2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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岩崎究香氏(以下、岩崎):洋服を着ているように着物も着ているという方がええやないですか。海外にお出になるわけですよね。ご自身のルーツを知っといたらいいと思う。
こないだ私、山中さんに言ったんかな? ベルリンフィル(ベルリン・フィルハーモニー)というのがあるでしょ、ミキシングとかされてる方が郡司さん。この方のご実家が神職なんです。「郡司さんのとこ、歴史はどんな仕事をして来たんですか?」て、ベルリンフィルの人が聞かれたんですよ。そうしたら「自分のところは僕で48代なんです」て。
山中哲男氏(以下、山中):48代、すごいですね(笑)。
岩崎:48代と言ったらびっくりしゃはったって。「嘘ついてるでしょ」「じゃあ家系図を持ってきたらええですか? お見せしましょうか?」て言うて今度は家系図をピッて見せはりました、というのがあります。要するに、自分の歴史をまず知ることが日本の伝統文化を知るきっかけになると思います。
山中:そうですよね、そこを知らないと。海外というと、僕も5年間アメリカに住んでいたのですが、その時に、やっぱり日本の歴史が好きな人が多いのですよ。だから、それを聞かれて知らないと本当に答えられなくて。やっぱり知っとかないと。
自分たちのルーツをどこの国の人たちもみんな大事にしているじゃないですか。だから日本の人たちはもっと自分たちの文化や歴史を知っとかないと。でも僕はね、今まで究香さんに会う前はなんとなくはわかっていたけど、言いわけかもしれませんが、本当にそういう自分のルーツを考える機会がなかったのですよね。
だからやっぱり、人との出会いがきっかけになりました。人との出会いが本当に興味・関心につながっていきますよね。そうしたものを、今日これを機会に、お話を聞いたり、実際に廊下のところに貴重なお道具がいっぱい飾ってありますので、触っていいんですよね?
岩崎:いいです、いいです。
山中:いっぱい触ってみてもらう中で、やっぱりおもしろいなと思った人たちは祇園へ行ってみたり、京都へ行ってみたりしてほしいです。とはいえ京都だけが日本文化ではありませんから、それ以外にも、ちょっとこれを機会にお茶に行ってみようかなとか。
僕も本当にこれからなのですが、そんな感じでより多くの若者に自分たちの母国に対してもっと向き合ってほしい。本当に20代、30代、40代の人たちがもっと向き合っていかないと。今は海外には向いているものの、やっぱり国内には向いていないので、そうした人たちが増えればすごくうれしいですよね。
岩崎:ブックツアーというのがあったんです。ブックツアーでアメリカとヨーロッパを19ヶ所回りました、そこに住んでおられる、それから大使館の方々がおいでになるんですけど。そういう方々が「究香さん、もっと深く、自分に日本の文化を教えてください」とおっしゃる。
でも、「教えてくださいじゃないです」って。自分の家はどうなんやということ、おじいさんはどうやったかということですという話をしたんです。そうすると、私のとこは明治時代に……となって「それそれ!」。それなんですって。
山中:自分の家系のルーツから入るのが一番いいと。
岩崎:そういうことです。それを知ることです。
山中:初めて究香さんに会った時に、家紋の話をしませんでしたか?
岩崎:あっ、そうそう。
山中:やっぱりそういう話をされて「家紋ってどんなんですか?」と聞かれた時に、なんとなくわかるのですが、僕は正直言えなかったんですよね。でもそういうのはやっぱりいい機会だったので、親に聞いたのですよ、「僕の家、どうだったっけ?」と。
そういうことをふだん話をすることは今までほとんどなかったのですが、やっぱり自分と向き合うとおもしろいのですね。実はおじいちゃんはこういうことでとか、親がいっぱい話をしてくれて。
親よりもっと先の話はしないので、やっぱりそれは究香さんに「山中さんとこの家紋はどんなんですか?」と聞かれた質問で、僕はすごく自分の家のことをたくさん知ったのですね。だから、そういうところから入っていくとおもしろいですよね。
岩崎:「山中鹿之助」とか(笑)。
山中:そうです、そうです(笑)。
岩崎:まぁ、そういうことが1つのきっかけでお持ちになってね。世界に出るんやったらそれは知っていたほうが。だってヨーロッパでも、ハウスマークはとても大事なものですよね。
山中:そうですよね。やっぱりこれからいろんなものに触れていくと思うのですが、その時になにか自分や自分の家系、自分たちの国を見ているか見ていないか、やっぱりアンテナを張っていないと絶対に引っかからないと思うのですよね。
僕は究香さんと出会ってすごく向き合うきっかけになったのですが、なにかそういう人がどんどん増えれば、日本もこれからもっと豊かになるのではないだろうかと。やっぱり海外にばかり向いていても仕方がないわけで。
岩崎:豊かやないとあかんのですよ。日本が豊かやないと、伝統や文化がありますやん。めちゃくちゃお金いるんですよ。
山中:そうですよね。そこにぜんぜんお金があまりこう……。
岩崎:そうなんです。なんとか媚を売りに行こうかと思っているんです。
山中:媚を売りに行く(笑)。そうですよね。経済成長ばかりに目が向いてるので。文化や伝統に、人が……もしかするとメディアもそうかもしれませんが、多くのところで目があまり向いていないので、なにかもったいないですよね。せっかくの日本の伝統文化が。
岩崎:ちゃんと経済が回っていないという感じですよね。
山中:だってこの中に入ってきますものね、文化もね?
