2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:それでは、直木賞を受賞された佐藤正午さんの電話会見に移りたいと思います。電話は聞こえていますでしょうか?
佐藤正午氏(以下、佐藤):はい、聞こえています。
司会者:ありがとうございます。それでは受賞された今の気持ちをお願いします。
佐藤:えーっと、なんか「獲っちゃったな」という感じです。
司会者:……それだけですか?
佐藤:はい、はい。
司会者:このあと、質疑応答なんですが、ご自分でおっしゃられることはそれでよろしいでしょうか?
佐藤:はい、大丈夫です。
(会場笑)
司会者:それではご質問のある方は挙手をお願いします。
記者1:読売新聞のカワムラともうします。受賞おめでとうございます。
佐藤:どうもありがとうございます。
記者1:担当編集者と18年前に約束した話が、こうやって形になって、しかも直木賞という結果になりましたが、そのことに関してまずどうお感じになっていらっしゃいますでしょうか?
佐藤:うーん、なんかそういうめぐり合わせだったのかな、という感じです。
記者2:西日本新聞社のオガワともうします。おめでとうございます。
佐藤:ありがとうございます。
記者2:今回の作品ですが、いきなり東京駅からはじまって、八戸などに舞台を移しますが、実際に行かれたりしたのでしょうか?
佐藤:いや、えーっと佐世保からは出ずに書きました。出てないです。
記者2:今日も佐世保でよろしいんですよね?
佐藤:そうです、佐世保にいます。
記者2:創作において、佐世保にはなにかあるんでしょうか?
佐藤:なにか、というと?
記者2:創作の源というか、なぜ佐世保で書き続けるのか、という。
佐藤:いや、実家があるので、母のこともあるし、佐世保を離れるわけにはいかないというのはありますけど。
記者2:授賞式には来られますか?
佐藤:もちろんです。
記者2:ありがとうございます。
記者3:朝日新聞のナカムラともうします。受賞おめでとうございます。
佐藤:ありがとうございます。
記者3:佐藤さんにとって、直木賞とはどんなものなのか。もう少し言葉を加えていただけないでしょうか?
佐藤:うーんと、あのー、いろんな作家がいて、作家の人生っていろんなコースがあると思うんですね。それで、早いうちに直木賞に出会う道を歩いて行く人もいれば、僕みたいにこの年になってばったり出会った、みたいなそういうことなんじゃないかと思っているんですけれども。
ですから、直木賞をずっと意識して書いていたわけではなくて、僕なりの作家人生を歩いてたら、今回直木賞とばったり出会ったと。そんな感じですけど。
記者3:ありがとうございます。それでは何のために小説を書いているのか教えていただけませんか?
佐藤:何のために?(笑)。いや、何のためなんでしょう。いや、ちょっとそれは難しいですね。あんまりいじめないでください。
(会場笑)
記者3:すみません(笑)、ごめんなさい。
記者4:毎日新聞のナイトウともうします。おめでとうございます。2つ教えてください。1つは今年でデビュー34年ということなんですが、この会見の席で難しいかもしれませんけれども、今までの34年というのをちょっと振り返っていただけないかな、と思いまして。
佐藤:あー、ちょっとそれは難しいですね。
(会場笑)
佐藤:34年(笑)。
記者4:じゃあどういうふうに仕事をしていらっしゃった、と言ったらいいでしょうか?
