2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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山田玲司氏(以下、山田):(暁美)ほむらさんは、自分の力で時間を止めてどうやって戦ったらいいのかを試行錯誤するのがまた可愛くて。爆弾を作りますね。爆弾を作ってからヤクザの事務所から武器を盗む。もう最高だよね。
久世孝臣氏(以下、久世):あれ面白かった。ここは時間が止まっているから、質量とか関係なく、保存できたのかなというとこだけ考えました。
山田:あのあたりから作画のレベルがめちゃめちゃすごくなる。異界で戦って車輪をよける(鹿目)まどかのカットとか、すごいなこの動きっていう。わかる?
久世:わかりません。
山田:実は2つ前くらいの話の時ではそこまでやれてないのに、ここで作画レベルが上がってびっくりだね。それで次に出てくるのが、ほむらさんが使えないからダメじゃんみたいな。さやかのやつが出てきて。バトルロワイアルが始まるんだよね。
(美樹)さやかの死をきっかけに殺し合う少女たちっていう。だんだん殺伐としてくる。ループすればするほど、みんなが傷ついていく流れになってくると。それで戦った後に何回目かわからないけどこれがいい絵なんだよね。
廃墟の中、がれきの中、半分水に浸かって、今度は両方とも魔法少女になって、ほむらとまどかが向かい合って、これはいい絵だったね。それでまた雨の中、死んでいこうとするという。
この時にほむらさんが印象的なことを言うんだよ。覚えていますか? 「いっそこの世界を壊してしまおう」。破壊神になろうとするんだけど、これこそが魔女になるってことじゃないか。
山田:それで「お願いがある」って言って。まどかのほうはどうするかというと、「私、魔女になりたくないから」って。そこで一個止めるという。その時にソウルジェムが1個残っているみたいなのがあって。
乙君氏(以下、乙君):ほむらのだけ浄化して、自分を殺してくれみたいな。
山田:その時の演出がまた良い。「殺して」って言われて、大泣きしながらカメラがロングショットになって、無音になって、銃口が光るところですっと消える。演出がうまいね。泣けるんだよ。無音、ロングショットっていうのが。
乙君:その頃、しみちゃんは泣いたの?
しみちゃん:記憶が薄くなって(笑)。
久世:ちゃんと見たんやろなぁ。
山田:すごいよね10話。まだ続くんだもん。「誰も未来を信じない、誰も未来を受け入れない」って言ってるの。ここもまた、この悲しみって…。どうした?
乙君:ほむらを浄化した最後一個残っていたのはさやかのだって。
一同:へえ。
山田:そういえばその手前はそういうくだりがあった。誰も未来を信じない、誰も未来を受け入れないっていう言葉の重さ、わかります?
「このままだと地球は温暖化して大変なことになるんですよ」ってどんだけ言ってもわかってもらえないし、「原発が53基あって、老朽化していつどうなるかわかんないんですよ。日本には活断層上にあるんですよ。世界一の地震大国で1年間に2,000回も地震があるんですよ」って誰が何回も言っても効かないこのセリフの重さ。
これが3.11の後にある。このセリフを言った後に、メガネを外して髪を解く。「だったら私は1人で戦う」って言い出すんだよ。この孤独な覚醒はたまらない。「たった1人で戦う」って言い出したんだよ。誰も頼らない。もうこれは寂聴さん。
久世:誰でもいいけどほむらの選んだ道の辛さ。ほんとに。
山田:そうなんだよ。
山田:たった一人、自分を友達だって認めてくれた人。『うしおととら』で、ものすごく強い2人の関係性の話じゃん。これも同じだから。だからお前も行けるから俺も生きるっていうくらいの強い関係が、どんどん続いていくっていう話で。
たった1人の友達のために、「あなたはもう戦わせないから私1人で戦うんだ」って言って、「今度こそワルプルギスの夜をこの手で」って決め絵のあと入りますね。これでエンディングになると思ったら続くのね。
それでキュゥべえが出てきて、「そいつの言葉に耳を貸しちゃだめ」っていうくだりがあると。その時にキュゥべえが90年代の決めゼリフ、「諦めたらそれでおしまいだよ」って。お前安西先生って。何回も安西先生が出てくる。あれ良い話だったのに台無しにしている。スラムダンクを踏みにじってますから、キュゥべえ。
あれに込められたものって、「そういう浮ついた夢みたいなものを考えて諦めていないっていうのはアホだぜ。奇跡なんか起こらない」っていう話が乗っかっていて、でも運命は変えられるんだ、君には特別な力があるんだ。
っていうのはずっと若者たちが信じ込まされていた70年代、80年代、90年代、00年代もそうだった、信じ込まされていた虚構なんだ。この虚構を口にしているのが、あの共感力ゼロのキュゥべえ。これはなかなか面白い。だけどこれに対するカウンターとして我らがほむほむが出ている。
乙君:我らが?
