2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:それでは最後に、電話がつながっております。インドにいらっしゃる石井遊佳さん。
石井遊佳氏(以下、石井):はい。
司会者:聞こえますか?
石井:聞こえます。
司会者:はい。ではまず、今どちらにいらっしゃるのか、ご説明いただいてもよろしいですか?
石井:はい。私は今、南インドのタミル・ナードゥ州というところの州都のチェンナイという町におります。だいたい3年ぐらいおります。夫と2人で日本語教師をしております。
司会者:それと私、さっき電話確認したのですけれど、贈呈式にはいらっしゃられるというようなことで?
石井:はい。明日か明後日には帰国しようと思っておりますので。
司会者:了解いたしました。ではまず、受賞されて今のお気持ちをお願いいたします。
石井:そうですね。私もみなさんと一緒に記念撮影したいです(笑)。うらやましいです。私の場合はもう、1作目でこういう栄えある賞をいただきましたので、去年の後半からあれよ、あれよという間に、周りの状況が激変して。人生はこういうものかと、いい意味で驚いております。
今まで体験できなかったことが体験できて、とてもおもしろがっておりますけれども、先ほども言いました通り、インドにおりますので、お知らせは直接いただくものの、自分がどのように取り上げられているかについて、まったくわからないのです。
なにか間接的に、伝聞というかたちで、友達が「テレビ見たよ」とか「雑誌、新聞読んだよ」とか言って教えてくれるのですけれども、なにか自分のことなのに前世の自分の噂を伝え聞くような、不思議な感覚でおります。以上です。
司会者:では、質疑応答に移らせていただきたいと思います。質問のある方、挙手を願います。所属とお名前をお願いいたします。
記者1:NHKのクニエダと言います。このたびはおめでとうございます。
石井:初めまして。ありがとうございます。
記者1:これまでに100冊近くを、お書きになってきていらっしゃると以前お聞きしました。それで、これまでにそれだけ長いこと書いてきて、これまで時間がかかっているという見方もあると思うのですけれど、それについて自分は今どのように振り替えられますか? というのがまず1点、お願いします。
石井:はい。そうですね……私としては何年かかろうが作家になりたいという気持ちはまったく揺るぎませんでしたので、前も聞かれたのですけれども、もう何回生まれ変わっても日本作家になろうという気持ちが強かったので。
とくに焦りとかいうものは、ぜんぜんございません。今回も淡々と、うれしいです。はい、すみません(笑)。
記者1:わかりました、もう1点。
石井:どうぞ。
記者1:今回、芥川賞の2作品について、選考委員の方が言葉に活気があった、というふうに2作品についても評価されていました。
とくに石井さんについては、制御しきれない言葉の勢いを上手く抑えていた。言葉の勢いに任せて、物語が進んでいくところが、高く評価されたみたいなのですけれども、これを聞いてどういうふうにお感じになりますか?
石井:そうですね、確かにしばらく書いてからもうだいぶ経っているのですが、読み返してみましてずいぶんテンポが速い小説だなと思って(笑)。
人によっては、ちょっと忙しすぎると思われるかなとも思ったのですけれども、私はこういう、どんどんどんどん話が、エピソードがエピソードを生んで、転がっていく話が好きなので、私としてはこういう話が書きたかったのですが。
でも、すべてはやはり小説ですから、言葉の力が基本ですから、そこらへんは気をつけながら、言葉で制御しながら書いたつもりです。
記者1:ありがとうございました。
司会者:はい、他に質問のある方?
記者2:読売新聞のカワムラと申します。受賞おめでとうございます。
石井:初めまして。ありがとうございます。
記者2:石井さんにとっては、何回生まれ変わっても作家になるつもりだったということでしたけれども、石井さんにとって書くことというのは、自分にとってどういうものなのだというふうな、位置づけのようなものってございますでしょうか?
石井:そうですね、私はなんといいますか。あまり物事が長く続かない人間で、結婚はしておりますが子どももおりませんし、長い間大学で勉強したのですが、途中で旦那がインドに行きたいとか言い出したので、やめてしまいまして。仕事も長く続けたこともありません。
ですから、書くことだけは本当に10代の頃からずっと好きで続けてきましたから、書くことをやめてしまうと、「人間やめますか」という感じなので。書くことだけは、長く続けてきたと思います。
ごめんなさい、ご質問はなんでしたっけ?(笑)。
記者2:そうですね、表現するというのはやはり石井さんにとっては、業(ごう)のようなものというふうに考えてよろしいのでしょうか?
