2024.10.01
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『サブカル戦国時代突入!?〜けもフレからうつヌケまで!2017アニメ・漫画事件簿総点検!!』山田玲司のニコ論壇時評 1/2(全7記事)
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山田玲司氏(以下、山田):まず『ONE PIECE』の4億のやつですけど(注:全世界累計4億3000万部突破)。
乙君氏(以下、乙君):そこいきますか! 意外と。
山田:『ONE PIECE』のことあんまり詳しくないんで、わかんないんだけど。言ってみれば雑誌を中心とした漫画業界ってどういうふうにできているかっていう話って、けっこうデカいんだけど。
1つの雑誌もしくはグループ。ジャンプとかマガジンとかあって、その全体の中で何億円かかけて投資して漫画を世の中に出す。そのうちのほんの数本がミラクルヒットを出すという。そこで収益してまったく赤字になってしまったところを埋めていく。
つまり1人の作家が儲けたらどうなるかって言うと、1人の作家が儲けることによって、次の漫画が挑戦ができるというシステムだった。雑誌システムというのは。
このシステムがわかっていないと、単行本の印税ってだいたい10パーセントなんだよ。だから「俺が描いてるのにたった10パーセントかよ!」って怒るんだけど、それは違うんだよ。そのチャンスをもらうために先代が作ってくれたお金が投資してあるわけなの!
乙君:なるほどね。
山田:そうなの。俺の場合は『お~い!竜馬』とか、原(秀則)さんとかが『冬物語』とかで描いて儲けてくれた分で挑戦することができたわけ。
そして俺の代になってある程度ヒットしたら、今度はあとに続く奴らにチャンスが来るという。こういう巡りがあってさ。
山田:ジャンプは例えばロングセラーのものがあったりとかいくつかアホみたいに稼ぐから。だからこそ「お前誰なんだ?」って奴がデビューできるんだよ。
乙君:(笑)。
山田:ジャンプは本当になんのキャリアもない無名の奴を拾って花咲かせるってやつだから名前で出てるんじゃないんだよね。「お前なんかあるな」って、まだぜんぜん未完成なものだけど連載してる間に磨かれていっていけんじゃないかって。
乙君:あ~。
山田:しかもその間「俺たちはちゃんと面倒見るよ」っていうのが出版社だったんだよ。だからアシスタントの世話したり、住むところの世話したり、ネームができなかったら一緒にいつまでも考えるというようなことをして、世の中に出すっていうシステムがあったわけ。
でも、それもこれも全部誰かがヒット出してたからなんだよ。これがなくなった順番に漫画雑誌は消えますからね。どんどん。俺は思うんだけど、この船は宝船ですからね!
乙君:お~なるほど!
山田:もしかしたらですが、少年J最後の宝船かもしれないの。だからこの単行本の発売日にジャンプの売り場よりも広く単行本が積まれるわけじゃん。これのおかげで延命できている少年ジャンプでもあるわけだよ。こいつが沈んだときに、一緒に沈む可能性があるわけだよ。
乙君:確かにそうだ~。確かに!
山田:こいつがまだグランドラインに着く前に……あ、着いてんの? これ? わかんないけど(笑)。
乙君:もう新世界に入ってるんで。
山田:あ、そうなんだ。旅を終える前に次のこいつらが現れないと。
乙君:違うんですよ。これが出港して、いっぱいいろんな大ヒットが出たんですけど、ずっとこれが続いてるってだけなんですよ(笑)。
山田:でも異常だよ。
乙君:それをさらに引き継ぐ大ヒットが出ないと、ジャンプは沈むぞと。
山田:いなくなっても大丈夫なようになったときに安心できるんだけど、業界全体でも奇跡と言っていいような売上。だから「最後の宝船なんじゃねぇかな」と言って思い浮かぶのが、手塚治虫の最初のコミックス。
乙君:はい。
山田:『新宝島』だったね~。そういえば。
乙君:ちょっと、ちょっと!
山田:そうそう。最初も最後も宝船ですかみたいなね。
乙君:最後、手塚治虫のいるところに行くみたいなことで。
山田:そしたら最高だよな! 最後、新宝島に着いて終わったらいいよな!(笑)。ONE PIECE最終回っつって!
