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第72回 『俺が10年後も漫画で生きてくための5つの戦略っ!〜シカーダ2巻発売記念☆スピリッツ元編集長と語る漫画の未来スペシャル!!』(全7記事)

「だいたい編集の仕事って公私混同」 スピリッツの黄金期を支えた男が語ったマンガ業界のリアル

ニコニコ生放送の人気番組「山田玲司のヤングサンデー」。今回は7月14日放送の『俺が10年後も漫画で生きてくための5つの戦略っ!〜シカーダ2巻発売記念☆スピリッツ元編集長と語る漫画の未来スペシャル!!』の内容を書き起こしでお届けします。

漫画界のパイオニアが集合

乙君氏(以下、乙君):J(週刊少年ジャンプ)問題もそうですし、漫画のことについて、今日はとことん話したいと。しかも、作家側と編集側からということもテーマにして、今日はニコニコ公式生放送。

山田玲司氏(以下、山田):あとおもしろいのが、雑誌からWebという大きな転換点のキーパーソン、今日は来てます。本当に。だから、その辺の話、まさに立ち上げた人が来ちゃってる。

乙君:オリジネーターが。

山田:なので、一番聞いてておもしろいって話になるじゃない。公式っぽくていいなって。

乙君:ということでお呼びしましょう。すみません、お待たせしました。マンガワンの編集長、石橋さんと小学館の編集長の編集王、立川さん、こちらへお越しください。どうぞ。

(会場拍手)

山田:どうもこんにちは、ありがとうございます。4時に言われて、いきなりすみません。非常に申しわけありませんでした、本当に。

乙君:改めて、石橋さんですね。

石橋氏(以下、石破氏):はい、石橋と申します。

乙君:マンガワンの編集長。もう僕も毎日マンガワンをずっと。

山田:スーツじゃない、だからスーツ野郎だから。

乙君:自分が言い出したんじゃん、スーツ野郎って。

山田:だから、そういう意味ではないんだという話です。

乙君:さらに、そのボス中のボス、ラスボス。

立川:「編集王のおなーり」とか入ってるんですか。全然違いますよ、編集王とは。単なる管理職というんですか。

石橋:編集長というのは、いわゆる課長なので。で、部長なので、当然部下になりますので。

乙君:そうなんですか。

立川:紙の雑誌で言うと、発行人みたいなことになるのかもしれないけど、マンガワンはアプリですから、だから何だろう。何だかよくわからない。

石橋:あくまでも、課長と部長ということで。

乙君:じゃ、もう今日いきなり、「おまえちょっと来いよ」みたいな感じ。

石橋:そうですね。

(会場笑)

乙君:申しわけないです。

立川:編集魔王になっちゃった(笑)。

乙君:編集魔王、おもしろいな。

スピリッツの黄金期を支えた男

山田:立川さんは、スピリッツでいわゆる超黄金期を支えてます、実は現場で。だから、『めぞん一刻』のあのころいましたよね。めぞんのころにいた。

立川氏(以下、立川):めぞんのころはいました。

山田:いましたよね。で、『東京ラブストーリー』やっていますよね。

立川:東京ラブストーリーは、僕の次の編集ですね。俺じゃない。

山田:最初にスピリッツにいたころって、誰が編集担当やってたんですか。

立川:俺の一番最初は、いろいろやらせていただきましたけど、六田登さんとか。

山田:あっ、『F‐エフ‐』ですか。

立川:Fの前の。だから、常にかすってるね、考えてみると。東京ラブストーリーの前の作品。Fの前の作品。

山田:東京ラブストーリーの前に何をやってたんでしたっけ。何かありましたっけ。

立川:『同・級・生』とかやってましたね。

山田:同・級・生だって、ドラマ化して大当たりしたじゃないですか。

立川:なりましたね。まあ、東京ラブストーリーほどじゃないよね。でも、そういうものが出るかなという感じ。

山田:柴門(ふみ)さんが弘兼(憲史)さんと出会ったころの話ですか、それって。

立川:同・級・生。それはもう全然違いますね。あれはどっちかというと、俺の話を描いてもらったみたいな感じだから。

山田:えーっ! そうなんすか?

立川:そう。

乙君:えっ、モデルってことですか?

