2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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乙君氏(以下、乙君):はい、ということで。このニュースからいきましょう。
山田玲司氏(以下、山田):はい。
乙君:クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』が、全世界興行収入5億ドルを突破して。日本でもそこまで話題になってない感じもするんですけども。
山田:うん。
乙君:とにかく、『ダークナイト』とか『インターステラー』もそうですか?
山田:うん。インターステラーもそうだよ。
乙君:クリストファー・ノーランが撮った初めてのの戦場映画。ダンケルクなんですけど、玲司さん。
山田:見ましたか。乙君、良かったって言ってたよな。しみちゃんも好きだもんな?
しみちゃん氏(以下、しみちゃん):はい、僕も好きです。
乙君:好きか嫌いかで分けられない映画じゃないですか。
山田:はあ。
乙君:すごい、これもうなんも言えねえって感じですね。
山田:まじで?
乙君:うん。
山田:どんな気分になった?
乙君:どんな気分!? そりゃあ、上がってんのか下がってんのかはっきり……。
山田:言いたいんだろう、お前!
乙君:言われたら、下がってますよ。
しみちゃん:下がってんのか(笑)。
乙君:だいぶ下がってますよ、そりゃダンケルク見て。
山田:下がってんのかと言えば下がってんの。
乙君:「はっきり言っとけ」と言われたら下がってるー。
(一同笑)
乙君:うん、それはそうですよ。
山田:うそだ、俺めっちゃ上がったよ。
乙君:上がる!? あれ見終わったあと「うえーい! ノーラン最高な仕事したぜ!」っていうのはならないかなあ。
山田:なったよ。
乙君・しみちゃん:(笑)。
山田:めっちゃすごかった、やっぱりクリストファー・ノーラン。
乙君:玲司さんの感想からいきますか。
山田:じゃあいきますか?
乙君:はい。
しみちゃん:サングラス外して(笑)。
山田:いきますか。あのね、ざっくりいろんな方が語ってるんで。
乙君:こちらパンフレットですね。
山田:うん、その内容について撮影秘話とか裏話みたいなのは、だいたいみんな知ってると思うんだよね。
ざっくり言いますと、フランスにドイツが攻め込んで、ドイツに占領されているみたいな状態。それをフランス軍、イギリス軍がそれをなんとかしようと思ったら、包囲されてしまって。
どうにもならなくなって。とりあえず一旦退却せねばならないって話なんで。敵を倒すんではなく、逃げる映画なんだよね。ここがまたおもしろくって。
とにかく最初から最後まで逃げなければならない。ここでノーランメソッドの1発目がすごいんだけど。この人ね、とにかくどの映画も、つかみがうますぎる。
乙君:うん、そう。
山田:ドーって静かになって、カメラがゆっくりガーっとおりてくると、1人の主人公がいて。何やら不穏。何の説明もなしに、いきなり「(銃声が)パンパン!」、そして走るみたいな。とにかく、ノーランと言えば走る。
乙君:そうなんですか。
山田:走るんです。そして、出口がないんです。まあ本人も、この作品を戦争映画と言うよりはサスペンスとして撮りたかったっていうんで。もう秀逸なのが最初のシーンで若い兵士が数人いるんだけどさ、街のなかにいるじゃん。
誰もいない街なんだよね。シーンとしてんだよ。でもすっごい綺麗なフランスの街なんだよね。そこで、いきなりパンパンパン! みたいな。
「うわ、ここは戦場だ!」って思って。あっち行ってもダメ、こっち行ってもダメ。「出口がない」って言って、ギリギリになって1人だけ、まわりがどんどん撃たれていく。
その状況でなにを感じるかっていうと、「ここにいたら確実に終わるな」っていう。雰囲気が、グワーッとあって。「もう逃げる場所ないです」って言って、塀を乗り越えて味方の向こう側に行こうとして、やっと出られるのが海岸線で。
海岸線に行くと、いきなりバーッと広くなるんだけど、みんなで列をなして、脱出の順番を待っている。「脱出の順番待たなきゃいけないんだ」っていう絶望(笑)。それを、あのグレーの画面でダーッと。しかも静かに、現実ってこういうもんですよ、っていうのを絵1枚で見せて。それまでほぼ会話なしっていう。
乙君:そうですね。
山田:ようするに、ガタガタ言わねえというのが、ノーランだって思ってください。
乙君:はい、はい。
山田:クリストファー・ノーランの作品が、ダークナイトにしろ、いろんな作品ありますけども。男たちは大好きなのに、女の子たちが大嫌い。大嫌いじゃないけど、あんまり好きじゃないって言われる。
そしてこの映画を、熱く語る男たちをなぜ女たちがウザがるか? っていう理由を説明しますね。まず1個は、画面がリアルで美しいんだよね。音は静かで、波の音しかしないとか言うような感じで。
不穏な空気というのが、まず基本なんだけど。不穏な空気とリアルな雰囲気。だから嘘じゃない、ファンタジーじゃないんだよね。
モノトーンのなかに、少しだけ色が入ってるっていうのが、現実は暗いんだけど、ちょっとだけ希望があるっていうサインを、まず絵で1発で見せるっていうのがノーランスタイルです。
ほとんど作品のなかに、グレーのなかに1色だけ色が入ってんの。差し色スタイルなの、この人って。この差し色スタイルっていうのは、グレーの画面のなかで(パンフレットを指して)この部分だけ、「何か」なんだよ。だからどの画面みてもだいたい。
法廷シーンとかだと色はいくつか入っちゃうんだけど、基本的に、この色で何かを主張してる、この色で何かを主張してるっていうのをやったりなんかするのね。
これがね、反対側にいるのが新海誠。新海誠とノーランの絵を比べると、もう新海誠はキラッキラすぎるんだよ。
乙君・しみちゃん:ああー!
