2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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姫乃たま氏(以下、姫乃):みなさん、平日の早い時間からどうもありがとうございます。地下アイドルの姫乃たまです。どうぞよろしくお願いします。
(会場拍手)
すごい天気ですが、みなさん大丈夫ですか? 生きてるだけで肩が凝るような1週間が続いてますね。台風の低気圧で私のまわりはトラブルだらけです(笑)。大丈夫でしょうか。
今日は『職業としての地下アイドル』という新書を出版させていただきいたので、それにまつわるお話をしようかなと思っています。
会場後方をご覧いただくとわかると思うのですが、今日はログミーさんが取材に入っています。
イベントを全文書き起こして掲載するという恐ろしい媒体なので、今日はいつも通りうだうだとは話せないのですが、話してもいいのですが(笑)、きちんとお話しした後に質疑応答などもしようかなと思っています。
さて、『職業としての地下アイドル』ということで、今日読んでから来てくださった方?
(会場挙手)
うあ、多いですね、ありがとうございます。まだ読んでいらっしゃらない方もいらっしゃるみたいなので、ゆっくりお話ししていきます。
今から2年ほど前に、サイゾーという出版社から『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』を出版しました。
地下アイドルの匿名インタビューや、業界にまつわるコラム連載をまとめた本だったので、今回は違った趣旨で地下アイドルについて執筆しようということになりました。
それで今回は、現役の地下アイドルの方と、そのファンの方にアンケートを採って、その数字をもとに構成した本になっています。出版後は卒論で使いたいという声もいただいたので、資料として使ってもらえるような本になったのかなと思っています。
まず「地下アイドルとは何か」っていうお話からしたいのですが、ここは秋葉原なのでみなさんのほうが詳しそうですね(笑)。
地下アイドルというのは、テレビとか雑誌とかのマスメディアよりも、今日は書店にいますが、こういったライブハウスとか、ファンの方が目の前にいる場所で活動しているアイドルを指しています。
物販で「チェキ」というポラロイド写真を一緒に撮れるのですが、それを販売している距離の近いアイドルが地下アイドルだと、『潜行』の中で定義づけました。ファンとの距離の近さが地下アイドルの特徴だと思っています。
アイドル自体の定義は、ライムスターの宇多丸さんもおっしゃっている、「本人の魅力が技術を上回っている人のこと」が、まさにその通りだと思います。
例えば、すごく歌がうまくてダンスができると、「ダンサー」とか「シンガー」になってしまって、「アイドル」ではなくなってしまうという。私自身も『潜行』を出版したあたりから、地下アイドル業界に入れてもらえなくなってしまったのを感じていました。寂しいですね。でも今回また本を出したことで、そろそろ自分でも「地下アイドル」を自称するのは厳しくなってきたかなぁという感覚がかなりあります。
その意識を後押ししてくれたのが、90年代に初めて事務所に所属しないフリーランスのアイドルになった宍戸留美さんでした。
宍戸留美さんは声のお仕事をされていて、今は写真のお仕事もされているんですけど、先日ライブでご一緒したとき、カメラとか他の仕事もしているのに自分のことを「アイドル」って言うのは、アイドル稼業一本でやってる人に対して失礼なんじゃないかとおっしゃっていました。
それで非常に反省しまして(笑)。本を出したというだけで私が何かの能力を身につけたわけではないのですが、そろそろまずいなと思っているところです。
私みたいなフリーランスの地下アイドルは、宍戸留美さんがその道を切り開いていなければ存在してないので、学んでいかないといけません。地下アイドル的な存在自体は、この本にも書いたのですが、日本には昔から現場で活躍するアイドルさんがいたようです。『幻の近代アイドル史』に「娘義太夫」といって、義太夫をやる若い娘さんのことが書いてあります。ファンは「ドースル連」と呼ばれていて、寄席の客席で男性たちが「どうするどうする!」っていう掛け声をするらしいんですよ。今の地下アイドルのライブとまったく同じですね(笑)。
また人気がある娘義太夫っていうのは、語りがすごくうまいとかよりも、かんざしをわざと落としてみたりとか、そういう色っぽい仕草が得意な子だったというお話で。
だから、それは今で言うところの「釣り」ですよね。ファンの人に対してライブ中になにかしらのリアクションをして、食いつかせるので「釣り師」と呼ばれていますが(笑)。ちなみに娘義太夫の頃は、新聞の読者投稿欄みたいなところに、匿名で「あいつは踊りが手抜き」みたいなことを投稿する文化があったらしくて、人って進歩してないんだなって(笑)。
川端康成さんとか昔の文豪の方も傾倒していたそうで、今の地下アイドル文化との違いのなさに驚くばかりですが、この話は、時期的に昔すぎるので(笑)。
地下アイドルの起こりは、90年代にテレビの歌番組がなくなって、「アイドル冬の時代」が……あったんでしょう?(笑)。
(会場笑)
私、93年生まれなので、ここらへんはこんな高い壇上からみなさんにお話しできる立場じゃないんですけど、あったんですよね?(笑)。
(会場笑)
その時にライブハウスを活動の場にしたアイドルたちがいて、彼女たちが今の地下アイドルの源流になっています。当時はバンドブームだったのでライブハウスも楽器を弾かない人に対してすごく厳しくて、ほとんど貸し出さない風潮にあったんですね。