佐藤:なんか……マイペースで、編集者にご理解いただいて、いい編集者とめぐりあえて、マイペースを保って書いてこれた30何年間だったと思いますけど。
記者4:では、ここで直木賞をお取りになったんですけれど、これからどういう小説を書いていこうとお考えでしょうか。
佐藤:いや、それは今言ったのと変わらずに、今まで通りだと思います。もっと若くして直木賞だったらちょっと変わってたかもしれないですけど、僕もう60過ぎてるんで、変わりようがないと思います。
記者4:あともう1個だけ。さっきの質問と重なるかもしれませんけれど、今日こういう記者会見があるわけなんですが、東京においでにならず、佐世保を選ばれたっていうのは、理由はなんでしょうか。
佐藤:いや……佐世保……地方在住の方は、地方で待って、電話で記者会見に臨んでくださいっていうふうな、そういうパンフレットみたいなのが届いたんですよ。
(会場笑)
それもアリなんだなと思ってそっちを選んだんですけど。
記者4:なるほど(笑)。ありがとうございます。
記者5:読売新聞のカワムラです。すみませんもう1問。先ほど選考委員の会見のなかで、「文章力がやはり抜きん出ている」と。30年経っても非常にみずみずしいという選考委員の評価があったんですけれども。
佐藤:あ、そうなんですか。はい。
記者5:ご自身で自己分析するのは難しいかもしれないんですが、その文章力、あるいは構成力というのを維持するために自分で大切にしている部分というか。
佐藤さんがよく「推敲して行ったり戻ったりしながら書き続ける」というのをおっしゃってますけれども、どういうことを大切にしてるからそのみずみずしさが保たれているというふうにお考えでしょうか。
佐藤:みずみずしさを保ってるのかどうかわかんないですけども、あのー……この記者会見で、僕ある程度質問を想像してたんですけど、ぜんぜん違う質問が飛んでくるんで、なんて答えていいかわかんないんですよ。自分の文章のことはよくわからないですね、自分で。
司会者:はい、よろしいでしょうか。
佐藤:すみません。
記者6:読売新聞のウカイです。ちょっと今の発言に乗っかってしまって申し訳ないんですが、佐藤さんが事前に予想していた質問内容と、それに対して準備していたお答えを教えていただければなと。
佐藤:(笑)。いや、あの、「60過ぎて初めて直木賞の候補になったっていうことは、今さらとかそういうふうに思われませんか」っていう質問を予想してたんですね。
(会場笑)
記者6:どのようにお答えしようと?
佐藤:それは……「思いません」と。
(会場笑)
今さらとは思わないけども、「今?」っていう感じはちょっとちらっとしましたね。今まで全然出会わなかった直木賞にちょっと呼び止められて、「ちょっと寄ってかない?」みたいな。「え、今から?」みたいな、そんな答え方をしようと思ってました。
記者6:ありがとうございます。もう1つですが、やっぱりこの長い間、それこそ私が入社した年にデビューされたっていうことで非常によく覚えてるんですけども。
先ほどマイペースっておっしゃってましたけど、マイペースを維持するっていうのは、ペースが狂うこともあるのかもしれないし、スランプが続くこともあるのかもしれないですけども、そのあたりでスランプに陥るということはなかったのか。なかった場合にはどのようにしてマイペースを維持するための人生の習慣というか、工夫っていうのを。
佐藤:マイペースを維持するっていうのは、要するに例えばこういう受賞で、原稿が殺到したとしても、それは全部は引き受けないっていう、そういうことだと思いますね。
それはあらかじめ、申し訳ないですけども、マイペースを維持するためには、作家としての許容量というのがあるので、そういうことになると思います。
記者6:先ほど、北方さんが「文章のみずみずしさを保っている秘訣には、1つにはやっぱり寡作の美徳があるんじゃないか」っておっしゃってたんですけど、やっぱりそれは寡作であるっていうことはご自身のマイペースを維持するための。
佐藤:なるほど。うん。そうかもしれないですね。そういうことかもしれないです。
記者7:朝日新聞のタカツともうします。今回の作品というのは、生まれ変わりというか、生と死というところも含めたテーマがあったかなと思うんですが。なんと言うんでしょうか、震災というのもあって、死と向き合うことも増えてきている中で、こういった小説を書かれるきっかけはあったのでしょうか?
佐藤:うーん、いや、そういう深刻な問題じゃなくて、とにかくおもしろい小説を書こうという、それだけだったと思います。あの、そういうことです。
記者7:それが生まれ変わりというところで。
佐藤:はい。
記者7:生まれ変わりがおもしろいな、と思ったきっかけはなにかあったんでしょうか?
佐藤:書き方によってはおもしろくなるかな、という感触があったので。あのー、こういうこともうまくしゃべれないんですけれども、いずれ原稿でちゃんと書いていこうと思っています。それで勘弁してください。
記者7:楽しみにしています。よろしくお願いします。
佐藤:ありがとうございます。
司会者:ご質問は以上とさせていただきます。では、佐藤さま、記者の方が7、80人近くいらっしゃるんですけれども、なにか言い残したことがあれば、最後に一言いただければと思います。
佐藤:いや本当にうまくしゃべれなくて申し訳ないです。もう、集まっていただいて、すいません。
(会場笑)
佐藤:以上です。
司会者:ありがとうございました。これにて第157回芥川賞・直木賞の受賞者記者会見を終了します。長時間本当にありがとうございました。
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