2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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乙君氏(以下、乙君):自分が言ってることがまだまだ甘いみたいなこと言ってたじゃないですか。えー、続いていきます。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーREMIX」の話いきますね。
これ、「スター・ウォーズ」の意外な共通点っていうニュースを一応あれしたんですけどこれはあんまり関係ないんで今日。玲司さんの解説、いきましょうか。
山田玲司氏(以下、山田):納得いかねーんだよ。
乙君:納得いかない。
山田:お前がつまんないとか言うから俺のガーディアンを。俺のロケットを。もう二年越しなんだけど。
この「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」ですが、観た瞬間に待ってたぞと、ジェイムスと。俺はお前を待ってたぞジェイムス、と。
乙君:まずジェイムスって誰ですか。
山田:監督だべ。監督のジェームス・ガンちゃんだべ。で、このときにはやっぱり俺みたいに思った人いっぱいいて、みんなでガーディアンズ祭りやってからまぁ俺が敢えて言うことねーなと思って。
みんな結構的を射たこと言ってんなと思ったんだけど、やっぱ今回のさー、ちゃんと正しく伝わってない感じが。どーしてもこの作品の。
乙君:わかりました、ちょっとアンケート出してもいいですか。
山田:え、マジやるの。
乙君:おもしろかったかおもしろくなかったか、REMIX。これによって玲司さん…。
山田:追い詰めようって言うの俺を。俺を数の論理で追い詰めようとして通そうみたいな感じですか。
乙君:ちなみにしみちゃんもぜんぜんイマイチ。ここでもう長江が流れてるわけですよ。赤壁なんですよ。
山田:ちょっと待てよ、号泣してんだぞお前。
乙君:あんなもので号泣するほうが。
山田:あんなものって言ったー!
乙君:本当におもしろいものを観たことがないのかなぁ、なんて若干思いましたけどね。それは言いませんよ。「見てない」もありますか。
アンケート1.おもしろかった21.7%2.おもしろくなかった7.7%3.見てない70.6%
乙君:これはめちゃくちゃおもしろい!70%の人が見てないんで、ネタバレ禁止ですからね今日。
山田:だってさあ、かわいいアライグマ推しとかでさあ、観にいきたいと思う?「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」。
なんかさ、外した感じのスペース・オペラ? ちょっと昔風のとしか思わないじゃん。ちょっと待てこれふざけんなってことですよ。ちょっと言いますわ。
「メッセージ」のネタバレしないように必死でがんばりますけど。今回2作目の話はネタバレしません。ただ1作目は2年前なんで、もういいでしょうって話で、ちょっとしますけど。
僕の信頼する天才編集者のガッキーですけど、この作品の1作目を勧めたら、速攻で「山田さんありがとうございました、教えてくれて」っつって。「ずっと聴いてますサントラ」っていうくらい大好き、1作目のとき。
そんで、「世界中が乗れてると、なぜか日本はダメだ」と。でね、俺が最高だと思う理由はこれから言いますけど。
まずね、みんな観たことあると思いますけど、漠然とこの作品の1発目のすごさって冒頭5分ですよ。もう俺恐ろしいと思っちゃったもん、だって。
乙君:ワン(1作目)の話じゃなくて?
