、音に加えてなんとも不気味な光景を示威するのです。
こういった派手な警告を行う理由としては、ミツバチと同様にウォリアーワスプの針には返しがついていて、刺してしまえば腹部の一部を失うことになることが挙げられます。相手がドラムの音を聞くことにより近寄って来ないのであれば、その方がずっとよいのです。そんなコンサートには、絶対に行きたくはありませんからね。
ウォリアーワスプの一刺しは、たいへんな激痛です。シュミットはウォリアーワスプを、もっとも高い指数である「4」としています。彼はその一刺しを「拷問に等しい。活火山のマグマの中に鎖で拘束されているようだ」と描写しています。経験した痛みがあまりにも激しかったので、シュミットはリスト作成に着手したことに初めて疑問を抱いたそうです。
レベル4の激痛もさることながら、驚くべきはその持続性です。ウォリアーワスプの刺し傷は、なんと2時間も激痛が続きます。そのような仮借ない痛みを生じる原因は何であれ、安定性が高く人体を損なうものだと考えられます。
シュミットは、この痛みは、わずかに痛みの劣るペーパーワスプと同様、キニンが原因ではないかと考えていますが、その成分は正確にはわかっていません。研究者たちが、世界でもっとも苦痛を伴う毒素の分析に乗り気では無いことは、想像に難くありません。
オオベッコウバチ、別名タランチュラホークと聞くと、みなさんは巨大なクモか、クモを捕食する鳥を想像するかもしれません。しかしオオベッコウバチはそのいずれでもありません。ペプシス属に属するスズメバチの一種で、南北アメリカで見られます。
名前の由来はその大きさです。5センチにも至るその巨体は、昆虫というよりもむしろ鳥のように見えます。オオベッコウバチは、幼生にエサとしてタランチュラを与えます。この危険なエサを捕食するために、オオベッコウバチは多彩な進化を遂げています。
足はひょろ長く、大きくてのたうちまわるタランチュラでも、がっちりと掴めるようになっています。当然のことながら、獲物を制圧するために大量の毒を生成します。
オオベッコウバチの一刺しは、シュミットにレベル4の激痛を与えました。「目がくらむほど凶暴で、電気ショックを与えられたような痛み。入浴中の泡ぶろに、電源の入ったままのヘアドライヤーを投げ込まれたような激痛」
恐らくその原因は、毒に含まれる、目立って高い数値のアセチルコリンだと思われます。アセチルコリンは、神経で多く使われる物質で、ニューロン間や他の細胞とのシグナル伝達が主な役割です。基本的には活性化を促す神経伝達物質で、運動ニューロンと痛みを感じるニューロンを活性化させます。
つまり刺されれば痛いだけでなく、その付近の筋肉をはげしく収縮させるため、激痛と麻痺をもたらします。つまり、これがポイントなのです。オオベッコウバチの毒は獲物を麻痺させるためのものなのです。タランチュラは捕食に抵抗し、大抵は反撃してくるからです。
少なくも我々ヒトにとってはありがたいことに、オオベッコウバチの一刺しは長くは持続せず、数分間だけです。人体には、アセチルコリンを失活する機能がもともと備わっているからです。神経からアセチルコリンが放出されて受容された後に、残った余剰分を速やかに処分する必要があるためです。
もしこの機能がなければ、神経は繰り返し刺激を受けてしまいます。人体にはアセチルコリンエステラーゼという酵素が存在し、アセチルコリンを分解します。つまり、オオベッコウバチの毒を速やかに処理することが可能なのです。
クモにも毒の分解はできますが、身動きが取れるようになったころには戦いには負け、幼生のエサになっています。
最後にして最恐の、ダンガンアリをご紹介しましょう。この中南米原産のアリの名は、2から3センチメートルの体長が、弾丸サイズであることから来ているのではないかと、みなさんはお考えかもしれませんね。それは誤りです。その名の由来は、刺されたら最後、銃で撃たれたような激痛を伴うことから来ているのです。
当然のことながら、シュミットはダンガンアリをランク「4」に分類しています。指標のバージョンによっては、「4+」とされる場合もあります。
博士はその一刺しを「純粋で強烈にして明確な激痛。錆びた五寸釘をかかとに打ち込まれたまま、燃え盛る石炭の上を歩かされているかのよう」と描写しています。痛みに伴い、発熱、発汗、震え、部分的麻痺が生じます。
そして激痛は永遠に続きます。もしくは、永遠に続くように感じます。
ベネズエラ人は、24時間しつこく続く激痛を恐れ「オルミーガ・ベインティクアトロ」、つまり「24時間アリ」と呼びます。これは、毒の痛みを誘発する主な成分であるポネラトキシンが、非常に強力な神経毒であることが原因です。
ポネラトキシンは、神経が電気信号を送るナトリウムの経路を押し開くことにより、直接 神経を刺激します。そしてこれは1回では終わりません。何度もしつこく繰り返されます。
以上が、8種の激痛をもたらす刺す虫です。こういった虫をあえて研究してくれた科学者たちのおかげで、私たちは知識を得ています。
毒については、わからないことがまだたくさんありますが、痛みをもたらす成分を解明することにより、分子レベルでの人体の仕組みの多くを知ることができます。研究により慢性的な痛みをより詳しく知ることがでれば、新たな治療法が見つかるかもしれません。
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