立川:モデルってわけじゃないですけど、一応自分が当時いろいろ困ってたことを漫画で解決してほしいって。

漫画家や編集者の恋愛

山田:えっ、それって、恋愛に困ってた話を柴門さんに振ってたんですか。

立川:そうそう。まあ、まだ神様って言われる前でしたけど、何となく神様っぽかったんで、いろいろ相談してみてもいいかもしれない。

山田:いや、すごかったんだよ、フーミンって呼ばれてたから。ユーミン、フーミンって言われてたんだから。

乙君:そうなんすか。

山田:そう。もう『anan』出てたんだから。『anan』で恋愛語ってたんだから。それが弘兼さんと結婚するんだから。

立川:公私混同疑惑って書いてあったよね。だいたい編集の仕事って公私混同だよね。

山田:いや、でもちゃんと責任とるからすごいじゃないですか。

立川:いや、責任とってもらった。

山田:それは有名な話ですけど、奥さんは石坂啓さんで、漫画家さんと編集者が結婚するってことはよくあるんですけど、わりと立川さん有名で。

乙君:えっ、立川さんの奥さん?

山田:そうです、石坂さん。

立川:それを言っちゃいますか。まあ、別に隠してることもないよね。

山田:そう。青年誌に女性漫画家が流入してきた時期なんだよ、ちょうど。あれが80年ぐらいですよね。

立川:有名な公私混同って書いてあった。そんなに有名かな。

山田:有名ですよ。

乙君:今日、立川さん、ニコ生初めてなんで、みんな優しくね。Webに対応できる人なんで。何か古い人みたいに言われてるから。

山田:そうですよね。

立川:でも、私は彼女は担当してないですけどね。

山田:えっ、1回もないんですか。

編集者の生活が漫画のネタに?

立川:仕事してたら多分結婚はしなかったと思います。1回もないです。

山田:あれって、やっぱり担当作家には手を出すなみたいな、みんな一応ブレーキ踏むんですか。

立川:いやいや、そういう雰囲気にならないんだよ。

山田:いやいや、だって結婚する人多いんだよ。やっぱり夜中に呼び出されたりしてるうちに。

立川:どうかな。でも、俺は仕事を一緒にしちゃうと、もうそういう雰囲気にはならなくなっちゃうね。打ち合わせって基本的に身も蓋もない話をするじゃないですか。

山田:します。

立川:だから、自分の話で何かネタになりそうなことを言うときもあるし、先生からそれを聞くときもあるけど、もうかなりしょうもない、ケツの穴をさらすみたいな話をしてるので。

山田:どこまでネタを出せるか。

立川:それでどうやって恋愛になるんだという感じだよね、だから。

山田:それを柴門さんが拾って。

立川:そうすると、何か柴門さんにケツの穴見せてるみたいで。大変失礼な物言いなんですけど。

山田:それが『同・級・生』になっていった。

立川:でも、まあ、そうですね。だから、おもしろい仕事をさせてもらったと思ってますけど、別に柴門さんがもし独身であったとしても、そういう雰囲気にはならないですよね。もちろん、相手は絶対ならないでしょうし。だから、仕事をしてたら、ちょっと難しいかなという。

山田:熊ちゃん、やばくなったことないの? とか聞いたりして(笑)。

熊谷:とばっちりが。ないですよ(笑)。

山田:だって、女性作家をけっこう担当してるけど。

熊谷:担当してますけど、そういう感じじゃないですよね。早く原稿上がんねえかな、早く帰りてえみたいな感じあるじゃないですか(笑)。ずっと一緒にいたいとかとはちょっと違います。

山田:まあ、そうだよね。

熊谷:だから、立川さんの言ってることはよくわかります。

山田:一緒に仕事しちゃうと、あまり恋愛とかにはならない。

立川:ならないですよね。逆に漫画家さんで、あまりいないけど、でもたまに美しい女性担当とか来たらどうなの?

山田:島本先生のね。

編集者・立川の人となり

立川:どんどん本題から外れてるような気がするんだけど。何が本題なのかというのが。

山田:見るのがおもしろいと思ってる人はけっこういると思うんで(笑)。

立川:いや、ちょっとかなりくだらないほうに行ってるんで、後でちょっとマンガワンでフォローしてもらわないと。

石橋:僕も初めての話はけっこう好きです。

山田:だから、立川さんがどういう人かというのを、一応最初わかってもらいたいなと思って。しかも、俺、これおだてるわけではないけど、漫画編集っていろんな人いて、俺は本当は漫画やりたくなかったんだよなって人もたまにはまざっていて。

一旦はやるけど、いずれは漫画編集から離れたいって思ってる人もいるのよ、中には。演歌歌手になりたいって人いたもんね。本当は歌手になりたいって言ってた有名な人がいましたけど(笑)。

そんな中で、だから、いろんな担当が変わっていくうちに、本気で漫画好きだなって人ってわかるんだよ。この2人は、やっぱすごい。漫画が本当に好きだなというのがわかって、立川さんは本当漫画好きですよね。