山田:「お前何色重ねてんだよ」って。「紫入れんだよ」「紫の後ろにピンク入れるのやめろよ」とか。
しみちゃん:(笑)。
山田:しつこいんだよ! って。お前、雲の向こうの雲書こうとしすぎ、みたいな。
乙君:遠まわしに。
山田:良いんです、あれは夢を書いてるから良い。
乙君:なるほど。
山田:夢を書くのが新海だとすると、夢のなかにも真実があるんじゃないか? っていうのが、新海スタイルなんだけど。ノーランスタイルっていうのは、暗い現実のなかにも希望があるんじゃないのか? っていうのがノーランスタイルなんだよ。
乙君:ああー。アプローチが真逆と。
山田:だから、「世の中なんかさ、どうせ綺麗ごとだろ」みたいな荒んだ男たちの気持ちが、「そうそうこれぐらい地獄だよね!」って見てると、「まじだよね、そうだよね」「ちょっとは良いこともあるよね」ってだんだん光が差してくんの(笑)。
だから、荒んだ男たちの心のなかに入る、一筋の光を入れるのが、ノーランの画面っていうか。そして、ノーラン。男たちは、正直言いますけど、女たちと議論したくないんです。
乙君:ほう。
山田:男は、女と仲良くはなりたいけど、会話をしたいと思っているわけじゃないです。ダークナイトのセリフで出てきます(笑)。あるキャラクターが、女に向かって「お前といっしょにいるのは話をするためじゃねえぞ」っていう会話があるんだけど(笑)。
乙君・しみちゃん:へえー。
山田:ノーランは、すごいのは、脚本も書くんだよ。だから脚本の節々に、ノーランの本音が入ってくる。このノーランの本音が非常にミソジニー。表面的なミソジニーなんだけど、諦めきれない女々しい男がいる。
乙君:なるほど、なるほど。
山田:ここがまたノーランのすごいおもしろいところで。だから、ダークナイトでも顕著なんだけど、とにかく女の人としゃべりません。このダンケルクにいたっては、ほぼ女が出てこない。だから、救助にくる船の看護婦さんが、ちょっとだけご飯をよそってくれる、みたいなのがドーン! みたいな。
乙君:そうそう、あの救いね。
山田:一瞬だけ女映るんだけど、そういうのいらねえし。ザッツ・ノーランスタイルって(笑)。
(一同笑)
山田:女いらねえし! ザッツ・ノーランスタイル。これはもうね、この視点で見てもらうと、ダークナイトもそうだし、インセプションもそうだし。みんな、どっかで「ちょっと女としゃべってる場合じゃねえし」って。
しかも、その会話をして、「私の気持ちをわかってよ!」云々かんぬんっていう前に、ダッていなくなっちゃう。ノーランスタイルはいなくなるんです。
乙君:いなくなる!?
山田:いなくなるか、即蹴り。即暴力。だからとにかく……。
乙君:ようは議論する時間も。
山田:キレるのが早すぎんの(笑)。だって、ダークナイトのバッドマンもキレんの早すぎんだろ? でも、でもジョーカーの方が早いからね。ノールックで撃つからね、パーンって。そこで躊躇しないっていうか、議論の余地がない。でも男って、本当はそういう生き物なんだよ。
乙君:そうですね。
山田:あのね、もうグダグダ言ってるんじゃなくて、もう決まってるんだよ。答えは決まってんだっていう、明治の男みたいな。これが入ってるっていうね。気付いたら即行動っていって、グダグダしないっていうのが、ノーランの映画の流れ? そのリズムみたいなものにも出ててね。
次どうなるかな? こうくるんだろうなって言って、テンプレをこっちが思い浮かんでいる余裕なく、もう写っちゃう、先が。これがまたダークナイトのなかでジョーカーが言ってんだよ。「俺は1歩先に行くから。ウキャキャ」って笑うわけ。
(一同笑)
俺は1歩先に行く、ウキャキャキャキャって笑うわけ。1歩先行っちゃう。
乙君:そんな感じだっけ? ジョーカーって(笑)。
山田:そんで、ノーランの映画見てる人だったらわかるかもしれないけど。ノーランと言えば、前走ってるかな? と思ったら横からドーン! ってくる(笑)。この横からドーンが、ダンケルクでもやたら出てくる。
乙君:だから予期せぬことが、どんどんくると。
山田:人生はコントロールが不可能だし、次に何が起こるかわからないっていうことを今まで、SFの系譜で見せてたの。それを今度は、実際の戦場もそうだったんだっていうのをやるわけ。
だから徹底して、それをダンケルクで、40万人の人が、砂浜で閉じ込められてドイツ軍に包囲された。助けにくる船が足りない。しかも浅瀬だから、船のところまで行かなきゃいけないから。
そこがもう大変な攻防戦。そして上から、飛行機がが撃ってくる。もう地獄だよね。しかもみんな、逃げる場所がないから。ただただ撃たれるだけっていう地獄っていう。
しかも、助かる人はただ運が良かっただけなんだよ。っていう地獄の世界で、どうやって逃げ延びるかっていうところの現実みたいな。そういう、どうにもならない現実っていうのを描いていくっていう。
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