山田:ワンです。ツーのことワーワー言うとまたネタバレって。
乙君:ワンの話すんの今日。
山田:ワン・ツー一緒ですから。
乙君:わかりましたどうぞ。
山田:だってね、観に行ったらどっかアメリカの片田舎で少年がウォークマン持ってんすよいきなり。SONYのウォークマンですよ。俺も持ってたヤツですよ。
それこう耳にやってんじゃないですか。なんの映画が始まったの? なにこれSFじゃないの? ってここからもう圧倒的にド肝を抜かれる一発目じゃん。
で、いきなり聴いてる曲、この番組で何回も言ってますけど10ccの「I'mnotinlove」? アナッティンラーブっていうね、10ccの名曲が掛かるじゃないですか。
で、すぐ判るわけですよ。なぜかっていうとお母さんが病室にいるんで、末期がんですよ。それがカメラのパンで判るんだよね、「お母さん、最期の挨拶だぞ」みたいな雰囲気で連れてかれるわけです、少年が病室に。
そうするとカメラがゆっくりパンするわけだよ。そうすると抗がん剤だよね、要するに髪の毛がぜんぜんないお母さんがパッと映る、病状がどうなってるか一発で、なにも言わず、そのあいだずっと10ccが流れてる。
で、10ccの曲、どういう曲かっていうと、「俺は恋なんかに落ちてないよ」「これは恋じゃないんだよ、違うんだよ」「そういうんじゃないんだよ、好きなんじゃないんだよ」で、無理してる。無理してる気持ちを歌ってる曲を、少年が聴いてるんですよ。
「僕へっちゃらだい」「ママがこんなことになっても平気だよ」ってのをかぶってるわけ、一瞬でそれが判る、10ccでここなんだって思って。で、お母さん亡くなる前にあるプレゼントを渡す。これは音楽ですよね、カセットテープですよね。
で、外にでる、お母さんが亡くなったのを認めたくない。で、泣きながら子どもが病院の外にでる。そこから、これまでのくだりってのは散々観たやつだ。
でも、出てきた子どもの上にやわら巨大な宇宙船がやってきていきなり拐われると、冒頭で。
マジかと。これ数分間だからね。なにが起こんのかと思って、そしたらいきなり時が移って見たこともない惑星がボンと現れて。
で、そこで謎の男が現れてそっからSFテイストにいきなり変わると。で、廃墟になった惑星、そこで残像としてそこに住んでた人たちの残像がパッパッと映るんだよね。
で、そこでインディー・ジョーンズ、レイダース的な宝探しが始まるっていうシーンが始まる。この子どもが現れたあとにショートカットされて、いきなりこうなるんだけど。
そこでかかる音楽が、レッドボーンっていうのの「カム・アンド・ゲット・ユア・ラブ」っていう曲なんだけどヘイナナヘイナナってヤツ、ファットマターウィズユーって曲知ってる?
かかるわけじゃん、これ、曲の内容がどういうことかっていうとファットマターウィズユーなんだよね。これってあれだよ、俺なんかあの、大学受験大嫌いだったんだけど、しょうがないから無理やり覚えた熟語だよこれ。
ファットマターウィズユー、ファットロングウィズユーっていう熟語じゃんこれって。あんとき覚えたヤツいきなりここで聴くんだと思いながらはーっと思って、要するにどうしたんだい? っていうさ。なにが起きたんだい? みたいな曲だよね。
で、この曲で、欲しいものを手に入れようって言ってくれるわけよ、っていう曲なのね。それでそこからバーンとタイトルが出て始まって、フラットな感じで始まって、そこからSFとして始まるわけ、敵との戦いみたいな展開になってくる。これほんと5分ちょっとくらいでしょ。で、ここで……なんでピンと来てない顔してるんだよ!
乙君:真剣に聞いてるんですよ!