立川:そうっすね、好きですね。

乙君:立川さんの人生を変えた漫画って何ですか。

立川:そういうふうによく聞かれるんですけど、この漫画っていってぱっと挙がる漫画って別にないんだよね。

乙君:そうなんですか。子供のとき、これ読んだからみたいな、そういうのは。

立川:いや、子供のときは、むしろ、あまり読んでなかった記憶もあるので。そこら辺が何か、もうちょっとすぱっとかっこいいことが言えるといいんですけど。

乙君:編集担当してて一番苦労したのって何ですか。

立川:一番苦労したことですか。うーん、あまり苦労したという自覚がないというのが。もちろん、それなりに大変なことはありましたけど、でも、けっこう好きな仕事をやらせてもらってるってのがあるから。うーん、それもやっぱりそんなにないですね。

乙君:じゃあ、すごいいいですね。

立川:いいというか……。

山田:言いづらい話は限定でやろうぜ。掘っていこう。石橋さんはエニックスにいたんですよね?

エニックスで漫画編集者に

石橋:そうですね、もともとエニックスで。

山田:だから、最初、漫画をやりたくってガンガンに行ったんですか?

石橋:正確に言えばヤングガンガンだったんですけども、僕は就職活動、何も考えてなくて、自分が何が好きかなって思ったら、漫画だけはずっと読んできてたんで。

じゃ、漫画編集者になろうかなと思って、そのころは、もう大手出版社とかの面接が全部終わってて、エニックスだけ募集していて、それに応募したというだけです。

山田:あそこは、もともとゲーム会社じゃないですか。

石橋:そうですね。

山田:それに何かコミックス。じゃ、漫画部門やるからみたいな。

石橋:そうですね。ちょっと募集していて。他社の話を本当にしていいのかわかんないですけども(笑)。

漫画部門とゲーム部門と、そういうふうに部門別作業してたので、僕は一応漫画部門を第一希望で一応通ってエニックスに入ったというかたちです。まさかエニックスの話までするとは思わなかった。

山田:誰の担当をやってたんですか?

石橋:僕ですか。でも、僕はわりかし新人作家が多くて、これも他社の作家さんの話をここでしていいのかわかんないんですけど……。

山田:ディスんなければいいんじゃないですか(笑)。

立川:モーニングの誰だっけ。

石橋:中村光先生とか。あとサンデーでも一緒にやったんですけど、『マギ』の大高忍先生とか。

山田:えっ、『マギ』の先生。

石橋:そうですね。一緒にやらせていただきました。

山田:で、小学館に来て、1回、最初にサンデーにいて。

石橋:そうですね。

山田:それもあれですか。野望があって、Webのことを何かやろうかなみたいなのはあったんですか?

エニックスから小学館へ

石橋:それは、Webで漫画をやりたいなというのももちろんあったんですけど、正直、週刊少年誌というのに憧れもあったんで、1回ぐらいはちょっとやってみたいなというのがあって、まずサンデーに行ったというのはあります。

山田:それって、自分で中途で俺を雇ってくれという。

石橋:そうですね。

山田:すげえ、かっこいい。

乙君:面接官は立川さんだったんですか。

立川:いやいや。

乙君:違うの。

立川:俺面接したら、いたかどうかわかんないですけど。

山田:こわっ!

(会場笑)

立川:だって、態度悪そうだもん。

山田:面接って最終的には、個人の好き嫌いで決まるんですかね? こいつと働きてえなって思うかどうか。

立川:でも、人間ですから、やっぱそういうところはあるかもしれないね。

乙君:でも、これちょっと聞きたいっすね。編集者になるにはどういう人がなる。

石橋:就活の話になってきましたね。

乙君:そういう人もいっぱい見てると思う。

立川:でも、編集者は、漫画の編集者と普通の一般誌の雑誌、いわゆる雑誌記者っぽい編集者とじゃ、また微妙に違うでしょうしね。俺は漫画の編集しかやったことないんで、漫画の編集のことしか言えないですけどね。どういうのが向いてるかね(笑)。

熊谷:やってみないとわからないですよね。僕、最初漫画じゃないですから。小学三年生で学年誌ですから。そう考えると、何で今ここにいるのかわりと不思議ですけど(笑)。

何かやってるとですかね。学年誌ってわりと漫画多いんですよ。まあ、今は小学一年生とかしか残ってないですけど。

なので、やってると、何か漫画のページ楽しいなってのがあって。記事のページつくるのけっこうきついんで、自分で取材とかしなきゃいけないんで。何か山田さんとかに、こういうのおもしろくないですかって適当に言うとネームが上がってきて、非常にありがたいという(笑)。

山田:ちょっと待ってや(笑)。まあ、そうっすよね。

熊谷:思ったことを言う簡単なお仕事。

山田:石橋さんはマンガワン、まずサンデー。

石橋:サンデーで編集者をやってて、ともとWebコミックを読むのが、紙の本を、漫画を読むのは、どちらかというと仕事になってたんですけども。

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