乙君:そうそう(笑)。
山田:手塚先生の漫画になるな(笑)。宴会終わるみたいな。最高だとは思います。
乙君:そんなメタな終わり方したらすごい。
山田:この互助会システムがけっこう大事だったのはみんな忘れてて、いよいよ雑誌が、さっき言ったようにまずエロから撤退していった。
どうやらコンビニの雑誌って50何パーセント返品されてるの知ってる? 要するに売れないで戻されちゃう。
乙君:半分以上が。へ~。
山田:そうすると、お店はほかのものを置いてたら売れてたかもしれないのに、ある一定期間けっこうな幅を取っていて人件費もかけて半分しか売れないで戻すんだったら「野菜置いたほうがいいんじゃねぇ?」とか。ほかにも置けるものがあるんじゃねぇかってなりかねないわけ。
乙君:あ~。うんうん。
山田:だから今、雑誌は瀬戸際なんだけど。奥野さん、さらにやばいことが。
山田:コンビニで漫画雑誌を買えなくなるとどうなるかと言うと、ヤンキー漫画がなくなりますよ。
乙君:……確かに。
山田:ヤンキー漫画を買う人は車乗ってますから。だからキオスクで買いませんから。地元のコンビニですから(笑)。
乙君:でもWebになるかもしれないじゃないですか。
山田:連中がそっちに行けばね。そういう意味ではWebの流れで雑誌が消えると。要するに紙の雑誌が……。
乙君:結局、両側からどんどん、どんどん。
山田:いよいよきてるなって感じがしますね。
山田:あと『るろうに剣心』の話ですけど。和月(伸宏)さんの話だけど。非常にいびつな話だなと思うね。
乙君:お、この話、初言及ですけど大丈夫ですか。
山田:例えばそういった幼児もののエロコンテンツがあることによって、人権侵害はもちろん起こるよね。これは表面的な問題ではなくてもっと深刻な深い問題だよね。
しっかりそこまでメスが入ってるんだったらいいよ。例えば海外における少女買春、日本が買いに行ってるとか。主におっさんたちがとか。そういうことに関しても全部つながってくる話じゃないの? って話なのね。
それでこの漫画家が持ってたデータの一部を云々かんぬん言うところで、彼自身を叩いて話が終わってしまうんだったら、そもそもが一体なんだったんだって話にならない?。
子どもの人権を守るっていうのは1番大事なことじゃん。それを守るんだったら、この人たちだけじゃないんじゃないの? って気がするし。もっと根本的な問題じゃないかっていう話なんだよね。
子どもを性の商品化するときに、外国でもやってるじゃないですか。そのお客さんになってる人はどうなんですかとかいう話も全部含めて、ちゃんと公平にやってもらいたいなっていうところがすごくあって。
ちょっと変だなぁ~って思うんだけど、このいびつさは生理的に考えてみんなわかるんだけど黙ってるでしょ? ここもまた恐ろしいなっていうね。とにかく腑に落ちないことばかりだね。
もちろん彼が正しいことやったとは言えないよ。だけどもうちょっと奥の部分でもっともっとヤバいことしてる人って山ほどいるんじゃないの。そこはどうなんですかって。
山田:例えば最近だと誰がレイプされたとかしてないだとか揉めてるじゃん。あれも非常によくわからないグレーなどんよりした感じになっててみたいなね。このへんが漫画家1人を吊るし上げて済む問題ではないんじゃないかなという気はするよね。
乙君:児童ポルノのそういうものの顧客リストにたまたまいたのが和月さんで。
山田:なんで名前挙げて、吊るし上げにするかね?
乙君:みんな言ってるけど、それを見せしめにして、ほかの犯罪を未然に防ぐっていうことは一応効果としてはあるんじゃないかなとは思いますね。
なんでこれが問題かと言うと、失礼を承知で言いますけど、これが江川達也さんだったら「そらそうだよな」って思うんですよ。あんだけいろんな変態的な世界観をお持ちで、そらそうだなと思うんだけど。
山田:ええ(笑)。
乙君:『るろ剣』っていうヒーローもので、なまじっか正義を語ってきた漫画を作ってきた人がそういう闇の部分を持ってるというのは、俺個人的にはすごくそれがいいなと思うんですけど。
乙君:だけど世間一般的に見ると説得力の問題というか、あのときずっと熱中して読んでたセリフの1個1個がまた違った意味に感じたりとかっていうことになっちゃうのが残念だなっていう。
山田:そういう娯楽になってたんじゃないかという気もしてね。清純派が堕ちたときに、ベッキーと一緒でさ、「がっかりしました娯楽」「がっかりしましたコンテンツ」みたいなやつだよね、これって、そういうことじゃないんじゃないですかねっていうのはよく思うんですけど。
もう時間がないのでちょっとまとめて言いますけど。
乙君:「宮崎駿だったら、だろうね」っていう(笑)。
しみちゃん氏(以下、しみちゃん):こら。
乙君:こら!(笑)。
山田:そういう意味では踏みとどまってるよな~っていう。
(一同笑)
乙君:それはコンテンツの中で、自分の作品の中で出しちゃってるんだよ。
山田:そうなんだよね~。
乙君:それをやってる人とやってない人の差じゃないかなとは思いますけどね。
山田:いや~なんかね~。フェアじゃねぇなって気がするんだよね。もっと悪い人いっぱいいるよなっていう話があってね。
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