(一同笑)
久世:玲司さん、もうすごいですね。
山田:お前さぁ、ここでほむらをバカにしたら殺すぞ。1人で戦うんだぞ。1人だぞ1人。
久世氏 :変わっていくもんやね。そんなにアニメのキャラクター1人に肩入れするとは。
山田:毎週、毎週、俺に運命の糸が重なって。だんだんものすごい力を得た。
久世:エントロピーが?
山田:俺は得たんだよ。
久世:周辺の宇宙の因果が。
山田:もうなんでもできちゃう。
久世:やっぱり20年ぐらい否定し続けていた時期のエントロピーと因果が凄いことになっている。
山田:そうなんです。大変です。
山田:このほむほむが言っていたのが、最初にまどかに言っていたセリフは、「今の幸せを見て」って言っていましたね。「着地せよ」っていう話でしょ。だから00年代が失敗した虚構の着地ではなく、「本物の着地をしろ」って言っているんだよ。
これはいみじくも『マッドマックス』って言っていたことと、おそ松さんで言っていたことと同じことを、2011年にこの方もおっしゃっている。
要するに00年代が終わって、「着地しようぜ」「足元見ようぜ」「俺たちこうしているだけで幸せだったはずじゃねーの?」「なんで天下取ろうとか全国制覇しなければいけないの?」「なんで1番じゃダメなんですか」って言っている人が国会議員で活躍できないの。
乙君:「1番じゃダメなんですか」って、いいですよって。
久世:2番じゃダメなんですかって。
山田:細かいなぁ。1話に戻りますね。「契約します」って言って、それでそのあと解説みたいなのが入って、ほむらとはどういう人間なのか、同じ時間をたどり、たったひとつの出口を探す。「まどかはたった1人の私の友達、あなたを救うためなら私は永遠の迷路に閉じ込められても構わない」って言う。ものすごい決めゼリフで。
散々言ってますけど、迷路のメタファーは多かったね。何度も何度もメタファーだし、出られないフェンスがある。多分さぁこういうことだよね。何度も繰り返すうちにフェンスが多くなっていくという。切られなっていく。だんだん強固になっていく。
窓ガラスに格子が付けられるっていうのはよくできている。かなわない。決め台詞言って、ずんずん行くのかなと思ったら入らない。ここで交わした約束が入るんです。
乙君:(歌う)忘れない。
山田:お前ファンに殺されるぞ。
乙君: 1回みんなにやってほしい鈴木雅之で。
久世:流れていかへんやんか。今週分のやつが。「交わした」くらいのテンポでいかな。歌い方のコーナーは後でやれ。
山田:あそこのオープニングは泣けますよね、みなさん。
乙君:まどかと鈴木雅之が一緒に出てこないよな。
山田:これで10話が終わる。長え。(経過時間が)結局39分まで。ほむらさん誕生の物語が1話で。ワルプルギス覚醒、そしてその後のまどかはどうなったのかっていうのが2話になっていく。しょうがないね。
久世:良い話だな。とても他人事には思えない。
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