岩崎:そうそう。だって安倍(晋三)さんかて言うたはりましたやろ? 日本の文化、「美しい国」。そんなん、口だけやんかいさ。
山中:ははは(笑)。
岩崎:絶対会うたら「月夜の晩ばっかりやおへんえ!」て。
山中:そうですよね。
岩崎:やっぱり日本の経済というのが一番ですね。伝統や文化をしっかりと若い人たちが守って、自分のことを知って、それで世界に出ていって太刀打ちできるわけですから。それがなかったら、やっぱし太刀打ちなんか。
山中:だから本当に僕も、いろんな企業さんを見ている中でも、どうしても文化やこっちのほうに、人やお金が集まっていないなというイメージがすごく強くて。だからそういったところにも若い人たちが興味を持って……。
すごく力のある人たちが、山ほどいるのですね。なので、そういった人たちが、歴史や文化、伝統により興味を持って「よし、じゃあやってみようかな」と。それはお仕事なのか、1つの自分の人生のミッションとしてなのか、それは別かもしれませんが、なにかそこに関わっていくような人たちが本当に増えてきたら。
岩崎:今日ね。
山中:今日来ていらっしゃる方も、ねぇ。
岩崎:それって、山中さんがふるいにかけたんですか?
山中:ふるいにかけたんじゃないですよ(笑)。僕が最初にどうしても来てほしい人たちを呼んで、その人たちが友達を呼んでといったことで。だから初対面の人もけっこういると思うのですが、みなさんと僕、誰かはつながっていると思います。
岩崎:そうなんやね。
岩崎:やっぱり祇園町とか花柳界は日本全国にあるんですけど、一番流行った時は明治時代ですよね。けれどもそこから150年ぐらいは経っているわけですよ。そして古臭いとこやと思わはるんですよ、花柳界というところは。そやから、若手のお客さんが増えへんのですよ。
若手のお客さんは写真撮るだけ、的な。それとか、舞妓さんの変身だけして帰るとかそういうことではやっぱり、ほんまのことを知るとか、触れるとかは無理やと思います。
だからやっぱりある程度の、お立場ができた方というのは、自分のことを知って。それでまた、トントンとしていただければ敷居はもう、毎日ザーッて削っとぉきますので、来ていただいたら嬉しいなぁて。
山中:うれしいですよね、若い人たちも増えたら。
岩崎:うれしいと思いますよ。
山中:そうですよね。もう時間があれみたいで。最後によかったらみなさまにメッセージを。それを最後、締めでちょっといただきたいと思います。
岩崎:日本の伝統文化ばっかり言うてますけれども、実はお座敷というのは、とってもとっても新しいことが好きなところなんです。形はすごく古いんですよ、舞妓さんの姿は江戸時代の大家、商家のお嬢さんの姿。だから、200年以上はあの格好なんです。
それってめずらしくないですか? 世界にないですよ、まずね。だからそういうことも思っていただいて。今日はこんな芸妓・舞妓さんに会うて来た。こんな話をしたねということを思い出してもらえれば、なにかの興味が出るのではないかと思いますし。
あとで舞妓さんも芸妓さんもここの場所に出てお相手しゃはりますのでね、なんでもなんでも聞いてあげてください。ちょっとだけでも祇園町に遊びに行きたいなと思ってもらえるように、私らも努力いたしますけれども、よろしくよろしくお願いいたします。
山中:ありがとうございます。これで第一部のセッションを終わりたいと思います。
(会場拍手)
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