石井:そうですね。ですから、本当に書くことは私の業だというふうに思っております。なんていうかな……文字表現を使って世界を表現する、という業を背負って生まれてきたと思っております。
記者2:ありがとうございます。
記者3:毎日新聞のツルヤと申します。おめでとうございます。
石井:よろしくお願いします。ありがとうございます。
記者3:読ませていただいて、どこか語り調子が投げやりで、ユーモアたっぷりで、ボケとツッコミもたくさんあって、途中から私、笑いが止まらなくなってしまったんですけれども。
石井:そうですか(笑)。ありがとうございます。
記者3:いかがなんでしょうか、大阪でずっと過ごされて「どうせなら笑わせてやろう」みたいな、そういうお気持ちはおありなんでしょうか。
石井:もちろんです(笑)。やはり大阪人の気質としてはウケてナンボという感じで、自分をどんなに下げても、相手を笑わしたら勝ちというところがありますので、もちろんそのユーモア小説と言われるような、お笑いを取るのが目的の小説ではないんですが、常に笑わしたろうかという気持ちは持っております。
記者:ありがとうございます。
記者4:読売新聞のウカイと申します。
石井:よろしくお願いします。
記者4:書き始めたのは10代ですか、20代から?
石井:書き始めというか、10代の頃は日記というかたちで、身の回りのことを書いただけではないかと。誰もそうだと思うんですが。
ただ身の回りのことを書いていただけで、創作というふうになってきたのが、それでも20代後半とかですかね。ですから、本格的に本当にいわゆる投稿生活みたいなかたちで始めたのはもう30代になってからです。
記者4:20年ぐらい前に一度『文学界』の最終選考に残っていたということですけれども、今50代になって、デビューしていきなり芥川賞という。
自分自身がずっと書いてきたことが、ずっと書き続けて20年以上経ったという時間が、自分自身の小説をなんかのかたちで変えてきたのかなとか、変わってきたのかなとか、そんな思いはなんかあるでしょうか。
石井:そうですね、やはり機が熟したということでしょうね。こうなる前は、まだかなと思ってたんですが、こうなってみれば、やはり今までの時間がどうしても必要だったんだろうなと思います。
ちょっとこの3年ぐらいインドにおりまして、けっこうハードな生活なので、日本語を教えておりますが、まったく書いてなかったんですね。
3年以上小説を書いておりませんで、たまたま去年2、3ヵ月仕事が空いた時期があって、本当に奇跡的に書けたので、それまでとどう違うかはわからないんですが、おそらく変わったからこそ、こういう結果が生まれたのかなと思います。
記者4:あともう1つ、今日は日本語学校の授業はあったんですか。
石井:いえ、今は持っておりません。急に人事のほうから「先生、教えてください」と言われて。というのは、一応会社員に教えているので、IT会社なんですが、彼らの仕事がちょっと一段落した頃を見計らって、4ヵ月ぐらい教えるというかたちなので、空いちゃうこともけっこうあるんです。
普通は教えて2、3週間空いて、また4ヵ月という感じなんですが、ここのところは空いています。本当は来週ぐらいから始めますが(笑)。
記者4:最後にもう1つ、すみません。日本と時差があるんですけども、今日連絡を受けたのはだいたい何時ぐらいで、どんなふうにお待ちになって、どんなふうに聞いたのか、ちょっと教えていただければ幸いです。
石井:そうですね、お知らせをいただいたのは、こちらの時間で3時15分ぐらいです。普通に朝、会社に来て、食堂行って、お昼ご飯を食べて「あー」って言いながら、本とか読みながら待っておりました。
記者4:ありがとうございました。
石井:ありがとうございます。
記者5:朝日新聞のキモトと申します。
石井:よろしくお願いします。
記者5:よろしくお願いします。お顔がちょっと見えないんでお尋ねするんですが。
石井:はい、残念です(笑)。
記者5:受賞の知らせを聞いたときには、どんな仕草というか、飛び上がったというか、以前、新潮新人賞を取ったときは「踊りながら歩いた」とおっしゃってたように思うんですが、今日はどんなふうな動きをしましたか。
石井:見えたんですか(笑)。今、私を見てらしたのかと思いました。夫と2人でオフィスにいまして、その中で、ケータイでお知らせをいただきましたから、振り向いて夫にピースサインをして、それから夫と2人で踊りました(笑)。
記者5:ありがとうございました。
司会者:最後に、お顔見えないんで。会場和やかに進んでいるんですけれども、おっしゃりたいことがあれば一言いただいて、この会見を終わりたいと思いますけれども。
石井:そうですね、やはりある程度の年齢になってから、こういう良い賞、すばらしい賞をいただきましたから、もし20代、30代でしたら「私の力」と思ったかもしれないんですが。
今この時点で思うことは、やはり自分の能力とか努力でこんな賞をいただけたとは、まったく思いませんで、もう本当に今まで私を助けてくれた人、支えてくれた人のおかげで取れたと思っております。
ですから、本当に感謝の気持ちでいっぱいで、とりわけやはり散々迷惑をかけました両親にありがとうと、心から申し上げたい。ありがとうございました。
司会者:ありがとうございました。贈呈式でお会いできるのを楽しみにしております。
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