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『覚醒コンテンツと麻酔コンテンツの今を追え! 〜HUNTER×HUNTER休載から考える現代と漫画の関係性&サザエさんの未来、他』山田玲司のニコ論壇時評
2013.05.01 - 2013.05.01
『覚醒コンテンツと麻酔コンテンツの今を追え! 〜HUNTER×HUNTER休載から考える現代と漫画の関係性&サザエさんの未来、他』山田玲司のニコ論壇時評(全6記事)
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読者のお嬢さんについてきたお父さんにガッシリと握手され「君が漫画を描いてくれているおかげで、娘は薬もやらず非行にも走らないオタクになってくれた。感謝している」と熱く語られたとTwitterに投稿。今描いている漫画は誰かを救うかもしれないから、めげずに描こうなという同業者に対する励ましというか、頑張ろうぜみたいな温かいTwitterが。
山田玲司(以下、山田):サンフランシスコのお父さん?
乙君:サンフランシスコの外国人ですよね。
山田:昨日ジャイアンツですよね。サンフランシスコのね。勝ちましたよね。夜中の2時半までやってましたよ。前田(健太)負けちゃったね。
乙君:いつから野球好きになったんですか?(笑)
山田:前田応援してたのに。
乙君:あれだけ俺、実況とかやっているのに。この番組で。
山田:前田はダンスやるもんな。
乙君:マエケン体操ね。ダンス?(笑)
山田:あっ、違うんだダンスじゃないよね。
乙君:ダンスといえばダンスですけど。
山田:サンフランシスコから漫画読んでいるんだね。
乙君:要はアメリカは薬社会だから、不良とか薬とかに手を出さずに、オタクになってくれたおかげで、ピースフルに育っているよということで感謝されたと。
山田:うん。
乙君:漫画がさっきも言いましたけども悪影響を与えているよとか、それで犯罪が増えているよとかよくいろいろ言われるんだけども、そうじゃなくて誰かを救っている面もあるんだよということ。ニュースというか、そういう話題でした。
山田:ヘロインがあり、麻薬があり、苦楽があり、コカインがあり。そこに漫画っていう新しいドラッグをぶち込んでくれて、娘がキメたのは漫画だったから、うちの娘は助かったよという、そういう感じ? そんな感じに近いだろ。うれしいなそれは。それとだから、覚醒と麻酔の話はちょうどドラッグ繋がりでいいね(笑)。
乙君:ああ。なるほど、なるほど。
山田:ダウナーとアッパーの話になったんだけど。漫画がティーンを救うかといったら、そんなの救うに決まっているんだけど、漫画家が言っているんだからそれは間違いないんだけど(笑)。
乙君:救わないからみたいな(笑)。
山田:救わないわけねぇべっていう話なんだけど、ただし、まあ、あんな萌え漫画とかね、『けものフレンズ』がどうとかね、あんなものばかり見て生殖を諦めてね、どうするのみたいな人いるじゃん。萌えばっかり見てどうするのって言わねぇ、言わねぇ(笑)。俺わかったから。大事だから萌えは。
乙君:萌えが大事!?