山田:すごいことなんだよこれって。なにがすごいっていま説明しますけども、あのね、起こったことの真ん中を完全に抜いてんだよポンと。
だから、大変なことが起こりました。挫折と葛藤を経てヒーローになります。で、克服してますって。
克服しちゃったあとにいきなりポンっていくんだよ。要するに真ん中を抜いてるんだよ。これが、日本人の好きな部分なんだよ。実をいうと。
乙君:そうそう。
山田:だから、そこで、僕ちょっと書きましたけど、まず1発目でなにかを追い出してるんですよ、今まで日本人が好きだったやつを。
で、これは若者の悩みや葛藤みたいなものが中心に置かれてたいわゆる青春文学みたいなものがSFんなかに入ってきちゃってずーっと居続けたわけ。
そうすると、SFっていうのはセンス・オブ・ワンダーだから、素敵な世界、不思議な世界、新しい世界に導いてくれる。
しかもそれは化学的整合性がとれてるという楽しみだったわけよ。なのにそこに若者のグジグジ物語が文学として入ってきちゃうために、延々とこいつに付き合わされてきたわけよ我々は(「ウジウジする男」を持ちながら)。
乙君:まぁまぁまぁ。
山田:あのね、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」にはセカンド・チルドレンが出てこないんですよ。だけどね、この番組観てくれてる人は判ってくれてると思うけど、俺はヒデを愛してますから。
だからヒデのこと悪く言ってません。ただ、ヒデやってんだよ散々。もう金字塔ですわこういうヤツの。なのにまだこれやるかってのがずーっと続いてたから、もうウンザリなわけですよ、若者のそのグジグジに関しては。
だけど「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に関しては、もうそういうこと終わりにしますんで、って言ってポーンと切ってるんですよ、いきなり。
で、そうすると主人公のピーターは実は深い傷や悲しみを抱えてるんだけど、ほとんど1話の最後のほうまで言わない。ほとんど言わない。最後の最後でちらっと見せるだけなんだ。
これくらいのバランスを待ってたわけ。だからずーっとお前の悩みを2時間付き合いたくねーよっていう気分がある。
なぜかっていうと、時代はそんなに甘くなくなっちゃったのよ、とっくの昔に。要するにそうやってウダウダ言ってられるのはバブル崩壊くらい前だったの。そのあとは、現実に死体が転がってる時代に突入してるわけよ。
だったら解決しなきゃいけないんだよもう。だから解決のタームにいかなきゃいけないし、そして時代が最悪になったからといってウジウジしていては人生がもったいないわけですよ。
ゴキゲンにいったほうがいいんですよ。ということを冒頭でやりますよこれから、ってやるの。これだけでも「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」、すごいヤバい。
それだけじゃなくて、成功するために動くとか主人公の目的が無くなってんの基本的に。で、おもに自分を不自由にしてきたものっていうのが敵なんだよ。だから自分を支配してきた大人たちが敵になるんだけどあとはほとんど外れてて、承認欲求とか夢とかそういう成長とかっていうものもこの映画から全部除外してる。
「この抜け感最高だよね」っていう話なんだよ。もうね、その話いいから。なんでかっていうと、成長したって夢を叶えたって幸せにはなりませんよって話なんだよ。「そんなこと知ってるよ」って。
どうなるかっていうと、他の人を不幸にして恨みを買うだけですよって話なの。そしてつかの間の、なんとなくの幸福、恨みを晴らすっていう、過去に対するリベンジが終わるだけ。
このみっともなさはさ、20世紀が移るこの何十年間にさんざん見てきたんだよ。だから、野望みたいなものが出てこないところだけでもオッケーなんだよ。で、しかも野望の話でいくかなと思ったらいかない。
で、気持ちいいのは主人公の古傷レベル問題っていうのがありましてですね。俺が好きだった時代のヒーローものって仮面ライダーにしろなんにしろ、壮絶な過去を抱えてんの。
もうね、頭を抱えるくらいの過去を抱えてんの。なんでかっていうと、ガンダムを創ったのは全共闘世代で学生運動でひどい目にあって挫折した富野(由悠季)さん。
で、それより以前になると、戦争なんだよ。だから本気で「生きる・死ぬ」やってて、それでなんとか生き残った世代っていう。手塚(治)先生とかそうなんだけど、こいつらの傷の深さハンパじゃないわけよ。
で、それを克服して「ゴキゲンにやってこうぜ」っつったときの信頼感ないわけ。本物のヒーローだったから。
だけど、富野さん以降、ヒデの世代になってくるとそういうの知らないんだよもう。なんでかっつーと、平和なんだよ最初から。
で、自分にとっての問題はなにかっていうと「父さんが認めてくれないんだ」。
乙君:なるほど、どんどんドメスティックな話になってくるわけですね。
山田:クラスメートが好きって言ってくれないんだ。みたいなヤツですよ。まぁ、あのエヴァンゲリオンの中でいうと、この親和性で共通する部分は1か所だけあります。エヴァンゲリオンのキャラクターで、こんなかで出ていいのは、(惣流・アスカ)ラングレーだけです。
乙君:あーー!
山田:ある意味、コンニャロー!なんですよ。出てくる人みんなラングレー。映画みてーじゃんって思わない? そこを見せろよもっとって話なの。
乙君:それでハマったのか。
しみちゃん:なるほど。
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