2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
Why is there an opioid crisis?(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
ステファン・チン氏:先日、オピオイドの流行がアメリカにおける公衆衛生の緊急事態であるとして公表されました。この時点で、専門家たちはアメリカがオピオイド問題の真っ只中にいると考えています。
CDCによれば、おおよそ90人のアメリカ人がオピオイドの過剰摂取により毎日亡くなっているということです。これは交通事故で亡くなる人の数とほぼ同じです。こういった状況になったのにはさまざまな要因があります。その主な理由には、これがどういった薬なのか、それがどのように痛みを和らげるのか、そしてなぜ依存性があるのかということに、多くの関連があるのです。
まず、いくつか専門的な説明をします。みなさんは、ヘロインやオキシコドン、フェンタニルのことを意味せずに、オピオイドやオピエートのような言葉がよく使われているのを聞いたことがあるでしょう。しかし、これらは違うものを意味するのです。
オピオイドはみなさんの細胞にあるオピオイド受容体で作用する薬です。オピエートは本来同じなのですが、ケシから作られたものです。それはレモンとケシの種のマフィンを作れるものであると同時に、オピウムやモルヒネの原料でもあるのです。
オピエートは天然のものですが、オピオイドは天然であり合成の薬でもあるのです。問題なのはそれらが人の身体、例えば脳や脊髄などの細胞のオピオイド受容体に結合するということです。
こういった受容体はμ受容体のように、形もさまざまです。オピオイドが受容体と結合するとき、ニューロンはそれが痛みだと解釈するシグナルを送るのを強めます。これは末梢神経が送られてきたシグナルを渡す機能を持つ、脊髄で起こります。
そして、それは脳で起こります。脳では、中脳水道周囲灰白質と呼ばれる部分にあるニューロンが神経伝達物質、つまり化学伝達を放出することを防いでいます。この意味では、オピオイドはとてもいい鎮痛剤であると言えます。
1990年代、誤って伝えられた研究を含むさまざまな要因により、医者たちはオキシコドンやヒドロコドンなどの鎮痛剤を痛み止めとしてどんどん処方するようになりました。しかし、オピオイド受容体は脳の中心にあって、そこにある細胞と結合することで幸福感、つまりハイな気分を作り出してしまうのです。オピオイドに中毒性があるのはそれが理由です。
しかも人間の身体はそれに対して即、耐性を作ってしまいます。ですから、同程度の痛みを制御するために、より多くの薬が必要となるのです。薬を摂取するのをやめなければ、肉体的にも依存するようになり、禁断症状を経験するようになるでしょう。
ニューロンはオピオイドに慣れるので、シグナルを抑制する薬をより活動的に相殺するようになります。そしてなくなると、細胞は通常以上に活動的になります。そして覚醒した状態になったり、心配になったり、吐き気がしたりするのです。
一方で、依存症は、薬が人生を狂わすものであるにも関わらず、その薬を探し求めてしまう精神状態であることを言います。肉体的依存は依存症と共通していますが、人間は依存症になるために依存する必要はありませんし、逆も同じです。
オピオイド問題では、もともとは処方された薬を摂取していた多くの人々が、より多くの薬を飲み始めたと考えられていました。言い換えるなら、その人たちが薬を乱用し始めたということです。そして、薬が高価になりすぎたり、入手困難になったりして、ヘロインやモルヒネから作ったオピオイドを求めるようになったのです。その方がもっと入手しやすいからです。
原料が何かに関わらず、オピオイドのその他の肉体への影響のせいで、依存症は死に関わることもあります。それはオピオイド受容体が痛みをコントロールする脳の中にあるからだけではありません。
それらが呼吸をコントロールする脳幹のような部分にもあるからです。
そしてオピオイド受容体がシグナルを邪魔してしまうと、オピオイドは呼吸さえも止めてしまうのです。医者はこれを呼吸不全と呼び、過剰摂取で死亡する要因となっています。
幸運なことに、現在では過剰摂取を中和する方法がいくつかあります。例えば、ナロキソンを注射したり、鼻に注入したりすれば、数分で死の淵から呼び戻すことができるのです。ナロキソンはオピオイド受容体と結合するので、これもまたオピオイドであると言えます。
しかし、ヘロインや処方されたアゴニストである鎮痛剤と違って、ナロキソンは拮抗薬です。つまり、受容体と結合するときに、一般的な作用が起こるのではありません。代わりに破壊者のような働きをするのです。
ナロキソンはよく働きます。なぜなら過剰摂取された薬よりも、オピオイド受容体とより強固に結びつくからです。それが体内システムに流れ込み、薬が結合するのを防ぎます。問題なのは、ナロキソンを早急に与えなくてはならないということです。過剰摂取により呼吸が止まった後、長くはもたないからです。フェンタニルのような強力な合成オピオイドを摂取した場合にはとくにそうです。
フェンタニルはモルヒネよりも50~100倍ほど強い処方薬です。その構造により、フェンタニルは血液脳関門と呼ばれる防御層をより簡単に通り抜けることができます。つまり、脳がそれで満たされてしまうのも早いということです。
非合法なフェンタニルが道端で売られているヘロインや他のドラッグに加えられます。フェンタニルに似たドラッグは、合成ヘロインに使われるカルフェンタニルのように強力になります。こういったドラッグが過剰摂取をすぐに引き起こすだけではなく、その作用を中和するためには多くの解毒剤を必要とします。ですから、ナロソニンを時間内に与えられたとしても、命を救うには十分ではなかったりします。
過剰摂取による死亡は近年増えており、問題が深刻になるにつれ、専門家は対処方法を探そうとしてきました。大部分の医者たちはオピオイドの処方をやめ始めており、このことが中毒者を減らすことに繋がっています。そして、研究者たちは危険な副作用がなく、痛みを和らげるオピオイドを探しています。
いくつかのグループでは、人間の身体が作るオピオイドペプチドに近い薬について研究をしています。それはより特別な方法で受容体と結合すると考えられています。しかし、すでに物質使用障害を持つ人々はたくさんいます。そして彼らに治療を受けさせることは全く別の大変さがあるのです。
やらなくてはならないことはまだまだたくさんあるのです。
関連タグ:
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには