2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
リンクをコピー
記事をブックマーク
奥田太郎氏(以下、奥田):一見、これ(生地に囲まれた、空気が詰まっている部分を“穴”と呼ぶ説)は非常にもっともらしい考えに見えると思うんですけども。でもちょっと考えると、なにかおかしな点が出てきます。
ということで、ここにいくつか金魚鉢みたいなのを用意しました。絵を4つ用意しております。これ、金魚鉢みたいに水が張ってあると思ってください。
今の定義でいきますと、ここが境界に囲まれていて、水が詰まっている。要するに、境界に囲まれて、水という「媒質」というんですけど、そのものが入っている。ここが、この穴であると考えられます。
そうすると、2番目のこれを見てください。金魚鉢がちょっと変形してますけども、ぽこっと突起が出ています。突起が出てるけど、この突起が出てる部分も含めて、境界に囲まれて……。
芝垣亮介氏(以下、芝垣):この斜線部分が。今やってるのは、「穴って何なんだろう?」「なさそうなのに、なんかありそうで、どこなんだろう?」っていう。
奥田:境界線に囲まれて、そこの中になにかものが入ってて。ものっていうか空気とか、そういう媒質が入っていて、その入っているところを穴と呼ぶ、ということなんですけれども。
芝垣:昔、そういう人がいたわけですね。
奥田:そうですね、そういう考え方があるということです。
芝垣:それを今紹介して、できれば倒しにいこうっていう。
奥田:これは倒すための道具なんですけど。この、2番目のぽこって出てる、出っ張ってるやつですね。これ、どこが穴か。ちょっと誰か塗ってもらってください。
芝垣:え!?(笑)。えっと……じゃあ、どうぞ。
奥田:2番の穴の部分に、斜線を引いてください。
(参加者、穴だと思う部分に斜線を引く)
芝垣:はい、囲まれた空間という定義であれば、ここ。
奥田:そうですね。
芝垣:ここに水が埋められますし、おそらくここですよね。
奥田:実際、水が埋まってるわけですよ。今の話だと、この埋まってる水の部分がまさに穴だという定義ですね。だからここが出っ張ってても、この出っ張りをよけて、この部分が穴になります。ここまでOKでしょうか?
芝垣:いいですよね、別にどんな形をしててもいいですもんね。
奥田:じゃあ芝垣さん、3個目を見せてください。
芝垣:私、ちょっと気分が変わりまして。土を掘るのが上手で、壁を掘ったんですよ。出っ張りが金魚型になるように掘りました。だから、これと2番目とそんなに大きく変わらないと思う。単にこの出っ張ってるところが、金魚っぽくなるように掘ってみたんです。
奥田:ですから、これ(2番目)とこれ(3番目)はまあ、同じなので。穴は、今の型では水がこう入っている、ここですよね。この境界線に囲まれてお水が入っている。まさにお水のところが、穴だということになります。
芝垣:だからまだまだ、別に問題ないですよね。その囲まれたところで、なんかこう、ものが入る場所っていうのを穴って決めましょうって言ったら、まあ別に問題なさそう。
奥田:さあ。芝垣さん、次、悩みますよ、4番目。
芝垣:これ?
奥田:ちょっと色が変わりましたけど。
芝垣:動物愛護団体の人がここにいないことを願うんですが。こういう穴を掘っておいて、そこに、これ赤色の金魚です。本物の金魚をもってきて、口にボンドをつけてぶちゅっと、壁にくっつけてしまったわけです。
奥田:芝垣さんぐらいしかしないかもしれないですけど、そういうことね。さあどうでしょう? これ、どこが……。
芝垣:穴はどこでしょう?
奥田:ちょっと塗ってもらいましょう。もう思うところを、ばあっと塗ってください。
芝垣:大丈夫、消せますんで、これ。優秀な、iPadで。
(参加者が穴だと思うところを塗る)
芝垣:おお。
奥田:これはなぜそう塗りましたか?
芝垣:今こういうふうに、金魚の絵もぜんぶ塗っていただいたんですけど、どうですか。ここが穴でしょうか? どこでしょうか?
