2024.10.01
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The Man Who Tried to Give Himself An Ulcer... For Science(全1記事)
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マイケル・アランダ氏:SciShowではマッドサイエンティストを推奨するつもりはありませんが、時に科学者はそんなステレオタイプに匹敵し、ほとんどの人がしないようなことをします。理論を証明するために自分で自分を実験してしまうのです。
1984年、オーストラリアの科学者バリー・マーシャルは大量の危険なバクテリアに自ら感染しました。けっこうバカですよね、家ではしないでください。しかしそのおかげで、胃潰瘍は感染する病気だとわかり、多くの人の命を救ったのです。
胃潰瘍は内臓の上の方にある胃の痛みで、不快感があります。悪化すると出血したり破裂したりして命に関わります。
1970年代、胃潰瘍は喫煙や飲酒をする中年男性が最もかかる病気でした。不健康な生活や遺伝子の関係で酸を作りすぎることが原因だと医者は考えていました。典型的なアドバイスとしては、落ち着いて、摂取するものをよく考え、制酸剤を取れというものでした。胃は無菌でバクテリアはいないと考えていました。
しかし1979年、オーストラリアの病理学者ロビン・ウォレンはその考えに疑問を持ち始めました。胃炎の患者からとったサンプルに、定期的にコンマの形をしたバクテリアを見ていたのです。彼とバリーマーシャルはは公式に研究を始め、ほとんどの胃潰瘍の患者にバクテリアが存在することを発見しました。
彼らはそのバクテリアをヘリコバクター・ピロリと特定し、これこそが胃潰瘍の原因だと考えました。しかし納得する内科医は多くありませんでした。アイデアは馬鹿げて聞こえたのです。高度な酸がある胃でどうしてバクテリアが生き延びられるのか。また、それが事実ならなぜもっと前に判明していなかったのか。
1984年まで、マーシャルは彼の実験結果に自信を持っており、他の人がそれを納得しないことに憤りを感じていました。そこで彼は、常軌を逸する判断を下します。自分の体内にヘリコバクター・ピロリがないことを確認し、自分自身が実験台になることにしたのです。朝10時、ミートスープを一口で、大量のバクテリアを自ら飲んだのです。
当然ですが、その後数日、彼は体調不良でした。消化不良、吐き気、口臭、嘔吐もし始めました。胃潰瘍ではありませんでしたが、答えには近いものでした。それは胃炎だったのです。つまりヘリコバクター・ピロリはあの時たまたま発見したのではなく、まさにこれが胃炎の原因だったのです。
菌が胃壁を攻撃し、消化でうねる胃液がさらに傷口を広げます。感染から発覚には時間がかかります。喫煙やストレスなどで症状は悪化します。健康が芳しくない高齢者が特に影響を受ける理由がこれです。
ヘリコバクター・ピロリがなければほとんどの人は胃潰瘍になりません。マーシャルとウォレンはヘリコバクター・ピロリを取り除く薬を開発し、胃潰瘍を治し、数えきれない命を救いました。オーストラリア人のこの2人は彼らの画期的な発見により2005年のノーベル医学賞を受賞しました。さらにこの時代の発見が、誰も想像できなかったさらなるインパクトを生むのです。
胃潰瘍を抗生物質で治す人が増えるほど、胃がんの数も減っていったのです。今日、WHOはヘリコバクター・ピロリを発がん物質と認識しています。胃潰瘍で胃壁を傷つけるダメージは、胃がんをも引き起こすのです。これは大衆の健康にとって大きな勝利でした。自ら病気になった彼のおかげなのです。
胃潰瘍とがんを引き起こすバクテリアが判明しました。確実に取り除きたいですよね。しかしそう簡単な話ではないのです。ほとんどの胃潰瘍がヘリコバクター・ピロリによって引き起こされるわけですが、ヘリコバクター・ピロリを持つ人が胃潰瘍を促進するとは言えず、ましてやがんになる人は少ないのです。
ヘリコバクター・ピロリは助けにすらなります。胸焼け、食道がん、上胃がんから防ぐようにも見られるのです。科学者はこれについて完全には理解していませんが、バクテリアが酸逆流の減少に役立っていると考えています。酸に浸かる組織が少なく、ダメージが少なくなり、腫瘍も成長しにくくなります。
残念なことに、2つをいいとこ取りはできません。胃にとって最も危険なコバクター・ピロリは食道を最も守ることができるのです。どちらかだけなのです。トレードオフなわけですが、トラブルが起こるまでは、今のところ医者は胃にバクテリアを残すことに賛成しています。もし何か起こったら、抗生物質が助けてくれます。
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