それは私がライブ活動を始めた2009年にもずっと続いていて、本当に風当たりが強くて、ひどい時は、地下アイドルってCDのカラオケを使ってライブをするんですけど、音をすごく小さくされたりとか、途中で止められたこともありました。
風向きが変わったのは、恐らくBiSというアイドルグループが出てきて、ノイズバンドの非常階段さんとかとコラボしたり、カルチャー的にアイドルが盛り上がっておもしろいねってなってからだと思います。
そんな状況下でもアイドルに貸し出していた「四谷サンバレイ」というライブハウスがあって、私もそこでライブデビューしました。90年代にそのライブハウスでライブを始めた人たちが、「プレアイドル」と呼ばれて……いたんですよね? いたんでしょう?(笑)。今日は実際に行ってた人とかいるんじゃないですか? プレアイドルを応援しに行っていたよという……。あっ、いたいた(笑)。さすが。
彼女たちは事務所に入っていて、アルテミスプロモーションという事務所に所属されている方がメインだったそうです。フリーランスの宍戸留美さんと、ライブハウスでライブをするプレアイドルが誕生したのが90年代だったんですね。
それから秋葉原の歩行者天国でパフォーマンスをする人たちも出てきました。FICE(ファイス)さんという地下アイドルに造詣が深い二人組のパフォーマーがいて、『潜行』で取材した時、当時はライブハウスが借りられないからカラオケのパーティールームを借りてライブをしてたっておっしゃっていたんですね。だからホコ天という路上に向かったんだと思うんですけど。
フリーランスのアイドル、プレアイドル、ホコ天のパフォーマーと、3つの文化がアキバ系の流行に合流して、だんだんできてきたのが地下アイドルだったんです。私が活動を始めた2009年もまだコアな文化でした。「地下アイドル」という単語自体はあったのですが、あまり誰も使ってなかった気がします。
だからさっき話したようにBiSさんとかが出てきてからだいぶ一般層も取り込んだカルチャーとして復興して、よそにいた単におもしろいカルチャーが好きっていう人たちが入ってきた印象です。
この書籍の関連イベントで、先日下北沢のB&B(ブック・アンド・ビール)で吉田豪さんと対談したんですけれど、昔の芸能界って女の子の気がすごく強い印象がありませんか? なんか楽屋とか裏側がギスギスしていて、いじめがすごかったりとか……。
未だに「地下アイドルやってます」って言うと、「みんな勝ち気で大変なんでしょ?」みたいなことをけっこう言われるんです。豪さんの話を聞いていてハッとしたのが、昔は「芸能で一発当てて、家族を食わせよう」みたいな、負けん気のある女の子が多かったっていう話でした。地下アイドルってさっき言った3つの文化が合流してできた文化なんですけど、SNSとスマートフォンと一緒に普及してきた文化でもあるので、要は誰でも入れる業界になったんですよね。だから私、入れたんですけど(笑)。
それで女の子の質がすごく変わったんです。狭き門を闘ってくぐり抜けていくぞっていう子だけじゃなくて、むしろ、なんとなく学校とかバイト先とか、そういう社会で、なんか派手なわけじゃないんだけど、ちょっとはみ出しちゃうんだよなぁみたいな女の子が増えてきて。
この新書2章だったかな、地下アイドルのスクールカーストについて調べて書いていて、地下アイドルの女の子って華やかなアイドル業ですけど、スクールカーストの一番上にいた子ってすごく少ないんですよ。
むしろいじめられた経験のある子が多くて、私も地味な子が多いなと感じてはいたんですが、今回実際にアンケートを採ってみて、やっぱりスクールカーストで一番上にいましたっていう子は少なくて、中くらいでしたっていう子が多かったんです。今はそういう普通の女の子たちが入って活躍できる業界になってます。
ちなみに、地下アイドルの現場に行ったことない人っていますか?
(会場挙手)
あれっ、結構いるぞ。今日は迷い込んじゃった?
(会場笑)
参加者1:地上アイドルばっかりなので。
姫乃:あっ、有名なアイドルさんのところに行ってるんですね。
参加者1:だから、たまには、っていうか……。
姫乃:地下はどうなってるのかな?(笑)。
(会場笑)
参加者1:好奇心が一番……。
姫乃:あっ、なるほどー。こんな感じです……!
(会場笑)
姫乃:なんかすいません! お兄さんはどうしたんですか? 今日は間違えちゃった?
参加者2:大竹まことさんのラジオを聞きました。
姫乃:おぉ~!(笑)。ありがとうございます。大竹まことさんのラジオに私が出たわけじゃなくて、私の半生がなぜか原稿にまとめられて読み上げられたんです。
(会場笑)
姫乃:それだけ聞いてよく来てくださいましたね! ありがとうございます。ちなみに奥のラグビー部のようなお兄さんは?
参加者3:書店で……。
姫乃:ほえー、書店で見かけて。書泉さんに感謝します。地下アイドル、こんな感じなんですけど大丈夫でしょうか。
ちなみに地下アイドルが主にどうやって生きているかというと、副業をしてる子が基本的には多くて、アルバイトしてたり、学生さんだったりとか、あとは普通に正社員の子もいます。
活動内容のほとんどがライブです。地下アイドルって、なるのはすごく簡単なんですよ。インターネットで探してもらうと出演者募集してるので、なれますよ、みなさんも(笑)。
(会場笑)
「地下アイドル ライブ 募集」とかで検索すると本当にいっぱい出てくるので。新書の冒頭にも書きましたけど、地下アイドルは年齢・性別関係ないですから。私、先日『STUDIO VOICE』の取材で「メンズ地下アイドル」の取材もしてきましたので、今日この本を読んでみなさんの中から地下アイドルになってくれる人が出たらいいなぁ、と思っています。……思ってません。
(会場笑)
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