山田:萌えが大事だから。俺、説明しようと思って、すみません。これ公式では言ってないですけどね、ヤングサンデーでは散々やっているやつですけどね。コンテンツには2種類あって、お馴染みのやつですけどね。久しぶりだね。これ出すのね。
コンテンツには覚醒コンテンツっていうのと、これはコカインのほうですね。これは麻酔コンテンツでヘロインのほうですね。コンテンツって、2つのドラッグがある話です。
これはざっくり言うと「あっ、こんな世界があるんだ。現実でも俺がんばろう」って思わせるのが覚醒コンテンツ。これは言ってみれば昔のスポ魂なんかもそれに含まれる。努力と根性でも未来は開けるんだ。ボロボロになるまで戦うって格好いいよなって言うのが、70年代のコンテンツから、へぇ、こんなふうに物事を考えたっていいんだっていう。
「うほほーい☆」(注:ライトノベル『新約とある魔術の禁書目録』の「僧正」のセリフ)にだって覚醒コンテンツは入っているんだから。入っているんだよ。あれ麻酔のようで。あれって実はレジスタンスだったんだよね。
だから小さい女の子が月までぶっとばすことができるっていうのは、なんていうのかな。そんな力があるんだよっていうある種、覚醒。まぁ、常識を破壊しているんだよ。
乙君:それはそうだ。ニコちゃん大王とかもそうですしね。
山田:そういうかたちで世界の殻を破って雛は外に出ていくというのが得なのが覚醒コンテンツですわ。それで麻酔コンテンツというのは何かと言うと、そんな現実で戦っているんですよ。我々はと。死んじゃいますよ。こんなきつい現実で。たまには休ませてよと。
たまには「すごーい」とか言う島で、女の子のかたちをした生き物たちに囲まれて生きたいですよ、っていうので生き延びようっていうのが麻酔コンテンツで。昔、俺ずっと実は思ってたんだけど、「麻酔ばっかじゃねぇか!」って怒ってたの。それで俺は覚醒ばかり書こうとしてたの。でもこれじゃ売れないから。
乙君:痛い! なんか痛い! (心に)ぐさっ、ぐさっって(笑)
山田:刺さりながら喋るんだ(笑)。ダメだ。売れない! 麻酔のフリをするぞ(笑)。って言って「この漫画は読むとモテルぜ。オタクでも」という麻酔成分を加えることによって、とりあえず漫画家を続けることができたんですよ。私は(笑)『Bバージン』という漫画でね(笑)。
乙君:よくある。
山田:あるだろ。そうでもしないとダメなんだよ。冨樫と同じでね。冨樫もがんばったんだって話なんだよ。この後しますけど。そういう話で、そうなるとさ、最近、このどっちも大事だなと思いながら、どうもこの覚醒がまた受けねぇなっていうのが、すげーあるなと思ってて。
それで80年代に『うる星やつら』がリリースされた時に、それまでのスポ魂というのはダサいよと。それから『タッチ』で疲れるから嫌なんだよって言うじゃない。だから「熱いのは嫌だよ」って覚醒批判をするわけだ。実はね。だから押井守の『うる星やつら』は麻酔を覚醒にしようとする試みだったんだよね。
乙君:そうですね。ビューティフルドリームとかね。
山田:そうだよね。あれがアンチとして後半に監督として出てくるぐらい、覚醒を批判するという流れが90年代前半にあって、この後「ユーアーショック!」って始まるわけ。
だから『北斗の拳』が始まるわけですよ。一見麻酔なんだけど覚醒でもあるみたいな、ちょっと熱い戦いをメタ視点で笑っているところがあるんだよ。どこかで。90年代の熱いものって。
乙君:『北斗の拳』が?
山田:『北斗の拳』が。そう。あれって間なんだよ。ポストモダンなんだよ。ガチで「ひでぶっ」なんだよ。笑ってたの。でも『スラムダンク』になると笑ってないんだよ。
乙君:ああー。
山田:『スラムダンク』でガチ覚醒のほうにいくの。90年代。80年代ってがぁーっと麻酔のほうに移ってから、もう1回、90年代に覚醒のほうに戻っていくの。
この揺れが常にあって、それで最近の萌えの話に「萌えばかりじゃないですか!」っていうね。「右も左も萌えじゃないですか!」っていう。こんなんでいいのかなって、いろいろ考えたんですけど、これもしかしたら。
乙君:もしかしたら?
山田:あまりにも酷い現実で。
乙君:えっ? うん。
山田:現実がひどすぎるから、覚醒して社会とか出ちゃったら、もう残業で死んじゃうかもしれないじゃん(笑)。
乙君:誰とはいいませんが(笑)。
山田:誰とはいいませんが。真っ白じゃないですか。あの人。
乙君:真っ白なファミリーばっかだよね。
山田:もう心配じゃないですか。もう点滴したいもの。アイツに。
乙君:点滴!