奥田:ここだと、同じだって考えの人は手を挙げていただいて。
参加者14:……あ、誰もいない。
(会場笑)
奥田:いやいや、いっぱいいます。むしろ多数派ですね。ここじゃないっていう。どうぞ。
芝垣:じゃあちょっとだけ……どうぞ、塗ってください。
参加者14:穴を埋めてる媒質が水っておっしゃってたので、金魚は水を含んでるけど、金魚そのものは水じゃないから、かけないみたいな。
奥田:そうですね、そうなんですよ。
芝垣:囲まれてて、その埋められる部分っていうと、金魚のまわりになるんです。
奥田:なりますね。サイト説を厳密に考えると、金魚のまわりの部分になる。
芝垣:これだとなにが問題かっていうと、別に問題じゃないのかもしれないけども。この金魚ちゃんの、その外周ですよね。これだと体の外周は、穴をつくっているその境界線の一部っていうことになっちゃいますよね。
奥田:金魚やからちょっと騙されてるんやね、これ。
芝垣:でもね、実際土だったらそうなってましたもんね、今。だから同じことなんじゃないのって。でもそしたら金魚は、穴の中にはいないんですかね。今、この穴をつくってる壁の一部なんですかね?
奥田:5番を見てくださいよ。うまく、金魚ちゃんは口がはずれました。
芝垣:そう。ボンドが外れました、泳いでます。
奥田:泳いでます。
芝垣:さあ、穴はどこでしょう?
奥田:また塗ってもらいますか(笑)。
芝垣:うん、じゃあこちらの方に。どうぞ好きなところを塗ってください。
奥田:正解とかないんで。
芝垣:そう、これ正解も間違いもないんで、好きなところを塗ってください穴の部分を塗ってください。
(参加者が穴だと思うところを塗る)
奥田:なるほど。ありがとうございます。これ……。
芝垣:こんなふうに。
奥田:こんなふうに塗ってくれました。これは自分で素直に、ここは穴やと思うところですか。それともサイト説の、僕が提示した考え方だとこういうふうになる?
じゃあ、本当の自分はどこが穴だと思ってるか、ちょっと書いてもらえます? 本当はこうしたかった。
芝垣:大丈夫? 誘導尋問じゃないよね(笑)。
(会場笑)
奥田:ありがとうございます、なにも悪いことは起こりません(笑)。はい、ありがとうございます。見てください。こうですよね?
普通金魚が穴の中で泳いでいると、私たちは思いますから。金魚は、穴の中にいるはずですよね。
芝垣:だってこのまわりの部分が、白い部分が穴をこう、ぼこっと掘っちゃうわけですよね。その中に金魚を入れるわけですよね。入れた瞬間に、金魚は穴の中にいないってなっちゃいますか?
奥田:すごいですよね。
芝垣:だってこれ、(金魚の)まわりに斜線を引いたら、金魚はその穴を形成してる壁の一部だから、穴の中にはいないわけですよね。
奥田:これ、言い方を変えると、穴の形が金魚が入った瞬間変わるってことです。
芝垣:そう。ここの中を金魚がすいすい泳いだら……。
奥田:もう、随時変わってるんです。
芝垣:穴の形がずーっと変わってるっていう。
奥田:これは、普通僕らが穴でイメージするのと違いますよね。
芝垣:だから、やっぱりまずいんじゃないの? って。
奥田:そうなんですよ。だから最初に言ったように、サイト説っていう考え方。境界に囲まれていて、そこでそれを満たしてる媒質があって、その媒質の部分が穴であるっていう定義でいくと、ドーナツの例だけだといけそうに思えましたけども、ちょっと考えてみると、なんかちょっとうまくいかないのではないかって話になります。
芝垣:だから、穴は単にかこまれた部分ではないんだろうとなってくるわけですよね。
奥田:そう。そこでいろいろ議論があるので、詳しいことを知りたい方は加地さんの本を読んでいただきたいんですけれども。
結局穴とはなにか、めちゃくちゃはしょっていくと、ここになんの問題点があったかというと、やっぱり金魚は穴の中に入っとるわけですね。入るっていうことは、そもそも穴っていうのはどういうものなのか。なにもないですよね、穴って。ドーナツは、ドーナツ生地がない部分が穴ですよね。これも掘られたら、なにもないじゃないですか。
