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Why Is It So Hard to Build an ICBM?(全1記事)

北朝鮮が発射するICBM(大陸間弾道ミサイル)のメカニズムを解説

今年に入りICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を頻繁に行っている北朝鮮。先日もミサイルが北海道上空を通過し、北朝鮮情勢は緊迫化の一途を辿っています。ここで念のために知っておきたいのが、ICBMとは普通のミサイルとの違い。そもそもミサイルはロケット推進力によって誘導される兵器で、その中でも射程のもっとも長いものをICBMと呼んでいます。最低でも5,500キロメートル(ニューヨークからロンドンまでの距離)は飛行します。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」は、ICBMのしくみや技術的な話をします。

ICBM(大陸間弾道ミサイル)のメカニズム

ハンク・グリーン氏:最近の北朝鮮とICBM(大陸間弾道ミサイル)はよく話題に上り、混乱や恐怖を引き起こしています。

個人レベルで北朝鮮に対してできることは何もありませんが、そうした混乱の原因について知っておくことは助けになります。そこで今日はこの大量破壊兵器について取り上げて、開発する難しさやその危険性についてお話ししたいと思います。

そもそもミサイルはロケット推進力によって誘導される兵器で、その中でも射程のもっとも長いものをICBMと呼んでいます。最低でも5,500キロメートル(ニューヨークからロンドンまでの距離)は飛行し、中にはその倍やそれ以上飛ぶものもあります。

ICBMの弾頭には毒性の化学物質や爆薬を積むことができ、とくに最近では核弾頭を搭載することでさらに危険なものになっています。

この数年、北朝鮮はミサイル実験を行うことで飛距離を伸ばし、7月4日には初のICBMを、7月28日にはその2発目を発射しました。専門家は、彼らは完ぺきに機能するICBMの完成には至っていないが徐々に近づいている、と言っています。

アメリカとロシアは1950年以来ICBMを配備してきましたが、その開発は困難を極めました。ICBMは実際のところロケット工学です。一番の問題は重さと距離がトレードオフの関係にあることです。

遠くまでミサイルを飛ばす1番簡単な方法は軽くすることですが、遠くまで飛ばすにはそれだけ燃料が必要です。さらに弾頭が大きければそれだけ重たくなるので、開発にはこのバランスを取らなければいけません。

こうした点を踏まえて兵器開発者は、ICBMの実用化のために燃料タンクやロケットエンジンを1つではなく、多段式に分けることにしました。宇宙へ飛び出す時のロケットと同じ原理です。

多段式ミサイルの1段目はブースターを使って打ち上げます。ですが、燃料を使い切れば、推進力が高い代わりに一番重たいエンジンは切り離してしまいます。全体の重さが軽くなれば、次のエンジンと燃料を使ってさらに高い高度まで上がりやすくなります。

このように多段式ミサイルは自重を少しずつ軽くしていくことで飛距離を伸ばしますが、搭載しようとする核弾頭は高濃縮ウランやプルトニウムといった超重量の物質で作られており、重量は依然としてかなりのものです。

そこで、可能な限り核弾頭を小さくしようとしてきました。数トンだった核弾頭を数百キログラムまで小型化したのです。

たしかに材料を減らせば小さく軽い兵器ができますが、金属と不安定な物質をうまく配置することで絶大な威力を生み出せる反応もあるのです。ここでは詳しい原理を説明しませんが、空間をうまく利用したその例の1つは、核分裂反応を使って核融合反応を引き起こす熱核兵器です。

核分裂反応は原子が分裂する際にエネルギーを放出し、基本的には中性子が他の不安定な原子の原子核にぶつかることでさらに中性子が飛び出し、それが連鎖反応していくことで膨大な熱とX線を放出します。

正確に設計されていれば、放出されたエネルギーが次の核融合反応を引き起こします。核融合反応は原子を融合させることでさらに中性子を発生させ、核融合物質の周りを覆っているウランやプルトニウムにさらなる核分裂反応を引き起こせるので、物質を増やせば増やしただけ放出されるエネルギーも大きくなります。

核融合と核分裂を組み合わせることで強力な爆弾ができるのです。

化学結合を破壊する通常の爆発と同じように、核兵器は素粒子レベルで結合を破壊することでさらに絶大な威力を実現しているのです。

エネルギーがそれだけ大きければ瞬時に破壊するだけでなく、電離放射線が組織にダメージを与えて放射線障害も引き起こします。

これだけいろいろと説明できるのは、コンパクトな熱核兵器が開発されてすでに半世紀以上経っているからですし、言葉で説明するのは実装するよりはるかに簡単です。

核物質を調達して、核融合の起爆方法を調べて、あるだけの核物質を連鎖反応させきらなければいけません。核分裂反応だけのシンプルな爆弾であっても、途中で息切れして終わらないよう連鎖反応を続ける必要があります。

ICBM実用化にはいくつかの関門が

ICBMを実用化しようとするなら、これらに加えて、ミサイルを宇宙空間へ送ったあとに再び戻さなければいけません。ミサイル開発のもう1つの難しさはこの大気圏再突入です。

ICBMが難しいのは、宇宙空間へ飛び出す他の弾道ミサイルにくらべて大気圏に突入する際の速度が速く、時速21,600キロメートル以上になるからです。さらに再突入の際には太陽の表面温度と同じぐらいの熱さになります。

当然金属は溶けてしまうので、特殊な保護剤を使わなければ地上に到達する前にばらばらになってしまいます。

弾頭を保護する方法の1つは大きくて分厚い再突入体を使って、最も温度が高くなる密度が高い大気圏の下部に侵入する前に速度を落とすことですが、これは前述の大きさと重さの問題も再燃してしまいますし、速度が落ちれば目標に命中させるのも難しくなります。

そこで開発者たちは、比較的軽く再突入時に熱分解する断熱材を開発し、ミサイル表面に発生した高熱ガスによって内部が熱くならないようにしました。

ですが、次はミサイルを標的に誘導する問題が出てきます。

ミサイルの一部が燃えたりした場合にどれぐらいそれるかをコンピュータで予測するのは難しく、しかも大抵燃える場所は偏在しています。

さらにICBMは長い時間大気圏を飛行するので、わずかな軌道のズレでも大きな影響を受けます。

ICBMの飛行が長距離で高速なことはすべてを難しくしています。

強力なエンジンで、大気圏でも燃え尽きず、可能な限り軽くしながら目標を正確に狙う軌道を計算するのは並大抵のことではありません。労力、技術力、頭脳をとてつもなく危険なものに投入するのです。

当たり前ですが、誰しも使われないことを願っています。

北朝鮮が熱核兵器を搭載したICBMを開発できていないのは確かですが、時間の問題でしょう。

多くの国が破壊兵器を持つようになるとそれだけ恐怖や無力感を感じますが、そうした技術を理解することは少なからず助けになります。

いずれICBMの脅威から保護する技術を紹介できることを願っています。なので、必要以上にパニックにはならないでくださいね。

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