山田:点滴をしてあげたい(笑)。
乙君:俺はまず日光浴させてあげたい(笑)。
山田:まず日光浴をさせてあげて、とりあえず落ち着かせてあげたい。
山田:でもアイツを落ち着かせているのは何かって言ったら、フレンズたちなんですよ。萌えキャラがアイツの命を救っているんですよ。そうしたらこれは、もしかしたらある種のコールドスリープ戦略じゃないかと思うんですよ。
乙君:ああ、なるほどね。萌という。
山田:萌カプセルで最悪な現実をとりあえず凌いで命だけを、だからこれは防空壕ですね。
(一同笑)
乙君:例え多いな(笑)。
山田:防空壕の中にいて、「お前は戦わないのかお国のために」なんて言って、「ブラックと言われる企業に入って戦うんだよ」みたいな。「嫌ですよ。僕は、けもフレ見たいですよ。だから帰りまーす」って言って、この中に入るやつの遺伝子が最終的には残るんじゃねえかっていう話ですよ。
乙君:あれ? そうなんだ。
山田:そう。だって何でかっていうと覚醒して出ていってしまうと。
乙君:すり減って。
山田:残業しちゃうから。
乙君:ああ。
山田:みんなのために(笑)。
乙君:残業しちゃうんだ(笑)。
山田:みんなのために残業している場合じゃないんだよ。なんでかというと「そんなお金はバラまけ!」で、一部の人たちのフェラーリになっちゃうわけじゃん。だからここは冷静に、こんな時代。戦争だって5年しかなかったんだから。5年経ったら全然違う時代が待ってたんだから。
だったらこんな時代は長く続かないんだから、「VRを着けて萌カプセルの中で生き残れ!」という戦略ではないだろうかという話ですよ。
乙君:なるほど、なるほど。戦略というか、自然とそこに向かってしまっているというか。
山田:後になって、今はオタクだとか、「お前らリアルな女の子触ったことないくせに」とか言われて迫害されてますけども、いや、振り返ってください。
戦争中に反戦活動していた人と一緒じゃないですかという。白樺の人たちと一緒じゃないですかという。彼らこそが小林武史じゃないですかっていう。現代の小林武史は秋葉原にいるんじゃないですかという話ですが(笑)戦っているわけですよ。歪んだ資本主義社会とねっていう話だよね。帰ってきて(笑)。
乙君:急にさ、おおっと思って(笑)。
山田:思い出した曲が1曲あります。
乙君:曲? 何でしょう?
山田;ありました。5、6年前の曲かな。もっと前かな。
乙君:5、6年前の?
山田:相対性理論というバンドがありますよね。やくしまるえっちゃん(やくしまるえつこ)が歌ってますよね。その名も『小学館』という歌がありましょね。
乙君:あるんですか?
山田:『小学館』っていう歌知らないですか?
乙君:知らないよ(笑)。
山田:えっ! 知らないの?
乙君:知らないよね(笑)
山田:スピリッツ読ませてベイビーだよ。知らないの? スピリッツ読ませてベイビー、モンスターの謎解き任せてベイビーだよ。モンスターはスピリッツでやってませんよという込みのやつですよ。知らないですか? 知らないんだ(笑)。それでこの歌詞。奥村さん聞いてくださいよ(笑)。
乙君:うん。
山田:歌詞の中で「外は大洪水、今日から3週間、目覚めちゃだめだよベイビー」っていう歌詞なんだよ。
乙君:はい。
山田:「外は大洪水。起きたら危ないベイビー」って言ってるの。でも世界が終わったら漫画読めなくなっちゃうなって。それで、「スピリッツ読ませてベイビー」って言う。ひいきは小学館っていう歌詞が出てくるんだけど。これ「外は大洪水、寝てろよ」って言ってるの。コールドスリープですよ。これ。漫画読みながらっていう。素晴らしくない? これ。
乙君:素晴らしいですね。
山田:素晴らしい歌詞です。こんなこと言ってるなと思うと、相対性理論でこの曲を書いた、相対性理論の主な曲を作っている人が、小学館の編集者が友だちだったらしいですけどね。
乙君:あれ? これ忖度しているじゃないですか! 忖度ですよ!
山田:ひいきは小学館ですからね。『CICADA』も連載してますので。
乙君:あっ、なるほど。
山田:スピリッツには『CICADA』も連載してますので。やべぇ41分(笑)。あと、ちょっとざっくり言うと、この間のペルソナ5ですわ。ペルソナ5酔いですわ。僕はペルソナ5中毒なんですよ。すみません。みなさん。
言いましたけどペル中なので、お前終わらせたいよ。いつまでもペル中でいられないと思って寝ないでやったよ。寝ないで現場で。そうしたらね。
乙君:小学生なの? 寝ないでゲームをやるって。
山田:やりました、やりました。めっちゃ覚醒だった。
乙君:めっちゃ覚醒でした?
山田:限定のほうでちょっとだけしゃべりますけど。
乙君:ペルソナ5終わったよという。
山田:まぁいいっか。冨樫を待っているよね。冨樫やっちゃおう。次、行きましょう!
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