だからものが入れられるわけですよ。埋められるわけです。ここに充填することができます。だから穴っていうものの、とても大事な条件。「穴とはなにか」と聞かれたときに、「こうです」って答えるときに大事な条件としては、この中に入ってる空気とか水とか媒質ではなくて、そもそもなにもない場所。だからこそ、そこになにかを入れることが、埋めることができる。その「埋める」という機能を持っているっていうのが、穴という存在だと。
だからなにもないことが、埋めるっていう機能、そこに埋めることができるという機能をもっているという仕方で、ないということが存在しているということが、穴の正体だ、みたいな。ちょっと騙されたような気になるかもしれませんけど。いろいろステップを踏んでいくと、まあそうかなって、たぶん思っていただけると思うんですけれども。
芝垣:そう、だから、埋めることができる。埋める能力をもっているというか。
奥田:そうです。なにもないっていうことはつまり、埋める能力をもっているということ。影が「光がない」っていうことで影であるように、ということですよね。加地さん、こんな感じで大丈夫でしょうか。
(会場笑)
というのが一応、今のところ加地さんも含め、私もすごい納得しましたので。穴というのはこういうもんだという哲学的な回答の、言葉としてはとてもやさしく言ってますけども。いけてる説なんじゃないかなと思ってるんですね。
芝垣:埋められる場所よね。
奥田:そうですね、はい。埋められるということが穴の条件なんだというのを言ってるんですけど。芝垣さんは、どうもなんか納得いかんと。
芝垣:そう、これは加地さんが哲学の本の中で言っておりまして、世界でもおそらく、穴はそうであろうってきっと信じられていることだとは思うんですが、ちょっと納得がいかない。
いきなりなんか、解説のあとに一足飛びになっちゃうかもしれないんですけども。どうしても納得いかないことがありまして。せっかくこう、哲学者、その世界の第一人者がいるので、勝負してみようかなと(笑)。これ、なんのあれもないんです、アドリブなので。私がひどい目にあうかもしれないし、加地さんがひどい目にあうかもしれないです。どうなるかわかりません。
埋められるところが穴っていいましたよね。実は、もうちょっとだけ定義に言葉があるんで、ひょっとしたらそこに引っかかっちゃうかもしれないんですけど。ちょっと挑戦してみようと思います。埋められるところが穴。私はやっぱりね、金魚をいじめるのが大好きなんですよ。趣味で、ライフワークなんで。
奥田:ライフワークなんですか(笑)。
芝垣:どうしよっかなあ。金魚、金魚……。でね、哲学っていうものの、最初のものの考え方はそもそも、やっぱりもう1回だけおさえときたいんですけども。結局哲学っていうのは、そこにあるもの、存在をどうとらえるかなんですよね。
奥田:どういうものか。
芝垣:だから結果、そこにあるものがどういうものなのか。そこになにかあれば、どういう過程でつくられてても、おそらくは……それがそうであるということだと思うんですけども。
「ドーナツの穴」とは一体何なのか? 経済学、哲学、数学、さまざまな視点で永遠の謎に切り込む
「なんやこれは?」 ドーナツの歴史を学者が本気で調べた結果、たどり着いた深淵
奥深き「ドーナツ史」をひも解く--1852年のレシピからわかった歴史的な発見
“穴”の大きさで味は変わるのか? ドーナツ実食レポートで食べ比べ
くりぬいた生地はどこへいく? ドーナツ店の店主が語るイーストドーナツの作り方
ドーナツの穴と浮き輪の穴は何が違う? 考えるほど奥が深い“穴の哲学”
“穴”の定義を説明できますか? 哲学と金魚のイラストで言葉の深淵に挑む
“穴”とは、モノとコトの間にあるニッチなものである--ドーナツの中心にある謎を哲学で解き明かす
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略