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How Your Blood Type Protects and Hurts You(全1記事)

O型は心疾患になりにくい? 血液型と病気のリスク

「A型は几帳面」「B型はわがまま」など、日本では、血液型にはそれぞれイメージがあります。これらの血液型による性格判断には科学的な根拠がないと言われていますが、血液型がただの文字による分類というだけではないことも確かです。血液型の違いは特定の種類の抗原によって決まります。A抗原を持つ場合にはA型、B抗原を持つ場合にはB型、両方を持つ場合にはAB型で、両方とも持たない場合にはO型、ということになります。実は、これらの違いが、マラリアやコレラ、心疾患などの病気に対するリスクの度合いに関わってくるのです。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、血液型と病気のリスクの関係性について解説します。

血液型によって病気に対するリスクが異なる?

オリビア・ゴードン氏:血液型が重要なものだということは、すでにみなさんもご存知だと思います。大量の血液を失ったときに、異なる血液型の輸血を受けたら致命傷になりかねません。

ですが、あなたがA型、B型、AB型あるいはO型かによって、マラリアやコレラ、心疾患といった病気に罹患した場合のリスク度が変わってくるということはご存じでしたか?

血液型というのは、特定の種類の抗原によって決まるものです。血液型の場合、赤血球の表面にある糖の一種がそれにあたります。

A抗原を持つ場合にはA型、B抗原を持つ場合にはB型、両方を持つ場合にはAB型で、両方とも持たない場合にはO型、ということになります。

しかし、問題は次のようなことにあります。ABO式による血液型の括りには、3種の文字による括り、ということ以上に重要な事柄を含んでいるということです。

みなさんにはもう1種類の抗原があります。これは初めて耳にする方も多いかもしれませんが、H抗原というものです。

AやBといった、いつもみなさんが耳にするものは、実はこのH抗原に加えられた追加の糖です。さらに、こうした糖があるのは、赤血球の表面上だけではありません。

こうした糖は、内臓や血中を漂う化合物にも存在しており、病原体や毒素、さらに免疫系そのものとも相互に作用し合い、あなたをある感染症に対しては強くし、はたまたある感染症には弱く攻撃を受けやすい状態にしています。例えば、O型の血液は、マラリアとの接触があった場合に有利に働くことがわかっています。

マラリアのもっとも危険な要素は、赤血球がそろって凝集した際に、ロゼットとして知られる花の形をした特徴的なパターンを形成することにあります。

このロゼット形成は、感染した赤血球が非感染赤血球にくっつくときに起こり、その過程に手を貸しているのはAとBの抗原です。その結果、マラリア感染があった場合、A、B、そしてAB型の人には、より大きくたくさんのロゼット形成が起こりやすくなります。

こうした細胞塊は、細かな血管、とくに脳の血管で詰まりを引き起こしやすく、血流を妨げます。それだけでも十分に悪い状態なのですが、さらに、こうしてロゼットがしまい込まれると、身体の自然免疫能による感染細胞の掃除機能まで妨げてしまいます。

つまり、A、B、AB型の人の深刻なマラリアに罹るリスクは、O型の人よりも高いということを意味しています。

O型は心疾患にかかりにくいという研究結果も

残念ながら、O型にもマイナス面はありますよ。マラリアについてはO型ということで安心しているかもしれませんが、コレラの原因となる細菌株に関しては、むしろもっとひどいマイナスかもしれません。

90年代初頭にペルーでコレラが大流行した際、O型の血液型を持つ人の入院率は、ほかの型の8倍も高かったのです。また、ガンジス川流域など、何世紀にもわたってコレラ感染によって人々が苦しんだ地域では、O型がもっとも少ないことが明らかになっています。

実際のからくりについて、研究者の間でいまだ完全な理解には至っていないものの、1つの考えとして、AとBの抗原を保有していると、コレラ毒素による細胞への結合を妨げるのではないかと言われています。

この抗原の防衛機能が働くのは血中ではなく、腸に並んでいる細胞内です。コレラ毒素の作用はまさにそこで行われ、それによって細胞による水分と電解質の放出が起こるために下痢が生じ、これがコレラ特有の「ファーストキラー」としての急速な致死性を高めています。

こうした細胞にAやBの抗原がある場合でも、コレラ毒素がそれらの抗原に結合することは可能です。しかし、コレラ毒素は、H抗原により強く結合します。H抗原はO型の人が持つ抗原のため、O型の人がコレラに感染すると、より深刻な症状となるリスクが非常に大きいというわけです。

最後に、血液型を決定する抗原は、心疾患のリスクにも影響を与えることがあります。

この場合、采配を振るうのは、血液中の抗原ですが、赤血球上にあるものではありません。その代わりに鍵となるのは、フォン・ヴィレブランド因子と呼ばれるものの表面にある抗原です。

ドイツのテクノバンドの名前のような響きですが、フォン・ヴィレブランド因子は、タンパク質で、血液の凝固を助ける役割があります。

ケガをした場合など、血中にフォン・ヴィレブランド因子を十分に持つことで止血につなげたいものだと、みなさん思うでしょう。しかし、逆にこの因子が血流内に大量にあると、ほしくない場所に凝固や血栓が起き、心臓発作や脳卒中につながってしまう可能性があるのです。

ありがたいことに、身体は定期的にこの因子の掃除を行っています。科学の世界でもまだ明らかにはなっていないのですが、なにかしらの理由で、フォン・ヴィレブランド因子上にAまたはBの抗原があると、この掃除がより難しい作業になります。

その結果、A、B、AB型の人は、血中に約25パーセント多くこの因子を保有しています。心臓病、心臓発作、脳卒中の罹患率がA、B、AB型ではO型に比べて高いことが一貫して研究で明らかになっていますが、これで説明がつく可能性があります。

しかし、どんな病気に罹るかということに関して言えば、物事の壮大な仕組みのなかで、血液型の果たす役は端役にすぎません。ハンバーガーの食べすぎや運動不足などは、AやBの抗原を赤血球上に有していることよりも、ほぼ確実にあなたの心臓にもっとダメージを与えます。

しかし、特定の血液型が、疾患を悪化させることもあれば、疾患から防護することもあるその理由を明らかにしたいと科学者らは願っています。いつか、A型であれB型であれ、ABであれOであれ、それが血液型を問わず全員の恩恵となることを願っているのです。

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